数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。
スタディサプリ国語講師の山下翔平先生と一緒に解説します!
はじめに|「あはれ」と「をかし」、なんとなく知ってるだけで大丈夫?
古文を勉強していると、必ずと言っていいほど出てくる二つのキーワード——「あはれ」と「をかし」。みなさんはこの二つの違いを、自信を持って説明できますか?
以前、藤原が指導していた高校2年生のAさんが、模試の見直しをしながらこんな発言をしました。「先生、『あはれ』って”かわいそう”で、『をかし』って”おかしい(変な)”ってことですよね?」——この勘違い、実は非常に多くの受験生がしています。
「あはれ」は「かわいそう」ではなく、もっと深く広い感情を包む言葉です。「をかし」も「おかしい(変)」ではなく、知的で明るい美的感覚を表します。この二つを混同したまま入試に臨むと、読解問題・記述問題・選択問題のすべてで失点リスクが高まります。
この記事では、古文の「あはれ」「をかし」の違いを完全理解するために必要な知識を、基礎から入試実践レベルまで徹底的に解説します。平安文学の美意識を深く理解することで、古文読解の精度が格段に上がります。ぜひ最後まで読んで、ライバルに差をつけてください。
なぜ重要か|「あはれ」「をかし」の理解が合否を分ける理由
入試頻出の最重要テーマである
センター試験時代から現在の共通テストに至るまで、平安文学——とりわけ『源氏物語』『枕草子』『土佐日記』『伊勢物語』——は頻繁に出題されています。これらの作品には「あはれ」「をかし」という言葉が頻出するだけでなく、作品全体の基調となる美意識として機能しています。
単語の意味を暗記するだけでなく、「この場面でなぜこの言葉が使われているのか」を理解することが、現代文的な読解力を古文に応用する鍵になります。共通テストでは特に、作者の心情・場面の情緒を読み取る問題が増加しており、「あはれ」「をかし」の深い理解なしには高得点は望めません。
記述・論述問題でも必須の知識
国公立大学の二次試験や、早稲田・慶應などの難関私大では、「この作品における美意識とは何か」「作者はどのような感動を表現しているか」という記述・論述問題が出題されます。こうした問題では、「あはれ」「をかし」の概念を正確に言語化できるかどうかが採点の大きなポイントになります。
文学史・文化史の問題にも直結する
「もののあはれ」という概念は、本居宣長が『源氏物語玉の小櫛』で提唱した文学論として、文学史の問題にも直結します。「をかし」は枕草子の基調となる美意識として文化史でも問われます。古文単体の知識を超えて、入試全体を有利にする知識なのです。
基礎知識の完全整理|「あはれ」と「をかし」とは何か
「あはれ」の意味と語源
「あはれ」は、もともと感動詞「あ」と「はれ」が結びついた言葉で、心が深く動かされたときに自然と口をついて出る感嘆の声に由来するとされています。平安時代には主に以下のような意味合いで使われました。
- しみじみとした感動・情趣:美しいもの、はかないもの、悲しいものに触れたときに湧き上がる深い感情
- 同情・憐れみ:他者の不幸や苦しみに対する心の動き
- いとおしさ・愛情:深い愛着や慈しみの感情
- 感嘆・賞賛:美しさや素晴らしさに感動する気持ち
重要なのは、「あはれ」は感情が心の奥から湧き上がる、主観的・情緒的な感動であるという点です。また、喜び・悲しみ・愛しさ・哀れみと、複数の感情を包括する広い概念です。特にもの(事物や情景)に触れて心が動く「もののあはれ」として、『源氏物語』の根幹をなす美意識となっています。
本居宣長(1730〜1801)は著書『源氏物語玉の小櫛』の中で、「もののあはれ」を源氏物語の文学的本質と位置づけ、「物事に触れて深く感動する心のはたらき」と定義しました。これは江戸時代の国学者による解釈ですが、現代の入試においても非常に重要な概念です。
「をかし」の意味と性質
「をかし」は、現代語の「おかしい」の語源ですが、現代語の「変な・滑稽な」という意味とは大きく異なります。平安時代における「をかし」の主な意味は以下の通りです。
- 趣がある・風情がある:知的に美しく、洗練された趣のあるさま
- 興味深い・面白い:知的好奇心を刺激する、興味をそそるさま
- かわいらしい・愛らしい:小さなものや幼いものへの愛でる気持ち
- 滑稽・おかしい:可笑しみや笑いを誘うさま(これは現代語に引き継がれた意味)
「をかし」の本質は知的・視覚的な美の発見です。目の前の情景や事物を客観的に観察し、そこに趣や面白さを見出す、明るく知性的な感覚です。『枕草子』の作者・清少納言の鋭い観察眼と知性が「をかし」という言葉に凝縮されています。
二つの美意識の対比まとめ
| 項目 | あはれ | をかし |
|---|---|---|
| 感覚の種類 | 情緒的・感情的 | 知的・視覚的 |
| 内向き/外向き | 内向き(心の奥に響く) | 外向き(対象を観察する) |
| 代表作品 | 源氏物語(紫式部) | 枕草子(清少納言) |
| トーン | 静的・しみじみ・深い | 動的・明るい・軽快 |
| 関連概念 | もののあはれ(本居宣長) | 知性・機知・洗練 |
実践ステップ解説|「あはれ」「をかし」を入試で使いこなす5つのステップ
ステップ1:文脈から感情の方向性を読み取る
「あはれ」が使われる場面では、登場人物や語り手が深く心を動かされている状況が描かれています。その感情は喜びでも悲しみでも愛しさでも構いません。大切なのは「心の奥底から湧き上がる深い感動」があるかどうかです。
一方、「をかし」が使われる場面では、語り手が対象を少し引いた目で観察し、そこに趣や面白みを発見しています。感情が高ぶるというよりも、「なるほど、これは趣深い」という知的な発見の感覚です。
【例文①:あはれの用例(源氏物語・桐壺巻)】
「あはれなることかな」(しみじみと感慨深いことだ)
桐壺の更衣を失った帝の悲嘆の場面で使われるこの「あはれ」は、深い悲しみと愛しさが入り混じった感情を表しています。単なる「かわいそう」では到底言い表せない、複合的で深い心の動きです。
【例文②:をかしの用例(枕草子・春はあけぼの)】
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
この有名な冒頭は、春の夜明けの情景を鋭い観察眼で捉え、「これが趣深い(をかし)」と宣言しています。感情が溢れ出るというよりも、「発見した!これが美しい!」という知的な喜びがあります。
ステップ2:作品の基調美意識を把握する
入試では、ある場面の感情表現が「あはれ」的か「をかし」的かを問われることがあります。そのためには、各作品の基調となる美意識を事前に把握しておくことが重要です。
- 源氏物語(紫式部)→「もののあはれ」が基調。はかなさ・無常・深い情愛が主題
- 枕草子(清少納言)→「をかし」が基調。知的観察・機知・明るい美意識が主題
- 土佐日記(紀貫之)→「あはれ」が基調。亡き子への哀悼・帰郷の感慨
- 伊勢物語(作者不詳)→「あはれ」が基調。恋愛の情趣・雅な感動
- 更級日記(菅原孝標女)→「あはれ」と回想的な哀愁が基調
山下先生が授業でよく使うフレーズに「紫式部は心で感じ、清少納言は目で見る」というものがあります。このキャッチフレーズで二つの美意識の違いを瞬時に思い出せるようにしましょう。
ステップ3:形容詞・感動詞・動詞としての用法を区別する
「あはれ」「をかし」はそれぞれ品詞が異なる形で使われます。入試の文法問題でも問われる重要ポイントです。
「あはれ」の品詞用法:
- 名詞:「あはれを知る」(情緒・感動)
- 感動詞:「あはれ、かかることよ」(ああ、なんということだ)
- 形容動詞語幹:「あはれなり」(しみじみとした情趣がある)
「をかし」の品詞用法:
- 形容詞(ク活用):「をかしき春の朝」(趣深い春の朝)
- 連用形:「をかしう見ゆ」(趣深く見える)
ステップ4:「あはれ」の複数の意味を文脈で見分ける
「あはれ」は単語集に複数の意味が載っていますが、入試では文脈によって適切な訳を選ぶ判断力が問われます。
【例題】次の「あはれ」の意味として最も適切なものを選べ。
「男、いとあはれと思ひて」(伊勢物語)
選択肢:①かわいそうだ ②しみじみと情趣がある ③いとおしい・愛しい ④感嘆する
解答:③いとおしい・愛しい
伊勢物語の恋愛場面で男が女性に対して感じる感情は、単なる同情(①)ではなく、深い愛しさ(③)です。文脈(恋愛場面)から判断することが重要です。
こうした文脈判断の練習を、過去問演習の際に意識的に行うことが、得点力アップに直結します。
ステップ5:記述問題での表現方法をマスターする
「この場面における作者の感動を説明せよ」という記述問題では、「あはれ」「をかし」の概念を自分の言葉で正確に表現できなければなりません。以下のテンプレートを参考にしてください。
「あはれ」を記述するテンプレート:
「〜という情景(出来事)に触れ、作者はしみじみとした深い感動(情趣・哀愁・愛しさ)を覚えている。これは表面的な感情ではなく、心の奥底から湧き上がる情緒的な感動である。」
「をかし」を記述するテンプレート:
「作者は〜という情景(事物)を鋭い観察眼で捉え、そこに知的で明るい趣(面白み・愛らしさ)を見出している。感情的な高ぶりではなく、対象を外側から眺める知性的な美意識が表れている。」
🎓 藤原先生:「山下先生、生徒が一番混乱するのってどのポイントだと思いますか?」
📚 山下先生:「やっぱり『あはれ』の訳し方ですね。単語帳に『しみじみとした感動』って書いてあっても、実際の文章だと『愛しい』だったり『感嘆』だったりするので、文脈判断ができていない生徒が多いです。授業では『この場面、登場人物はどんな気持ちになりそう?』って先に想像させてから、あとで単語の意味と照らし合わせる方法を取っています。」
🎓 藤原先生:「なるほど!まず感情を想像させてから単語に入るんですね。数強塾グループの授業でも同じアプローチを取っていて、『言葉から意味を引き出す』のではなく、『場面から感情を読んで言葉と合わせる』という順序にしています。特に『あはれ』は感情の幅が広いので、この方法は非常に有効ですね。」
📚 山下先生:「あと、よく言うのが『紫式部は泣き、清少納言は笑う』というフレーズです。もちろん実際はもっと複雑ですが、まずこのイメージで二人の違いを掴んでもらって、そこから『あはれ』と『をかし』の違いに繋げると、定着が早いんですよ。」
🎓 藤原先生:「そのフレーズ、秀逸ですね。生徒の記憶に残りやすいし、実は本質を突いている。源氏物語のあのしっとりとした世界観と、枕草子の活き活きとした観察眼、両方をうまく表現していると思います。」
【藤原×山下 会話で深掘り】現場から見えること|平安の美意識を指導する難しさと面白さ
ここでは、日本国語塾TOPおよびスタディサプリでの指導経験から見えてきた、「あはれ」「をかし」指導の現場リアルをお伝えします。
🎓 藤原先生:「山下先生、スタディサプリの授業では『もののあはれ』をどう教えていますか?本居宣長の概念まで踏み込むと、生徒によってはついてこられなくなることもあると思うんですが。」
📚 山下先生:「そうなんです。本居宣長の『もののあはれ』は、文学史の問題では必須なんですが、いきなり『江戸時代の国学者が……』と説明すると生徒の目が死にます(笑)。なので私はまず、現代の体験に置き換えています。『好きなアニメのキャラクターが死ぬシーン、なんであんなに泣けるんだろう?それが”もののあはれ”に近い感覚だよ』って。そこから平安時代の文学に引き戻すと、すごく理解が早いんです。」
🎓 藤原先生:「現代の感覚に引き寄せるのは大事ですね。日本国語塾TOPでも、例えば『をかし』を教えるときに『SNSで「これ、趣深くない?」って思って思わず写真撮った経験ない?』って聞くんですよ。そういうとき、みんな目が輝くんです。『あ、それが”をかし”の感覚なんだよ』と言うと、清少納言の春はあけぼのの感覚が一気に身近になる。」
📚 山下先生:「それは素晴らしいアプローチですね!あと、私が面白いと思うのは、『あはれ』と『をかし』って、同じものを見ても人によって感じ方が違うということです。たとえば桜が散る場面。清少納言なら『花びらが散るさまがをかしいな』と知的に観察するかもしれないし、紫式部なら『ああ、はかない、あはれなことだ』と深く感じ入るかもしれない。同じ情景への異なる美的応答——これが平安文学の深さですよね。」
🎓 藤原先生:「その視点、入試の記述問題にも使えますね。『この場面における作者の美意識を説明せよ』という問いに対して、『紫式部の”もののあはれ”的な感性から、この散りゆく花にしみじみとした情趣を覚えている』という論述ができれば、採点官に刺さる答案になる。ただ訳すだけじゃなく、美意識の枠組みで語れるかどうかが、難関大合否の分かれ目ですね。」
この会話からもわかるように、「あはれ」「をかし」の理解は単なる単語暗記を超えた、文化的・文学的な理解です。そして、その深い理解こそが入試の高得点を生み出します。
よくある間違いと対策|この誤解が点数を下げている
間違い①「あはれ」=「かわいそう」だけと思っている
最も多い誤解です。「あはれ」は確かに「同情・憐れみ」の意味も持ちますが、それは意味の一側面に過ぎません。愛しさ・感嘆・しみじみとした情趣など、より広い意味域を持ちます。特に恋愛場面での「あはれ」は「いとおしい・愛しい」と訳すことが多く、「かわいそう」と訳すと文脈が全く違ってきます。
対策:「あはれ」を「深い感動・情緒全般」と覚え直し、文脈から適切な訳を選ぶ練習を繰り返す。
間違い②「をかし」=「おかしい(変)」と思っている
現代語「おかしい」の語源である「をかし」ですが、平安時代における主要な意味は「趣がある・興味深い・愛らしい」です。現代語訳で「おかしい」と訳してしまうと、文脈が崩壊します。「春はあけぼの……をかし」を「春の夜明けはおかしい(変だ)」と訳してしまう生徒が実際にいます。
対策:「をかし」を見たら、まず「趣がある・興味深い」で訳してみる習慣をつける。「おかしい(変)」の意味は用法の一部に過ぎないと認識する。
間違い③「もののあはれ」が平安時代の概念だと思っている
「もののあはれ」という言葉・概念を確立したのは、江戸時代の国学者・本居宣長です(著書:源氏物語玉の小櫛、1796年)。平安時代の紫式部が「もののあはれ」という言葉を意識して使っていたわけではなく、宣長が後に源氏物語を分析してこの概念を抽出したものです。文学史問題でこの区別は重要です。
対策:「もののあはれ=本居宣長(江戸時代)による命名・概念化」を必ず覚える。
間違い④「あはれ」と「をかし」は全く別の世界の感覚だと思っている
実は同一の作品・場面でも、文脈によって「あはれ」「をかし」両方が使われることがあります。「をかし」が基調の枕草子でも、しみじみとした感情表現が出てくることがあります。二つの美意識は排他的ではなく、グラデーションを持っています。
対策:「この作品はこの美意識」という大枠を覚えつつ、文脈ごとに柔軟に判断する読解力を養う。
間違い⑤「あはれ」の感動詞用法を見落とす
文中に「あはれ、」と登場したとき、これを形容動詞の語幹と混同してしまうケースがあります。感動詞「あはれ」は「ああ!」「ああ、なんということだ!」という意味で、文の先頭や独立した位置に置かれることが多いです。
対策:「あはれ」の位置(文頭・独立)と後続する文の構造を確認して品詞を判断する。
今日からできる実践チ
今日からできる実践チェックリスト|「あはれ」「をかし」完全マスターへの10ステップ
以下のチェックリストを活用して、「あはれ」「をかし」の理解度を自己確認してください。すべてに✅がつけば、入試レベルの理解が完成しています。
- ☐ ①「あはれ」の主要な意味を5つ以上、自分の言葉で説明できる(しみじみとした感動・同情・愛しさ・感嘆・情趣)
- ☐ ②「をかし」の主要な意味を4つ以上自分の言葉で説明できる(趣がある・興味深い・愛らしい・滑稽)
- ☐ ③「あはれ」と「をかし」の違いを対比して30秒以内に口頭説明できる
- ☐ ④「もののあはれ」を提唱した人物(本居宣長)と著書(源氏物語玉の小櫛)を即答できる
- ☐ ⑤源氏物語と枕草子のそれぞれの基調美意識(あはれ・をかし)とその理由を説明できる
- ☐ ⑥「あはれ」の品詞(名詞・感動詞・形容動詞語幹)を文脈から判断できる
- ☐ ⑦「をかし」がク活用の形容詞であることを踏まえ、活用形を正確に答えられる
- ☐ ⑧枕草子「春はあけぼの」の冒頭部分を音読し、「をかし」の用法を具体的に説明できる
- ☐ ⑨源氏物語「桐壺巻」など「あはれ」が登場する場面を1つ以上挙げ、なぜ「あはれ」が使われるか説明できる
- ☐ ⑩記述問題で「この作品の美意識を説明せよ」という問いに対し、「あはれ」または「をかし」の概念を用いた100字程度の論述ができる
- ☐ ⑪土佐日記・伊勢物語・更級日記における「あはれ」の用例をそれぞれ1つ以上説明できる
- ☐ ⑫「あはれ」を現代語に直す際、文脈から「かわいそう」か「愛しい」か「感嘆」かを判断するポイントを説明できる
チェックが半分以下だった方は、まず基礎知識セクションを再度読み直すことをおすすめします。8個以上チェックできた方は、過去問演習に進んで知識を実戦で磨いていきましょう。
Q&A|よくある質問|「あはれ」「をかし」についての疑問を解消する
Q1. 「あはれ」と「かなし」はどう違うのですか?
A. 現代語で「かなしい」といえば悲しみを指しますが、古語の「かなし」も複数の意味を持ちます。主な意味は①悲しい②いとおしい・愛しい③かわいらしいの3つです。「かなし」と「あはれ」はどちらも「いとおしい」という意味を持つため混同されやすいですが、「あはれ」はより広い情緒的感動全般を包む概念であり、「かなし」は悲しみや愛しさに特化した感情を指すことが多いです。また「かなし」は形容詞(シク活用)であるのに対し、「あはれ」は名詞・感動詞・形容動詞語幹と多様な品詞用法を持ちます。両者が近接した意味で使われる場合もありますが、文脈と品詞の確認で見分けることが基本です。
Q2. 「をかし」と「おもしろし」の違いは何ですか?
A. 古語の「おもしろし」は「心が明るく照らされるようだ・趣がある・楽しい」という意味を持ちます。「をかし」との違いは、「おもしろし」がより開放的・外向きの明るさを表すのに対し、「をかし」は知的観察や機知を含む洗練された趣を指すという点です。「おもしろし」は自然の美しさや場の雰囲気を大らかに称えるニュアンスが強く、「をかし」は清少納言のような鋭い審美眼を伴う知性的な美意識と結びついています。ただし両者の意味域は重なる部分も多く、入試では文脈・作品・作者の特性を踏まえて判断することが求められます。
Q3. 「もののあはれ」は入試でどのように問われますか?
A. 主に以下の形式で出題されます。①文学史問題:「もののあはれを文学の本質として論じた江戸時代の国学者は誰か」→本居宣長、著書は『源氏物語玉の小櫛』。②記述・論述問題:「この作品に表れる美意識を”もののあはれ”という概念を用いて説明せよ」。③現代文との融合問題:「もののあはれ」に関する評論文を読み、古文と対応させる問題。特に難関国公立大では③の形式が増えており、「もののあはれ」を概念として正確に言語化できる力が求められます。「心が物事に触れて深く感動すること、その感動の総体」という定義を自分の言葉で書けるよう練習してください。
Q4. 清少納言と紫式部は本当に「をかし」「あはれ」を意識して書いていたのですか?
A. 清少納言が「をかし」という言葉を意識的に多用していたことは、枕草子の本文を読めば明らかです。実際に枕草子には「をかし」という言葉が非常に頻繁に登場し、清少納言自身の審美的価値基準として機能しています。一方、紫式部が「もののあはれ」という概念を明示的に使ったわけではありませんが、源氏物語の随所に深い情緒的感動を表す「あはれ」が使われており、作品全体がそうした美意識に貫かれていることは確かです。「もののあはれ」という概念・命名は本居宣長によるものですが、その美意識は紫式部が源氏物語に込めたものを宣長が後世に言語化したと理解するのが正確です。
Q5. 「あはれ」「をかし」の違いを短時間で覚えるコツはありますか?
A. 以下の3つのキャッチフレーズで覚えるのがおすすめです。
- 「あはれ=心で感じる・内側・しっとり・深い」(源氏物語・紫式部)
- 「をかし=目で見る・外側・明るい・鋭い」(枕草子・清少納言)
- 「紫式部は泣き、清少納言は笑う」(山下先生の名フレーズ)
これらのキャッチフレーズを頭に入れた上で、実際の文章を読む練習を積み重ねることが最短ルートです。知識を「知っている」から「使える」レベルに引き上げるためには、過去問や問題集での実戦練習が不可欠です。日本国語塾TOPでは、こうした概念の定着から入試実践まで一貫して指導しています。
まとめ|日本国語塾トップで「あはれ」「をかし」の完全理解から差をつけよう
この記事では、古文の「あはれ」「をかし」の違いを完全理解するために必要な知識を、基礎から入試実践レベルまで徹底的に解説しました。最後にポイントを整理します。
- ✅ 「あはれ」は情緒的・主観的な深い感動。心の奥底から湧き上がる感情全般を包む概念。源氏物語・紫式部と深く結びつく。
- ✅ 「をかし」は知的・視覚的な美の発見。対象を観察し趣や面白みを見出す明るく洗練された感覚。枕草子・清少納言の基調美意識。
- ✅ 「もののあはれ」は本居宣長(江戸時代)が『源氏物語玉の小櫛』で提唱した文学概念。入試の文学史問題で必須。
- ✅ どちらの言葉も文脈判断が最重要。単語の丸暗記ではなく、場面・作品・登場人物の状況を踏まえて意味を選ぶ力を養う。
- ✅ 記述問題では「美意識の枠組みで語る」ことが高得点の鍵。単なる訳出を超えた文学的理解が難関大合格を引き寄せる。
「あはれ」と「をかし」——この二つの言葉への深い理解は、古文読解の精度を上げるだけでなく、平安文学という日本文化の根幹への理解を深めることでもあります。入試のためだけでなく、日本語・日本文化を深く知る喜びとして、ぜひ向き合ってみてください。
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執筆:藤原進之介(数強塾グループ代表・日本国語塾TOP監修)/山下翔平(スタディサプリ国語講師・日本国語塾TOP在籍)
古文の「あはれ」「をかし」の違いを深めるために
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