2027年度共通テスト試験日まで
時間
Picture of 藤原 進之介

藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】評論キーワード練習問題 第3回|10問一問一答と詳しい解説

Facebook
Twitter

はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、シリーズ第3回のテーマは「近代・自己・他者・言語・記号・自然」ですね。

翔先生:はい。評論文でこれほど繰り返し出てくる概念群も珍しいです。特に「自己は他者との関係でしか成立しない」「言語は世界をそのまま写し取るのではなく分節する」といった考え方は、現代文の評論では前提知識として扱われることが多いんです。

藤原:知らないと本文の論理展開についていけなくなりますからね。今回は10問を通して、定義の正確な理解と、対比構造(近代⇔前近代、自己⇔他者、自然⇔人為・文化)を整理していきましょう。

翔先生:解答を見る前に、必ず自分の頭で理由づけまで考えてから答え合わせをしてくださいね。

問題(全10問)

第1問

次の空欄に入る語として最も適切なものを選べ。
「近代以前の共同体では、個人のあり方は身分や家柄といった与えられた枠組みによって決まっていたが、近代になると、個人は自らの意思と理性によって行動し人生を選び取る(  )として捉えられるようになった。」

ア.客体 イ.主体 ウ.他者 エ.記号

第2問

「自己」と「他者」の関係についての説明として、最も適切なものを一つ選べ。

ア.自己は他者と無関係に、生まれつき完成された姿で存在している。
イ.自己は他者を鏡として初めて自分の輪郭を認識できる、他者との関係のなかで成立する存在である。
ウ.他者とは自己の内面にのみ存在する想像上の人物のことである。
エ.自己と他者は常に対立し、両者の間に共通了解が生まれることはない。

第3問

言語学者ソシュールが唱えた考え方として、最も適切なものを一つ選べ。

ア.言葉の音(シニフィアン)と意味(シニフィエ)の結びつきは、必然的で普遍的なものである。
イ.言葉の音と意味の結びつきは恣意的であり、社会的な約束事にすぎない。
ウ.すべての言語は同じ仕方で世界を分節しており、翻訳によって意味のずれは生じない。
エ.言語は思考の後から生まれるものであり、思考には何の影響も与えない。

第4問

次の文の空欄に入る語の組み合わせとして正しいものを選べ。
「記号は、感覚に訴える形式である( A )と、それが指し示す概念内容である( B )の結合として成り立つ。」

ア.A:シニフィエ B:シニフィアン
イ.A:シニフィアン B:シニフィエ
ウ.A:主体 B:客体
エ.A:他者 B:自己

第5問

「自然」と対比される概念として、評論文で最も一般的に用いられるものを一つ選べ。

ア.人為(文化) イ.他者 ウ.記号 エ.主体

第6問

次の文章を読み、傍線部の説明として最も適切なものを選べ。
「私たちは、他者のまなざしを通して初めて自分自身を対象として意識する。自己は他者なくしては成立し得ないという逆説がここにある。」

ア.自己は他者を征服することで完成する存在だという意味。
イ.自己は本来他者とは独立して存在するはずなのに、実際には他者に依存してしまうという矛盾を指す。
ウ.自己という概念そのものが、他者との関係を前提として初めて成り立つという構造を指す。
エ.自己と他者は互いに無関係であるべきだが、現実にはそうなっていないことへの批判。

第7問

「近代的自我」という言葉の説明として、最も適切なものを一つ選べ。

ア.共同体の伝統や慣習にただ従うだけの、匿名的な人間のあり方。
イ.自らを世界の中心に据え、理性によって自律的に判断し行動しようとする個人の意識。
ウ.身分制度によって固定された、変化しない役割意識。
エ.自然の秩序に完全に従属し、自己主張を一切しない人間のあり方。

第8問

次の中から、評論文で「主体」と対比的に用いられる語として最も適切なものを一つ選べ。

ア.客体 イ.自然 ウ.言語 エ.記号

第9問

次の文の空欄に入る語として最も適切なものを選べ。
「近代的な自然観においては、自然はしばしば人間が支配し利用する対象、すなわち(  )として捉えられ、人間の外部に置かれた存在とみなされてきた。」

ア.主体 イ.客体 ウ.他者 エ.記号

第10問

次の記述のうち、評論文における「言語による世界の分節」という考え方の説明として最も適切なものを一つ選べ。

ア.世界にはあらかじめ明確な区切りが存在しており、言語はそれをそのまま写し取っているだけである。
イ.言語が異なれば、同じ世界を切り分ける仕方(分節の仕方)も異なりうる。
ウ.言語は人間の思考や認識に一切影響を与えない、単なる記録の道具である。
エ.世界の分節の仕方はどの言語でも完全に一致しており、翻訳における意味のずれは存在しない。

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:イ.主体

近代以前は身分や家柄という与えられた枠組みが個人のあり方を規定していたのに対し、近代では個人が自らの理性と意思によって行動する「主体」として捉えられるようになった、という近代⇔前近代の対比が本問の核心です。「客体」は主体から働きかけられる対象を指すので逆の意味になり、選べません。「他者」「記号」は文脈上そもそも意味が通らず、消去法でも正解にたどり着けます。近代論の問題では、必ず「何と何が対比されているか」を意識して読むことが大切です。

第2問の解答と解説

解答:イ

評論文における「自己」と「他者」の関係論では、自己は他者との関わり(まなざし・言葉・承認など)を通じて初めて自己として意識される、という考え方が繰り返し登場します。アのように自己が独立完結した存在だとする説明は、この関係論の考え方と正反対です。ウは他者を単なる主観的産物に矮小化しており誤り、エは対立のみを強調しすぎて共通了解の可能性を否定しており不適切です。「自己は他者との関係のなかで成立する」という定義文の形を覚えておくと、選択肢の正誤判定がしやすくなります。

第3問の解答と解説

解答:イ

ソシュールの言語論の核心は「言語記号の恣意性」、すなわち音(シニフィアン)と意味(シニフィエ)の結びつきに必然性はなく、社会的な約束事にすぎないという考え方です。アはこの恣意性の考え方と正反対の内容なので誤り。ウ・エは、言語ごとに世界の分節の仕方が異なりうるというソシュール以降の言語論の常識に反しており、いずれも不適切です。「恣意性」という用語とセットで、この論点は必ず押さえておきましょう。

第4問の解答と解説

解答:イ

記号は、音声や文字など感覚でとらえられる形式である「シニフィアン(能記)」と、それが指し示す概念内容である「シニフィエ(所記)」の結合として成立します。この順番(形式が先、意味内容が後)を逆に覚えてしまう受験生が非常に多いので注意が必要です。ウ・エのように主体/客体や自己/他者に置き換える誤答は、記号論の枠組みと自己・他者論の枠組みを混同したときに生まれやすい間違いです。

第5問の解答と解説

解答:ア.人為(文化)

評論文で「自然」が論じられるとき、最も頻出する対比項は「人為」あるいは「文化」です。自然のままの状態と、人間の手が加わった状態(技術・制度・言語・都市など)を対比させることで、近代文明批判や環境論の議論が展開されることが多くあります。他者・記号・主体はいずれも別の対比軸(自己⇔他者、シニフィアン⇔シニフィエ、主体⇔客体)で使われる語であり、自然と対で使われる典型語ではありません。対比の軸を混同しないことがこの分野攻略の鍵です。

第6問の解答と解説

解答:ウ

傍線部は「自己は他者なくしては成立し得ない」という表現ですが、これは自己という概念そのものが、他者との関係を前提として初めて成立する、という構造的な逆説を述べたものです。アのような征服・支配の話にはすり替わっておらず誤りです。イは「本来独立しているはずなのに」という前提を勝手に付け加えており、本文の論理(そもそも自己は独立して存在しない)とずれています。エも「本来無関係であるべき」という前提が誤りで、本文の主張を正反対に読んでしまっています。傍線部説明問題では、傍線部の前提として何が否定・肯定されているかを丁寧に確認することが重要です。

第7問の解答と解説

解答:イ

「近代的自我」とは、共同体の伝統にただ従うのではなく、自らを判断の中心に据え、理性によって自律的に選択・行動しようとする個人の意識を指します。アは近代以前の共同体的なあり方の説明であり、近代的自我とは正反対の内容です。ウも身分制社会の説明で不適切、エは自然への従属を述べており、自我の自律性という近代的自我の核心と矛盾します。近代論の問題では、「自律」「理性」「主体性」といったキーワードが正解の選択肢に含まれやすいことを覚えておくと判断が速くなります。

第8問の解答と解説

解答:ア.客体

「主体」は働きかけ、認識し、判断する側を指し、「客体」はその働きかけ・認識の対象となる側を指します。この対概念は哲学・評論文で非常に頻出です。自然・言語・記号はいずれも別の対比軸で使われる語であり、「主体」と直接ペアになる基本語ではありません。主体/客体、自己/他者、シニフィアン/シニフィエという3つの対比軸を混同せず整理しておくことが、この単元の得点力を左右します。

第9問の解答と解説

解答:イ.客体

近代的な自然観では、自然は人間(主体)が観察・支配・利用する対象、すなわち「客体」として位置づけられてきました。この考え方は、近代科学技術の発展や環境破壊を批判する文脈でしばしば引き合いに出されます。「主体」は逆の立場になり誤りで、「他者」「記号」は文脈上の対比としては不自然です。近代の自然観を批判する評論文では、この主体/客体の図式そのものを問い直す論調が多いことも合わせて押さえておきましょう。

第10問の解答と解説

解答:イ

「言語による世界の分節」とは、あらかじめ世界に明確な区切りが存在しているのではなく、言語ごとに異なる仕方で世界を切り分けている、という考え方です。アは、世界に既存の区切りがあるという前提自体が誤りで、ソシュール以降の言語論と矛盾します。ウは言語が思考に影響を与えないとしており、分節という考え方そのものを否定してしまっています。エは翻訳における意味のずれを否定していますが、実際には言語間で分節の仕方が異なるためにずれが生じる、というのがこの論点の核心です。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回のキーワード群は、単語の意味を覚えるだけでは不十分で、必ず「何と何が対比されているか」というペアで覚えることが大切です。

藤原:その通りです。近代⇔前近代、自己⇔他者、主体⇔客体、シニフィアン⇔シニフィエ、自然⇔人為(文化)——このペアをセットで頭に入れておくと、初見の評論文でも「今この対比のどちら側の話をしているか」がすぐに判断できるようになります。

翔先生:選択肢問題では、対比の軸を取り違えた誤答(例えば「自然⇔他者」のような組み合わせ)が紛れ込みやすいので、常に「この語のペアは正しい対比軸か」を確認する癖をつけましょう。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は「近代・自己・他者・言語・記号・自然」という評論頻出概念について、定義と対比構造を中心に10問を通して確認しました。これらのキーワードは単独で覚えるのではなく、対になる概念とセットで整理することで、初めて評論文の論理展開を素早く追えるようになります。次回のキーワード演習もぜひ挑戦してみてください。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう

情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇

プレゼント付き公式LINEを友だち追加

こちらの記事もどうぞ!

LINEで無料情報を受け取る

オンライン授業の受講方法が分からない。
初めてで不安である、という方も気軽にご連絡ください。