数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
藤原:翔先生、接続語・指示語シリーズも第3回になりましたね。今回はどんな力を伸ばしていきますか?
翔先生:今回は少しレベルを上げて、「文と文の関係を論理的に説明できるか」「指示語の内容を自分の言葉で要約できるか」を試す問題を用意しました。空欄補充だけでなく、指示内容を記述させる問題も5問入れています。
藤原:記述問題は「本文のどこを、どこまで抜き出すか」で差がつきますよね。
翔先生:その通りです。今回の解説では、指示語の答えを探すときの「範囲の見極め方」も丁寧に説明しますので、ぜひ自分の答えと照らし合わせながら読んでください。
問題(全10問)
第1問
科学の実験は、条件をそろえて何度も繰り返すことができる。( )、歴史上の出来事は一度きりのものであり、同じ条件で再現することはできない。
空欄に入る最も適切な接続語を選びなさい。
ア だから イ しかし ウ つまり エ なぜなら
第2問
この地域では、古くから米作りが盛んに行われてきた。( )、水田の跡や農具の出土品が数多く発見されている。
空欄に入る最も適切な接続語を選びなさい。
ア しかも イ その証拠に ウ ところが エ あるいは
第3問
彼は毎日欠かさず練習を続けた。( )、大会で結果を出すことはできなかった。
空欄に入る最も適切な接続語を選びなさい。
ア それゆえ イ それでも ウ したがって エ すなわち
第4問
言葉は時代によって意味が変化する。「やさしい」という語も、古くは「恥ずかしい」に近い意味を持っていた。( )、言葉の意味は固定されたものではなく、常に移り変わっていくものなのである。
空欄に入る最も適切な接続語を選びなさい。
ア したがって イ しかし ウ というのは エ ただし
第5問
会議では多くの意見が出された。予算を増やすべきだという声もあれば、( )、現状のままでよいという声もあった。
空欄に入る最も適切な接続語を選びなさい。
ア むしろ イ 一方で ウ そのため エ したがって
第6問
近代以降、人々は自然を征服し利用する対象として見なすようになった。しかし、そうした考え方こそが、環境破壊を引き起こしてきた根本的な原因なのかもしれない。
「そうした考え方」が指す内容を、本文中の言葉を用いて答えなさい。
第7問
子どもは、失敗を繰り返しながら少しずつ物事のやり方を身につけていく。親がその過程を焦って取り除いてしまうと、子どもは自分で考える力を育てる機会を失ってしまう。
「その過程」が指す内容を、本文中の言葉を用いて答えなさい。
第8問
都市部では公共交通が発達しているため、自動車を持たない人が多い。それに対して、地方では一人一台の車を持つのが当たり前になっている。こうした違いは、生活様式全体に大きな影響を与えている。
「こうした違い」が指す内容を、本文中の言葉を用いて答えなさい。
第9問
読書によって得られる知識は、すぐに役立つとは限らない。しかし、それが時間を経て思考の土台となり、思いがけない場面で力を発揮することがある。
「それ」が指す内容を、本文中の言葉を用いて答えなさい。
第10問
近年、企業は短期的な利益を優先する傾向にある。その結果、長期的な視点に立った人材育成や研究開発が後回しにされ、将来的な競争力の低下につながりかねない。
「その結果」の「その」が指す内容を、本文中の言葉を用いて答えなさい。
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:イ(しかし)
前半では「科学の実験は繰り返せる」という内容が述べられ、後半では「歴史上の出来事は再現できない」という対照的な内容が述べられています。前後で内容が反対の方向を向いているため、逆接の「しかし」が正解です。「だから」や「なぜなら」は前後を順接・理由関係で結ぶ語なので、対比の文脈には合いません。「つまり」は言い換え・まとめの語であり、ここでは新しい対象(歴史)についての話が始まっているので不適切です。対比の接続語を選ぶときは、前後の主語や話題がどう変わっているかに注目する習慣をつけましょう。
第2問の解答と解説
解答:イ(その証拠に)
前半の「米作りが盛んだった」という主張に対して、後半は「水田の跡や農具が出土した」という具体的な根拠が示されています。主張と根拠をつなぐ関係なので「その証拠に」が最も適切です。「しかも」は付加、「ところが」は逆接、「あるいは」は選択の意味を持つため、根拠を示す文脈にはそぐいません。空欄前後が「主張」と「その裏付け」の関係になっていないかを常に確認することが大切です。
第3問の解答と解説
解答:イ(それでも)
「毎日練習を続けた」という努力と、「結果を出せなかった」という残念な結果が対照的に並んでいます。努力に反して望ましくない結果になったことを示す逆接の「それでも」が正解です。「それゆえ」「したがって」は順接の接続語であり、努力と結果が一致する場合に使う語なので誤りです。「すなわち」は言い換えの語であり、文脈が合いません。逆接の接続語の中でも、「それでも」は「〜にもかかわらず」という意味合いが強い点を覚えておきましょう。
第4問の解答と解説
解答:ア(したがって)
前半で「やさしい」という語の意味変化という具体例が示され、後半でその具体例をふまえた一般的な結論(言葉の意味は固定されない)が述べられています。具体例から結論を導く関係なので、順接の「したがって」が適切です。「しかし」は逆接なので、前後の内容が対立していない今回の文脈には合いません。「というのは」は理由を後から述べる語で、結論の後に理由を続ける形になるため、ここでは語順が逆になってしまいます。具体例から一般論への流れは、評論文で非常によく出るパターンなので、しっかり押さえておきましょう。
第5問の解答と解説
解答:イ(一方で)
「予算を増やすべきだという声」と「現状のままでよいという声」という、二つの異なる立場が並べて示されています。このように対立する二つの事柄を対比的に並べるときに使うのが「一方で」です。「むしろ」はどちらかを強調して選び取る語であり、対等に並べる今回の文脈には合いません。「そのため」「したがって」は原因・結果の関係を示す語であり、二つの意見を並列する場面では使えません。並列・対比の接続語は、選択肢の意見が「対等に並んでいるか」「優劣がついているか」を見極めて選びましょう。
第6問の解答と解説
解答:自然を征服し利用する対象として見なす考え方
指示語「そうした考え方」の直前には、「人々は自然を征服し利用する対象として見なすようになった」という一文があります。この一文全体が「そうした考え方」の内容そのものです。指示語問題では、まず直前の文を確認し、その文の中で「考え方・態度・立場」に当たる部分を抜き出すのが基本です。「近代以降」という時代設定まで含めてしまうと余計な情報が入ってしまうので、指示語が指しているのは「考え方」の中身であることを見極める必要があります。
第7問の解答と解説
解答:子どもが失敗を繰り返しながら少しずつ物事のやり方を身につけていく過程
「その過程」の「その」は直前の文全体を受けています。直前の文で述べられている「子どもは、失敗を繰り返しながら少しずつ物事のやり方を身につけていく」という内容がそのまま「過程」の中身です。指示語が「過程」「こと」「もの」など抽象的な名詞を伴う場合は、その名詞にふさわしい形(動詞を名詞化するなど)に整えて答える必要があります。単に「失敗を繰り返すこと」だけでは不十分で、「身につけていく」までを含めて答えるのが正確な記述です。
第8問の解答と解説
解答:都市部では自動車を持たない人が多く、地方では一人一台の車を持つのが当たり前になっているという違い
「こうした違い」は、その前の二文(都市部の状況と地方の状況)を対比的にまとめた指示語です。一文だけでなく、対比されている二つの文の両方を含めて答える必要がある点がこの問題のポイントです。片方の文だけを抜き出すと「違い」という言葉の意味が成立しないため、必ず両方の内容を対比の形でまとめましょう。指示語が複数の文をまとめて受ける場合、指示語の直前だけでなく、その前後の対比関係全体を確認する習慣が重要です。
第9問の解答と解説
解答:読書によって得られる知識
「それ」は直前の文の主語である「読書によって得られる知識」を指しています。指示語の多くは直前の文の主語や主題を受けるため、まずは直前の文の主語に着目するのが基本の解き方です。ここでは「すぐに役立つとは限らない」という部分は指示内容には含めず、あくまで「知識」そのものを指している点に注意が必要です。「知識」だけでは説明不足になるため、「読書によって得られる」という修飾部分まで含めて答えることが正確な記述のコツです。
第10問の解答と解説
解答:企業が短期的な利益を優先する傾向
「その結果」の「その」は、直前の文で述べられている「企業は短期的な利益を優先する傾向にある」という内容を受けています。「その結果」という表現があるとき、「その」は原因を、後に続く部分は結果を示していると考えると整理しやすくなります。ここで「後回しにされ」の部分まで指示内容に含めてしまうと、原因と結果を混同する誤答になるため注意が必要です。原因・結果の関係を示す接続表現が出てきたら、指示語が受けているのは「原因」の部分であることを意識して答えを絞りましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回のポイントは、接続語問題では「前後の内容の関係性(対比・順接・具体例と一般論)」を必ず言葉で言い直してから選ぶこと、指示語問題では「直前の文のどの部分が対応するか」を意識して範囲を絞ることです。
藤原:特に指示語の記述は、抜き出す範囲が広すぎても狭すぎても減点対象になります。「指示語を指示内容にそのまま置き換えて、文が自然に読めるか」を必ず自分で確認する習慣をつけましょう。この一手間が、記述問題の得点を安定させる最大のコツです。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は接続語・指示語シリーズ第3回として、選択問題5問と記述問題5問の合計10問を出題しました。接続語は「前後の関係を言葉で整理する」、指示語は「直前の文から範囲を正確に見極める」という基本を徹底することで、確実に得点できる分野です。次回もさらに実戦的な問題を用意していますので、繰り返し練習して定着させていきましょう。
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