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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】評論キーワード練習問題 第5回|10問一問一答と詳しい解説

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数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

はじめに

藤原:翔先生、評論キーワード練習問題も第5回になりましたね。今回のテーマは「近代・自己・他者・言語・記号・自然」です。

翔先生:はい。この6つの概念は、評論文の中でセットのように出てきますよね。「近代になると、共同体から切り離された個人が現れた」とか、「言語は現実をそのまま写すのではなく、恣意的に分節化する」といった話です。

藤原:そうですね。単語の意味を覚えるだけでは点数になりません。「何と対比されているか」「どういう文脈で使われる語か」まで押さえることが大切です。

翔先生:今回の10問を通じて、「近代⇔前近代」「自己⇔他者」「自然⇔文化(人為)」といった対比の型を身につけましょう。

藤原:それでは、さっそく問題にチャレンジしてみてください!

問題(全10問)

第1問

「近代」という概念を評論文で読み解くとき、最も基本となる対比はどれか。次の中から最も適切なものを選べ。

①都会と田舎 ②近代と前近代(中世・共同体社会) ③理性と感情 ④科学と芸術

第2問

次の文の空欄に入る最も適切な語を選べ。

「近代社会において、人間は共同体の慣習ではなく、自らの理性に基づいて判断し行動する( )として捉えられるようになった。」

①客体 ②主体 ③媒体 ④他者

第3問

評論文における「他者」の説明として最も適切なものを選べ。

①自分と全く同じ考えを持つ人物
②自分の分身のような存在
③自分の理解や予測を超えた、異なる存在としての人
④自分に従属する存在

第4問

言語の性質について、次のうち最も適切な説明を選べ。

①言葉の音(記号の形)と意味の結びつきには必然的な理由がある
②言葉の音(記号の形)と意味の結びつきは社会的な約束事にすぎず、必然的な理由はない
③すべての言語は同じ音で同じ意味を表す
④言語は思考とは無関係に存在する

第5問

「記号」の説明として最も適切なものを選べ。

①意味するもの(シニフィアン)と意味されるもの(シニフィエ)が結びついたもの
②意味を持たない単なる音の集まり
③自然界にのみ存在するもの
④他者を排除するための道具

第6問

次の文の空欄に入る語を、漢字二字で答えよ。

「近代科学は、人間が作り出した文化や制度ではなく、( )を対象化し、解明・支配しようとする人間中心主義的な発想に基づいていた。」

第7問

「自然」と対比される語として最も適切なものを選べ。

①文化(人為) ②社会 ③言語 ④他者

第8問

「自己」と「他者」の関係についての記述のうち、最も適切なものを選べ。

①自己は他者と関わることなく、単独で完成する
②自己は他者との関係の中で、自己自身を問い直し形成していく
③他者は常に自己に敵対する存在である
④自己と他者は本質的に同一である

第9問

言語が人間の思考のあり方に影響を与えるという考え方を何と呼ぶか、最も適切なものを選べ。

①言語相対論(言語決定論)的な考え方
②記号論の完全否定
③自然主義
④実存主義

第10問

次の文章を読み、傍線部の内容として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)

「近代以前の人々は、共同体の慣習や信仰という大きな枠組みの中で自己の役割を疑うことなく生きていた。しかし近代になると、個人は共同体から切り離され、自らの理性によって世界や自己のあり方を選択しなければならない存在となった。この変化は、人間に自由をもたらす一方で、拠り所を失った孤独と不安をも生み出した。」

①共同体という支えを失い、自分自身で意味や価値を選び取らねばならなくなったことへの不安
②近代科学の発展によって、宗教が完全に消滅したことへの不安
③個人が他者と一切関わらなくなったことへの不安
④理性そのものが否定されたことへの不安

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:②

評論文における「近代」は、共同体の慣習や身分制度に従って生きていた前近代社会と対比されることで、その特徴が明確になる。近代は、個人が理性に基づいて自律的に判断・行動する社会として描かれることが多い。①③④はいずれも近代論の中心的な対比軸ではなく、消去法でも②が残る。近代を単に「今の時代」と捉えると、前近代との対比という視点を見落としやすいので注意したい。

第2問の解答と解説

解答:②

「主体」とは、自ら判断し行動する存在を指す。近代的自我の中心概念であり、共同体の慣習に従うのではなく、理性によって自己決定する人間像を表す。「客体」は主体によって認識・操作される対象であり、主体とは対をなす語として覚えておくと、他の設問でも応用できる。①④を選んでしまうと、能動性と受動性の区別を取り違えていることになる。

第3問の解答と解説

解答:③

「他者」は、自己の理解や予測を超えた、異質な存在として評論文に登場することが多い。自己は、この他者と出会い、自分の枠組みが通用しないことに気づくことで、自己を問い直していく。①②のように「自分と同じ・自分の分身」と考えると、他者の本質である「異質性」を取り落としてしまう。④の「従属する存在」も他者の定義とは異なる誤答である。

第4問の解答と解説

解答:②

言語記号における、意味するもの(音や文字)と意味されるもの(概念)の結びつきは、必然的な理由に基づくものではなく、社会的な約束事(恣意的な結びつき)にすぎない。例えば「犬」という音と実際の動物の間に、論理的な必然性はない。①や③は言語の恣意性を否定してしまう誤答であり、④は言語が思考の枠組みを形作るという考え方(第9問参照)と矛盾するため誤りとなる。

第5問の解答と解説

解答:①

記号とは、何かを指し示す形式(シニフィアン)と、それによって示される内容・概念(シニフィエ)とが結びついたものである。言語はその代表的な記号体系であり、評論文で「記号」という語が出てきたら、この二層構造を思い出すとよい。②のように意味を欠いたものは記号とはいえず、③④は記号の本質的な定義から外れる誤答である。

第6問の解答と解説

解答:自然

近代科学は、人間が作り出した文化や制度ではなく、人間の手が加わっていない「自然」を対象化し、解明・支配しようとする発想に基づいていた。これは、自然を人間中心の視点から利用可能な対象とみなす発想であり、しばしば評論文で近代の問題点として批判的に取り上げられる。空欄補充では、前後の「対象化し、解明・支配しようとする」という表現から、文化ではなく自然が入ると判断できる。

第7問の解答と解説

解答:①

「自然」は、人間の手が加わっていない状態を指し、人間が作り出した「文化(人為)」と対比される語である。近代以降、自然は科学技術によって支配・利用される対象として扱われるようになったという文脈で頻出する。②の「社会」は自然と対立する概念というより、人間集団のあり方を指す語であり、③④も自然の対義語としては不適切である。

第8問の解答と解説

解答:②

多くの評論文では、自己は他者と単独で切り離されて存在するのではなく、他者との関わりの中で初めて自己の輪郭を認識し、自己自身を問い直し続ける存在として描かれる。①のように単独で完成すると考えると、他者との相互形成的な関係を否定してしまう。③のように他者を常に敵対的な存在とするのも一面的であり、④のように自己と他者を同一とみなすのも他者の異質性(第3問参照)を無視した誤りである。

第9問の解答と解説

解答:①

言語が人間のものの見方や思考の枠組みを規定するという考え方は、言語相対論(言語決定論)と呼ばれる立場に近い。評論文では「その言葉がなければ、その概念を明確に思考することはできない」といった形で論じられることが多く、言語の恣意性(第4問)とセットで理解しておくとよい。②③④はこの文脈とは異なる概念であり、選択肢の語感だけで判断すると誤りやすいので注意したい。

第10問の解答と解説

解答:①

本文は、近代化によって共同体という拠り所(役割や規範を与えてくれる枠組み)を失い、自らの理性で自己や世界の意味を選び取らねばならなくなったという「近代的自我」の孤独を述べている。傍線部「拠り所を失った孤独と不安」は、まさにこの状況を指す表現である。②は本文に書かれていない内容の飛躍、④は「理性そのものが否定された」という記述がなく誤り、③も「他者と一切関わらなくなった」とは本文に書かれておらず、いずれも根拠のない選択肢として排除できる。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回のキーワードは、単独で覚えるより「対」で覚えるのがコツですね。近代⇔前近代、主体⇔客体、自己⇔他者、自然⇔文化(人為)というように、必ずペアで頭に入れておくと、本文にどちらか一方しか出てこなくても、もう一方を補いながら文脈を読むことができます。

藤原:その通りです。加えて、評論文でこれらのキーワードが出てきたら、「筆者はこの語をプラスに使っているのか、マイナスに使っているのか」を必ずチェックしてほしいですね。例えば「近代」は、自由をもたらした点ではプラスに、共同体の絆を失わせた点ではマイナスに、両面から語られることが非常に多いです。

翔先生:言語や記号についても同じですね。「言語は世界をありのままに写す道具だ」という素朴な考え方を、評論文はしばしば否定します。「言語は現実を恣意的に切り取り、意味づけているにすぎない」という立場を前提として文章が展開されることが多いので、この転換を意識できるかどうかで読解のスピードが変わってきます。

藤原:最後にもう一つ。自己と他者の関係は、「自己完結できない」「他者によって初めて自己が立ち上がる」という発想が現代評論の定番です。この視点を持っておくだけで、抽象的な文章の主旨がぐっとつかみやすくなりますよ。

翔先生:今回学んだ6つのキーワードは、次回以降の評論問題でも繰り返し登場します。一問一答で終わらせず、自分の言葉で「近代とは何か」「他者とは何か」を説明できるようにしておくと、記述問題にも強くなりますよ。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は、評論文頻出の6つのキーワード「近代・自己・他者・言語・記号・自然」について、定義と対比構造を中心に10問の一問一答形式で確認しました。それぞれの語を単独で覚えるのではなく、「近代⇔前近代」「主体⇔客体」「自己⇔他者」「自然⇔文化(人為)」というペアで理解し、さらに文脈の中でプラス・マイナスどちらの評価が与えられているかを意識することが、評論文読解力を伸ばす近道です。ぜひ今回の10問を繰り返し解き直し、自分の言葉で各キーワードを説明できるレベルまで定着させてください。

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