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「身体と意識」をテーマにした現代文の読み方|現象学的文章の攻略

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「身体と意識」をテーマにした現代文の読み方|現象学的文章の攻略


「身体と意識」をテーマにした現代文の読み方|現象学的文章の攻略

はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

先日、こんな質問が届きました。

「先生、模試の現代文に『身体図式』とか『志向性』とか書いてあって、まったく意味がわかりませんでした。哲学の言葉らしいんですけど、こういう文章って普通に読めるんですか?」

これ、すごくよくある悩みです! 翔先生も「俺も最初に読んだとき、日本語なのに日本語じゃない感じがした(笑)」と言っていました。

「身体と意識」をテーマにした文章、いわゆる現象学的な文章は、東大・京大・早慶をはじめとする難関大入試で定番中の定番です。メルロ=ポンティ、フッサール、竹内敏晴、鷲田清一……こうした思想家・哲学者の文章が頻繁に出題されます。

でも安心してください。「現象学的文章には、読み解くための”型”がある」んです。今回はその型を徹底的に解説します。これを読み終えたとき、あなたはきっと「あ、この手の文章ってこういうことを言いたかったのか!」とスッキリするはずです。

なぜ「身体と意識」テーマが重要なのか

まず、なぜこのテーマが入試に頻出なのかを理解しておくと、読む動機が変わります。

20世紀以降の思想・哲学界では、「意識とは何か」「自分が『私』であるとはどういうことか」という問いが非常に重要なテーマになりました。デカルトの「我思う、ゆえに我あり」に代表されるような、「心(意識)と身体は別々のものだ」という二元論が長らく西洋哲学の主流でした。

ところが20世紀になると、「いや、身体と意識は切り離せないのではないか」という反論が生まれます。これが現象学の核心であり、メルロ=ポンティらが「生きられる身体」「身体図式」という概念で論じたテーマです。

入試でこのテーマが出続ける理由は明快です。

  • 抽象度が高いため、読解力の差が出やすい
  • 日常語と哲学用語が混在するため、言葉の定義を正確に追う力が試される
  • 「当たり前」を問い直す文章なので、筆者の主張をつかむ練習になる
  • 現代社会における「AIと身体」「テクノロジーと感覚」といった現代的テーマとも連動しやすい

つまり、現象学的文章を読めるようになることは、現代文読解の総合力アップに直結するのです。

具体的な方法・ステップ解説

ステップ①:まず「対立構造」を見抜く

現象学的文章に限らず、現代文読解の基本は対立構造を把握することです。でも「身体と意識」テーマでは、この対立が特徴的な形をとります。

典型的な対立構造はこれです:

旧来の考え方(批判される側) 筆者が主張する考え方
心と身体は別々のもの(二元論) 心と身体は一体・分離できない
身体は「意識が命令する道具」 身体それ自体が知覚・思考する
意識が主体で身体は客体 身体こそが世界との根源的な接点
客観的・科学的に身体を測定できる 「生きられる身体」は主観的経験を含む

文章を読み始めたら、「筆者は何を否定しているか」を先に探すクセをつけましょう。「〜という考え方がある。しかし……」という逆接のパターンが非常に多く、そこに筆者の主張の核心が隠れています。

ステップ②:キーワードを「定義」ごと押さえる

現象学的文章で受験生がつまずく最大の原因は、「知っている日本語なのに、筆者独自の定義で使われている」ことです。

たとえば「身体」という言葉一つとっても、

  • 「客体としての身体(Körper)」:医学的・科学的に測定できる物体としての身体
  • 「生きられる身体(Leib)」:私が実際に経験し、世界を感じ取る当事者としての身体

この二つをメルロ=ポンティは区別します。文章中でどちらの意味で「身体」が使われているかを意識するだけで、読み取りの精度が劇的に上がります。

実践法:初めて出てきたキーワードに下線を引き、そのキーワードが「〜とは〇〇である」と定義されている箇所を探す。定義文が見つかったらそこをマルで囲む。これだけで混乱が激減します。

よく登場するキーワードと基本的な意味を押さえておきましょう:

  • 志向性(intentionality):意識は必ず「何かについての意識」である、という性質。意識は常に対象に向かっている。
  • 身体図式(body schema):身体が環境・道具との関係の中で無意識的に形成する「動きのパターン・地図」。自転車に乗れる感覚がそれ。
  • 間主観性(intersubjectivity):他者との関係を通じて共有される経験の構造。「私だけの主観」ではなく、他者と通じ合える経験の次元。
  • 現象学的還元:当たり前だと思っている前提をいったん「保留」して、経験そのものに立ち返ること。

ステップ③:具体例と抽象論の往復を意識する

現象学的文章は、難しい概念を説明するために必ず具体例を使います。そしてその具体例から再び抽象的な議論に戻ります。この往復を意識して読むことが非常に重要です。

典型的な具体例のパターン:

  • 盲人が杖で地面を感じるとき、意識は杖の先端にある(道具が身体の延長になる)
  • 熟練のピアニストは鍵盤を「考えて」押さない(身体が知っている)
  • 自転車の乗り方は言葉で説明できないが、身体は「知っている」
  • 鏡の中の自分を見るとき、「見る自分」と「見られる自分」が同時に存在する

こうした具体例を読んだとき、「で、筆者はこれで何を言いたいのか」を常に問い返すことが大切です。具体例は「主張の証拠」として機能しているので、具体例から抽象命題を再構成する練習をしましょう。

ステップ④:「問い直し」の構造を読む

現象学的文章の最大の特徴は、「当たり前だと思っていたことを疑う」という構造を持っていることです。

たとえば「私が腕を動かすとき、『私』が腕を動かしているのか、それとも腕が動いているのか」——こんなことを改めて問われると、「え、どっち……?」となりますよね。これが現象学的な問いの立て方です。

文章の中に「〜とは本当に〇〇なのだろうか」「〜という問いを改めて立ててみよう」という表現が出てきたら、それが文章全体のテーマを凝縮した問いである可能性が高いです。マーカーを引いて、その問いへの筆者の答えを本文全体を通して追いかけましょう。

藤原流のポイント

ここからは、私・藤原と翔先生が特に強調したい独自視点をお伝えします。

「二項対立の図」を自分で書く

現象学的文章を読んでいるとき、問題用紙の余白に二項対立の表を自分で書くことを強くすすめています。左側に「批判されている旧来の考え方」、右側に「筆者が提唱する新しい考え方」を書き込んでいく。

これをやるだけで、設問「筆者はなぜ〇〇と述べているのか」に対する答えが格段に書きやすくなります。なぜなら、「旧来の考えでは説明できないから、新しい概念が必要なのだ」というロジックが見える化されるからです。

「自分の体験」で翻訳する

翔先生がよく言うのが、「抽象的な概念は、自分の身体経験に翻訳して理解する」というアドバイスです。

たとえば「身体図式」なら、スポーツや楽器演奏の経験で考える。「習ったとき意識していた動きが、いつの間にか無意識にできるようになった」——これがまさに身体図式の形成です。こうして自分の経験と結びつけると、難解な概念が急に身近になります。

ただし注意! 入試の記述答案に「自分の体験」を書くのはNG。あくまで「理解のための翻訳」として使い、答案はあくまで本文の言葉で書くというバランスが大切です。

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