はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、今回は「ことわざ・故事成語」シリーズの第2回ですね。
翔先生:はい。第1回に続き、今回は特に中国の古典に由来する「故事成語」を中心に扱います。ただ意味を暗記するだけでなく、「誰が、どんな場面で言った言葉なのか」という由来までセットで押さえるのがポイントです。
藤原:入試では意味を問う問題だけでなく、由来となった話の内容を問う問題や、似た意味・反対の意味のことわざを対比させる問題もよく出ますね。
翔先生:そうなんです。今回の10問では、「杞憂」「矛盾」「五十歩百歩」「漁夫の利」「蛇足」「呉越同舟」といった故事成語の由来と、「石の上にも三年」と「三日坊主」、「二兎を追う者は一兎をも得ず」と「一石二鳥」のように、意味が対照的なことわざをセットで確認していきます。似ている言葉・反対の言葉を並べて覚えると、記憶がぐっと定着しますよ。
藤原:それでは早速、10問に挑戦してみましょう!
問題(全10問)
第1問
次の空欄に当てはまる漢字二字の言葉を答えなさい。
「地球温暖化の影響を心配しすぎるのは( )に過ぎない、と楽観する人もいるが、私はやはり対策は必要だと思う。」
第2問
次の故事成語「矛盾」の由来として最も適切なものを、あとのア〜エから一つ選びなさい。
ア 二人の人物が同時に同じことを言い出したこと。
イ 矛と盾を売る商人が、どんな盾も突き通す矛と、どんな矛も防ぐ盾を同時に売っていたところ、客に「その矛でその盾を突いたらどうなるのか」と問われ、答えられなくなったこと。
ウ 矛を使う武士と盾を使う武士が争い、どちらも勝てなかったこと。
エ 王が矛と盾のどちらが優れているかを家臣に尋ねたこと。
第3問
次の文の空欄に入ることわざとして最も適切なものを、あとのア〜エから一つ選びなさい。
「テストで五点しか取れなかった人が、二点しか取れなかった人を『自分よりできない』とばかにするのは、( )というものだ。」
ア 漁夫の利 イ 五十歩百歩 ウ 蛇足 エ 呉越同舟
第4問
故事成語「漁夫の利」の由来となる話を、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア シギとハマグリが争っているすきに、通りかかった漁師が両方とも捕らえてしまった。
イ 二頭の犬が骨を奪い合い、疲れて眠っている間に別の犬に骨を取られた。
ウ 二人の漁師が魚を奪い合い、結局どちらも魚を失った。
エ 漁師が嵐の中で舟を出し、大漁を得た。
第5問
次の空欄に当てはまる漢字一字を答えなさい。
「彼のスピーチは十分に良い出来だったのに、最後にわざわざ自慢話を付け加えたのは( )足だった。」
第6問
「他山の石」の使い方として正しいものを、次のア・イから一つ選びなさい。
ア 「彼の丁寧な仕事ぶりを他山の石として、自分も見習おうと思う。」
イ 「先輩の失敗を他山の石として、同じミスをしないよう気をつけよう。」
第7問
次の空欄に当てはまる四字熟語を答えなさい。
「仲の悪かった二人だったが、災害という共通の困難に直面し、( )のごとく協力して乗り切った。」
第8問
「石の上にも三年」と反対の意味に近いことわざを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア 塵も積もれば山となる
イ 三日坊主
ウ 弘法にも筆の誤り
エ 急がば回れ
第9問
「猿も木から落ちる」と最も意味が近いことわざを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア 弘法にも筆の誤り
イ 二兎を追う者は一兎をも得ず
ウ 石の上にも三年
エ 他山の石
第10問
「二兎を追う者は一兎をも得ず」と対照的な意味を持つ四字熟語を、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア 呉越同舟
イ 一石二鳥
ウ 五十歩百歩
エ 蛇足
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:杞憂(きゆう)
「杞憂」は、中国の古典『列子』天瑞篇に由来する故事成語で、「無用の心配、取り越し苦労」を意味します。昔、杞という国の人が「もし天が崩れ落ちてきたらどうしよう」と心配し、食事も喉を通らなくなったという話が元になっています。「起憂」「杞優」のように誤字で書いてしまう受験生が多いので、「杞」の字形をしっかり覚えておきましょう。文脈上「心配しすぎである」という否定的なニュアンスで使われる点も重要です。
第2問の解答と解説
解答:イ
「矛盾」は『韓非子』難一篇に由来する故事成語で、話のつじつまが合わないことを意味します。矛と盾を売る商人が、どんな盾も突き通せる矛と、どんな矛も防げる盾を同時に自慢げに売っていたところ、客に「その矛でその盾を突いたらどうなるのか」と問われて答えられなくなった、という話が元になっています。アやウのように「二人が対立する」話だと誤解している人が多いですが、「矛盾」は一人の主張の中でつじつまが合わないことを指す点に注意しましょう。
第3問の解答と解説
解答:イ(五十歩百歩)
「五十歩百歩」は『孟子』梁恵王上に由来し、戦場で五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士を「臆病者だ」と笑ったところ、孟子が「逃げたことに変わりはない」と諭した話が元になっています。多少の違いはあっても本質的には同じであることのたとえです。「五点と二点なら差があるのでは」と考えて誤答しがちですが、この故事成語のポイントは「どちらも大差ない・似たり寄ったり」という点なので、点数の低さという本質は変わらないという文脈で正解となります。
第4問の解答と解説
解答:ア
「漁夫の利」は『戦国策』燕策に由来する故事成語で、シギ(鷸)とハマグリ(蚌)が互いに争っているうちに、通りかかった漁師に両方とも捕らえられてしまった話が元になっています。当事者同士が争っている間に、第三者が労せずして利益を得ることのたとえです。イのように動物どうしの話だと勘違いしやすいですが、「漁夫」という言葉の通り、最後に得をするのは「人間の漁師」である点を押さえておきましょう。
第5問の解答と解説
解答:蛇
「蛇足」は『戦国策』斉策に由来する故事成語で、余計で不要な付け足しのことを意味します。蛇の絵を早く描く競争をしていた人が、一番早く描き終えたのに満足せず「自分は蛇の足まで描ける」と得意になって足を描き加えたところ、蛇には足がないのだから蛇ではなくなってしまい、結局競争に負けてしまった、という話が元になっています。「蛇の足」を略した言葉なので、漢字は「蛇足」と二字で書く点、そして「余計な付け足しでかえって悪くなる」という否定的な意味である点をしっかり押さえましょう。
第6問の解答と解説
解答:イ
「他山の石」は『詩経』小雅に由来し、本来は「よその山から出た粗末な石でも、自分の玉を磨く砥石として役立つ」という意味から、他人のつまらない言動や失敗であっても、自分の修養の助けにできるということを表します。つまり、他人の「悪い例・失敗」を自分の戒めとする場合に使うのが正しい用法です。アのように他人の「良い行い」を見習う意味で使うのは誤用にあたるため、入試でも頻出の注意点として押さえておきましょう。
第7問の解答と解説
解答:呉越同舟(ごえつどうしゅう)
「呉越同舟」は『孫子』九地篇に由来する故事成語です。呉と越は古くから激しく敵対していた国同士でしたが、その両国の人がたまたま同じ舟に乗り合わせ、嵐に遭ったときには互いに助け合ったという話が元になっています。仲の悪い者同士でも、共通の困難や利害の前では協力し合うことのたとえとして使われます。単に「仲の悪い者同士が同じ場所にいる」だけの意味だと誤解されがちですが、本来は「困難に際して協力する」という点まで含む言葉である点に注意しましょう。
第8問の解答と解説
解答:イ(三日坊主)
「石の上にも三年」は、冷たい石の上でも三年座り続ければ暖まるということから、我慢強く続ければ必ず成果が出るという「忍耐・継続」の大切さを説くことわざです。これに対して「三日坊主」は、物事を始めてもすぐに飽きて長続きしないことを表し、意味の方向性が正反対になります。アの「塵も積もれば山となる」やエの「急がば回れ」も一見似た系統に見えますが、いずれも「石の上にも三年」と同じく努力・継続を肯定する言葉なので、反対の意味を選ぶ問題では区別が必要です。
第9問の解答と解説
解答:ア(弘法にも筆の誤り)
「猿も木から落ちる」は、木登りが得意な猿でも時には落ちることがあるように、その道の名人・達人でも時には失敗することがあるという意味です。「弘法にも筆の誤り」も、書の名人として知られた弘法大師(空海)でさえ書き損じることがある、という意味で、両者はほぼ同じ趣旨のことわざとして対で覚えておくと便利です。イやウは「継続・忍耐」に関することわざ、エは「他人の言行を自分の戒めにする」ことわざであり、意味の系統が異なる点に注意しましょう。
第10問の解答と解説
解答:イ(一石二鳥)
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、同時に二つのことを欲張ろうとすると、結局どちらも成功しないという戒めのことわざです。一方「一石二鳥」は、一つの行為によって同時に二つの利益を得ることを意味する四字熟語で、意味の方向性が正反対になります。アの「呉越同舟」やウの「五十歩百歩」、エの「蛇足」はいずれも今回学んだ故事成語ですが、「二つを同時に得られるかどうか」という観点で対になるのはイだけである点をしっかり確認しておきましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回のポイントは、故事成語を「意味の丸暗記」で終わらせず、「誰が・どこで・何をした話か」という由来までセットで押さえることです。由来を知っていると、似た言葉との混同(例えば「矛盾」と「五十歩百歩」)を防げますし、記述問題で由来を説明させる出題にも対応できます。
藤原:また、「石の上にも三年」と「三日坊主」、「二兎を追う」と「一石二鳥」のように、意味が対照的な言葉をセットで覚えるのも非常に効果的です。反対の意味を持つ言葉を並べておくと、片方を思い出せなくても、もう片方から連想して思い出せるようになります。ぜひ今回の10問を何度も復習して、自分の言葉で由来を説明できるレベルまで仕上げてみてください。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は、故事成語の由来を丁寧に確認しながら、意味が似ている言葉・反対の言葉を対比させて学ぶ10問をお届けしました。国語の語彙力は一朝一夕には身につきませんが、由来まで理解して覚えることで、記憶に残りやすく応用も利く力になります。次回のシリーズもぜひお楽しみに。
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