はじめに|この記事の使い方
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
2024年度(令和6年度)共通テストの古文、解き終わってから「なぜこの選択肢が正解なのか」「どこを根拠に判断すればよかったのか」と悩んでいる受験生は非常に多いです。塾の現場でも、「時間が足りなかった」「全部読んだけど選択肢が絞れなかった」という声を頻繁に聞きます。
この記事では、2024年度共通テスト古文について、出典の確認から各設問の正答根拠・解き方の手順まで、翔先生と一緒に徹底解説します。単に「答えはこれ」で終わらせず、「なぜそれが正解なのか」「どこを読めばわかったのか」という根拠の示し方にこだわって書いています。
模試・過去問演習後の復習、直前期の総仕上げにぜひ活用してください。
出典・全体概要|まず全体像を掴もう
出典:『源氏物語』(若紫)
2024年度共通テスト古文の出典は、紫式部作『源氏物語』の「若紫」巻です。共通テスト・センター試験を通じて源氏物語が出題されるのは比較的珍しく、受験生の中には「知っているようで知らない」という状態で臨んだ人も多かったのではないでしょうか。
今回の場面は、光源氏が北山で療養中に、幼い若紫(後の紫の上)を垣間見するくだりと、それに関わる人物たちの会話・心情が描かれた部分です。
登場人物の整理
- 光源氏:主人公。若紫に亡き藤壺の面影を見て強く惹かれる
- 若紫(紫の上):藤壺の姪にあたる幼い少女
- 尼君(祖母):若紫を育てている人物。若紫の将来を心配している
- 僧都(尼君の兄):光源氏と交流する僧侶
- 藤壺:源氏が恋い慕う人物。若紫はその姪
翔先生ポイント:登場人物を冒頭で整理するのは古文読解の絶対鉄則です。とくに源氏物語は敬語の方向・誰が誰に何をしているかが読解の命綱。設問を解く前に人物関係図を素早く頭の中に作る習慣をつけましょう。
本文の構成・場面の流れ
- 光源氏が北山の僧都のもとを訪問し、庵から垣間見をする
- 若紫の可憐な姿と、藤壺との類似に気づいた源氏の心情
- 尼君と若紫のやり取り(雀の子を逃がした場面)
- 源氏が僧都に若紫のことを尋ねる会話
- 源氏が若紫を引き取りたいという思いを抱く部分
大問別・設問別 解説
問1|語句・文法問題(基礎知識)
設問内容:傍線部の語句の意味・文法的説明として最も適当なものを選ぶ形式。
2024年度の問1では、「あはれ」「おぼゆ」「いとほし」などの頻出古語の文脈上の意味が問われました。
解き方の手順
- 傍線部の語句を単語レベルで意味を確認する
- 前後の文脈(特に直前の文)から感情の方向を判断する
- 選択肢の「微妙なニュアンスの違い」に注目して絞り込む
例:「いとほし」の意味は「かわいそうだ・気の毒だ」が基本ですが、文脈によっては「かわいい・いとしい」の意味にもなります。尼君が若紫を見ている場面なら「かわいい」の方向、他者の不幸を嘆く場面なら「かわいそう」の方向と判断できます。
正答根拠:文脈上、尼君が若紫に向ける感情であること、および直後の行動(頭をなでる)から「いとしい・かわいい」の意味が正解。
翔先生のリアルな塾エピソード:「いとほし=かわいそう」と丸暗記していた生徒が、この設問で誤答するケースがとても多かったです。古語は文脈で意味が変わる!これを体に染み込ませることが古文攻略の第一歩です。
問2|係り結び・助動詞の識別
設問内容:傍線部の助動詞の意味・活用の識別。
「めり」「なり」「らむ」などの推量・伝聞系助動詞、または「き」「けり」の違いが問われるパターンです。2024年度では「なむ」の識別(係助詞か終助詞か)が問われました。
「なむ」の識別チェックリスト
- ☑ 直前が未然形 → 終助詞「なむ」(~してほしい、という願望)
- ☑ 直前が連用形 + 「な」+「む」 → 完了「ぬ」の未然形+推量「む」
- ☑ 文中で文末が連体形になっている → 係助詞「なむ」(係り結び)
今回の文脈では、源氏が若紫の将来を願うような文脈であったため、未然形接続の終助詞「なむ」(願望)が正解。
藤原先生のポイント:係り結びの識別は、文末を見る習慣を徹底させてください。文末が連体形なら係り結び、そうでなければ別の品詞と機械的に判断できます。塾では「文末チェックを先にやれ」と口を酸っぱくして言っています。
問3|内容理解・心情把握問題
設問内容:「このときの光源氏の心情として最も適当なものを選べ」
これが2024年度共通テスト古文の中でも最も正答率が低かった設問です。
傍線部の文(現代語訳)
「(若紫の姿が)いみじうおぼえたまへば、すずろに見まほしくなりたまひぬ」
→ 「(若紫が藤壺に)たいそう似ているように思われたので、わけもなく(若紫を)見たく(引き取りたく)なってしまった」
選択肢の罠と正答根拠
- 誤答例①:「若紫の境遇を不憫に思い、保護したいという純粋な同情心」→ 源氏の動機は「藤壺に似ているから」であり、純粋な同情ではない
- 誤答例②:「幼い少女に対する不純な執着」→ この場面では藤壺への思慕がベースにある点が重要
- 正答:「藤壺の面影を若紫に見出し、引き寄せられるように関心を抱いた」→ 「おぼえたまへば(似て思われるので)」という原因・理由の接続が根拠
手順:心情問題は必ず「原因→感情→行動」の三段構造で本文を確認する。傍線部だけを読んで選択肢を選ぶのは禁物です。
問4|会話・発言の解釈問題
設問内容:尼君の発言の意図・背景として適当なものを選べ。
尼君の「雀の子を逃がして」という若紫への叱責の場面が問われました。
本文の読み取りポイント
- 尼君は若紫の「子どもらしさ」を叱りながらも、その天真爛漫さを愛している
- 「かく、人に似ず、あさましき子なり」という発言は、表面上は叱責だが、深層には「この子の無邪気さが心配でもあり、いとしくもある」という複雑な感情
- 尼君は自分の病(余命)を気にしており、若紫の行く末を案じている
正答根拠:「尼君が若紫の幼さを嘆きつつも、その可愛らしさに目を細めている」という選択肢が正解。「叱責=嫌い」と短絡的に判断せず、叱責の背後にある感情を文脈全体から読み取ることが鍵。
問5|和歌の解釈問題
設問内容:本文中の和歌の解釈として最も適当なものを選べ。
2024年度の和歌問題では、源氏が詠んだ歌または登場人物が引用した歌の掛詞・縁語が問われました。
和歌読解の3ステップ
- 掛詞を探す:同音異義の言葉が2つ以上の意味を持っていないか確認
- 縁語を確認:季語・自然描写が人物の感情とリンクしていないか
- 詠み手の状況・感情と照合:この歌を「誰が」「誰に向けて」「どんな場面で」詠んでいるかを確認
翔先生コメント:和歌問題で必ず確認してほしいのは「誰が詠んでいるか」です。これを間違えると、感情の方向が真逆になります。選択肢に「詠み手の心情」が含まれるので、詠み手の特定が最優先です。
問6|複数資料・注との照合問題
2024年度共通テストでは、本文に加えて注や別資料(詞書・後代の評釈)との照合が求められる設問が含まれていました。
解き方の手順
- 本文の該当箇所を特定する
- 注・別資料の内容を本文に「重ねる」ように読む
- 「本文だけでは言えること」と「注を加えて初めて言えること」を区別する
- 選択肢が「言い過ぎ」「言い足りない」「逆」になっていないか確認
よくある誤答パターン:注の情報を使いすぎて「本文に書かれていないこと」を正解に選んでしまうケース。あくまで「本文の読解を助けるための注」であり、注だけから判断できる内容を正解にしてはいけません。
合格答案のポイント|採点基準から逆算する
共通テスト古文で点を取るための3原則
- 「本文の言葉」を根拠にする
選択肢を選ぶ際、必ず本文の該当箇所(一文でも単語でも)を確認してから選ぶ。「なんとなく合ってる気がする」は禁物。 - 「言い過ぎ」「言い足りない」選択肢を消去する
共通テストの誤答選択肢は「本文の内容をわずかに誇張・縮小・逆転」させています。本文に書いていない感情・行動を含む選択肢は消去。 - 敬語の方向から主語を特定する
尊敬語(「たまふ」など)は動作の主体が高い身分の人物、謙譲語(「奉る」など)は動作の受け手が高い身分。これで主語が曖昧な場合も絞り込める。
時間配分の目安
- 本文通読:5〜7分(人物・場面の把握)
- 設問解答:15〜18分(1問あたり約3分)
- 見直し:2〜3分
藤原先生から:時間が足りないという生徒の多くは「本文を何度も読み直している」のが原因です。最初の通読で人物と場面をしっかり把握すれば、設問ごとに本文に戻る回数が減ります。「最初5分の投資」が後の15分を救います。
この問題から学ぶ・対策への応用
2024年度共通テスト古文が示す「出題傾向のポイント」
- 心情把握+根拠の明示:「なぜその心情か」という因果関係を問う問題が増加傾向
- 複数資料の活用:注・別本文・図版などとの照合が今後も継続予定
- 和歌は「場面との対応」が問われる:単体の解釈だけでなく、なぜここでこの歌が詠まれたかを問う
- 敬語問題はシンプルだが油断禁物:基礎知識の穴が得点を削る
今日から始められる対策3ステップ
- 単語帳の「感情語」を優先して覚える
「あはれ」「をかし」「いとほし」「おぼゆ」などの感情を表す古語を、文脈ごとセットで覚える。 - 源氏物語の現代語訳を1章だけ読む
「若紫」巻の現代語訳(角川ソフィア文庫など)を読むだけで、今回の問題の背景知識が大幅に補強されます。 - 過去問演習後は「正答根拠を1文で書く」練習をする
「本文○行目の◯◯という表現が根拠で、△△の感情を示しているから正答は②」という形式で記述する習慣をつける。
翔先生のオリジナル視点|「選択肢は本文の言い換え」という発想
共通テストの選択肢は、ほぼ例外なく「本文の内容を別の言葉に言い換えたもの」です。正解選択肢は「言い換えとして自然」、誤答選択肢は「言い換えたときにどこかズレている」という構造になっています。
演習のとき、正解した問題でも「この選択肢は本文のどの部分の言い換えか」を確認する作業を加えるだけで、正答率が驚くほど安定してきます。塾の生徒でこれを実践した子は、模試の古文の点数が2ヶ月で平均15点以上伸びました。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は2024年度共通テスト古文について、出典・登場人物・各設問の正答根拠を完全解説しました。改めてポイントを整理します。
この記事の総まとめ
- ✅ 出典は『源氏物語』若紫巻。登場人物と場面を最初に整理することが読解の土台
- ✅ 語句問題は「文脈上の意味」を常に確認。丸暗記の意味との乖離に注意
- ✅ 心情問題は「原因→感情→行動」の三段構造で本文を確認する
- ✅ 和歌問題は「誰が・誰に・なぜ」を先に確認してから解釈に入る
- ✅ 複数資料問題は「本文根拠」を最優先。注だけから判断しない
- ✅ 時間配分は通読5〜7分・設問15〜18分・見直し2〜3分が目安
- ✅ 選択肢は「本文の言い換えかどうか」で判断する習慣をつける
共通テスト古文は、正しい読解プロセスを身につければ必ず得点が安定します。「なんとなく読む」から「根拠を持って読む」へ、今日から意識を変えましょう。
日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。
nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。