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漢文「孔子の生涯と論語の成立」完全解説|背景知識が読解力を飛躍的に上げる

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数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

「漢文って、なんとなく暗記で乗り切れそう…」と思っていませんか?実はそれが、漢文の点数が伸び悩む最大の原因です。漢文、とくに論語の問題を正確に読み解くためには、孔子の生涯と論語の成立背景という「文脈の地図」が欠かせません。

今回の記事では、受験で頻出の論語を題材に、孔子とはどんな人物だったのか、論語はいつ・どのように成立したのかを徹底解説します。この背景知識を身につけるだけで、漢文の読解力は飛躍的に向上します。ぜひ最後まで読んでください!

日本国語塾TOPの考える「本物の国語力」

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はじめに:なぜ「孔子の背景知識」が漢文読解を変えるのか

漢文の入試問題で最も出題頻度が高い作品のひとつが、論語です。大学入学共通テストはもちろん、東大・京大・早慶をはじめとする難関大学の個別試験でも、論語は繰り返し出題されます。

しかし多くの受験生が「論語=格言集」という認識で止まっています。たとえば「學びて思はざれば則ち罔し」という有名な一節。これを単なる教訓として丸暗記するのと、「孔子がどんな時代に、どんな苦境の中でこの言葉を語ったのか」を知って読むのとでは、理解の深さがまったく違います。

背景知識があれば、次のような恩恵を得られます。

  • 文章の「文脈」がスムーズにつかめるようになる
  • 設問で問われる「筆者の意図」が自然に読み取れる
  • 現代語訳や解釈問題でぶれがなくなる
  • 初見の漢文でも「これは儒家の文章だ」と構造が見えてくる

国語力はテクニックではなく、一生涯にわたって人生を豊かにする力です。そして漢文の背景知識は、受験後も東洋思想・歴史・文化への理解として、あなたの人生に深みをもたらし続けます。

核心情報:孔子の生涯と論語の成立、完全ガイド

① 孔子とはどんな人物か――生涯の概略

孔子(こうし)の名は丘(きゅう)、字(あざな)は仲尼(ちゅうじ)といいます。紀元前551年、現在の中国山東省・魯(ろ)の国に生まれました。没年は紀元前479年。72歳(一説に73歳)の生涯でした。

孔子が生きた時代は春秋時代(前770〜前403年頃)の後期です。かつての周王朝の権威は失墜し、諸侯が覇権を争う乱世でした。礼楽(れいがく)――つまり社会秩序と文化的規範――が崩壊しつつある時代に、孔子は「周の礼を復興し、乱れた世を正す」という使命を生涯かけて追い続けました。

孔子の生い立ちは決して恵まれたものではありませんでした。父親は孔子が3歳のときに他界し、母子は貧しい生活を送ります。しかし孔子は貪欲に学び続け、15歳で学問を志したと自ら『論語』の中で語っています(「吾十有五にして学に志す」)。

孔子は魯の国で官職に就き、一時は大司寇(だいしこう)という司法長官に相当する地位まで登りつめました。しかし政治的な対立や君主との関係悪化から、50代半ばで故郷・魯を離れます。そこから始まるのが、約14年にわたる諸国遊説の旅です。

② 14年の放浪――諸国遊説と挫折

孔子は弟子たちとともに衛・陳・蔡・楚など各国を巡り、仁(じん)と礼(れい)にもとづく政治の実現を君主たちに説き続けました。しかし、孔子の思想を採用する君主はなかなか現れません。

この旅の中で孔子は何度も危機に陥ります。衛の国では疑いをかけられて追放され、陳と蔡の間では食糧が尽きて弟子たちが病に倒れる極限状態も経験しました。弟子の子路が「君子もこのような困難に遭うのですか」と問うと、孔子は「君子固より窮す、小人は窮すれば斯に濫る」と答えています。(君子も困難に遭うことはある。ただし小人は困難になると乱れるが、君子はそうではない)この一節は、逆境の中で語られたからこそ、深い重みを持ちます。

14年の遊説を経て孔子は故郷・魯に帰国します。68歳のときのことです。政治への夢は果たせませんでしたが、残りの生涯を教育と古典の編纂に捧げました。

③ 孔子の思想の核心――「仁」と「礼」

論語を読む上で欠かせない概念が仁(じん)礼(れい)です。

とは、人を愛する心、思いやりの心のことです。孔子は弟子によって「仁とは何か」という問いを何度も受けていますが、その答えは毎回少しずつ異なります。それは仁が固定的な「定義」ではなく、相手の状況に応じて実践されるものだからです。「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ(己所不欲、勿施於人)」という言葉は、仁の本質を端的に示しています。

とは、社会の秩序・規範・作法の総称です。孔子は「克己復礼(己に克ちて礼に復るを仁と為す)」と説き、自己の欲望を抑え礼に従うことが仁の実践であると述べました。

受験で問われる論語の問題の多くは、この「仁と礼」の関係、あるいは孔子の弟子への教えという文脈で出題されます。この軸を知っておくだけで、初見の論語文章でも読解の方向性が定まります。

④ 論語の成立――孔子の「言葉の記録」はいつ生まれたか

ここが多くの受験生が知らない重要ポイントです。論語は孔子自身が書いた本ではありません。

論語は孔子の死後、弟子たちがその言行を記録・編集した書物です。現在の形にまとめられたのは、孔子没後100〜150年を経た戦国時代中期ごろと考えられています。つまり孔子の孫弟子・曾孫弟子の世代が関わっているわけです。

「論語」という書名の「論」は「編纂する・まとめる」という意味、「語」は「言葉・語録」という意味です。直訳すれば「編纂された語録」となります。

論語は全20篇から成り立っています。各篇の名称は冒頭の語から取られています(例:「学而篇」は「學びて…」から始まる)。全体で約500章、文字数にすると約15,000字という比較的コンパクトな書物ですが、その影響力は東アジア全体に及び、2500年以上にわたって読まれ続けています。

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具体的な方法:背景知識を「読解力」に直結させる学習法

STEP1:論語の構造を「地図」として頭に入れる

論語20篇を全部暗記する必要はありません。受験対策として特に重要な篇は以下の通りです。

  • 学而篇(第1篇):「學びて時に之を習ふ」「巧言令色、鮮なし仁」など最重要の名句が集中
  • 為政篇(第2篇):「學びて思はざれば則ち罔し、思ひて學ばざれば則ち殆し」など
  • 里仁篇(第4篇):仁の本質に関する言葉が多い
  • 述而篇(第7篇):孔子の自己叙述・学問論が豊富
  • 顔淵篇(第12篇):「克己復礼」「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」

この5篇を重点的に読むだけで、論語の主要テーマの大半をカバーできます。

STEP2:「誰が・誰に・なぜ語ったか」を意識して読む

論語の構造上の特徴として、同じ質問をした弟子が違えば孔子の答えも異なるという点があります。たとえば「仁とは何ですか?」という問いに対して、顔淵(がんえん)には「克己復礼」と答え、樊遅(はんち)には「人を愛すること」と答えています。

孔子はなぜ同じ質問に違う答えをしたのか?それは相手の性格・段階に応じて最適な教えを施す「因材施教(いんざいせきょう)」の姿勢があったからです。この文脈を知ると、「なぜここでこの言葉を使ったのか」という設問に対して、的確な答えが書けるようになります。

STEP3:時代背景を「文章の温度」として感じる

論語の一節を読むとき、「これは孔子が乱世の中でどんな思いで語ったのか」を想像してみてください。

たとえば「朝に道を聞かば夕に死すとも可なり(朝聞道、夕死可矣)」という言葉。これは単なる「学問への熱意」を示す格言ではなく、政治的に何度も挫折し、それでも真理を追い求め続けた孔子の魂の叫びとして読むと、深みがまったく変わります。

読む力・書く力・考える力はこのような「文脈の肉付け」によって育まれます。テクニックで答えを当てるのではなく、文章の背後にある人間を感じ取る力こそ、受験が終わっても一生使い続けられる本物の国語力です。

STEP4:主要弟子の人物像を把握する

論語には孔子と弟子の対話が多数登場します。主要な弟子の特徴を知っておくと、文章の解釈が格段に楽になります。

  • 顔淵(がんえん・顔回):孔子が最も愛した弟子。貧しくとも学問を楽しむ姿勢で知られ、孔子より先に若くして亡くなった。「賢なるかな回や」と孔子が嘆いた場面は有名
  • 子路(しろ):豪快・直情的な性格で、孔子によく反論する弟子。「衛の国の乱」で命を落とした。孔子が最も心配した弟子
  • 子貢(しこう):弁舌と商才に優れた弟子。外交的活動で魯の国を救ったとも伝わる
  • 曾子(そうし):「日に三たび我が身を省みる」の言葉で知られる。孝道を重視し、論語の編纂に深く関わったとされる

藤原&翔先生の実践アドバイス

藤原進之介より:
論語を読んでいると、孔子がいかに「失敗した人間」であるかに気づかされます。14年間も諸国を放浪し、理想の政治を実現できないまま老いた人物の言葉として読むと、「子曰く」の一言一言がまったく違う重みを持ちます。

受験生に伝えたいのは、漢文の学習は「記号の解読」ではないということです。孔子の生涯という「物語」を知った上で論語の一節に向き合うとき、あなたは単に点数を取るための学習をしているのではなく、2500年前の人間の思索に触れているのです。その体験こそが、読む力・書く力・考える力として一生あなたを支え続けます。

翔先生より:
授業でよく実践しているのは、「論語の一節を現代の出来事に置き換えて考える」という演習です。たとえば「過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ」という言葉。これを「なぜ人は間違いを認められないのか」という現代的な問いとして討論させると、生徒たちの論語への理解が一気に深まります。

入試の現代語訳問題でも、この「現代に置き換える感覚」は非常に有効です。直訳して意味が通じないとき、「孔子がこの状況でこう言ったのはなぜか」と考える習慣があると、自然と文意が見えてきます。論語は2500年前の言葉ですが、人間の本質を突いているからこそ現代にも通用するのです。

よくある失敗と解決策

失敗①:論語を「名言集」として丸暗記しようとする

問題:「学而時習之」「温故知新」など有名フレーズを暗記しても、入試では文脈の中での意味を問われるため、丸暗記だけでは対応できません。

解決策:各フレーズを「どの篇の・誰に向けて・どんな状況で語られた言葉か」とセットで覚え直してください。背景を付加することで記憶の定着率も上がります。

失敗②:書き下し文の訓読ルールだけに集中してしまう

問題:レ点・一二点などの返り点ルールを一生懸命覚えても、文章の内容が理解できていないと得点につながりません。

解決策:訓読ルールは基礎として必要ですが、それと並行して論語の内容理解・背景知識の習得を進めてください。形式と内容は両輪です。

失敗③:論語と孟子・荀子を混同してしまう

問題:儒家の書物として論語・孟子・荀子が入試に出ますが、それぞれの思想的立場の違いを知らないために、解釈を間違えるケースがあります。

解決策:簡単に整理すると、孔子(論語)は「仁と礼」が核心、孟子は「性善説・仁義」、荀子は「性悪説・礼による矯正」です。この三者の違いを押さえるだけで、儒家系漢文の読解精度が大幅に上がります。

失敗④:漢文を「古代の暗号」として敬遠してしまう

問題:「漢文は難しそう」という先入観から、学習開始が遅れてしまう受験生が多くいます。しかし論語は構文がシンプルで比較的読みやすく、背景知識さえあれば高得点を狙いやすい科目です。

解決策:今日から「孔子の生涯と論語の成立」という背景知識を持った状態で論語の原文を一篇だけ読んでみてください。全体の見通しが持てた状態で読む原文は、驚くほど理解しやすくなります。

今日からできるアクション

この記事を読んだ今日から、以下の3つのアクションを実践してください。

アクション①:論語「学而篇」を通読する(所要時間:20分)

論語の第1篇「学而篇」は16章から成り、論語の入門として最適です。書き下し文と現代語訳を対照させながら、「これは誰に向けた言葉か」「孔子の時代背景とどう関連するか」を意識しながら読んでみてください。今日学んだ孔子の生涯という「地図」を持って読むと、まったく違って見えるはずです。

アクション②:主要弟子のプロフィールをノートに整理する(所要時間:15分)

顔淵・子路・子貢・曾子の4名について、それぞれの特徴・孔子との関係・関連する論語の章をA4用紙1枚にまとめてください。この「人物地図」は入試直前の確認にも非常に有効です。

アクション③:「仁・礼・義・智・信」の儒家五常を自分の言葉で説明する練習

儒家思想の五徳目(五常)を辞書的な定義ではなく、「自分の言葉で具体例を交えて説明できるか」を試してみてください。これは記述問題で「筆者の主張を説明せよ」という形式への対応力を養う練習にもなります。読む力・書く力・考える力を同時に鍛える最良のトレーニングです。

まとめ・日本国語塾トップについて

今回の記事では、漢文読解の核となる孔子の生涯と論語の成立について、受験に役立つ背景知識として詳しく解説しました。

ポイントをおさらいします。

  • 孔子は紀元前551年、魯の国生まれ。春秋時代の乱世に礼の復興を目指した
  • 14年にわたる諸国遊説の挫折経験が、論語の多くの言葉に深みを与えている
  • 論語は孔子没後に弟子たちが編纂した語録であり、孔子自身の著作ではない
  • 「仁」と「礼」という二つの核概念を軸に読むことで、初見の論語も読み解きやすくなる
  • 「誰が・誰に・なぜ語ったか」という文脈意識が、読解精度を飛躍的に高める

漢文の学習は、単なる受験テクニックの習得ではありません。2500年前に生きた一人の人間が、乱世の中でどう生き、何を考え、何を語ったかを追体験することです。その経験は、受験が終わった後も、社会人になっても、親になっても、あなたの思考と言葉を豊かにし続けます。それこそが、私たち日本国語塾TOPが目指す一生の国語力です。


日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
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補足解説:入試頻出!論語の重要フレーズ10選と背景知識

ここからは、実際の入試で頻繁に出題される論語の重要フレーズを、背景知識とセットで解説します。単なる暗記ではなく、「なぜこの言葉が生まれたのか」という文脈を意識しながら読んでください。

① 學びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや(学而篇)

原文:學而時習之、不亦説乎

現代語訳:学んで、折にふれて繰り返し練習する。これはなんと喜ばしいことではないか。

背景知識:論語の冒頭に置かれたこの一節は、単なる「勉強しましょう」という意味ではありません。「習」という字は、もともと「ひな鳥が何度も羽ばたきの練習をする」という意味を持ちます。つまり、学問とは繰り返し実践して身につけていくものだという、孔子の教育哲学が凝縮されています。また「説(よろこ)ぶ」という字が「悦」ではなく「説」であることに注意が必要です。これは内面から湧き出る深い喜びを意味します。

入試での注意点:「時」を「時々」と訳するのは不正確です。「時に」は「折にふれて・適切なタイミングで」というニュアンスです。

② 學びて思はざれば則ち罔し、思ひて學ばざれば則ち殆し(為政篇)

原文:學而不思則罔、思而不學則殆

現代語訳:学ぶばかりで自分で考えなければ何も身につかない。考えるばかりで学ばなければ危険である。

背景知識:これは孔子の教育思想における「学」と「思」のバランスを示した言葉です。「罔(くらし・むなし)」は「暗闇の中にいるようで何も見えない」状態、「殆(あやうし)」は「独断に陥って危険な状態」を意味します。孔子が重視したのは、知識の受動的な吸収ではなく、自分の頭で考え抜く姿勢でした。現代の教育論にも通じる普遍的な洞察です。

入試での注意点:「則ち」は条件・帰結を示す接続詞です。「〜ならば〜となる」という構文を正確に把握してください。

③ 故きを温めて新しきを知る(為政篇)

原文:温故而知新、可以為師矣

現代語訳:古いことを繰り返し学んで新しい知識・見解を得る。そういう人は師となることができる。

背景知識:「温故知新」は四字熟語として広く知られていますが、後半の「可以為師矣(もって師と為るべし)」まで含めて理解することが重要です。孔子は「古典を学ぶ意義」を単なる歴史の知識習得ではなく、そこから現代への新たな洞察を引き出すことにあると説いています。これはまさに、私たちが孔子の生涯と論語の成立背景を学ぶ意義そのものといえます。

④ 己の欲せざるところは人に施すこと勿れ(顔淵篇・衛霊公篇)

原文:己所不欲、勿施於人

現代語訳:自分がしてほしくないことは、他人にもしてはいけない。

背景知識:この言葉は論語の中で二度登場します(顔淵篇と衛霊公篇)。それだけ孔子が繰り返し強調したメッセージです。「仁」の実践的な定義として最もシンプルに表現された言葉であり、キリスト教の「黄金律(自分がしてもらいたいことを他人にもせよ)」と比較されることもあります。ただし孔子の表現は「肯定形」ではなく「否定形」であることに注意。「したいことをしろ」ではなく「したくないことをするな」という消極的形式を取っています。

⑤ 朝に道を聞かば夕に死すとも可なり(里仁篇)

原文:朝聞道、夕死可矣

現代語訳:朝に真理・道理を悟ることができれば、その夕方に死んでも悔いはない。

背景知識:この言葉は孔子の学問・真理への絶対的な情熱を示しています。14年もの放浪と挫折を経験してなお、真理の探求をやめなかった孔子の生涯と重ねると、この一節の重みが何倍にもなります。「道(みち・どう)」とは単なる知識ではなく、人として生きるべき真理・原理のことです。入試では「道」の意味内容を問う設問が出やすい一節です。

⑥ 過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ(衛霊公篇)

原文:過而不改、是謂過矣

現代語訳:過ちを犯しても改めないこと、これこそが本当の過ちというものだ。

背景知識:孔子は「失敗すること」自体を問題にしていません。問題にしているのは、失敗を認めて改めないことです。これは孔子自身が何度も政治的な失敗・挫折を経験してきたからこそ語れる言葉でもあります。この言葉を弟子に向けた時、孔子の頭の中には自分自身の14年の放浪も浮かんでいたかもしれません。

⑦ 吾日に三たび吾が身を省みる(学而篇)

原文:吾日三省吾身

現代語訳:私は毎日三つの点について自分の行いを反省する。

背景知識:これは孔子の言葉ではなく、弟子の曾子(そうし)の言葉です。「三省」の内容は「他人のために誠実に尽くせたか」「友人と交わる際に誠実であったか」「師から受けた教えを実践しているか」の三点です。この言葉が論語の冒頭近くに置かれているのは、曾子が論語の編纂に深く関わっていたとされるからです。

⑧ 知るを知ると為し、知らざるを知らずと為す、是知るなり(為政篇)

原文:知之為知之、不知為不知、是知也

現代語訳:知っていることを知っているとし、知らないことを知らないとする。これが本当に知るということだ。

背景知識:弟子の子路(しろ)に向けて語った言葉です。直情的で勇気はあるが、知ったかぶりをしがちな子路の性格を踏まえた教えです。これは現代的に言えば「メタ認知能力」――自分が何を知っていて何を知らないかを正確に把握する力――の重要性を説いています。入試の選択問題や記述問題でも、この「自分の理解の輪郭を把握する力」は非常に重要です。

⑨ 君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず(子路篇)

原文:君子和而不同、小人同而不和

現代語訳:君子は互いに調和するが付和雷同はしない。小人は付和雷同するが真の調和はない。

背景知識:「君子(くんし)」は論語において「理想的な人格者」を指し、「小人(しょうじん)」はその対義語として「道徳的に未熟な人」を意味します。この言葉は多様性と真の協調の違いを鋭く突いています。孔子は「みんなと同じ意見を持つ」ことを美徳とせず、「違いを認めながら互いに尊重し合う」ことを重んじました。

⑩ 之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず(雍也篇)

原文:知之者不如好之者、好之者不如楽之者

現代語訳:物事を知っている人は、それを好む人には及ばない。好む人は、それを楽しむ人には及ばない。

背景知識:学問・仕事・人生のあらゆる場面に通じる言葉です。「知る→好む→楽しむ」という三段階の深化を示しています。孔子が貧しい生い立ちから独学で学問を深め、挫折の連続の中でも諦めなかったのは、まさに「楽しむ」境地に達していたからかもしれません。受験生にとっても、「楽しんで学ぶ」ことの大切さを教えてくれる一節です。


保護者の方へ:論語が育てる「一生の国語力」

お子さんが論語を学ぶことには、受験対策を超えた大きな意義があります。孔子の言葉は「人としてどう生きるか」という問いへの答えの集積です。

たとえば「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」という言葉を本当に理解した子どもは、いじめや差別に対する感受性も自然と高まります。「過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ」を体得した子どもは、失敗を恐れず、しかし誠実に向き合う姿勢を持ちます。

これらは点数には直結しないかもしれませんが、社会に出た後、親になった後、人生のあらゆる場面で発揮される本物の国語力・人間力です。

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📝 この記事のまとめ

✅ 孔子は紀元前551年、魯の国生まれ。春秋時代の乱世に礼の復興を目指した
✅ 14年の諸国遊説と挫折が、論語の言葉に比類なき深みを与えている
✅ 論語は孔子没後に弟子たちが編纂した語録。全20篇・約500章
✅ 「仁」と「礼」を軸に読むことで、初見の論語も読み解きやすくなる
✅ 「誰が・誰に・なぜ語ったか」の文脈意識が読解精度を飛躍的に高める
✅ 論語の重要10フレーズは背景知識とセットで覚えることが正攻法
✅ 漢文の学習は受験テクニックを超えた「一生の国語力」につながる


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