数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
藤原:今回から「課題文要約」の演習シリーズを始めます。要約は小論文・作文の土台になる力ですが、多くの受験生が「なんとなく」でやってしまい、点数が伸びません。
翔先生:そうですね。要約でよく減点されるのは、①自分の意見を混ぜてしまう、②具体例をそのまま書き写してしまう、③筆者の結論を落としてしまう、の3つです。今回はこの3つを意識しながら、10本の短い課題文で練習していきましょう。
藤原:この記事を解き終わる頃には、「対比構造」「譲歩構造」「因果構造」という3つの型を見抜く目が身についているはずです。それでは早速、問題に挑戦してみてください。
問題(全10問)
第1問
次の文章を40字以内で要約しなさい。
インターネットの普及によって、私たちは知りたい情報を瞬時に手に入れられるようになった。しかし、検索して得た知識は断片的であり、体系立てて理解する力は身につきにくい。一冊の本をじっくり読み通す経験こそが、物事を筋道立てて考える力を養う。
第2問
次の文章を50字以内で要約しなさい。
伝統を守ることと、新しいものを取り入れることは、対立するように見える。だが実際には、伝統の本質を理解している者ほど、大胆に変化を受け入れることができる。形だけを真似る者は、変化を恐れて型に固執してしまうのである。
第3問
次の文章を45字以内で要約しなさい。
睡眠時間を削って勉強する受験生は少なくない。しかし脳科学の研究によれば、記憶の定着には睡眠が不可欠であり、睡眠不足は学習内容の定着を著しく妨げる。したがって、勉強時間を増やすより、十分な睡眠を確保するほうが学習効率は高まる。
第4問
次の文章を50字以内で要約しなさい。
たしかにAIは膨大なデータから最適解を導き出すことに長けている。しかし、人間の創造性とは、これまで存在しなかった価値観や問いそのものを生み出す力である。AIが優れた道具であっても、新しい問いを立てるのは依然として人間の役割である。
第5問
次の文章を55字以内で要約しなさい。
ある地方では「ありがとう」を「だんだん」と言い、別の地方では「おおきに」と言う。こうした方言の違いは単なる言葉の差ではなく、その土地の暮らしや人間関係のあり方を映し出している。方言を学ぶことは、その地域の文化を学ぶことでもある。
第6問
次の文章を50字以内で要約しなさい。
個人主義の社会では、自分の意見をはっきり述べることが評価される。一方、集団主義の社会では、周囲との調和を保つことが重んじられる。どちらが優れているというわけではなく、それぞれの社会が積み重ねてきた価値観の違いにすぎない。
第7問
次の文章を45字以内で要約しなさい。
気候変動の原因は工場や自動車の排出だけではない。私たち一人ひとりの日常的な消費行動、たとえば食品の廃棄や過剰な包装も、温室効果ガスの増加に関わっている。地球規模の問題は、個人の小さな習慣の積み重ねから生まれている。
第8問
次の文章を50字以内で要約しなさい。
業務の効率化は多くの現場で歓迎されている。もちろん無駄を省くことは重要である。しかし効率だけを追求すると、丁寧さや配慮といった、数値化しにくい価値が失われやすい。効率と丁寧さのバランスを取ることこそが、真に質の高い仕事につながる。
第9問
次の文章を55字以内で要約しなさい。
ある陶芸職人は、若い弟子に技術を口頭で説明することをほとんどしない。弟子はただ師匠の手の動きを見て、何年もかけて体で覚えていく。このように言葉にできない技術は、繰り返し模倣する中でしか継承されない知恵である。
第10問
次の文章を60字以内で要約しなさい。
人は言葉を使って考えていると思われがちだが、実際には思考が先にあり、それを言葉が後から整理しているにすぎないという見方もある。しかし逆に、適切な言葉を持たない人は、自分の考えを曖昧なままにしてしまいがちである。言葉と思考は互いに深く影響し合っている。
解答・解説
第1問の解答と解説
解答例:検索で得る知識は断片的だが、読書は筋道立てて考える力を養う。(32字)
この文章は「検索」と「読書」を対比させ、後者を評価する構造になっています。前半の「便利さ」の説明だけを抜き出すと、筆者の主張である「考える力」の部分が抜け落ちてしまいます。要約では必ず、対比の後半にある筆者の結論を残すことが重要です。字数が限られる場合は、前半の説明を短く圧縮し、結論部分を優先して書きましょう。
第2問の解答と解説
解答例:伝統の本質を理解する者ほど変化を柔軟に受け入れられる。(27字)
「対立するように見えるが、実は…」という譲歩構造の典型例です。冒頭の「対立するように見える」は導入にすぎず、筆者が本当に言いたいのは「だが実際には」以降の部分です。多くの受験生がここで前半の対立の説明だけを書いてしまい、減点対象になります。逆接の接続詞「だが」の後ろに主張が来る、という原則を覚えておきましょう。
第3問の解答と解説
解答例:睡眠不足は記憶定着を妨げるため、睡眠確保が学習効率を高める。(30字)
この文章は「原因(睡眠不足)→結果(学習効率低下)」という因果構造に加え、「したがって」という結論の合図が明示されています。要約問題では、この「したがって」「そのため」などの結論マーカーの直後を必ず要約に含めることが鉄則です。脳科学の研究という具体例部分は根拠として重要ですが、字数が少ない場合は思い切って省略して構いません。
第4問の解答と解説
解答例:AIは最適解を出せるが、新しい問いを立てるのは人間の役割である。(32字)
「たしかに…しかし…」という典型的な譲歩構造です。「たしかに」の後ろは筆者が一時的に認める内容であり、本論ではありません。要約では「たしかに」部分を最小限に圧縮し、「しかし」以降の主張を厚く書くのがコツです。ここで両方を同じ分量で書いてしまうと、主張が曖昧になり減点されます。
第5問の解答と解説
解答例:方言の違いはその土地の暮らしや文化を映し出しており、学ぶ意義がある。(33字)
具体例(「だんだん」「おおきに」)から一般論を導く「具体→抽象」型の文章です。要約では具体例をそのまま書き写すのは誤りで、具体例が示している一般的な主張を自分の言葉でまとめる必要があります。この問題では「方言の違い=文化の違い」という筆者の一般化部分こそが要約の中心になります。
第6問の解答と解説
解答例:個人主義と集団主義は優劣ではなく、社会ごとの価値観の違いにすぎない。(33字)
対比構造ですが、この問題では「どちらが優れているわけではない」という筆者の評価が結論部分にあたります。対比の内容(自己主張/調和)を並べるだけで終わると、筆者が最も伝えたい「優劣ではない」という視点が抜け落ちてしまいます。対比文章では、対比そのものより「対比の後にどう評価しているか」を探すことが大切です。
第7問の解答と解説
解答例:気候変動は個人の日常的な消費習慣の積み重ねからも生じている。(29字)
「工場や自動車だけではない」という否定から入り、個人の消費行動という新しい原因を提示する構造です。最初の否定部分(工場や自動車)は要約に含める必要はなく、筆者が本当に伝えたい「個人の習慣も原因である」という部分を中心にまとめます。具体例の「食品廃棄」「過剰包装」は例示であり、そのまま書くと字数オーバーになりやすいので注意しましょう。
第8問の解答と解説
解答例:効率だけを追求せず、丁寧さとのバランスが質の高い仕事につながる。(32字)
「もちろん…しかし…」の譲歩構造に加え、最後に「バランスが大切」という統合的な結論が置かれています。この場合、単に対立させるだけでなく、両者を統合する最終的な主張まで拾う必要があります。「しかし」以降だけを書いて終わると、筆者が提示した「バランス」という着地点を見落とすことになるため注意してください。
第9問の解答と解説
解答例:言葉にできない技術は、模倣を繰り返す中でしか継承されない。(29字)
陶芸職人と弟子の具体的なエピソードから、「言葉にできない知恵は模倣でしか継承されない」という一般論を導く文章です。エピソードの詳細(陶芸、手の動き)は要約に不要で、そこから読み取れる一般的な法則こそが要約の核になります。具体例を安易に残すと字数を圧迫し、結論部分が書けなくなる典型的な失敗例です。
第10問の解答と解説
解答例:思考が言葉を作る面もあるが、言葉が思考を明確にする面もあり、両者は影響し合う。(38字)
この文章は「一方の見方→逆の見方→統合」という三段構造になっており、10問の中でも最も構造が複雑です。「思考が先」という説と「言葉がないと考えが曖昧になる」という説の両方を落とさず、最後の「互いに影響し合う」という統合的な結論で締めくくることが求められます。片方の説だけを書くと、筆者の主張を半分しか伝えられていないことになり、大きな減点につながります。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:10問通してみると、要約でつまずくポイントは共通していましたね。
藤原:そうですね。大きく分けると次の3つです。
①逆接(しかし・だが)の後ろに本当の主張があること。②具体例はそのまま書かず、そこから読み取れる一般論に変換すること。③「したがって」「つまり」などの結論マーカーを見逃さないこと。この3点を意識するだけで、要約の精度は大きく変わります。
翔先生:字数が短いほど、何を削って何を残すかの判断力が問われます。まずは「筆者の結論はどこか」を一文で探し出す練習から始めるのがおすすめです。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は課題文要約の基本である「対比構造」「譲歩構造」「因果構造」「具体→抽象構造」を扱った10問を解いていただきました。要約は一朝一夕では身につきませんが、型を意識して繰り返し練習することで、確実に力がついていきます。次回の演習02では、より長い文章と、原因と結果が複雑に絡み合った課題文に挑戦していきます。
日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。
💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう
情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇
プレゼント付き公式LINEを友だち追加