数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
翔:今回は東京大学の国語のうち、漢文(第三問)の傾向と対策についてお話しします。東大の漢文は、実は「特別な奇問」が出るわけではなく、地道な基礎力がそのまま得点に結びつく素直な出題です。だからこそ対策のしがいがあります。
藤原:その通りです。東大国語の第三問(漢文)は、文科・理科ともに出題されるという特徴があり、しかも問われる力の中心は驚くほどシンプルです。「訓読ができるか」「書き下し文が書けるか」「内容を正確に説明できるか」の3点に集約されます。今日は、この東大 漢文の出題の骨格と、句形の学習範囲、そして具体的な解答づくりのコツまで、じっくり解説していきます。
はじめに
東京大学の国語というと、まず第一問(現代文)や第二問(古文)の難しさに目が向きがちですが、漢文を担当する第三問は、文科・理科どちらの受験生にも共通して出題される大問です。理系の受験生にとっては「配点の割に対策が薄くなりやすい科目」であり、文系の受験生にとっては「古文・現代文に比べて後回しにされやすい科目」になりがちです。しかし、東大 漢文は出題の骨格が非常に一貫しているため、正しい対策を積めば得点が安定しやすい分野でもあります。
翔:漢文は「センスの科目」だと思われがちですが、実際は句形と読み方のルールを体系的に押さえれば、誰でも一定水準まで到達できる科目です。むしろ得点の再現性が高いという意味で、東大対策の中では「投資効率が良い分野」だと言えます。
藤原:まさにそうです。この記事では、東大国語 漢文で問われる設問タイプを整理し、それぞれの解き方、句形の守備範囲、そして日々の学習計画までを具体的に示していきます。なお、特定年度の出典や本文・設問文の内容については、確証のない情報を書くことができませんので、ここでは「設問の型」「読み方の技術」「答案の作り方」という、どの年度にも通用する普遍的な内容を中心に解説します。
出題の全体像
東京大学の国語は、近年は現代文・古文・漢文・(文科は第四問として現代文がもう一題)という構成が続いています。この大問構成や配点、試験時間については年度によって変更される可能性があるため、必ず最新の募集要項・入試要項でご確認ください。
その中で第三問にあたる漢文は、文科・理科ともに出題されるという点が大きな特徴です。理系だから漢文は軽視できる、文系だから漢文は得意でなくてもよい、という考え方は東大入試においては成立しません。文理を問わず、漢文の基礎力は必須の得点源として位置づけられています。
出題される設問の中心は、大きく次の3タイプに整理できます。
- ①訓読に関する設問(返り点・読み方を問うもの)
- ②書き下し文を作成させる設問
- ③本文内容の説明・解釈を求める設問(現代語での説明を含む)
翔:この3タイプは、実は互いに独立しているわけではありません。訓読ができなければ書き下し文は作れませんし、書き下し文が正確でなければ内容説明もぶれてしまいます。つまり東大漢文は「訓読→書き下し→内容説明」という一本の流れの中で、段階ごとに理解の精度を確認されている、という構造になっています。
藤原:ここが東大 漢文の対策で一番大事なポイントです。3つを別々の対策として捉えるのではなく、「正確な訓読ができれば、書き下しも内容説明も自然と精度が上がる」という前提で学習計画を立てるべきです。
設問タイプ別の解き方
訓読・返り点の設問
訓読の設問では、白文(返り点のない漢文)や部分的に返り点が省略された文に対して、正しい読み方を判断させる形式が想定されます。ここで問われるのは、句形の知識と語順のルールの理解です。
例えば、以下は解説用に藤原・翔が作成した自作例文です(実際の入試本文ではありません)。
自作例文:「不」得「不」行「矣」
→書き下し:行かざるを得ず。
→意味:行かないわけにはいかない(=行かざるを得ない)。
翔:この「不得不~」は「~ざるを得ず」という二重否定の句形の代表例です。返り点を振る際には、「不」が二つあること、そして「得」との関係で「二重否定=強い肯定」になるという意味の流れを理解していないと、正確な読み方にたどり着けません。訓読の設問は、単なる記号操作ではなく、句形の意味理解と一体になっているのです。
藤原:訓読の設問対策としては、「①句形の型を覚える」「②その型が文の中でどう機能するか意味で確認する」「③実際に返り点を振って読む練習を繰り返す」という3段階を徹底することが重要です。特に③を怠ると、知識はあっても本番で手が動かない、という事態が起こりがちです。
書き下し文の設問
書き下し文の設問では、白文または一部訓点付きの文を、現代仮名遣いを含む正しい日本語の文語表現に変換する力が問われます。ここでのポイントは3つです。
- 送り仮名・助動詞の活用を正確に反映させること
- 返読文字(「不」「無」「有」「令」「使」など)の処理を誤らないこと
- 置き字(「而」「於」「矣」など)を書き下し文には基本的に表記しない、というルールを守ること
自作例文でもう一つ確認しましょう。
自作例文:「使「人」往「於」彼「而」告「之」」
→書き下し:人をして彼に往かしめて之を告げしむ。
→ポイント:「使」は使役の返読文字で「~しむ」と読む。「於」は場所を示す置き字として書き下しには表れない。
翔:この例では、「使」を見た瞬間に使役の構文だと判断できるかどうかがカギです。返読文字は、東大 漢文の書き下し設問で最も出題頻度の高い着眼点の一つですから、代表的なものは反射的に処理できるレベルまで仕上げておく必要があります。
内容説明の設問
内容説明の設問では、本文の一節について「なぜそうなるのか」「筆者はどう考えているのか」を現代語で説明させる形式が想定されます。ここで求められるのは、直訳の精度と、文脈をふまえた意味の補足の両方です。
藤原:内容説明で失点する受験生の多くは、実は「訓読・書き下しの段階でつまずいている」ケースがほとんどです。返り点を誤って読んでいれば、当然その先の内容説明も的外れになります。ですから内容説明の対策は、実は訓読・書き下しの精度を上げることと同じ作業だと考えるべきです。
翔:加えて、内容説明では「本文中の言葉をそのまま現代語に置き換えるだけでは不十分」な場合があります。指示語が何を指すか、省略されている主語は誰か、といった文脈情報を補って初めて、採点者に伝わる答案になります。東大の国語全体に共通する「読み手にわかるように書く」という姿勢は、漢文の内容説明でも同様に重視されます。
藤原&翔先生の実践アドバイス
翔:私が指導していて感じるのは、東大 漢文は「句形の暗記量」で差がつく科目ではなく、「句形をどれだけ実戦で使いこなせるか」で差がつく科目だということです。句形の一覧表を眺めているだけでは本番で機能しません。
藤原:句形の守備範囲という観点で言うと、東大対策として最低限押さえておきたいのは次のカテゴリーです。
- 否定(単純否定・二重否定・部分否定・全部否定)
- 疑問・反語
- 使役・受身
- 比較・選択
- 仮定・条件
- 限定・累加
- 詠嘆・感情表現
これらは高校の漢文教材でひととおり扱われる範囲ですが、東大 漢文で求められるのは「知っている」レベルではなく「初見の文でも即座に判断できる」レベルです。翔先生、実戦練習のやり方について具体的にお願いできますか。
翔:はい。私がすすめているのは、句形ごとに自作の短文を作って音読しながら訓読する練習です。例えば「使役」を学んだら、自分で「使人告之。」のような短文を作り、返り点を振って書き下し、意味を確認する。これを句形ごとに10〜20文程度ストックしておくと、本番で似た構文に出会った際に迷わず処理できます。
藤原:この「自作短文トレーニング」は、東大 国語の漢文対策として非常に効果的です。既存の問題集だけを解くのではなく、自分で文を組み立てる作業を挟むことで、句形の理解が「受け身の知識」から「使える技術」に変わります。
よくある失敗と解決策
翔:ここでは、指導の中でよく見かける失敗パターンとその解決策を整理します。
失敗①:句形は覚えているのに読めない
句形の意味は知っているのに、実際の白文を前にすると返り点が振れない、という状態です。これは、知識と実践の間に橋がかかっていないことが原因です。解決策は、必ず「読む→書く→確認する」というアウトプットを伴う練習に切り替えることです。
失敗②:書き下し文に置き字を書いてしまう
「於」「而」「矣」などの置き字を、律儀に書き下し文に反映させてしまうミスは非常に多く見られます。書き下し文はあくまで「音として読む形」を文字化したものなので、発音されない置き字は基本的に表記しません。このルールは意識して繰り返し確認する必要があります。
失敗③:内容説明で本文の言葉をそのまま並べるだけになる
内容説明の設問で、本文の語句を並べ替えただけの答案は、指示語の内容や主体の補足が欠けていることが多く、減点対象になりやすいです。解決策は、答案を書いた後に「これは誰が読んでも分かる説明になっているか」を自分で問い直す習慣をつけることです。
失敗④:漢文の対策を後回しにする
理系受験生・文系受験生いずれにも見られる傾向ですが、漢文は現代文・古文に比べて対策の優先順位が下がりやすい科目です。しかし、東京大学の国語では漢文が文科・理科ともに出題される以上、対策を後回しにすることはリスクにしかなりません。句形の守備範囲が古文よりも狭く、対策の効果が出やすい分野であることを踏まえ、早い時期から一定の学習時間を確保することをおすすめします。
今日からできるアクション
藤原:最後に、今日から始められる具体的なアクションを整理します。
- 句形一覧を「読める」だけでなく「振れる」状態にする:否定・疑問反語・使役受身・比較選択・仮定条件・限定累加・詠嘆の各カテゴリーについて、代表的な句形を自分で書き出し、返り点を振る練習を行う。
- 自作短文で音読トレーニングをする:翔先生が紹介した方法にならい、句形ごとに短文を自作し、訓読・書き下し・現代語訳の3セットで練習する。
- 置き字・返読文字のチェックリストを作る:「不・無・有・令・使・自・見」などの返読文字と、「於・而・矣・焉」などの置き字を一覧にして、書き下し文を作る際に必ず確認する習慣をつける。
- 内容説明の答案は必ず「他者に伝わるか」で見直す:書いた直後だけでなく、時間を置いて読み返し、指示語や主体が明確かどうかを点検する。
- 過去問演習は「訓読→書き下し→内容説明」の順に段階を分けて取り組む:一度に全部を解こうとせず、まず訓読の精度を確認し、次に書き下し、最後に内容説明という順で自分の理解の弱点を特定する。
翔:どのアクションも地味に見えるかもしれませんが、東大 漢文は積み上げた分だけ結果が出やすい科目です。焦らず一つずつ精度を上げていきましょう。
まとめ・日本国語塾TOPについて
藤原:東京大学の国語における漢文(第三問)は、文科・理科ともに出題される共通科目であり、訓読・書き下し・内容説明という3つの設問タイプが「一本の流れ」として問われています。句形の守備範囲は決して広大ではなく、否定・疑問反語・使役受身・比較選択・仮定条件・限定累加・詠嘆といった基本カテゴリーを確実に押さえることが対策の核になります。東大国語 漢文は、正しい方法で積み重ねれば得点の安定が見込める分野です。今日紹介したアクションを、ぜひ日々の学習に取り入れてみてください。
翔:句形は「知っている」から「使える」へ。訓読・書き下し・内容説明を一体の技術として鍛えていくことが、東大の国語で漢文を得点源にする一番の近道です。
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