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入試小論文の「テーゼ(主張)」を立てる技術|揺るぎない論を作る方法

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はじめに|テーゼを制する者が小論文を制する

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

突然ですが、あなたはこんな経験はありませんか?

  • 「書き始めたら途中で何が言いたいかわからなくなった」
  • 「採点官に『主張がぼやけている』と指摘された」
  • 「結論は書けたけど、なぜか説得力が弱い気がする」

これらはすべて、「テーゼ(主張)」の立て方に問題があることから起きています。

入試小論文において、テーゼとは「あなたがこの論文で一貫して主張する核心的な命題」のことです。これが揺らいでいると、どれだけ字数を埋めても、どれだけ流麗な文章を書いても、採点官の心には刺さりません。

この記事では、入試小論文のテーゼを正確に・力強く立てるための技術を、塾現場のリアルなエピソードや具体的な例文を交えながら徹底解説します。読み終わった後には「今すぐ実践できる」状態になることを約束します。

翔先生、よろしくお願いします!

翔先生:はい、よろしくお願いします!テーゼの立て方は、小論文指導の中で最も時間をかけて教える部分です。ここを制するかどうかで、合否が大きく分かれます。一緒に学んでいきましょう!

核心情報|テーゼとは何か?なぜそれが小論文の命運を握るのか

テーゼの定義:「一文で言い切れる主張」

テーゼ(Thèse)はフランス語・ドイツ語で「命題・論題・主張」を意味します。日本の入試小論文においては、「自分がこの論文を通じて一貫して主張する、一文で表せる核心的な意見」と理解してください。

たとえば、「AIと教育」というテーマで小論文を書くとします。

テーゼが弱い例 テーゼが強い例
「AIは教育に良い面も悪い面もある」 「AIは教育の個別最適化を実現する有力な手段だが、批判的思考力の育成には人間の教師との協働が不可欠である」
「AIを教育に使うことについて考えたい」 「公教育におけるAI導入は、教育格差の縮小に貢献するが、導入の恩恵を受けるのは一定の情報リテラシーを持つ層に限られるため、段階的かつ教師の研修と並行した導入が必要である」

お分かりいただけたでしょうか。テーゼの弱い例は「観察」であり、テーゼの強い例は「主張」です。小論文で求められるのは後者です。

なぜテーゼが揺らぐのか?現場で見えた3つの原因

藤原:これは本当に多い。毎年何百枚もの答案を見てきて、テーゼが弱い生徒には共通のパターンがあります。

  1. 「断言することへの恐れ」:「〜とも言える」「〜の場合もある」と逃げ続ける
  2. 「テーマとテーゼの混同」:「AIと教育について」というテーマをそのままテーゼだと思っている
  3. 「書きながら考える」習慣:テーゼを決める前に書き始めてしまい、途中で迷子になる

翔先生:特に①が多いですね。入試という場では「断言して間違えるのが怖い」という心理が働きます。でも採点官が見たいのは「あなたの論」です。弱腰な表現は点数を大きく下げます。

具体的な方法・ステップ|揺るぎないテーゼを立てる5ステップ

ステップ1:テーマを「問い」に変換する

小論文のテーマが与えられたとき、まず最初にすることは「そのテーマを問いの形に変換する」ことです。

テーゼとは「問いへの答え」です。問いがなければ、答え(=テーゼ)も立てられません。

与えられたテーマ 問いへの変換例
少子化と社会 少子化は日本社会にとって解決すべき問題か?解決するとすれば何が最も有効な手段か?
SNSと民主主義 SNSは民主主義を強化するか、それとも脅かすか?
自由と責任 個人の自由はどこまで保障されるべきで、責任の範囲はどう定められるべきか?

ポイント:問いは「YES/NOで答えられるもの」「AかBかを問うもの」「どうすべきかを問うもの」の3種類に分類できます。問いの種類によって、テーゼの型も変わります。

ステップ2:立場を明確に「どちらか」に決める

問いを立てたら、次は即座に立場を決めることです。「どちらとも言える」は禁止です。

翔先生:よく「でも本当は両方正しいんじゃないですか?」と聞かれます。確かに現実はそうかもしれない。でも小論文はディベートです。あなたは「弁護士」として自分の立場を論じなければなりません。陪審員(採点官)を説得することが仕事です。

立場を決める際の実践的な方法:

  1. 「自分が強く言えるほう」を選ぶ(知識・経験・論拠が多いほう)
  2. 「反論しやすいほう」を選ぶ(反論を想定して論を強化できるから)
  3. 「少数意見・非常識なほう」を選ぶ(独自性が出て採点官の目に留まりやすい)

ステップ3:テーゼを「一文で」書き下ろす

立場が決まったら、テーゼを一文で書き出します。この一文が小論文全体の「背骨」になります。

テーゼの公式:

「〔対象〕は〔条件・状況〕において、〔どうすべきか・どうあるべきか〕であり、そのためには〔手段・理由〕が必要だ。」

具体的な例:

  • 「日本の少子化対策は、経済的支援よりも、育児と就労を両立できる社会制度の抜本的な改革を優先すべきであり、そのために男性の育休取得を義務化する法制度が不可欠だ。」
  • 「SNSはフィルターバブル現象を通じて民主主義を機能不全に陥らせるリスクを持つが、適切なメディアリテラシー教育と透明なアルゴリズム規制によって、むしろ市民参加の促進ツールになりうる。」

ステップ4:「反論」を先に想定してテーゼを鍛える

強いテーゼは、反論に耐えられるテーゼです。テーゼを書いたら、すぐに「それに対する反論」を自分で考えてください

藤原:これを「悪魔の弁護士テスト」と呼んでいます。自分のテーゼに対して、最も意地悪な反論をぶつける。それに答えられないなら、テーゼを修正するか、論拠を追加しなければなりません。

テーゼ 想定される反論 テーゼの補強
「男性育休の義務化が少子化対策に有効だ」 「企業の負担が増え、経済が停滞する」 「段階的導入と中小企業への補助金制度を前提とすれば、この懸念は解消できる」
「メディアリテラシー教育がSNSの弊害を防ぐ」 「教育だけでは速度の速いSNS拡散には追いつかない」 「教育と並行してプラットフォーム企業への法的規制も組み合わせることで実効性を担保できる」

ステップ5:テーゼを「序論・本論・結論」に対応させて配置する

テーゼは小論文の中で3回登場させるのが基本です。

  1. 序論:テーゼの提示(「私は〜と主張する」と明言する)
  2. 本論:テーゼの論証(根拠①・根拠②・反論への対処)
  3. 結論:テーゼの再確認(「以上より〜が必要だ」と締める)

この構造を守ることで、採点官は「この受験生は何を言いたいのか」を迷わず読み取れます。

藤原&翔先生の実践アドバイス|現場で見た「テーゼ力が高い答案」の共通点

合格答案のテーゼには「限定語」がある

藤原:点数が高い答案を何百枚と見てきて気づいたことがあります。それはテーゼに「限定語」が入っているということです。

限定語とは「〜においては」「〜を前提とすれば」「〜という条件下では」のような言葉です。

  • ❌「AIは教育に有効だ」
  • ✅「義務教育段階における基礎学力の定着という目的に限定すれば、AIは従来の一斉授業より有効な手段たりうる」

限定語を入れることで、テーゼが「反論を受けにくい精緻な主張」になります。これは大学入試の採点官が最も評価するポイントの一つです。

翔先生からのアドバイス:「テーゼ先行型」の書き方を徹底せよ

翔先生:私が指導で最も強調するのは、「書く前にテーゼを完全に確定させてから書き始める」という習慣です。これを「テーゼ先行型」と呼んでいます。

多くの受験生が「書きながら考える」という危険な書き方をしています。その結果、序論で述べたことと結論が矛盾するという致命的なミスが起きます。

実際、昨年指導したある生徒は、序論で「規制すべき」と書き始め、本論を書くうちに「でも自由も大切」という方向に流れ、結論では「どちらとも言えない」と着地しました。これでは0点に近い答案です。

テーゼ先行型の手順:

  1. テーマを問いに変換(2分)
  2. 立場を決定(1分)
  3. テーゼを一文で書き出す(3分)
  4. 反論を想定してテーゼを調整(2分)
  5. 論拠を3つリストアップ(3分)
  6. →ここまで終わってから本文を書き始める

よくある失敗・注意点|これをやったら減点確定!

失敗①:テーゼが「事実の確認」になっている

「少子化が進んでいる」「SNSが普及している」は事実の説明であり、テーゼではありません。テーゼは必ず「〜すべき」「〜が重要だ」「〜が必要だ」という規範的・評価的な表現を含みます。

失敗②:テーゼが「感想」になっている

「少子化は悲しい問題だ」「SNSは怖いと思う」は感想です。小論文のテーゼは、感情ではなく論理的な判断でなければなりません。

失敗③:テーゼが長すぎて一文にまとまらない

テーゼを一文にまとめられないということは、まだ自分の主張が整理されていないサインです。一文で言い切れるまで、考えを絞り込む必要があります。

失敗④:テーゼが序論と結論でズレている

テーゼを先に決めておかないと起こる最大の失敗です。採点官は必ず序論と結論を照合します。ズレがあった瞬間、論理的一貫性がないと判断されます。

チェックリスト:テーゼ完成度の自己採点

  • ☐ 一文で表現できているか
  • ☐ 「〜すべき」「〜が必要だ」など規範的表現が含まれているか
  • ☐ 「どちらとも言える」という逃げ表現がないか
  • ☐ 反論を想定してもテーゼが崩れないか
  • ☐ 限定語が入っているか
  • ☐ テーゼをもとに論拠を3つ以上挙げられるか
  • ☐ 序論・本論・結論でテーゼの一貫性が保たれているか

今すぐできるアクション3つ

アクション1:身近なテーマで「テーゼ一文」を毎日書く練習

「環境問題」「働き方改革」「読書の意義」など、身近なテーマを一つ取り上げ、毎日テーゼを一文で書く練習をしてください。最初は難しくても、10日続ければ必ず「テーゼを立てる感覚」が身につきます。

アクション2:過去の自分の小論文答案を「テーゼ抽出テスト」にかける

過去に書いた小論文の答案を取り出し、「この答案のテーゼを一文で言うと?」と問い直してください。すぐに言えないなら、それはテーゼが弱かった証拠です。修正の練習をしましょう。

アクション3:「反論想定訓練」を友人・先生と行う

自分が立てたテーゼを友人や先生に見せ、「これに反論してください」と頼んでみてください。他者からの反論は、自分では気づけない弱点を鋭く突いてきます。これを繰り返すことで、テーゼが格段に強化されます。

藤原:日本国語塾TOPでは、テーゼを立てる練習から始まり、実際の答案への添削指導まで一貫してサポートしています。「書いては直す」この繰り返しが、本当の力をつけます。

まとめ・日本国語塾トップについて

今回は入試小論文の「テーゼ(主張)」を立てる技術について、5つのステップと具体的な例文・チェックリストを使って解説しました。

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • テーゼとは「一文で言い切れる、論文全体を貫く核心的な主張」のこと
  • テーゼを立てる手順は「問いへの変換 → 立場決定 → 一文化 → 反論想定 → 配置」の5ステップ
  • 強いテーゼには「限定語」が入っており、反論に耐えられる
  • テーゼ先行型で書くことで、論の一貫性が守られる
  • 「断言する勇気」を持つことが、採点官の心を動かす小論文の第一歩

小論文は「知識を書く試験」ではなく「論を立てる試験」です。テーゼという核を揺るぎなく立てることができれば、あなたの小論文は別次元の説得力を持つようになります。ぜひ今日からアクションを始めてください。


日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
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