数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
共通テスト現代文の中で、多くの受験生が「どう解けばいいかわからない」と頭を抱えるのが、複数テキスト問題です。2つ、あるいは3つの文章を組み合わせて出題されるこの形式は、従来のセンター試験にはなかった全く新しいスタイル。「文章が2つあって混乱する」「どちらを読んで解けばいいのかわからない」という声を、私たちは毎年たくさん聞きます。
しかし、正しい解法を知れば、複数テキスト問題はむしろ得点しやすい問題形式に変わります。この記事では、共通テスト現代文の複数テキスト問題を完全攻略するための考え方・読み方・解き方を、具体例を交えながら徹底的に解説します。ぜひ最後まで読んで、今日からすぐに実践してみてください。
はじめに|複数テキスト問題とは何か?なぜ難しいのか?
共通テスト現代文における複数テキスト問題とは、「文章Ⅰ」「文章Ⅱ」のように複数の文章(テキスト)が提示され、それらを読み比べたり、関連づけたりしながら設問に答える問題形式です。2021年の共通テスト導入以来、現代文の大問として定着しており、評論・小説・実用文など多様なテキストの組み合わせが出題されています。
なぜこの形式が難しいと感じられるのか、主な理由は3つあります。
- ①情報量が多い:単純に読む文章が増えるため、読解にかかる時間と処理する情報量が増大する。
- ②関係性の把握が必要:2つの文章がどのような立場関係・論理関係にあるかを自分で整理しなければならない。
- ③設問が多角的:「文章Ⅰだけ」「文章Ⅱだけ」「両方を踏まえて」という3種類の問われ方が混在し、どこを根拠にすべきか判断が難しい。
これらの難しさは、正しい攻略法を知ることで確実に克服できます。次の章から、核心となる情報を順番に解説していきます。
核心情報|複数テキスト問題の「本質的な構造」を理解する
複数テキスト問題を攻略する上で、まず理解しなければならない本質があります。それは、「2つの文章は必ず何らかの関係性を持って組み合わされている」という事実です。出題者が2つの文章を無作為に並べることは絶対にありません。必ず意図があります。
その関係性は、大きく分けて以下の4パターンです。
パターン①:対立・対比型
文章ⅠとⅡが、同じテーマに対して異なる立場や主張を展開しているパターンです。例えば、「AIと人間の関係」について、文章Ⅰは「AIは人間を補完する存在だ」と論じ、文章Ⅱは「AIは人間の主体性を奪う危険がある」と論じるような場合です。この型では、両者の主張の違いを明確に整理することが最重要です。
パターン②:補完・補足型
文章Ⅰで述べられた主張や概念を、文章Ⅱが別の角度から補強・具体化・敷衍(ふえん)しているパターンです。例えば、文章Ⅰが抽象的な哲学論を展開し、文章Ⅱがその哲学を具体的な社会現象に当てはめて論じるような場合です。この型では、文章ⅠとⅡを「抽象↔具体」「理論↔実践」などの軸で整理するとうまくいきます。
パターン③:引用・参照型
文章ⅡがⅠを(あるいはその逆が)明示的・暗示的に引用・参照しているパターンです。実際の共通テストでは、文章Ⅱの筆者が文章Ⅰと同じ本・同じ概念を引用しているケースが見られます。この型では、「参照元の意図」と「参照した側の解釈」のズレやつながりに注目することが鍵です。
パターン④:問いと答え型
文章Ⅰが問題提起を行い、文章Ⅱがその問いに対する解答・結論を示す(またはその逆)パターンです。この型は比較的読みやすいですが、「Ⅱの答えがⅠの問いに対応しているか」という対応関係を意識して読まないと、設問で足をすくわれます。
まず文章全体を読み終えたとき、「この2つはどのパターンか?」と自問する習慣をつけること。これが複数テキスト問題攻略の出発点です。
具体的な方法|複数テキスト問題の解き方ステップ
ステップ1:文章Ⅰを読み、主張・キーワードをメモする
複数テキスト問題では、まず文章Ⅰを精読します。読みながら以下の3点を簡単にメモしておきましょう。
- 筆者の主張(結論):「この文章で筆者が最も言いたいことは何か」を一言でまとめる
- キーワード:繰り返し登場する言葉・概念をチェック(例:「言語」「他者性」「近代」など)
- 論の展開パターン:問題提起→考察→結論、という流れを大まかに把握する
例えば2023年共通テストの評論では、文章Ⅰで「言葉の意味は文脈によって規定される」という主張が展開されました。この主張とキーワード「文脈」「規定」を意識したうえで文章Ⅱに進むことで、対比・補完関係がすぐに見えてきます。
ステップ2:文章Ⅱを読みながら「文章Ⅰとの関係」を意識する
文章Ⅱを読む際には、単独で内容を理解するだけでなく、「文章Ⅰと比べてどう違うか・どうつながるか」を常に意識してください。具体的には、
- 文章Ⅱで文章Ⅰのキーワードが出てきたら、必ずチェックしてその使われ方の違いを確認する
- 文章Ⅱの結論が文章Ⅰの主張に対して「同意・反対・補足」のどれにあたるかを考える
- 読みながら余白に「←ⅠのAと関係」など短いメモを入れる
この作業を習慣化するだけで、複数テキスト問題の得点率は大きく上がります。
ステップ3:設問を「テキスト限定型」と「統合型」に分類する
複数テキスト問題の設問は、大きく2種類に分かれます。
【テキスト限定型】「文章Ⅰの傍線部について」「文章Ⅱの内容として」のように、どちらか一方のテキストだけを根拠にする設問。こちらは従来の現代文と同じアプローチで、該当箇所を正確に読んで解くだけです。
【統合型】「文章ⅠとⅡを踏まえると」「両者の見解を比較して」のように、2つのテキストを組み合わせて考える設問。これが複数テキスト問題の核心であり、最も得点差が生まれる部分です。
統合型設問では、「文章Ⅰで確認した主張・キーワードと、文章Ⅱで確認した主張・キーワードを組み合わせると、選択肢のどれが正しいか」という思考プロセスを丁寧に踏んでください。焦って選択肢を読んでも、どれも正しそうに見えてしまいます。先に自分の言葉で「正解はこういうことのはず」という仮説を立ててから選択肢を見ることが重要です。
ステップ4:誤答選択肢の「ズレ」を見抜く
共通テスト現代文の誤答選択肢には、典型的なズレのパターンがあります。複数テキスト問題では特に以下のパターンに注意してください。
- テキスト混同型:文章Ⅰの内容を文章Ⅱの主張として記述している(またはその逆)
- 部分的正解型:一方のテキストの説明は正しいが、もう一方との関係性の記述が誤っている
- 関係性逆転型:「対立」を「一致」と読み替えている、または「補完」を「対立」と読み替えている
- 過度な強調型:本文に書かれていないことまで踏み込んで断定している
誤答選択肢を見つけたら「×」をつけて消去し、残った選択肢の中から最も本文の記述に忠実なものを選ぶ消去法が、ミスを防ぐ上で非常に有効です。
藤原&翔先生の実践アドバイス|現場で使えるテクニック
藤原進之介からのアドバイス:「関係図」を30秒で書く
私が受験生に必ず伝えているのが、「2つの文章の関係図を30秒で書く」という習慣です。具体的には、問題用紙の余白に以下のような図を素早く描きます。
文章Ⅰ:「言葉の意味は文脈が決める」(主観的・相対的) ↕(対立) 文章Ⅱ:「言葉には普遍的な意味がある」(客観的・絶対的)
たったこれだけで構いません。この30秒の作業が、統合型設問を解く際の「地図」になります。「地図」なしに複数テキスト問題という迷路を歩くのは、遭難する可能性が高い。ぜひ実践してみてください。
翔先生からのアドバイス:時間配分の戦略
翔先生からは、共通テスト本番での時間配分について実践的なアドバイスをもらいました。
「複数テキスト問題は情報量が多いので、時間が足りなくなる受験生が多いです。私がおすすめしているのは、文章Ⅱを読み始める前に、設問を先に全部チェックすることです。設問を見ることで、『この問いはⅠとⅡ両方が必要』『この問いはⅡだけでいい』と事前に分かります。すると文章Ⅱを読む際に、必要な情報に素早くアクセスできます。目安として、複数テキスト問題全体に使える時間は25〜30分。文章Ⅰ精読8分、設問確認2分、文章Ⅱ精読10分、設問解答10分というペース感を意識してみてください。」
この時間配分を意識するだけで、本番での慌てが大きく減ります。模試や過去問演習で必ず試してみてください。
よくある失敗と解決策|これで点数が劇的に変わる
失敗①:文章Ⅱを文章Ⅰと無関係に読んでしまう
【失敗の原因】普段の現代文の読み方(1つの文章を独立して読む)をそのまま適用してしまうため。
【解決策】文章Ⅱを読む前に必ず「文章Ⅰの主張は何だったか」を一言で言語化する癖をつける。忘れていたら文章Ⅰに戻ってよい。「2つはセット」という意識を常に持つこと。
失敗②:選択肢を感覚で選んでしまう
【失敗の原因】統合型設問の選択肢は、一見するとどれもそれらしく見えるように作られているため、根拠のない「なんとなく」で選んでしまう。
【解決策】必ず「本文のどこに根拠があるか」を確認してから選ぶ。根拠が見つからなければ、それは誤答の可能性が高い。「本文根拠主義」を徹底することが、共通テスト現代文の鉄則です。
失敗③:2つの文章の関係を最後まで確認しない
【失敗の原因】それぞれの文章の内容は理解できているのに、「両者の関係」という視点が抜け落ちているため、統合型設問で間違える。
【解決策】2つの文章を読み終えた直後に、必ず「この2つの関係はパターン①〜④のどれか?」と自問する習慣をつける。この一手間が統合型設問の正答率を大きく向上させます。
失敗④:実用文テキストを軽視する
【失敗の原因】共通テストでは評論文だけでなく、会議資料・メモ・グラフなど「実用文」テキストが組み合わされることがある。評論文に比べて「簡単そう」と感じて雑に読んでしまう。
【解決策】実用文テキストには必ず「出題の意図」がある。評論文の主張を具体化・数値化・図式化したものである場合が多いので、「このグラフは評論文のどの主張を裏付けているのか」という視点で読むこと。
今日からできるアクション|具体的な練習法
理論を学んだだけでは得点は上がりません。以下のアクションを今日から実践してください。
アクション①:過去問の複数テキスト問題を1日1大問ペースで演習する
2021年〜2024年の共通テスト本試験・追試験の複数テキスト問題は、最高の練習材料です。解くだけでなく、解いた後に「2つの文章の関係は何パターンだったか」「統合型設問の根拠はどこか」を必ず確認してください。解きっぱなしの演習は絶対にNGです。
アクション②:「関係図を書く」練習を毎回行う
演習するたびに、30秒で関係図を書く練習をしてください。最初はぎこちなくても、10問もやれば自然にできるようになります。この習慣が本番で大きな武器になります。
アクション③:日常的に「比べ読み」の習慣をつける
同じテーマについて書かれた異なる新聞の社説や、異なる著者のエッセイを読み比べる練習も非常に効果的です。「この2人の意見はどこが違うのか、どこで一致しているのか」を考える習慣が、複数テキスト問題への対応力を日常的に鍛えます。
アクション④:時間を計って解く習慣をつける
複数テキスト問題は時間との戦いでもあります。常にストップウォッチを使い、翔先生が示した「文章Ⅰ精読8分・設問確認2分・文章Ⅱ精読10分・設問解答10分」のペースを意識した練習を繰り返してください。
まとめ・日本国語塾トップについて
この記事では、共通テスト現代文の複数テキスト問題を完全攻略するための方法を、以下の流れで解説しました。
- 複数テキスト問題の本質は「2つの文章の関係性の把握」にある
- 関係性は「対立型・補完型・引用型・問いと答え型」の4パターンに整理できる
- 設問は「テキスト限定型」と「統合型」に分類して解くことが重要
- 30秒で関係図を書くことで、統合型設問の正答率が上がる
- 誤答選択肢の典型パターン(テキスト混同型・関係性逆転型など)を知っておくことで失点を防げる
- 時間配分を意識した実戦演習を繰り返すことが最短合格への道
共通テスト現代文の複数テキスト問題は、正しい方法で対策すれば必ず攻略できます。あきらめずに、一歩一歩取り組んでいきましょう。私たち日本国語塾TOPも、全力でサポートします。
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✍️ この記事を監修した人|藤原 進之介
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数強塾グループ代表・日本国語塾TOP監修者。
著書12冊・累計15万部突破(KADOKAWA3冊・Gakken3冊・文英堂・ナツメ社等、大手出版社から多数刊行)。2024年共通テスト対策参考書シリーズ全書第1位。日本初の情報科目講師・代々木ゼミナール情報I講師・情報ラボ代表。消費者庁シンポジウム登壇(2026年5月)。漢字検定準1級・古文検定1級。
数強塾グループは創業11年の老舗塾。スタディサプリ国語科講師 山下翔平先生も協力。
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