はじめに|この記事の使い方
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
今回は共通テスト漢文2024年度の全問題について、解き方のプロセスを完全公開します。「なんとなく解いたら合っていた」「なんとなく解いたら間違えた」という曖昧な状態から卒業し、根拠を持って正答を導く力を身につけてもらうことがこの記事の目的です。
翔先生からも一言いただきましょう。
「塾の現場では、漢文を”なんとなく読む”生徒がとても多いです。でも共通テストの漢文は、構造を正確に読めれば確実に点が取れる科目です。今回の解説では、頭の中の思考プロセスをそのままお見せします。ぜひ自分の答案と照らし合わせながら読んでください!」
この記事は以下のような方に最適です。
- 2024年度の共通テスト漢文を自己採点したが、なぜ間違えたか分からない方
- 漢文の安定した得点源化を目指している受験生
- お子さんの漢文学習をサポートしたい保護者の方
- 2025年度以降の共通テスト対策として過去問を活用したい方
では早速、解説に入りましょう。
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出典・全体概要|まず全体像を掴もう
2024年度共通テスト漢文の出典
2024年度(令和6年度)共通テストの漢文は、黄宗羲『明夷待訪録』(めいいたいほうろく)から出題されました。清代の思想家・黄宗羲(こうそうき)による政治論・思想書です。「明夷」とは易経の卦の名で、「賢者が不遇の時代に甘んじながら待つ」という意味合いを持ちます。
テーマは「理想の君主と臣下の関係」「天下のために君主は存在するのか、君主のために天下は存在するのか」という政治哲学的内容でした。抽象度が高い論説文であることが特徴です。
大問構成と配点
| 問番号 | 問題の種類 | 配点 |
|---|---|---|
| 問1 | 漢字の読み・意味(語句問題) | 各2点×複数 |
| 問2 | 書き下し文・返り点 | 3点 |
| 問3 | 内容説明(傍線部解釈) | 3点 |
| 問4 | 内容説明(傍線部解釈) | 3点 |
| 問5 | 文章全体の内容理解・論旨把握 | 4点 |
| 問6 | 複数テキスト比較・総合読解 | 4点 |
合計配点は50点満点(漢文・現代文あわせた国語全体200点のうち)。漢文単体では例年通りの難易度でしたが、問6の複数テキスト比較が2024年度の最大の山場でした。
全体の読解戦略
論説系の漢文を読む際の大原則は次の3点です。
- 主張の核心(結論)を先に探す:著者が何を言いたいのかを冒頭と末尾で掴む
- 対比構造を意識する:「古vs今」「理想vs現実」「君主vs民」などの対比を整理する
- 各段落の役割を把握する:問題提起→根拠→結論の流れを意識する
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大問別・設問別 解説
問1|語句・漢字の読みと意味
【出題傾向】
問1は毎年、本文中の重要語句の読み・意味を問う問題です。2024年度も複数の小問で構成されており、漢文の基本語彙力が問われました。
【解き方プロセス】
- まず前後の文脈から語句の意味を推定する
- 選択肢を見て「文脈に合うか」を基準に絞り込む
- 漢字の字義(部首・構成要素)を手がかりにする
【翔先生のポイント】
「塾生によく言うのですが、漢文の語句問題は”知っているかどうか”だけではありません。文脈で意味を推定する力が重要です。選択肢4つのうち、文脈から明らかにおかしい2つを先に消去する消去法が特に有効です。」
例えば「天下」「君主」「利」「害」などのキーワードが頻出。これらは政治論特有の語彙として前もって意味の幅を整理しておきましょう。
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問2|書き下し文・返り点
【出題箇所のポイント】
問2は返り点・送り仮名を正しく踏まえた書き下し文を選ぶ問題です。2024年度は「為」「所」「使」などの重要句法が絡む箇所が出題されました。
【解き方プロセス】
- まず返り点を確認し、読む順番を矢印で追う
- 「ヲ・ニ・ト」などの助詞の有無を選択肢で比較する
- 「使役(〜をして〜せしむ)」「受身(〜に〜せらる)」「否定(〜ず)」などの句法を確認する
【よくある間違いパターン】
- 「所」を「ところ」と読むべきか、「受身の所」として処理するかを誤る
- 「為」を「ため」「なる」「なす」「ために」など複数の読み方から誤選択する
- レ点とニ・一点が重なる場合の読み順を間違える
【藤原のひと言】
「書き下し文の問題は、句法を”暗記”しているだけでなく、”運用できるか”が問われます。日頃から句法を声に出して練習している生徒は本番でも安定しています。黙読だけの勉強はNG!」
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問3|傍線部解釈①
【傍線部の内容】
問3では本文中の傍線部について、その意味・内容を選択肢から選ぶ問題が出題されました。傍線部は「天下之害者、君而已矣」(天下の害となる者は、君主に他ならない)という趣旨の箇所に関連する内容でした。
【解き方プロセス】
- 傍線部の構造を分解する:主語・述語・目的語を特定する
- 文脈(前後2〜3文)を確認する:なぜそう言えるのかの理由を前後から探す
- 選択肢の言い換えが適切かを検証する:言い過ぎ・言い足りない選択肢を消去する
【解答根拠の見つけ方】
本文中で著者は「古の君主は天下のために存在した。しかし今の君主は天下を私物化している」という対比論法を展開しています。この「古vs今」の対比構造を掴めているかどうかが、問3の正解を導く核心でした。
正解選択肢は「君主が天下の利益を自らのものとし、天下に害をなしている」という趣旨のもの。「天下のために君主があるべきなのに、実態は逆になっている」という著者の批判的スタンスを読み取れているかが鍵です。
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問4|傍線部解釈②
【傍線部の内容】
問4も傍線部解釈ですが、問3より抽象度が高い表現が対象でした。臣下と君主の関係性に関する箇所で、「為天下、非為君也」(天下のためであり、君主のためではない)という考え方に関連する内容です。
【解き方プロセス】
- 傍線部の「也」「矣」などの断定・詠嘆の助字に注目し、著者の強調点を確認する
- 直前の「臣の役割」に関する記述と接続して意味を取る
- 選択肢の中で「天下」「君主」「臣下」の関係性が正確に書かれているものを選ぶ
【翔先生の実況中継】
「問4を間違えた生徒に共通しているのは、”臣下は君主に仕えるものだ”という先入観で読んでしまっていること。黄宗羲はそれを逆転させた主張をしているわけです。テキストの主張を先入観なく読む、これが漢文読解の基本姿勢です。」
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問5|文章全体の論旨把握
【問題の性質】
問5は文章全体を通した内容理解を問う問題です。「著者の主張として最も適切なものを選べ」という形式で、4〜5択の選択肢が並びます。
【解き方プロセス】
- 文章全体の主張を3行でまとめてみる(頭の中で or メモで)
- 選択肢の末尾(述語部分)を先に確認する:主張の方向性が合っているかを先に確認
- 選択肢の細部(修飾語・限定語)を本文と照合する
【本文の主張まとめ(藤原版3行要約)】
「古代の君主は天下のために存在し、民のために尽くしていた。しかし後世の君主は天下を私物化し、自らの利益のために民を搾取している。本来、臣下は天下のために仕えるのであり、君主個人のために仕えるのではない。」
この3行要約と最も一致する選択肢が正解です。「天下」という語の意味(=公共の世界・民)を軸に選択肢を絞り込むのが攻略の鍵でした。
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問6|複数テキスト比較・総合読解
【2024年度最大の難関】
問6は2021年度の共通テスト移行以降、毎年出題されている複数テキスト比較問題です。2024年度は『明夷待訪録』の本文に加え、関連する別の漢文テキスト(または現代語訳・解説文)が提示され、両者を比較・統合して読む力が問われました。
【解き方プロセス】
- 第一テキストの主張を確定する(問1〜5で既に行っている)
- 第二テキストを単独で読み、主張・立場を把握する
- 両テキストの「共通点」と「相違点」を整理する
- 設問の問いが「共通点を問うのか」「相違点を問うのか」を確認する
- その上で選択肢を照合する
【比較整理の具体的手順(翔先生直伝)】
翔先生は授業中に「T字チャート」と呼ぶ整理法を教えています。
【T字チャート例】 テキストA(黄宗羲) テキストB(比較文) 君主観 天下の害になりうる 君主の徳を称える 臣下観 天下のために仕える 君主個人に忠誠 共通点 → 君主と臣下の関係性が重要 相違点 → 君主への評価が対照的
このように視覚化することで、選択肢の正誤判断がスピードアップします。
【よくある失敗】
- 第二テキストを「なんとなく」読んで、第一テキストとの関係を整理しないまま選択肢に進む
- 「両方に書いてある」と思い込んで、実はどちらか一方にしかない内容を「共通」とみなす
- 時間切れで問6を雑に処理してしまう(問6に少なくとも5〜7分確保すること!)
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合格答案のポイント|採点基準から逆算する
選択問題で確実に点を取る3原則
- 本文に根拠を必ず持つ:「なんとなく合っている気がする」は危険。どの行・どの語句が根拠かを言えるようにする
- 選択肢の「言い過ぎ」「言い足りない」に敏感になる:共通テストの誤答選択肢は本文に書いていないことを加えるか、本文の一部だけを切り取る形が多い
- 消去法と積極法を組み合わせる:明らかに違う2択を消した後、残りを積極的に本文と照合する
時間配分の目安
| 作業 | 目標時間 |
|---|---|
| 本文全体の通読 | 3〜4分 |
| 問1〜問2 | 4〜5分 |
| 問3〜問4 | 6〜8分 |
| 問5 | 4〜5分 |
| 問6(複数テキスト) | 6〜8分 |
| 合計 | 約25〜30分 |
漢文は現代文よりも文字数が少ないため、25〜30分で完答を目標にしましょう。余った時間は現代文の見直しに回します。
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この問題から学ぶ・対策への応用
2024年度から学ぶ3つの教訓
教訓① 論説系漢文は「対比」で読め
2024年度の『明夷待訪録』に限らず、共通テストで出題される漢文論説文の多くは対比構造を持っています。「古の君主vs今の君主」「天下のためvs君主のため」のように、著者が何かを批判・称賛するときは必ず対比が生まれます。この構造を早期に発見できれば、設問の正答率が飛躍的に上がります。
教訓② 句法は「暗記」から「運用」へ
書き下し文・返り点の問題は句法の暗記だけでは対応できません。実際の文脈の中で句法を運用する練習が必要です。具体的には、過去問を素材にして「この句法はどの型か?」を毎回声に出して確認する習慣を作りましょう。
特に頻出句法チェックリスト:
- ☑ 使役(使・令・教・遣)
- ☑ 受身(被・見・為〜所)
- ☑ 否定(不・無・非・莫・未)
- ☑ 二重否定(不〜不・無〜不)
- ☑ 疑問・反語(何・豈・安・胡・奚)
- ☑ 比較(不若・不如・莫〜於)
- ☑ 限定・累加(唯・独・亦・且)
教訓③ 複数テキスト問題は「整理が命」
問6のような複数テキスト比較問題は、2025年度以降も必ず出題されます。「読む→整理する→照合する」の3ステップを体に染み込ませるために、普段の練習から複数の文章を並べて読む訓練を積みましょう。
おすすめ学習ルーティン(週3回モデル)
| 曜日 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 月曜 | 句法確認(暗記カード or 音読) | 15分 |
| 水曜 | 過去問1題(時間を計って解く) | 30分 |
| 金曜 | 解説読み込み+間違い分析 | 20分 |
週3回、合計約65分の学習で漢文の得点は確実に安定します。継続がすべてです。
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まとめ・日本国語塾トップについて
今回は共通テスト漢文2024年度の全問題について、解き方のプロセスを詳しく解説しました。
改めてポイントを整理しましょう。
- 全体把握:出典『明夷待訪録』の政治哲学的テーマを冒頭で掴む
- 問1〜2:語句・句法は文脈推定+消去法で確実に
- 問3〜4:傍線部解釈は「古vs今」の対比構造を根拠にする
- 問5:3行要約を作り、主張の方向性で選択肢を絞る
- 問6:T字チャートで2つのテキストを整理してから照合する
- 時間配分:漢文全体を25〜30分で完答する
共通テスト漢文は、正しいプロセスと対策を積めば必ず安定して高得点が狙える科目です。今回の解説を参考に、ぜひ次の一手を踏み出してください。
翔先生からも最後に。
「過去問解説を読むだけで終わらせないでください。必ず自分でもう一度解き直して、今日学んだプロセスを自分の手で再現してみてください。その一手間が、本番の点数を大きく変えます!」
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