はじめに:古文の形容詞・形容動詞は「活用表の丸暗記」から卒業しよう
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
古文の勉強をしていて、こんな壁にぶつかったことはありませんか?
- 「ク活用とシク活用の違いがわからない」
- 「ナリ活用とタリ活用って何が違うの?」
- 「活用表は覚えたのに、読解では全然使えない…」
塾の現場でも、この悩みは本当によく聞きます。翔先生も「活用表をノートに何度も書き写しているのに、模試になると頭が真っ白になる」という生徒を何人も見てきたと言います。
その原因はひとつ。「表の形」を覚えているだけで、「なぜその形になるのか」「どう見分けるのか」を理解していないからです。
この記事では、古文の形容詞・形容動詞の活用について、ク活用・シク活用・ナリ活用・タリ活用の4つを完全網羅します。読み終わったその日から「あ、これはシク活用だ」と即座に判断できるようになることを目標にしています。ぜひ最後まで読んでください。
核心情報・基礎知識:形容詞・形容動詞の活用とは何か
まず「形容詞」と「形容動詞」の違いを整理する
現代語でも「赤い(形容詞)」「静かだ(形容動詞)」という区別がありますが、古文ではその区別がさらに重要です。
形容詞とは、物事の性質・状態を表し、言い切りの形(終止形)が「〜し」で終わる語です。
例:「うつくし」(かわいらしい)「をかし」(趣がある)「あはれなり」…あ、これは形容動詞でしたね。
形容動詞とは、同じく性質・状態を表し、言い切りの形が「〜なり」または「〜たり」で終わる語です。
例:「静かなり」「堂々たり」
形容詞の活用にはク活用とシク活用の2種類、形容動詞の活用にはナリ活用とタリ活用の2種類があります。合わせて4種類が、今回の完全攻略対象です。
活用の基本用語を確認しよう
活用形は以下の6種類です。これは動詞と共通なので、すでに知っている人は復習として確認してください。
- 未然形:まだそうなっていない(「〜ず」などに続く)
- 連用形:用言に連なる(「〜て」「〜なり」などに続く)
- 終止形:文末で言い切る形
- 連体形:体言(名詞)に連なる形
- 已然形:すでにそうなっている(「〜ば」「〜ど」などに続く)
- 命令形:命令する形(形容詞・形容動詞には存在しないか、特殊)
形容詞・形容動詞には命令形がない(またはほぼ使われない)という点も覚えておきましょう。
具体的な解説:ク活用・シク活用・ナリ活用・タリ活用を完全攻略
①ク活用:古文形容詞の基本パターン
ク活用は、形容詞の中でも最も基本的な活用です。終止形が「〜し」で終わり、語幹に「く」「く」「し」「き」「けれ」という語尾が付きます。
【ク活用の活用表】
| 活用形 | 語尾 | 例(「高し」) | 接続の目安 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 〜く(補助活用:〜から) | 高く(高から) | 〜ず、〜む |
| 連用形 | 〜く(補助活用:〜かり) | 高く(高かり) | 〜て、〜なり |
| 終止形 | 〜し | 高し | 文末 |
| 連体形 | 〜き(補助活用:〜かる) | 高き(高かる) | 体言 |
| 已然形 | 〜けれ(補助活用:〜かれ) | 高けれ(高かれ) | 〜ば、〜ど |
| 命令形 | (なし) | ― | ― |
ここで重要なのが「補助活用(カリ活用)」の存在です。「高し」だけでなく「高からず」「高かりけり」のように、助動詞と組み合わさるときに特別な形をとります。これが入試でよく問われるポイントです。
【ク活用の代表的な語】
- 高し(たかし):高い
- 白し(しろし):白い
- 遠し(とほし):遠い
- 多し(おほし):多い
- なし:ない
- よし:良い(これは重要!)
翔先生からのアドバイス:「ク活用かシク活用かを迷ったら、まず『語幹+く』の形を確認してみてください。すぐ違和感なく言えるものはク活用が多いです。」
②シク活用:感情・感覚を表す形容詞に多い
シク活用は、ク活用に「し」が加わった形で活用します。終止形は「〜し」ですが、語幹の末尾に「し」を含む形が特徴です。感情・感覚・主観的な判断を表す語に多く見られます。
【シク活用の活用表】
| 活用形 | 語尾 | 例(「をかし」) | 接続の目安 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 〜しく(補助活用:〜しから) | をかしく(をかしから) | 〜ず |
| 連用形 | 〜しく(補助活用:〜しかり) | をかしく(をかしかり) | 〜て |
| 終止形 | 〜し | をかし | 文末 |
| 連体形 | 〜しき(補助活用:〜しかる) | をかしき(をかしかる) | 体言 |
| 已然形 | 〜しけれ(補助活用:〜しかれ) | をかしけれ(をかしかれ) | 〜ば |
| 命令形 | (なし) | ― | ― |
ク活用との見分け方:「未然形に注目」
未然形が「〜く」か「〜しく」かで判断できます。「うつくし」→「うつくしく」(しく)、「高し」→「高く」(く)という具合です。
【シク活用の代表的な語】
- をかし:趣がある、面白い(枕草子の核心語!)
- うつくし:かわいらしい
- 悲し(かなし):悲しい、いとしい
- 恋し(こひし):恋しい
- はし:恥ずかしい
- 苦し(くるし):苦しい
- いみじ:非常に、はなはだしい(程度が強い意味)
塾現場エピソード:ある生徒が「『いみじ』はなぜシク活用なの?」と質問してきました。「いみじく」と活用するか「いみく」と活用するかを確認させたら、すぐに「あ、しくだ!」と気づいてくれました。活用形を実際に口に出してみるのが最速の習得法です。
③ナリ活用:和文調の形容動詞
ナリ活用は形容動詞の代表的な活用形で、主に和文(仮名文・かな文学)に多く使われます。言い切りの形が「〜なり」で終わります。
【ナリ活用の活用表】
| 活用形 | 語尾 | 例(「静かなり」) | 接続の目安 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 〜なら | 静かなら | 〜ず |
| 連用形 | 〜なり・〜に | 静かなり・静かに | 〜て、体言 |
| 終止形 | 〜なり | 静かなり | 文末 |
| 連体形 | 〜なる | 静かなる | 体言 |
| 已然形 | 〜なれ | 静かなれ | 〜ば、〜ど |
| 命令形 | 〜なれ | 静かなれ | 命令 |
ナリ活用のポイントは連用形に「〜に」という形が存在することです。「静かに歩く」のように、現代語の「〜に」という副詞的用法と対応しています。この「に」の形は副詞的に使われることが多く、読解でも頻出です。
【ナリ活用の代表的な語】
- 静かなり:静かだ
- あはれなり:しみじみとした感情がある、趣深い
- にぎははなり:にぎやかだ
- 清げなり:清楚だ、きれいだ
- はかなり:はかない、頼りない
注意点:「なり」は断定の助動詞とまぎらわしい!
「なり」には断定の助動詞「なり」もあります。見分け方は、体言(名詞)や連体形に接続していれば断定の助動詞、語幹に直接付いていれば形容動詞のナリ活用と判断してください。
④タリ活用:漢文訓読由来の形容動詞
タリ活用は、主に漢語(音読みの熟語)を語幹とする形容動詞に使われます。言い切りの形が「〜たり」で終わります。漢文訓読の影響を強く受けており、『平家物語』や軍記物語、論文的な文章によく登場します。
【タリ活用の活用表】
| 活用形 | 語尾 | 例(「堂々たり」) | 接続の目安 |
|---|---|---|---|
| 未然形 | 〜たら | 堂々たら | 〜ず |
| 連用形 | 〜たり・〜と | 堂々たり・堂々と | 〜て |
| 終止形 | 〜たり | 堂々たり | 文末 |
| 連体形 | 〜たる | 堂々たる | 体言 |
| 已然形 | 〜たれ | 堂々たれ | 〜ば |
| 命令形 | 〜たれ | 堂々たれ | 命令 |
タリ活用の最大の特徴は連用形に「〜と」という形があることです。現代語でも「堂々と」「悠々と」「粛々と」という形が残っていますよね。これはタリ活用の連用形「〜と」が現代語に生き残ったものです。
【タリ活用の代表的な語】
- 堂々たり:堂々としている
- 粛々たり:静かで厳かだ
- 悠々たり:ゆったりしている
- 厳然たり:厳然としている
- 燦然たり:きらきらと輝いている
翔先生のコメント:「タリ活用は現代語の『〜と』副詞がそのまま残っているので、実は一番イメージしやすい活用です。『堂々たる武将』という形で連体形を確認する練習が効果的ですよ。」
藤原&翔先生の実践アドバイス:入試で得点するための3つの戦略
戦略①:活用表は「縦」ではなく「横」で覚える
多くの生徒は活用表を上から下へ(未然・連用・終止・連体・已然・命令)と丸暗記しようとします。しかし入試で問われるのは「この形は何活用の何形か」という横断的な判断です。
実践法:単語を見たら必ず「この単語は○○活用だ」と活用の種類を先に特定し、そのあと「この活用では連体形はこうなる」と展開する練習をしましょう。種類を見抜く→形を展開する、この順番です。
戦略②:「ク活用かシク活用か」の瞬間判定法
連用形を作ってみてください。
- 「高く」→ 語幹「高」+く → ク活用
- 「をかしく」→ 語幹「をかし」+く → 語幹が「し」で終わる → シク活用
ルール:語幹が「し」で終わる=シク活用と覚えておけば、ほぼ全問正解できます。
戦略③:形容動詞は「ナリかタリか」を語の出自で判断
- 和語・日本固有の言葉→ ナリ活用(例:静かなり、あはれなり)
- 漢語・音読みの言葉→ タリ活用(例:堂々たり、粛然たり)
漢語かどうかは「音読みできるか」で判断しましょう。「静か」はひらがなで読む和語なのでナリ活用。「堂々」は「どうどう」と音読みする漢語なのでタリ活用です。
よくある疑問・失敗パターンと解決策
失敗パターン①:「なり」が出てきたら全部ナリ活用と思ってしまう
古文の「なり」には複数の品詞・用法があります。
- 形容動詞のナリ活用(語幹+なり)
- 断定の助動詞「なり」(体言・連体形+なり)
- 伝聞・推定の助動詞「なり」(終止形+なり)
- 動詞「なる」の連用形「なり」
解決策:直前の語に注目する。語幹(形容動詞の場合は意味の核となる部分)に直接ついていればナリ活用、体言や連体形についていれば断定の助動詞です。
失敗パターン②:補助活用(カリ活用)を知らずに誤答する
「高からず」の「から」はク活用の補助活用(カリ活用)の未然形です。これを知らないと「から」が何なのかまったく分からなくなります。
解決策:形容詞には本活用とカリ活用(補助活用)の2系統があることを必ず確認。カリ活用は助動詞が続くときに使われると覚えておけばOKです。
失敗パターン③:シク活用の連体形「〜しき」を見落とす
「をかしき花」の「をかしき」はシク活用の連体形です。「をかし」という終止形しか覚えていないと、「をかしき」が同じ語だと気づけません。
解決策:単語帳では終止形だけでなく、連体形と連用形の形も一緒に確認する習慣をつけましょう。特に連体形(〜き/〜しき)は文中で最も頻繁に登場します。
失敗パターン④:タリ活用を存在自体知らない
教科書によってはタリ活用の扱いが薄いことがあります。しかし共通テストや難関大学の古文では漢文訓読由来の文章も出題されるため、タリ活用を知らないと対応できません。
解決策:「〜たる○○」「〜として」という形が出てきたらタリ活用を疑う。現代語の「〜と」副詞との対応を意識すると理解が深まります。
今日からできるアクション:形容詞・形容動詞活用マスターチェックリスト
以下のチェックリストを使って、自分の理解度を確認してください。
【基礎確認チェックリスト】
- ☐ ク活用の活用表を活用形ごとに言える
- ☐ シク活用の活用表を活用形ごとに言える
- ☐ ナリ活用の活用表を活用形ごとに言える
- ☐ タリ活用の活用表を活用形ごとに言える
- ☐ 補助活用(カリ活用)の存在と使われる場面を説明できる
- ☐ 「なり」が断定の助動詞かナリ活用かを判別できる
- ☐ ク活用とシク活用の見分け方を説明できる
- ☐ ナリ活用とタリ活用の見分け方を説明できる
【実践トレーニング】
- 活用形クイズ:「うつくしき」「高かりける」「静かなれば」「堂々たる」の活用の種類と活用形を答える練習をする
- 例文音読:枕草子の冒頭「をかし」を含む一節を音読し、どこがどの活用形か確認する
- 語幹分解練習:手持ちの単語帳から形容詞・形容動詞を10語選び、語幹と語尾を分解して活用の種類を判定する
- 補助活用変換:「高し」「をかし」「悲し」を「〜ず」「〜む」に接続させる練習をする
翔先生の一言:「このチェックリストを週1回確認するだけで、活用の定着度がみるみる上がります。模試前の直前確認にも使えるので、スクリーンショットして手元に置いておくのがおすすめです!」
まとめ:古文の形容詞・形容動詞の活用は「仕組みの理解」で完全攻略
今回の記事では、古文の形容詞・形容動詞の活用について、ク活用・シク活用・ナリ活用・タリ活用の4種類を完全解説しました。
重要ポイントをまとめます。
- ク活用:語幹が「し」で終わらない形容詞。「高し」「よし」「なし」など
- シク活用:語幹が「し」で終わる形容詞。「をかし」「うつくし」「いみじ」など。感情・感覚系の語が多い
- ナリ活用:和語を語幹とする形容動詞。連用形に「〜に」の形を持つ
- タリ活用:漢語を語幹とする形容動詞。連用形に「〜と」の形を持つ
- 補助活用(カリ活用):助動詞が続くときに使う特別な形。形容詞に存在する
- 「なり」の識別:語幹に直結→ナリ活用、体言・連体形に接続→断定の助動詞
活用表の丸暗記から「仕組みの理解」へ。この一歩が、古文読解の得点力を一気に引き上げる鍵です。ぜひ今日からチェックリストを使って実践してみてください。
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