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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】古文敬語練習問題 第2回|10問一問一答と詳しい解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、前回の敬語第1回では「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の基本的な見分け方をやりましたね。

翔先生:はい。今回はその応用編です。敬語の種類を見分けるだけでなく、「その敬語から主語(動作主)は誰なのかを特定する」練習を中心に組みました。

藤原:入試の古文は主語が省略されがちですから、敬語こそが最大のヒントになりますよね。

翔先生:その通りです。「尊敬語が使われていたら動作主は身分の高い人」「謙譲語が使われていたら動作の受け手が身分の高い人」という原則を、実際の文の中で使いこなせるようになることが今回のゴールです。二方面敬語や二重敬語(最高敬語)も扱うので、しっかり手を動かして解いてみてください。

問題(全10問)

第1問

次の文の波線部「給ひ」「給ふ」の敬語の種類を答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「中納言殿、宮に参り給ひて、御物語などし給ふ。」

第2問

次の文の傍線部「奉る」の敬語の種類を答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「女房、御前に果物を奉る。」

第3問

次の文の傍線部「侍り」の敬語の種類を答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「『今は昔、ある所に住む人侍りき』と語り始めけり。」

第4問

次の文を読み、傍線部「のたまはす」から判断して、この動作の主語(動作主)は誰か答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「帝、大納言を召して、『かの文を持て参れ』とのたまはす。」

第5問

次の文を読み、傍線部「奉る」の動作主(主語)は誰か、また誰に対する敬意を表す語かをそれぞれ答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「大納言、御前に参りて、文を奉る。」

第6問

次の文の傍線部「給へ」の敬語の種類を答えよ。また、この「給へ」と、第1問に出てきた「給ひ」「給ふ」との活用・種類の違いを説明せよ。(※学習用に作成した例文です)

「『さやうのことは、かねて思ひ給へざりき』と申しけり。」

第7問

次の文の傍線部「出でさせ給ひ」の敬語の種類を答えよ。また、このような敬語の重ね方から推測できる動作主の身分について説明せよ。(※学習用に作成した例文です)

「帝、南殿に出でさせ給ひて、臣下を召す。」

第8問

次の文を読み、この文全体の主語(動作主)は誰か、使われている敬語の種類とあわせて根拠を示して答えよ。(※学習用に作成した例文です)

「大臣、御前に参りて、事の由を奏し給ふ。」

第9問

次の文の傍線部「啓す」の敬語の種類を答えよ。また、この語が特に誰に対して用いられる特別な語かを説明せよ。(※学習用に作成した例文です)

「女房、中宮に事の由を啓す。」

第10問

次の文を読み、文全体の主語(動作主)は誰か、使われている敬語の種類とあわせて説明せよ。(※学習用に作成した例文です)

「后の宮、御文を書かせ給ひて、女房に賜ふ。」

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:尊敬語

「給ひ」「給ふ」はどちらも四段活用の「給ふ」の連用形・終止形で、動作をする人(ここでは中納言殿)への敬意を表す尊敬語の補助動詞です。「参り給ひて」で「参上なさって」、「し給ふ」で「なさる」という意味になります。四段活用の「給ふ」は必ず尊敬語であり、この点は迷う余地がありません。間違えやすいのは、後で扱う下二段活用の「給ふ」(第6問)と混同してしまうケースです。活用の種類まで意識して覚えておきましょう。

第2問の解答と解説

解答:謙譲語

「奉る」は「与ふ」「贈る」の謙譲語で、「差し上げる」という意味です。動作をする女房自身をへりくだらせることで、果物を差し出す相手(御前=身分の高い人)への敬意を表しています。「奉る」には尊敬語(お召しになる)の用法もありますが、それは「着る・食ふ・乗る」など限られた動詞の代用として使われる場合であり、この文のように単独の動詞として「差し上げる」の意味で使われている場合は謙譲語と判断します。文脈から意味を確認する癖をつけましょう。

第3問の解答と解説

解答:丁寧語

「侍り」は「あり・をり」の丁寧語で、「ございます」という意味です。ここでは語り手が聞き手(読者)に対して丁寧に述べているだけで、文中の登場人物に対する敬意ではありません。「侍り」「候ふ」は謙譲語(お仕えする)として使われる場合もありますが、本問のように「〜です・〜ます」と訳せて、会話や地の文の結びに置かれている場合は丁寧語と判断するのが基本です。敬意の方向が「読み手・聞き手」に向いている点が丁寧語の最大の特徴です。

第4問の解答と解説

解答:帝

「のたまはす」は「言ふ」の尊敬語「のたまふ」よりもさらに敬意の高い尊敬語で、主に帝など最高身分の人物に使われます。尊敬語が使われているということは、動作主(この場合は「言う」という動作をした人)が敬意の対象、つまり身分の高い人物であることを意味します。文中で最も身分が高いのは帝ですから、主語は帝と特定できます。「大納言を召して」という前の文脈からも、話しかけているのが帝であることが裏付けられます。

第5問の解答と解説

解答:動作主は大納言。敬意の対象は御前(にいる高貴な人物)。

「奉る」は謙譲語であり、謙譲語は「動作をする人が、動作の受け手に敬意を払ってへりくだる」表現です。つまり主語(動作主)自体は身分が高いとは限らず、敬意はあくまで動作の受け手に向かいます。この文では「参りて」「奉る」という一連の動作を行っているのは大納言であり、その動作の対象である「御前」の人物に敬意が向けられています。尊敬語と謙譲語で「誰が敬意の対象か」が逆転する点は最も間違えやすいポイントなので、必ず整理しておきましょう。

第6問の解答と解説

解答:謙譲語。第1問の「給ひ・給ふ」は四段活用で尊敬語だが、本問の「給へ」は下二段活用で謙譲語である。

「思ひ給へざりき」の「給へ」は、未然形の活用語尾が「へ」となる下二段活用の「給ふ」です。下二段の「給ふ」は「思ふ・見る・聞く・知る」など知覚・思考系の動詞に付いて、話し手・書き手が自分自身の動作をへりくだって言う謙譲語で、「〜させていただく・〜でございます」の意味になります。これを二方面敬語(自敬敬語ではなく謙譲の一種)と呼びます。四段の「給ふ」(尊敬)と下二段の「給ふ」(謙譲)は、活用の種類こそ紛らわしいものの、意味は正反対です。見分け方としては、①会話文・手紙文の中で使われているか、②「思ふ・見る・聞く」など知覚・思考の動詞に付いているか、③未然形が「給へ」の形になっているか、という3点を確認すると判別しやすくなります。入試でも頻出の識別ポイントなので、必ずセットで覚えておきましょう。

第7問の解答と解説

解答:二重敬語(最高敬語)。動作主は帝・院・中宮など、最高クラスの身分の人物であると推測できる。

「出でさせ給ひ」は、使役の助動詞「さす」の尊敬用法と、尊敬の補助動詞「給ふ」を重ねた形で、一つの動作に対して尊敬語を二重に用いる「二重敬語(最高敬語)」です。二重敬語は誰にでも使われるわけではなく、天皇・皇后・上皇など、物語の中でも最高位に位置する人物にしか用いられないという大きな特徴があります。したがって、この文で「出でさせ給ひ」が使われている時点で、主語が「帝」であることはほぼ確定できます。実際に文中にも「帝」と明記されているため、答えの根拠は二重に固まっています。二重敬語を見た瞬間に「最高身分の人物の動作だ」と反応できるようにしておくと、主語が省略された文でも迷わなくなります。

第8問の解答と解説

解答:主語(動作主)は大臣。

この文には「参り」「奏し」という謙譲語と、「給ふ」という尊敬語が同時に使われています。「参り」「奏し」は帝に対して用いられる謙譲語(「奏す」は天皇・上皇専用の謙譲語)であり、これらは動作をする人物が帝に敬意を払っていることを示します。一方「給ふ」は動作主本人への尊敬語です。つまり、「参上して申し上げる」という動作をしているのは大臣であり、その動作の受け手(敬意の対象)は帝、そして動作主である大臣自身にも「給ふ」という敬意が払われている、という二重構造になっています。謙譲語と尊敬語が同じ文の中で共存する場合、謙譲語は「動作の受け手」、尊敬語は「動作主」を指すという原則に従って、それぞれ別の人物を指している点に注意しましょう。この整理ができれば、主語は迷わず「大臣」と特定できます。

第9問の解答と解説

解答:謙譲語。「啓す」は中宮や皇太子など、帝に次ぐ高い身分の人物に対して用いられる特別な謙譲語である。

「啓す」は「言ふ」の謙譲語の一種ですが、誰にでも使えるわけではなく、中宮や皇太子といった特定の高貴な人物に対してのみ用いられる限定的な語です。同じく「言ふ」の謙譲語である「奏す」が帝・上皇専用であるのに対し、「啓す」は中宮・皇太子専用という使い分けがある点が入試でも狙われやすいポイントです。この文では「中宮に」という言葉が明示されているため判断は容易ですが、実際の入試問題では敬意の対象が省略されていることも多く、その場合はむしろ「啓す」という語自体が「相手は中宮(または皇太子)である」という強力な手がかりになります。特殊な謙譲語は、敬語の種類だけでなく敬意の対象までセットで暗記しておくと得点源になります。

第10問の解答と解説

解答:主語(動作主)は后の宮。

「書かせ給ひ」は使役の助動詞「す・さす」の尊敬用法と補助動詞「給ふ」を重ねた二重敬語(最高敬語)であり、后の宮という最高クラスの身分の人物にふさわしい表現です。続く「賜ふ」は「与ふ」の尊敬語で、「お与えになる」という意味を持ち、こちらも動作主である后の宮に対する敬意を表しています。つまり文全体を通して「后の宮が御文をお書きになって、女房にお与えになる」という一連の動作が、すべて后の宮を主語として展開されていることが敬語だけから読み取れます。ここで気をつけたいのは、「賜ふ」を謙譲語の「賜る(いただく)」と混同してしまうミスです。「賜ふ」(尊敬・与える)と「賜る」(謙譲・いただく)は語形が似ているため、活用と意味を必ずセットで区別できるようにしておきましょう。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回のポイントは、「尊敬語=動作主への敬意」「謙譲語=動作の受け手への敬意」「丁寧語=読み手・聞き手への敬意」という原則を、実際の文の中で瞬時に運用できるかどうかでしたね。

藤原:特に第5問・第8問のように、一つの文に尊敬語と謙譲語が同時に出てくるケースは、受験生が最も混乱しやすいところです。「謙譲語が指しているのは誰か」「尊敬語が指しているのは誰か」を、必ず別々に整理する習慣をつけてほしいですね。

翔先生:また、二重敬語(最高敬語)や「奏す」「啓す」のような特定の身分専用の敬語は、それ自体が「主語のヒント」になります。単語の意味だけでなく、「誰に対して使われる語か」までセットで覚えることが、主語特定の近道です。

藤原:下二段の「給ふ」(謙譲)のような紛らわしい識別も、活用の形・文脈(会話文かどうか)・接続する動詞の種類という3つの視点で判断すれば、必ず正解にたどり着けます。焦らず一つずつ確認する練習を積み重ねましょう。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は敬語の種類の判別と、そこから主語を特定する練習問題を10問扱いました。敬語は覚える単語量こそ多いものの、パターンが決まっているぶん、練習すればするほど確実に得点源になる分野です。第1回・第2回で学んだ内容を繰り返し復習し、実際の古文本文の中で「この敬語が指しているのは誰か」を常に意識しながら読解する習慣をつけていきましょう。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

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