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はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
先日、こんな相談が来ました。
「藤原先生、評論文を読んでいると、途中から頭が真っ白になります。
なんとなく日本語なのに、全然意味がわからない。もしかして自分、国語のセンスがないんですかね……」
いやいや、安心してください。それは「センスがない」のではなく、
「抽象的な文章の読み方を知らない」だけです。
センスは生まれつきではありません。読み方のコツを覚えれば、誰でも評論文はグッと読みやすくなります。
翔先生も授業でよくこう言っています。
「難しそうに見える評論文も、実は筆者がどこかで必ず『具体例』を出しているんだよ。
その具体例こそが、抽象的な主張を理解するための橋なんだ」と。
今日はその「橋の渡り方」を徹底解説します!
なぜこれが重要なのか
まず大前提として、現代文の評論文は「抽象と具体の往復運動」で書かれています。
筆者はいきなり難しい主張(抽象)を述べ、その後に具体例を挙げ、
また抽象的な結論へ戻る――この繰り返しで論を展開するのが評論文の基本構造です。
ここでよくある受験生の失敗が、「抽象的な文だけを読んで理解しようとする」こと。
たとえば「近代的自我とは、他者との差異化によって成立する自己同一性の確立過程である」
なんて文を見たとき、そのままぼーっと眺めていても理解は深まりません。
でも、その直後に「例えば、十代の子どもが親の趣味とは全く違う音楽を聴き始めるのはその典型だ」
という具体例が来たとたん、「あ、なるほど!」となりますよね。
この「なるほど!」の瞬間こそが、評論文読解の本質です。
センター試験・共通テスト・大学入試の評論問題で安定して得点するためには、
この抽象と具体の関係を意識的に読み取るスキルが不可欠です。
読解力と思考力を同時に鍛えることで、国語だけでなく小論文・総合型選抜の面接にも効いてきます。
具体的な方法・ステップ解説
ステップ①:「抽象文」と「具体文」を色分けして読む
まず物理的なトレーニングから始めましょう。
本文を読みながら、抽象的な主張・定義・概念を述べている文には青ペンで、
具体例・エピソード・数値・事例を述べている文には赤ペンでアンダーラインを引く練習をします。
最初のうちは「どっちかわからない」ことも多いですが、判断の目安はシンプルです。
- 「〜とは何か」「〜という概念」「〜の本質」→ 抽象
- 「例えば」「たとえば」「〜の場合」「〜を見てみよう」「〜という事例」→ 具体
- 固有名詞・数字・歴史上の出来事・身近な場面 → 具体
翔先生は「接続詞の『例えば』は神様からのプレゼントだと思え」とよく言います(笑)。
「例えば」が来たら、それは筆者が「ここで具体的に説明しますよ!」と手を挙げているサインです。
絶対に見逃さないようにしましょう。
ステップ②:具体例から「何を言いたいのか」を逆算する
次は少し高度なスキルです。具体例を読んだあと、
「この例を出すことで、筆者は何を言おうとしているのか」を自分の言葉で書き出す習慣をつけましょう。
例えば、「現代人はSNSで『いいね』をもらわないと不安になる」という具体例があったとします。
これを読んで「ふーん」で終わらせてはいけません。
「つまり筆者は、現代人の自己承認が他者依存になっていると言いたいのか」と
抽象化・言語化する練習が読解力を爆発的に伸ばします。
この「具体→抽象」の逆算訓練は、共通テストの「傍線部の意味を説明せよ」問題にも直結します。
傍線部は往々にして抽象的な表現になっており、
その意味を「本文の具体例をもとに説明できるか」が問われているからです。
ステップ③:「筆者の主張の地図」を段落ごとに作る
評論文を読み終わったあと、各段落を一行でまとめた「主張の地図(段落メモ)」を作りましょう。
フォーマットはシンプルです。
- 第1段落:〇〇という問題提起
- 第2段落:例えば△△(具体例)
- 第3段落:つまり□□という主張(抽象)
- 第4段落:これに対して××という反論
- 第5段落:しかし〇〇だから△△が正しい(結論)
これを繰り返すと、評論文の「型(パターン)」が見えてくるようになります。
問題提起→具体例→主張→反論→結論という流れは、多くの評論文に共通する構造です。
この型が見えた瞬間、抽象的な文章は一気に「設計図」として読めるようになります。
ステップ④:キーワードを「自分の言葉」で置き換える
評論文には難解なキーワードが頻出します。「ポストモダン」「脱構築」「アイデンティティ」「他者性」……
こういった言葉に出会ったとき、「自分の身近な言葉に置き換えられるか?」を試してみてください。
「アイデンティティ」→「自分が自分である感覚・自分らしさ」
「他者性」→「自分とは違う存在である他の人たちの性質」
「脱構築」→「当たり前だと思われていた概念や構造をひっくり返すこと」
完璧に正確でなくて構いません。「だいたいこういうことかな」という仮の理解を持ちながら読み進め、
本文中の具体例でその理解を修正していく。これが実際の読解プロセスです。
辞書的に正確な意味を暗記するより、文脈の中で意味をつかむ力の方が入試では圧倒的に役立ちます。
藤原流のポイント
私が日本国語塾TOPで監修する授業で、特に強調しているのが
「抽象化とは、共通点を取り出す作業だ」という視点です。
リンゴ・バナナ・みかんという3つの具体例があったとき、
その共通点を取り出すと「果物」という抽象概念になります。
これが抽象化の本質です。評論文の筆者も同じことをやっています。
いくつかの具体的な現象や事例に共通するものを抜き出して、
「つまりこういうことだ」と抽象的な主張として提示しているわけです。
だから私は生徒にこう言います。
「具体例を読んだら、必ず『なんで筆者はこの例を出したの?』と自分に問いかけろ」と。
この一言を習慣にするだけで、評論文の読み方が根本から変わります。
また、翔先生がよく使うのが「ズームアウト思考」というアドバイスです。
具体的な文章に引っ張られて細部に迷子になったら、一度ズームアウトして
「この文章全体で筆者は何が言いたいの?」という大きな問いに戻る。
この往復運動ができる受験生は、難関大の評論文でも動じません。
よくある間違いと対策
❌ 間違い①:「なんとなく読んで雰囲気で答える」
評論文の最大の罠です。雰囲気で選んだ答えは試験本番では半分しか当たりません。
対策:根拠となる本文箇所を必ず特定してから答えを選ぶ癖をつけること。
「この選択肢のどの言葉が本文のどの部分に対応しているか」を指差し確認する習慣が大切です。
❌ 間違い②:「具体例の部分を詳しく読みすぎる」
具体例はあくまで「主張を支える材料」です。具体例の細かいディテールを覚えることに必死になって、
肝心の抽象的な主張を見失うケースが多い。
対策:具体例は「主張の根拠として何を示しているか」だけ把握すればOK。
細部に引っ張られたらズームアウトして主張に戻りましょう。
❌ 間違い③:「キーワードを辞書的に暗記しようとする」
「ポストモダン」「近代」「言語」などの頻出キーワードを単語帳のように暗記しようとする受験生がいますが、
それは時間対効果が低い。
対策:キーワードは「この文章の中でどう使われているか」という文脈で理解する。
同じ「自由」という言葉でも、論者によって意味が異なることはよくあります。
文脈こそが最強の辞書だと心得てください。
❌ 間違い④:「評論文の内容に自分の意見を混ぜる」
「でも自分はそう思わない」「現実はそうじゃない」という感情で読むと、