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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】評論キーワード練習問題 第6回|10問一問一答と詳しい解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、今回は評論キーワードシリーズの第6回ですね。テーマは「近代・自己・他者・言語・記号・自然」。

翔先生:はい。この6つは評論文で単独でも組み合わせでも頻出です。特に「自己と他者」「言語と記号」「自然と人為(文化)」という対比構造を理解しているかどうかで、読解のスピードと正確性がまったく変わってきます。

藤原:今回は定義そのものを問う問題と、対比構造を見抜く問題をバランスよく用意しました。10問解き終わる頃には、評論文でこれらの語が出てきたときに「ああ、あの対比構造だな」とすぐ反応できるようになるはずです。

翔先生:解答は必ず一つに定まるように作ってありますので、迷ったら本文の論理を丁寧に追ってみてください。それでは始めましょう。

問題(全10問)

第1問

次の説明のうち、評論文における「近代的自我」の説明として最も適切なものを一つ選べ。

ア.共同体の慣習や身分秩序に従うことを最優先し、個人の意志よりも集団の和を重視する自我のあり方。
イ.神や絶対的権威への信仰を土台とし、自らの判断よりも教義に従うことを是とする自我のあり方。
ウ.自らを理性的な判断主体として捉え、伝統や共同体の拘束から独立した個人として自己を規定しようとする自我のあり方。
エ.自然の摂理と一体化し、自他の区別を持たずに世界と融合しようとする自我のあり方。

第2問

評論文で「自己」と対をなす概念として最も適切な語を、次の中から一つ選べ。

ア.主体 イ.他者 ウ.個体 エ.内面

第3問

次の文章を読み、空欄に入る最も適切な語を答えよ。

「私たちは他者を、自分と同質の存在として理解しようとする。しかし他者とは本来、自分の理解の枠組みには収まりきらない(   )を抱えた存在である。」

第4問

「記号」の説明として誤っているものを一つ選べ。

ア.記号は、何らかの意味内容(意味されるもの)と、それを指し示す形式(意味するもの)との結びつきから成り立つ。
イ.言語における音や文字と、それが指し示す意味との結びつきは、多くの場合、必然的な理由を持たない恣意的なものである。
ウ.記号はすべて、自然界に実在する事物そのものと一対一で完全に一致しており、解釈の余地を持たない。
エ.同じ記号であっても、文化や文脈が異なれば、指し示す意味の内容や範囲が変化することがある。

第5問

次の一文の空欄に入る最も適切な語を答えよ。

「人間は言語を用いて世界を分節し、名付ける。この考え方に立てば、言語は単に既にある事物を指し示す道具なのではなく、言語そのものが世界の(   )の仕方を規定していると言える。」

第6問

評論文において「自然」と対比的に語られることが多い語として、最も適切なものを一つ選べ。

ア.風景 イ.人為(文化) ウ.生命 エ.環境

第7問

次の説明のうち、「主体」と「客体」の関係の説明として最も適切なものを一つ選べ。

ア.主体とは対象を認識し働きかける側であり、客体とは主体によって認識され、働きかけられる対象のことである。
イ.主体と客体は常に同一のものを指し、両者に区別はない。
ウ.客体とは自らの意志で判断し行動する存在であり、主体はその客体によって観察される側である。
エ.主体と客体という区別は、近代以前の思想には一切存在しなかった概念である。

第8問

次の文章の空欄に入る最も適切な語を答えよ。

「近代社会において、人間は自らの労働の産物や、自らが作り出した制度・技術によって、かえって自分自身から切り離され、支配されているように感じることがある。このような状態を(   )と呼ぶ。」

第9問

次のうち、「近代」という概念の一般的な特徴として最も適切でないものを一つ選べ。

ア.理性による合理的な思考を重視する傾向が強まる。
イ.個人が共同体の一員としてではなく、独立した単位として捉えられるようになる。
ウ.科学技術の発展により、自然は人間が支配・利用する対象として捉えられやすくなる。
エ.身分制度や共同体の規範が、個人の判断よりも常に優先される社会秩序が強化される。

第10問

次の文章を読み、筆者の主張として最も適切なものを一つ選べ。

「私たちは他者を理解しようとするとき、しばしば自分の物差しで測ろうとする。しかし真に他者と向き合うとは、その他者を自分の理解の枠組みに回収せず、自分にはわかりきらない存在として、そのまま尊重することではないか。」

ア.他者とは最終的に自己と完全に同化しうる存在である。
イ.他者理解とは、自分の枠組みを他者に当てはめることによってのみ達成される。
ウ.真の他者理解には、他者の異質性や理解しきれなさを認めることが含まれる。
エ.他者とは、自己にとって無関係で関わる必要のない存在である。

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:ウ

「近代的自我」とは、共同体の慣習や身分秩序、宗教的権威などの外的拘束から独立し、自らの理性によって判断し行動しようとする個人のあり方を指します。アは前近代的な共同体主義、イは中世的な信仰中心の自我、エは自他未分化な状態であり、いずれも近代的自我の説明にはなりません。評論文では「近代的自我」が前近代の共同体的自己や、近代批判としての「自我の解体」と対比される点に注意しましょう。特にウの「理性的な判断主体」「独立した個人」という二つの要素をセットで覚えておくと、選択肢の誤りを見抜きやすくなります。

第2問の解答と解説

解答:イ

評論文で「自己」が語られるとき、最も基本的な対比項は「他者」です。自己は他者との関係の中で初めて自己として認識される、という論理が頻出パターンです。ア「主体」やウ「個体」は自己と近い意味で使われることもあり、対比項としては不適切です。エ「内面」は自己の内部を指す語であり、対概念ではありません。「自己と他者」は評論文の最頻出対比の一つなので、必ずセットで覚えておきましょう。

第3問の解答と解説

解答:異質性(または「他者性」)

他者論において重要なのは、他者を自分と同じ理解の枠組みで完全に把握できる存在としてではなく、自分の理解を超える異質性・他者性を持つ存在として捉える視点です。この空欄には「異質性」「他者性」「わかりえなさ」といった語が入ります。受験生がよく間違えるのは、「共通点」「類似性」といった、他者を自己に引き寄せる方向の語を入れてしまうことです。文脈が「自分の理解の枠組みには収まりきらない」となっている以上、答えは自己から遠ざかる方向の語でなければなりません。

第4問の解答と解説

解答:ウ

ウが誤りです。記号は「意味するもの(シニフィアン)」と「意味されるもの(シニフィエ)」の結びつきから成り立ちますが、この結びつきは多くの場合、恣意的なものであり、事物そのものと一対一で必然的に一致するわけではありません。また、記号の意味は文脈や文化によって変化しうるため、「解釈の余地を持たない」という説明も誤りです。ア・イ・エは記号論の基本的な説明として正しく、この中で「必然性」「一対一対応」「解釈の余地なし」という強い断定表現が含まれる選択肢は誤りである可能性が高いと判断できます。

第5問の解答と解説

解答:分節(または「認識」「意味づけ」)

言語は既に存在する事物にラベルを貼るだけの道具ではなく、言語そのものが世界をどのように区切り、意味づけるかを規定しているという考え方があります。これは言語論において重要な視点で、「世界の分節の仕方」という表現がよく使われます。受験生は「言語=道具」という素朴な理解にとどまりがちですが、評論文ではむしろ「言語が世界の認識のあり方そのものを形作る」という逆転した発想が問われることが多いので注意しましょう。

第6問の解答と解説

解答:イ

評論文で「自然」が語られるとき、最も基本的な対比項は「人為」または「文化」です。自然のままの状態と、人間が手を加えた状態という対比構造が頻出です。ア「風景」やエ「環境」は自然と近い意味で使われることもあり、明確な対比項とは言えません。ウ「生命」も自然と対立しません。「自然と人為」「自然と文化」という対比は環境論や近代批判の文章で繰り返し登場するため、必ず押さえておきましょう。

第7問の解答と解説

解答:ア

「主体」は対象を認識し、働きかける側であり、「客体」はその対象となる側です。イは両者を同一視しており誤り、ウは主体と客体の役割を逆転させており誤りです。エについては、主体・客体という区別自体は近代哲学において明確化・強調された概念ですが、「近代以前には一切存在しなかった」と断定するのは言い過ぎであり誤りです。評論文では「主体的に世界を認識する近代人」と「客体として扱われる自然や他者」という構図がしばしば批判的に語られる点も押さえておきましょう。

第8問の解答と解説

解答:疎外

「疎外」とは、人間が自らの生み出したもの(労働の産物、制度、技術など)によって、かえって自分自身から切り離され、支配されているように感じる状態を指す概念です。近代社会批判の文脈で頻出のキーワードであり、マルクス以降の思想でよく用いられる語として知られています。受験生が混同しやすいのは「孤独」や「疎遠」といった語ですが、「疎外」は単なる感情ではなく、自分が作り出したものによって自分自身が支配される構造を指す点が特徴です。この構造的な意味の違いを理解しておきましょう。

第9問の解答と解説

解答:エ

エが「近代」の特徴として不適切です。近代社会は、身分制度や共同体の規範よりも、個人の理性的判断や自由意志が重視される方向へと変化していく過程として語られることが一般的です。「身分制度や共同体の規範が個人の判断よりも常に優先される」という説明は、むしろ前近代社会の特徴であり、近代とは逆方向の内容です。ア・イ・ウはいずれも近代の一般的特徴として評論文で頻出する内容なので、正しい記述として押さえておきましょう。

第10問の解答と解説

解答:ウ

この文章は、他者を自分の理解の枠組みに回収せず、理解しきれない存在としてそのまま尊重することの重要性を述べています。アは他者と自己の完全な同化を肯定しており、本文の趣旨と正反対です。イは「自分の枠組みを当てはめること」を肯定していますが、本文はむしろそれを批判的に捉えています。エは他者への無関心を肯定しており、本文の主張とは異なります。ウのみが、他者の異質性・理解しきれなさを認めるという本文の主張と一致します。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回のキーワードは、単独で覚えるよりも「何と対比されるか」をセットで覚えるのがコツですね。自己⇔他者、自然⇔人為(文化)、主体⇔客体。この対比の型が頭に入っていると、初見の評論文でも構造がすぐ見えてきます。

藤原:その通りです。さらに「近代」というキーワードは、これらすべての概念の土台になっています。近代化によって自己が確立し、自然が対象化され、主体と客体が分離していく——このつながりを意識して読むと、評論文全体のテーマがぐっと掴みやすくなりますよ。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は「近代・自己・他者・言語・記号・自然」という評論頻出概念について、定義と対比構造を中心に10問を通して確認しました。これらのキーワードは単独の設問だけでなく、評論文全体の論理構造を読み解く土台となります。ぜひ繰り返し復習し、初見の文章でも対比構造をすぐに見抜けるようにしていきましょう。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
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