数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
藤原:翔先生、シリーズ第3回はいよいよ発展レベルですね。
翔先生:はい。今回のテーマは「故事成語の由来を正確に押さえること」と「似た意味・反対の意味の表現を見分ける力」です。ことわざ・故事成語の問題は、意味だけを丸暗記していると、由来を尋ねられたり、類義語・対義語と組み合わされたりしたときに一気に得点できなくなります。
藤原:特に大学入試や高校入試の語彙問題では、「どちらが似た意味か」「どちらが反対の意味か」という比較問題がよく出ます。今回は全10問で、故事成語の由来・類義語・対義語をバランスよく練習していきましょう。
問題(全10問)
第1問
故事成語「杞憂(きゆう)」の由来として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.杞の国の人が、天が崩れ落ちてくるのではないかと心配して夜も眠れなかったという話に基づく。
イ.杞の国の人が、矛と盾を同時に売ろうとして道理が通らなくなったという話に基づく。
ウ.杞の国の人が、蛍の光や雪明かりで勉強したという話に基づく。
エ.杞の国の人が、故郷を追われて四方から敵の歌が聞こえたという話に基づく。
第2問
次の文章は故事成語「矛盾」の由来を要約したものである。空欄に入る漢字一字を答えなさい。
「どんな( )も防ぐ盾」と「どんな盾も突き通す矛」を同時に売る商人に、ある人が「その矛でその盾を突いたらどうなるのか」と尋ねたところ、商人は答えることができなかった。
第3問
ことわざ「情けは人の為ならず」の意味として正しいものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.人に情けをかけるのはその人のためにならないので、厳しく接するべきだ。
イ.人に情けをかけておけば、巡り巡って自分によい報いが返ってくる。
ウ.情けをかけることは結局誰のためにもならない、無駄な行為だ。
エ.他人に頼らず、自分のことは自分でするべきだ。
第4問
故事成語「五十歩百歩」と最も近い意味を持つ四字熟語を、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.大同小異 イ.我田引水 ウ.臥薪嘗胆 エ.呉越同舟
第5問
故事成語「推敲(すいこう)」の由来として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.唐の詩人が、詩の一句を「僧は推す月下の門」にするか「僧は敲く月下の門」にするかで迷い、行き合った韓愈に相談して「敲」に定めたという逸話に基づく。
イ.中国の役人が、川で服を洗ったという逸話に基づく。
ウ.若者が師の教えを守らず、失敗を重ねたという逸話に基づく。
エ.王が臣下の忠告を聞かず国を滅ぼしたという逸話に基づく。
第6問
ことわざ「泣き面に蜂」の意味として正しいものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.困っている人をさらに助けようとすること
イ.不幸の上にさらに不幸が重なること
ウ.我慢強く耐え続けること
エ.小さなことにも慎重になること
第7問
故事成語「四面楚歌」の由来として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.楚の武将項羽が漢軍に包囲された際、四方から楚の歌が聞こえ、味方がみな漢に降ったと思い絶望したという話に基づく。
イ.楚の国の人が矛と盾を売ったという話に基づく。
ウ.楚の国の王が家来の忠告を聞かず国を滅ぼしたという話に基づく。
エ.楚の詩人が推敲に苦心したという話に基づく。
第8問
ことわざ「猿も木から落ちる」と同じ意味を持つことわざの組み合わせとして正しいものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.弘法にも筆の誤り/河童の川流れ
イ.馬の耳に念仏/暖簾に腕押し
ウ.蓼食う虫も好き好き/十人十色
エ.月とすっぽん/雲泥の差
第9問
故事成語「蛍雪の功」の由来として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.貧しくて灯火の油が買えなかった車胤が蛍を集めた光で書を読み、孫康が雪明かりで書を読んで学問に励んだという故事に基づく。
イ.貧しい若者が詩の推敲を重ねて完成させた故事に基づく。
ウ.川で溺れた人を助けた故事に基づく。
エ.杞の国の人が天の崩落を恐れた故事に基づく。
第10問
ことわざ「善は急げ」と対照的な意味を持つことわざを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.急いては事を仕損じる
イ.善は急げ、悪は延べよ
ウ.鉄は熱いうちに打て
エ.思い立ったが吉日
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:ア
「杞憂」は、古代中国の思想書『列子』に見える故事に由来します。杞の国のある人が「天が崩れ落ちてくるのではないか」と心配のあまり食事も喉を通らなくなったという逸話から、「無用な心配・取り越し苦労」を意味するようになりました。イは「矛盾」、ウは「蛍雪の功」、エは「四面楚歌」の由来なので混同しないようにしましょう。故事成語は由来となる話とセットで覚えることで、選択肢が入れ替わっても迷わなくなります。
第2問の解答と解説
解答:矛
「矛盾」は『韓非子』にある逸話が由来です。「どんな矛も防ぐ盾」と「どんな盾も突き通す矛」を同時に売る商人が、両方の宣伝文句を同時に成り立たせようとしたために、道理が通らなくなってしまったという話です。ここから、話や理屈のつじつまが合わないことを「矛盾」と言うようになりました。「盾」と「矛」の役割を入れ替えて覚えてしまう受験生が多いので、「矛=攻める」「盾=防ぐ」という漢字の意味から確認すると混同を防げます。
第3問の解答と解説
解答:イ
「情けは人の為ならず」は、「情けをかけることはその人のためにならない」という意味だと誤解されがちですが、正しくは「人に情けをかけておけば、それが巡り巡って自分によい報いとして返ってくる」という意味です。アのような誤用は非常に多く、入試でもひっかけとして出題されやすいポイントです。「為ならず」を「〜のためにならない」ではなく「〜のためだけではない(自分にも返ってくる)」と読む点を意識すると、正しい意味が定着します。
第4問の解答と解説
解答:ア
「五十歩百歩」は『孟子』に由来する故事成語で、戦場で五十歩逃げた兵が百歩逃げた兵を臆病だと笑ったという話から、「多少の差はあっても本質的には同じであること」を意味します。これと最も近い意味を持つのが「大同小異」です。イ「我田引水」は自分に都合よく物事を運ぶこと、ウ「臥薪嘗胆」は苦労して目的を達成しようと耐え忍ぶこと、エ「呉越同舟」は仲の悪い者同士が同じ場所に居合わせることで、いずれも意味が異なります。
第5問の解答と解説
解答:ア
「推敲」は、唐の詩人が自作の詩の一句を「推す」にするか「敲く」にするかで悩みながら道を歩いていたところ、高名な文人・韓愈の行列にぶつかってしまい、事情を話して相談した結果「敲く」に決めたという逸話に基づきます。ここから、文章や詩の表現を何度も練り直すことを「推敲する」と言うようになりました。「推」と「敲」という漢字がそのまま故事成語の由来に登場する点が特徴的なので、字面と意味をセットで覚えると忘れにくくなります。
第6問の解答と解説
解答:イ
「泣き面に蜂」は、泣いているところにさらに蜂に刺されるという状況から、「不運の上にさらに不運が重なること」を意味することわざです。似た意味を持つ表現に「弱り目に祟り目」があります。アのように誰かを助ける意味と誤解しないよう注意しましょう。悪いことが重なる状況を表す慣用句・ことわざは他にも多くあるため、意味の似たものをまとめて覚えると効率的です。
第7問の解答と解説
解答:ア
「四面楚歌」は『史記』項羽本紀に由来する故事成語です。楚の武将・項羽が漢軍に包囲された際、四方から楚の歌が聞こえてきたため、味方の楚の人々までもがすでに漢に降伏したのだと思い込み、絶望したという場面から生まれました。ここから、「周囲がすべて敵や反対者ばかりで、味方が誰もいない状況」を指すようになりました。項羽・漢・楚という固有名詞とセットで覚えることで、他の故事成語との混同を防げます。
第8問の解答と解説
解答:ア
「猿も木から落ちる」は、木登りが得意な猿でも時には落ちることがあるように、「その道の名人でも失敗することがある」という意味です。同じ意味を持つことわざとして「弘法にも筆の誤り」「河童の川流れ」があります。イは「効果や働きかけが相手に通じないこと」、ウは「好みは人それぞれであること」、エは「二つの物事の差が非常に大きいこと」を表し、いずれも意味が異なるため、組み合わせを丸ごと誤って覚えないよう注意が必要です。
第9問の解答と解説
解答:ア
「蛍雪の功」は中国の故事集『蒙求』に見える逸話に由来します。貧しくて灯火の油が買えなかった車胤(しゃいん)は蛍を集めてその光で書物を読み、同じく貧しかった孫康(そんこう)は雪明かりで書を読んで学問に励みました。この二人の苦学の逸話から、苦労して学問に励んだ成果を「蛍雪の功」と呼ぶようになりました。卒業式などで使われる「蛍の光」の歌の由来にもなっている点と合わせて覚えると印象に残りやすくなります。
第10問の解答と解説
解答:ア
「善は急げ」は「良いと思ったことはためらわずすぐに実行すべきだ」という意味です。一方「急いては事を仕損じる」は「急ぎすぎるとかえって失敗する」という意味で、両者は対照的な内容を持ちます。ウ「鉄は熱いうちに打て」やエ「思い立ったが吉日」はいずれも「善は急げ」と似た、行動を促す意味のことわざなので対義語にはなりません。イは「善は急げ、悪は延べよ」という一つの慣用表現であり、対義語の関係を問う選択肢としては不適切です。似た意味・反対の意味のことわざは、必ずセットで整理して覚えることが得点につながります。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回のように故事成語は「誰が」「どこで」「何をした話か」という具体的な場面をイメージしながら覚えると、選択肢が入れ替わっても迷わなくなります。
藤原:さらに、ことわざは単体で覚えるのではなく、類義語・対義語とセットで整理するのがおすすめです。「似ている」「反対」という比較の視点を持つだけで、記憶の定着率がぐっと上がりますよ。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回はことわざ・故事成語シリ
今回はことわざ・故事成語シリーズの第3回として、発展レベルの10問をお届けしました。特に「情けは人の為ならず」のような誤用しやすいことわざ、「矛盾」「杞憂」「四面楚歌」「推敲」「蛍雪の功」といった由来をきちんと説明できる故事成語、そして「五十歩百歩」「猿も木から落ちる」「善は急げ」のように類義語・対義語で対比できる表現をまとめて練習していただきました。ことわざ・故事成語は、意味を単独で覚えるだけでは実戦の入試問題で対応しきれません。今回のように「由来」「類義語」「対義語」という三つの視点をセットで整理する練習を重ねることが、語彙・漢字分野の得点力を大きく伸ばす近道です。
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