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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】評論キーワード練習問題 第4回|10問一問一答と詳しい解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、キーワード編もいよいよ第4回ですね。今回はどんな概念を扱いますか。

翔先生:はい。「近代」「自己」「他者」「言語」「記号」「自然」という、評論文で本当によく出てくる6つの概念を中心に10問作りました。これらは単独で覚えるより、対比のペアで理解すると一気に頭に入ります。

藤原:たとえば「自己」は「他者」と対にして考える、「自然」は「文化」や「人為」と対にして考える、ということですね。

翔先生:その通りです。今回の問題を解くことで、評論文特有の「対比構造」を見抜く力と、抽象語の正確な定義を結びつける力の両方が身につきます。基礎レベルですが、入試現代文の土台になる大事な回なので、一問ずつじっくり取り組んでください。

問題(全10問)

第1問

次の文章の空欄に入る最も適切な語を、あとの選択肢から選びなさい。

「近代以前の社会では、人々は身分や共同体の伝統的な秩序の中に自分の生き方を委ねていた。それに対して( )社会では、個人が自らの理性によって物事を判断し、共同体の伝統から離れて自立的に生きることが理想とされるようになった。」

①中世 ②近代 ③古代 ④封建

第2問

「他者」という語の説明として、最も適切なものを一つ選びなさい。

①自分と同じ価値観を持つ、理解しやすい存在。
②自分の分身であり、自己意識の延長にすぎない存在。
③自分の理解の枠組みに完全には収まらない、異質性を持つ存在。
④自分が支配し、思い通りに動かせる存在。

第3問

次の文章の空欄に入る語を答えなさい。

「言葉の音(記号の形)とその意味との結びつきには、必然的な理由はなく、社会の中で慣習的に決められているにすぎない。このような言語と意味の関係の性質を、言語学では言語の( )性と呼ぶ。」

第4問

次のうち、「記号」の説明として誤っているものを一つ選びなさい。

①記号は、何らかの意味を指し示すために用いられるもの全般を指す。
②記号は必ず言葉(音声言語・文字言語)に限定され、それ以外の身体表現や図形は記号とは呼ばれない。
③交通標識や国旗も、社会的な約束事によって意味を伝える記号の一種である。
④記号としての言葉は、指し示す対象そのものではなく、対象を代理して意味を伝える働きを持つ。

第5問

「自然」と対比される概念として、評論文で最も一般的に用いられる語を一つ選びなさい。

①偶然 ②文化(人為) ③本能 ④野生

第6問

次の文章を読み、空欄に入る語を答えなさい。

「近代社会において、個人はもはや共同体の一部としてのみ存在するのではなく、独立した意志と判断能力を持つ主体として位置づけられるようになった。このような近代特有の自己のあり方を、評論文では『近代的( )』と呼ぶことが多い。」

第7問

「他者性」という語の意味として最も適切なものを一つ選びなさい。

①他人が自分に対して抱く好意的な感情。
②自分の思考や価値観の枠組みには収まらない、異質で予測不可能な性質。
③社会集団の中で共有される共通のルール。
④自分自身の中に潜む、まだ気づいていない一面。

第8問

次の文章の空欄に共通して入る語を答えなさい。

「私たちはものを直接そのままの姿でとらえているのではなく、あらかじめ習得している( )の分類や区切りを通してものを認識している。ある文化の( )に色を表す語が少なければ、その分だけ色の識別の仕方も変わってくると言われる。」

第9問

次の記述のうち、「自然」の説明として最も適切なものを一つ選びなさい。

①人間が意図的に作り出した制度や技術の総体。
②人間の手が加えられる以前から存在する、あるがままの状態やその法則。
③言語によって分節化された概念の集合。
④社会的な約束事によって成立する記号のしくみ。

第10問

次の文章の空欄に入る語を、あとの選択肢から選びなさい。

「近代科学は、自然を客観的に観察・分析し、その法則を解明することで、自然を人間の意図に沿って利用し、改変する対象として扱ってきた。このように自然を人間のために役立てようとする姿勢を、( )と呼ぶことがある。」

①自然崇拝 ②自然支配(自然の技術的支配) ③自然回帰 ④自然主義

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:②近代

本文は「伝統的な秩序に生き方を委ねる」社会と「個人が理性で自立的に判断する」社会を対比しています。この対比は、評論文における「前近代(伝統社会)」対「近代(個人主義社会)」という定番の構図そのものです。「近代」とは単に時代区分ではなく、個人の理性と自立を重視する価値観を指す語である点を押さえましょう。「中世」「古代」「封建」はいずれも前近代側の語であり、対比の後半に入れると意味が通らなくなる点に注意してください。

第2問の解答と解説

解答:③自分の理解の枠組みに完全には収まらない、異質性を持つ存在。

評論文における「他者」は、単なる「自分以外の人」という日常的な意味ではなく、「自分の価値観や論理では完全には理解し尽くせない異質な存在」という含みで使われることが多いです。①のように「理解しやすい存在」とすると、むしろ「自己の延長」に近づいてしまい、他者概念の核心である「わからなさ」が失われます。②・④は他者を自己に従属させる発想であり、他者の異質性・独立性を否定してしまうため誤りです。

第3問の解答と解説

解答:恣意(しい)

言語の音と意味の結びつきに必然的な理由がなく、社会的な約束事にすぎないという性質を「言語の恣意性」と呼びます。たとえば「犬」という音が犬という動物を指すのは必然ではなく、日本語社会での慣習にすぎません。この概念は「記号」の性質を説明する際にも頻出するため、第4問とセットで理解しておくことが大切です。漢字を「恩意」「思意」などと誤記しないよう注意してください。

第4問の解答と解説

解答:②

「記号」は言葉に限定されず、身振り・表情・図形・標識・音など、何かの意味を代理して伝えるもの全般を広く指す概念です。①・③・④は記号の一般的な説明として正しく、特に③の交通標識や国旗の例は「記号は社会的な約束によって意味を持つ」という記号の本質をよく示しています。②のように記号を言語のみに限定してしまうのは誤りで、この点は評論文で「記号」の定義を問う設問の頻出の誤答パターンです。

第5問の解答と解説

解答:②文化(人為)

評論文で「自然」が用いられるとき、最も定番の対比相手は「文化」あるいは「人為」です。「自然のまま」と「人間の手が加わったもの」という構図で、自然/文化の二項対立が繰り返し登場します。①「偶然」は「必然」と対になる語であり、③「本能」・④「野生」はいずれも自然の側に含まれる語であるため、対比の相手としては不適切です。選択肢の中で自然と正反対の位置に立つのは②のみである点を確認しましょう。

第6問の解答と解説

解答:自我

「共同体から独立し、自らの意志と判断で生きる主体」という近代特有の自己のあり方は、「近代的自我」という定型句で表されます。評論文では「近代的自我の確立」「近代的自我の孤独」といった形でよく使われるため、フレーズごと覚えておくと本文理解が早くなります。「自己」でも意味は近いですが、この定型句としては「自我」が正解であり、両者の使い分けを意識しておきましょう。

第7問の解答と解説

解答:②自分の思考や価値観の枠組みには収まらない、異質で予測不可能な性質。

「他者性」は「他者」という存在そのものではなく、他者が持つ「わからなさ」「異質さ」という性質を指す抽象名詞です。第2問の「他者」と対応させて、名詞(存在)と性質(〜性)の違いを整理しておくと混乱しません。①は感情の話にすぎず、③はルール、④は自己の内面の話であり、いずれも「他者性」の核心である異質性・予測不可能性とは異なります。

第8問の解答と解説

解答:言語

この文章は「言語がものの認識の枠組みを与える」という、いわゆる言語相対論的な考え方を説明したものです。私たちは世界をあるがままに知覚しているのではなく、自分が使う言語の分類体系を通して世界を切り分けて認識している、という発想です。色の語彙の例は、この考え方を説明する際の代表的な具体例としてよく使われます。空欄には「文化」なども思いつきやすいですが、「分類や区切り」「色を表す語」という記述から、より直接的には「言語」が正解となります。

第9問の解答と解説

解答:②人間の手が加えられる以前から存在する、あるがままの状態やその法則。

「自然」とは、人間の意図や技術によって作り出されたものではなく、もともとそこにある、あるがままの状態やその法則を指す概念です。①は「文化・制度・技術」の説明であり、③・④は「言語」「記号」の説明であるため、いずれも自然の対概念にあたります。選択肢を見て「自然」と紛らわしい語(文化・言語・記号)の説明が並べられている点に注意し、それぞれの定義を正確に区別しましょう。

第10問の解答と解説

解答:②自然支配(自然の技術的支配)

近代科学が自然を客観的な観察・分析の対象とし、法則を解明して人間の利益のために利用・改変してきた姿勢は、「自然支配」あるいは「自然の技術的支配」と呼ばれます。これは第5問・第9問で扱った「自然」概念と、「近代」概念(第1問・第6問)が結びついた発展的な内容です。①「自然崇拝」や③「自然回帰」は自然を敬い従う姿勢であり、近代科学の姿勢とは正反対である点に注意してください。④「自然主義」は文学史上の用語であり、この文脈にはあてはまりません。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回のポイントは、キーワードを「単語カード」のように単独で覚えず、必ず対になる語とセットで覚えることです。近代⇔前近代、自己⇔他者、自然⇔文化(人為)というように、ペアで整理すると評論文の対比構造が一気に見えるようになります。

藤原:そうですね。特に「言語」「記号」は、ソシュール的な考え方に触れる評論で頻出します。「言語は世界をそのまま写すのではなく、区切ることで意味を作り出す」という発想を一度自分の言葉で説明できるようになると、初見の評論文でも動じなくなりますよ。

翔先生:語彙は覚えるだけでなく、必ず「対比の相手は何か」「この語は名詞か性質を表す語か」を確認する習慣をつけましょう。それだけで読解の精度がぐっと上がります。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は「近代・自己・他者・言語・記号・自然」という評論頻出のキーワードを、定義と対比の両面から練習しました。抽象語は一つひとつ正確に定義を押さえ、必ず対になる概念とセットで理解することが、評論文読解力を伸ばす近道です。次回のキーワード編もぜひ挑戦してみてください。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
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