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「竹取物語」全5求婚者の段を精読|石作皇子から石上麻呂足まで完全解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

今回は、古文の定番中の定番、「竹取物語」の求婚者・五人の貴公子の段を完全精読します。「かぐや姫」の話として誰もが知るこの作品ですが、定期テスト・大学入試でも頻出の箇所が集中しているのが、この「五求婚者(いつりのもとめびと)の段」です。

翔先生、まずは生徒からどんな質問が多いか教えてもらえますか?

翔先生:「竹取物語って知ってるけど、古文で出てくると全然読めない」「五人の求婚者が誰が誰かわからなくなる」という声がとても多いですね。それぞれの求婚者が異なる難題に挑戦し、それぞれの形で失敗する——この構造を整理できると、読解も暗記も一気に楽になります!

本記事では、石作皇子(いしつくりのみこ)から石上麻呂足(いそのかみのまろたり)まで、五人全員の難題・対処・結末を丁寧に解説します。さらに、入試・定期テストで問われやすいポイントにも言及しますので、ぜひ最後まで読んでください。


核心情報:「竹取物語」五求婚者の段の全体構造

「竹取物語」とはどんな作品か

「竹取物語」は平安時代初期(9世紀末〜10世紀初頭)に成立したとされる、日本最古の物語文学です。作者不詳ですが、その洗練された文体と構成から、漢籍・仏典への深い素養を持つ人物によって書かれたと考えられています。「物語の出で来はじめの祖(おや)」と称えられ、後世の物語文学に多大な影響を与えました。

あらすじは有名ですね。竹取の翁が光る竹の中から小さな女の子を見つけ、育てると絶世の美女・かぐや姫に成長します。多くの求婚者が現れますが、姫は五人の貴公子にそれぞれ「不可能に近い難題」を課し、誰も成功させません。最終的に帝(みかど)からの求婚も退け、月の使者とともに月へ帰っていく——という物語です。

五人の求婚者と難題の一覧

まず全体像を把握しましょう。竹取物語の五人の求婚者と、それぞれに課された難題を一覧にします。

求婚者名 課された難題 失敗の理由
石作皇子(いしつくりのみこ) 仏の御石の鉢(ほとけのみいしのはち) 偽物を持参し、発覚
車持皇子(くらもちのみこ) 蓬莱の玉の枝(ほうらいのたまのえだ) 細工師への報酬請求で偽造が発覚
右大臣阿倍御主人(うだいじんあべのみうし) 火鼠の裘(ひねずみのかわごろも) 唐から買い付けた品が燃えてしまう
大納言大伴御行(だいなごんおおとものみゆき) 龍の頸の珠(たつのくびのたま) 嵐に遭い失敗、重傷を負う
中納言石上麻呂足(ちゅうなごんいそのかみのまろたり) 燕の子安貝(つばめのこやすがい) 落下して重傷、のちに死去

この表を頭に入れるだけで、定期テストの記述問題の大半に対応できます。翔先生はどのように生徒にこの表を活用させていますか?

翔先生:まず「求婚者名・難題・失敗のパターン」の三点セットで覚えさせています。特に求婚者の官職名(皇子・右大臣・大納言・中納言)と難題がバラバラになりがちなので、語呂合わせや物語の文脈と紐付けて覚えるのが効果的です。


具体的な方法:各求婚者の段を精読する

① 石作皇子の段:「仏の御石の鉢」

最初の求婚者・石作皇子(いしつくりのみこ)には、「天竺(てんじく=インド)にある仏の御石の鉢を持ってくること」という難題が課されます。

ところが石作皇子は、三年もの間出かけるふりをしておきながら、実際には大和国の山寺(やまとのくにのやまでら)にある石の鉢を「仏の御石の鉢」として持参します。これは明らかな偽物です。

注目すべきは、かぐや姫の見抜き方です。鉢を受け取ったかぐや姫は、「この鉢には光がない(光らない)」として返してしまいます。本物であれば光り輝くはずという設定が前提にあり、これがかぐや姫が偽物を見抜く根拠となっています。

入試頻出ポイント:「石作皇子は『恥を捨てて』鉢を届ける」という箇所に注目。「恥を捨つ」という表現が、この段の主題を象徴しています。また、「光なき鉢」という表現が、偽物の証拠として機能している点も押さえてください。

この段では「詐欺・嘘をついても誠実でなければ報われない」というテーマが描かれており、かぐや姫の判断の鋭さが印象的です。

② 車持皇子の段:「蓬莱の玉の枝」

五人の中でも最も物語の描写が長く、読み応えがあるのがこの段です。車持皇子(くらもちのみこ)は「蓬莱山(ほうらいさん)にある、根が銀・茎が金・実が白玉の木の枝を持ってくること」を求められます。

車持皇子は難波(なにわ)から船で出発するふりをし、密かに名工(めいこう)六人を集めて三年間かけて精巧な玉の枝を作らせます。そして「嵐に遭い、命からがら蓬莱山で玉の枝を見つけた」という感動的な嘘話を翁に語り、玉の枝を届けます。翁もかぐや姫の侍女たちも、一瞬は信じかけるほど巧みな偽物でした。

しかし、発覚の原因は玉の枝を作った細工師たちが報酬を請求に現れるという予想外の事態でした。細工師たちの「ここに書いた通り(ここにかきたるやうに)ご覧くださいませ」という訴えにより、偽物であることが白日の下にさらされます。

翔先生のポイント:この段で重要なのは、「人の心の隙(すき)をつく嘘」と「真実の露見」の対比です。どんなに精巧な嘘も、人間の欲(報酬を受け取りたい職人の欲)によって崩れるという皮肉が込められています。また「蓬莱の玉の枝」は、後世の文学や文化にも影響を与えた重要なモチーフであることも覚えておきましょう。

③ 右大臣阿倍御主人の段:「火鼠の裘」

右大臣阿倍御主人(うだいじんあべのみうし)に課された難題は「火鼠の裘(ひねずみのかわごろも)」。火の中に住む鼠の毛皮で作った、火に入れても燃えない衣のことです。

阿倍御主人は莫大な財力を使い、唐(中国)の商人・王慶(おうけい)に依頼して、高価な代金を払って「火鼠の裘」を取り寄せます。商人からは「本物の火鼠の裘である」と言われ、阿倍御主人は自信満々に姫のもとへ届けます。

しかし、かぐや姫がその裘を火に投じると、あっという間に燃えてしまいます。本物ならば燃えるはずがない——つまりこれも偽物だったのです。唐の商人に巨額の金を騙し取られた阿倍御主人の失恋と失財が、滑稽さと哀愁をもって描かれています。

語源の豆知識:「あへなし(あっけない)」という言葉は、この段に由来するという説があります。「阿倍(あべ)なし」が転じたというもので、試験でも問われることがあります。ただし諸説あるため「一説によれば」として覚えておきましょう。

④ 大納言大伴御行の段:「龍の頸の珠」

大納言大伴御行(だいなごんおおとものみゆき)は「東の海にいる龍の頸にある五色に輝く珠を持ってくること」を求められます。

大伴御行は家来たちを集め、大規模な捜索を命じます。しかし家来たちは恐ろしくてまともに探せず、ほとんどが適当に時間を潰して帰ってくるだけ。業を煮やした大伴御行自身が船に乗り込んで龍を探しに行きますが、途中で猛烈な嵐に遭い、暗礁に乗り上げて大怪我を負います。

この段の読みどころは、大伴御行が「龍を捕まえたぞ」と思い込んで興奮する場面と、現実の惨状(傷を負って瀕死の状態)のギャップです。また、見舞いに来た家来たちが笑いをこらえながら御行の様子を見るという場面も、ユーモアが込められています。

翔先生:この段は「権力者の慢心と現実」というテーマが読み取れます。高い地位の人間でも、自然(龍=嵐)の前では無力だという対比が鮮やかです。大納言という高い地位の人物が滑稽に描かれる点に、作者の批評意識が感じられます。

⑤ 中納言石上麻呂足の段:「燕の子安貝」

五人目の求婚者・中納言石上麻呂足(ちゅうなごんいそのかみのまろたり)に課された難題は「燕が子を産む時に落とす子安貝(こやすがい)を持ってくること」です。

子安貝は安産のお守りとして珍重されましたが、燕が産卵の瞬間に落とすという伝説的なものであり、入手は至難の業です。石上麻呂足は家来たちを燕の巣のある建物に送り込み、燕の巣を探させます。

ところが、石上麻呂足自身も痺れを切らして自ら高い棚の上の巣を探しに登り、落下して重傷を負います。一命は取り留めますが、その後衰弱し死去したとも伝えられます(異本により結末が異なります)。

「貝を手に入れたと思ったが実は糞(くそ)だった」という描写は、この段の諧謔(かいぎゃく=ユーモア)の頂点です。五人の中で唯一、直接的に死が示唆されるほどの悲惨な結末であり、竹取物語の求婚失敗譚の締め括りにふさわしい劇的な描写となっています。


藤原&翔先生の実践アドバイス

求婚者を「官職の高さ」と「嘘のレベル」で整理する

私・藤原からのアドバイスです。五人の求婚者を覚えるコツは、「官職の高さ(序列)」と「失敗のパターン」を掛け合わせて整理することです。

  • 皇子クラス(石作皇子・車持皇子):積極的な詐欺・偽造を試みる
  • 大臣・大納言クラス(阿倍御主人・大伴御行):財力・権力を使うが空回り
  • 中納言クラス(石上麻呂足):自ら動いて最も悲惨な目に遭う

こう整理すると、「地位が高い人ほど大きな手段を使おうとするが、地位が低い人ほど自分で動いて痛い目を見る」という面白い対比が見えてきます。

原文の重要表現を音読で覚える

翔先生:定期テスト対策として最も効果的なのは、各段の「失敗が発覚・確定する場面」の原文を音読することです。例えば車持皇子の段では「たまの枝を、六人の人よりてつくりたてまつりたる」(玉の枝を六人で作り上げた)という細工師の言葉、火鼠の裘の段では「火にくべて焼かせたまふに、めらめらと焼けぬ」などの表現が頻出です。声に出して読むことで、文脈とともに定着させましょう。

「かぐや姫の見抜き方」に注目する

五つの難題すべてにおいて、かぐや姫が偽物・失敗を見抜く「根拠」が明示されています。この「見抜き方の根拠」を問う問題が入試では頻出です。まとめると:

  1. 石作皇子:「光がない」から偽物
  2. 車持皇子:「細工師の訴え」で偽造が露見
  3. 阿倍御主人:「火に入れると燃えた」から偽物
  4. 大伴御行:「珠が届かなかった+本人が重傷」
  5. 石上麻呂足:「子安貝でなく糞だった+落下重傷」

よくある失敗と解決策

失敗①:求婚者の名前と難題が混乱する

解決策:「石作→石の鉢(石つながり)」「車持→旅(移動手段)で玉の枝を取りに行く」など、名前と難題の語感のつながりを意識して覚えましょう。完全には一致しませんが、記憶の引っかかりになります。

失敗②:原文の助動詞・助詞の意味が取れない

解決策:竹取物語は平易な和文が多いですが、「なむ」「こそ〜已然形」「ぬ」「たり」などの頻出文法が随所に出てきます。各段の重要文を一文ずつ文法解析する練習をすることで、古文読解の基礎力が格段に上がります。

失敗③:物語のテーマ・主題を問う問題に答えられない

解決策:五求婚者の段に共通するテーマは「真実・誠実さへの問い」と「人間の欲望・虚栄心の限界」です。記述問題でこのテーマを押さえておくと、部分点以上が安定して取れるようになります。


今日からできるアクション

  1. 五人の求婚者・難題・失敗の理由を表にまとめて暗記する(本記事の表を活用)
  2. 各段の「失敗発覚シーン」の原文を3回音読する
  3. 「かぐや姫がどうやって偽物を見抜いたか」を自分の言葉で説明できるようにする
  4. 各求婚者の「官職名」を正確に覚える(石作皇子・車持皇子は「皇子」、阿倍御主人は「右大臣」、大伴御行は「大納言」、石上麻呂足は「中納言」)
  5. 物語全体のテーマ(誠実さ・欲望・月世界との対比)を意識しながら通読する

翔先生:一度に全部覚えようとするより、一人ずつ順番に、物語を読みながら覚えていくのが一番定着します。特に車持皇子の段は最長で読み応えがあるので、まずここをしっかり読むと全体の理解が深まりますよ!


まとめ・日本国語塾トップについて

今回は「竹取物語・五求婚者の段」を石作皇子から石上麻呂足まで完全解説しました。

  • 石作皇子:仏の御石の鉢→偽物(光らない)で失敗
  • 車持皇子:蓬莱の玉の枝→細工師の告発で偽造露見
  • 右大臣阿倍御主人:火鼠の裘→火で燃えて失敗
  • 大納言大伴御行:龍の頸の珠→嵐に遭い重傷
  • 中納言石上麻呂足:燕の子安貝→落下重傷・死亡示唆

五人それぞれの失敗は、単なるドタバタ喜劇ではなく、「誠実でなければかぐや姫(=真実・理想)には届かない」という深いメッセージを持っています。竹取物語は日本最古の物語文学として、古文読解の土台となる作品です。ぜひこの機会にしっかりとマスターしてください。

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