はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「古事記・日本書紀って、古文の授業でちょっと触れたけど、入試に出るの?」と思っている受験生は多いのではないでしょうか。実は、古事記・日本書紀は大学入試において頻出の出典であり、特に難関私大・国公立大の古文・漢文問題で近年その出題頻度が上がっています。
しかし、多くの受験生がこのジャンルを「なんとなく神話の話でしょ」と軽視し、対策が手薄になりがちです。本記事では、古事記・日本書紀の入試対策として知っておくべき基本知識・読み方・頻出場面を、具体例を交えながら徹底解説します。翔先生のポイント解説も随所に盛り込んでいますので、ぜひ最後までお読みください。
核心情報:古事記・日本書紀とは何か?入試で問われるポイント
古事記と日本書紀の基本的な違い
まず、古事記と日本書紀の違いを整理しておきましょう。入試の設問で「この文章はどちらの書物から引用されたものか」が問われることもあるため、両者の特徴を把握することが第一歩です。
| 項目 | 古事記 | 日本書紀 |
|---|---|---|
| 成立年 | 712年(和銅5年) | 720年(養老4年) |
| 編者 | 太安万侶(おおのやすまろ) | 舎人親王(とねりしんのう)ら |
| 文体・言語 | 変体漢文(和文的要素が強い) | 純粋な漢文体 |
| 目的 | 国内向け・皇統の正統性を示す | 対外向け・正式な国史として |
| 内容の特徴 | 神話・伝承・歌謡が豊富 | 史書的・客観的な記述が多い |
この違いが、入試問題の設問に直結します。古事記は変体漢文(和化漢文)で書かれているため、漢文の読み方と古文の知識が融合した読解力が必要です。一方、日本書紀は比較的純粋な漢文として読むことができます。
入試で「古事記・日本書紀」が問われる理由
古事記・日本書紀が入試に出題される背景には、「日本最古の文献」という文化的重要性があります。特に以下の観点から問われます。
- 語彙・文法の知識:上古の文体特有の表現・助動詞・助詞の用法
- 神話の内容理解:神々の名前・系譜・各場面の意味
- 文学史的な知識:成立年・編者・文体の特徴
- 漢文訓読の力:日本書紀は漢文として出題されることが多い
翔先生のコメント:「古事記・日本書紀は『知っているだけで差がつく』ジャンルです。神話の内容を事前に把握しておくだけで、初見の問題でも文脈を追いやすくなります。」
具体的な方法:古事記・日本書紀の読み方と入試対策
①変体漢文(和化漢文)の読み方をマスターする
古事記の最大の特徴は、変体漢文(和化漢文)という独特の文体です。これは、漢字を使いながらも日本語の語順や表現に近い形で書かれたものです。たとえば、通常の漢文では「天地初発之時」と書きますが、古事記では日本語の文法を意識した構文が混在します。
【具体例】古事記冒頭:
「天地初發之時、於高天原成神名、天之御中主神。」
(天地が初めて開けた時、高天原に成った神の名は、天之御中主神という。)
この文では、「於〜」の構文(〜において)という漢文の構造が使われていますが、全体として和文の語順に近い形になっています。漢文の基本構文を理解した上で、和文読みの感覚も持ち合わせることが古事記読解の鍵です。
②頻出場面の「あらすじ」と「意味」を覚える
入試では、神話の各場面が断片的に出題されます。そのため、主要な神話場面のあらすじを事前に頭に入れておくことが非常に有効です。
【頻出場面①】国生み神話(イザナキ・イザナミ)
イザナキノミコト(伊耶那岐命)とイザナミノミコト(伊耶那美命)が、天沼矛(あめのぬぼこ)で海をかき混ぜ、日本の島々を生み出す場面です。
入試で問われるポイント:「詔(みことのり)」の用法、神の名前の漢字と読み、「婚い合わせる」場面の文脈理解。特に「汝が身はいかに成れる」という男女の問答は、古文的な表現として読ませる問題が多い。
【頻出場面②】黄泉の国(イザナキの黄泉下り)
イザナミが火の神・カグツチを産んで死に、イザナキが黄泉の国へ会いに行くが、腐敗したイザナミの姿を見て逃げ帰る場面。
入試で問われるポイント:黄泉の国の描写、「見るなかれ」という禁忌(タブー)のモチーフ、イザナキが黄泉の国との境界に置く「千引きの石(ちびきのいわ)」の描写。「見ることを禁じられたものを見てしまう」という構造は、文学的な主題として問われやすい。
【頻出場面③】アマテラスとスサノオ(天岩戸神話)
スサノオの乱暴に耐えかねたアマテラスが天岩戸に隠れ、世界が暗闇に包まれる。八百万の神々が知恵を絞り、アメノウズメの踊りで笑い声を上げてアマテラスを岩戸の外に誘い出す。
入試で問われるポイント:神々の名前と役割(特にオモイカネ、アメノウズメ)、「常世の長鳴鳥を集めて鳴かしめ」という漢文的な使役表現、神楽の起源としての文化的意義。
【頻出場面④】オオクニヌシの国譲り
大国主神(オオクニヌシノミコト)が葦原中国を天津神に譲る場面。タケミカヅチが派遣され、交渉が行われる。
入試で問われるポイント:「国譲り」という政治的テーマの背景、オオクニヌシの子コトシロヌシとタケミナカタの対応の違い(従う者と抵抗する者)。
【頻出場面⑤】ヤマトタケルの東征(日本書紀・古事記共通)
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が各地の豪族を征服していく英雄譚。特に焼津での火難、走水の海での妃オトタチバナヒメの入水の場面が頻出。
入試で問われるポイント:オトタチバナヒメが波を鎮めるために入水する自己犠牲の場面。「君のためなら命も惜しくない」という和歌的精神との関連。日本書紀版と古事記版の記述の違いを問う出題も見られる。
③神の名前・漢字表記と読みを覚える
古事記・日本書紀の入試問題では、神の名前の読みや漢字表記が問われることがあります。以下の基本的な神の名前は必ず覚えておきましょう。
- 天照大御神(あまてらすおおみかみ)=アマテラス
- 須佐之男命(すさのおのみこと)=スサノオ
- 伊耶那岐命(いざなきのみこと)=イザナキ
- 伊耶那美命(いざなみのみこと)=イザナミ
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)=オオクニヌシ
- 日本武尊(やまとたけるのみこと)=ヤマトタケル
- 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
- 思金神(おもいかねのかみ)=オモイカネ
④古事記の「歌謡」問題への対応
古事記には多くの和歌・歌謡が収録されています。これらは「記紀歌謡(きき かよう)」と呼ばれ、現存する最古の和歌の記録として文学史上も重要です。入試では、歌の意味・修辞技法・文脈中の役割が問われます。
【例】スサノオがイナダヒメと結婚した時に詠んだ歌:
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
この歌は「和歌の父」とも呼ばれ、「八雲」が枕詞として後世の和歌に影響を与えました。「八重垣」という語が妻を守る心情を表すことを理解しておきましょう。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介のアドバイス:「文脈と文化的背景のセットで読む」
古事記・日本書紀を読む上で最も大切なのは、「神話の場面が持つ文化的・宗教的な意味」を知った上で読むことです。たとえば、黄泉の国のエピソードは単なる怪談ではなく、「死と生の境界」「見ることの禁忌」という日本的な死生観を表しています。この文脈を理解していれば、設問で「この場面が持つ意味を述べよ」という記述問題にも対応できます。
また、古事記・日本書紀の入試対策は「文学史」と「古文・漢文読解」の両方が絡むため、文学史の暗記問題と本文読解問題を別々に対策するのではなく、つねに「この作品の中でどのような意味を持つか」を意識しながら学習することを勧めます。
翔先生のアドバイス:「まず現代語訳で全体像をつかむ」
「古事記・日本書紀の原文は難しくて取っ付きにくい」という受験生には、まず現代語訳の本や教科書の解説で全体の流れをつかむことをお勧めします。神話のストーリーを知っていれば、初見の入試問題で本文を読んだ時に「ああ、あの場面か」と気づけるようになります。
具体的には、三浦佑之『口語訳 古事記』(文春文庫)などの読みやすい現代語訳が入門として最適です。入試直前期に読み込むのではなく、夏〜秋の段階で一通りストーリーを押さえておくと余裕を持って対策できます。
よくある失敗と解決策
失敗①「漢文として読もうとして混乱する」
問題:古事記を純粋な漢文として訓読しようとすると、語順が日本語的だったり、特殊な表記(万葉仮名で音を表す部分など)が出てきて混乱する。
解決策:古事記は「変体漢文」であり、日本語の語順・感覚を持ち込んで読んでよい文体だと認識する。まず書き下し文を丁寧に確認し、「この語は漢文的な構文か、和文的な語順か」を判断する練習を積む。
失敗②「神の名前が覚えられず本文で迷子になる」
問題:長い神の名前が漢字で書かれると、「誰が誰だかわからなくなる」という状態に陥る。
解決策:頻出神名の一覧を単語カード化して繰り返し確認する。また、本文を読む際は「主要人物の相関図(系譜)」を事前に把握しておくと、文中の人物関係を素早く整理できる。
失敗③「神話の場面は暗記だと思って丸暗記に走る」
問題:ストーリーを丸暗記しようとするが、入試では「この行動の意味は何か」という思考問題が出るため、暗記だけでは対応できない。
解決策:各場面について「なぜこの神はこういう行動をとったか」「この出来事が後世にどう繋がるか」を自分の言葉で説明できるようにする練習を取り入れる。
失敗④「日本書紀は漢文だから古文の勉強と切り離して考える」
問題:日本書紀を漢文問題としてのみ対策し、古事記との内容的な比較・対照を問う設問に対応できない。
解決策:同じ神話場面でも古事記と日本書紀では記述に違いがある(例:ヤマトタケルの描写など)。両書を対照して読む習慣をつけることで、比較問題にも対応できる。
今日からできるアクション
- 現代語訳で古事記の主要場面を読む:まず「国生み」「天岩戸」「黄泉下り」「国譲り」「ヤマトタケル」の5場面を現代語訳で読み、あらすじを自分の言葉で説明できるようにする。
- 神名の漢字と読みを10個マスターする:上記の頻出神名リストから、まず10個を暗記カードで覚える。
- 変体漢文の練習問題に取り組む:古事記の書き下し文を使った問題集(学校の副教材や市販の問題集)で、訓読の感覚を身につける。
- 記紀歌謡を1首ずつ意味を確認して覚える:スサノオの「八雲立つ」歌、ヤマトタケルの「大和は国のまほろば」など、文学史上重要な歌を意味と背景とともに覚える。
- 過去問で出題パターンを確認する:志望校の過去問で古事記・日本書紀が出題されたことがあれば、その問題を解き、どのような形式(読解・文学史・記述)で問われているかを把握する。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、古事記・日本書紀の入試対策として、両書の基本的な違い・変体漢文の読み方・頻出場面のポイント・よくある失敗と解決策を詳しく解説しました。
古事記・日本書紀は、「神話の話だから難しそう」と敬遠されがちですが、各場面のあらすじと文化的背景を理解しておくだけで、初見問題でも大きなアドバンテージを得られます。翔先生もアドバイスしてくれたように、まず現代語訳で全体像をつかみ、次に原文・書き下し文の読解へ進む2ステップのアプローチが最も効率的です。
ポイントをまとめると:
- 古事記は変体漢文・日本書紀は純粋漢文という文体の違いを理解する
- 国生み・天岩戸・黄泉下り・国譲り・ヤマトタケルの5場面は必須
- 神名の漢字・読みを確実に覚える
- 記紀歌謡は文学史問題としても読解問題としても問われる
- 各場面の「意味・背景」まで理解することで記述問題にも対応できる
古文の学習は積み重ねが重要です。古事記・日本書紀の対策も、早めに着手することで確実に得点源にすることができます。ぜひ今日のアクションプランから実践してみてください。
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✍️ この記事を監修した人|藤原 進之介
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