はじめに|竹取物語は「捨て問」じゃない!
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
先日、こんな相談を受けました。高校2年生のAさん(仮名)が、模試の古文で竹取物語の問題が出たのに、「なんとなく知っている話だから大丈夫だろう」と思って油断し、まさかの大失点。悔しそうに「ストーリーは知ってたのに、全然解けなかった…」とうつむいていました。
そうなんです。竹取物語は「知っている気になりやすい」作品の代表格。かぐや姫のお話、月に帰る話——そのふんわりとしたイメージが、かえって受験生の足を引っ張ります。翔先生も「竹取物語を舐めてかかる生徒ほど、設問で手痛いミスをする」とよく言っています。
この記事では、竹取物語の基礎知識から古文入試への活用法まで、受験に直結する形で完全解説します。かぐや姫の正体や月からの使者の場面など、入試頻出の箇所を徹底的に掘り下げていきますので、ぜひ最後まで読んでください。
【基礎知識】竹取物語が合否を分ける理由|入試データで見る重要性
「竹取物語なんて古すぎて、今の入試には出ないでしょ?」——そう思っている受験生ほど危険です。実態を数字で見てみましょう。
大学入試センター試験・共通テストの古文において、いわゆる「物語文学」の出題率は全体の約60〜70%を占めます。その中でも竹取物語・源氏物語・伊勢物語・土佐日記などの「頻出作品群」は、私立大学の個別入試でも繰り返し登場します。特に竹取物語は、日本最古の仮名文学・物語文学として、国語の教科書に必ず掲載され、知名度が高い分「受験生が読めているはず」という前提で出題者が難度を上げやすい作品です。
翔先生が過去10年分の入試問題を分析したところ、竹取物語からの出題で問われるポイントは大きく3つに集中していました。
- ① 助動詞・助詞の文法問題(「なむ」「べし」「けり」など)
- ② 登場人物の心情・行動の理由を問う読解問題
- ③ かぐや姫の正体・月の世界に関する内容説明問題
つまり、竹取物語を深く読み込むことは、古文文法の総復習にもなり、かつ直接的な得点源になるという「一石二鳥」の学習なのです。合格した先輩たちのアンケートでも、「竹取物語を読み込んだことで古文全体の読み方が変わった」という声が複数寄せられています。
【実践解説】竹取物語を完全読解するための5ステップ
ステップ1|あらすじと構成を把握する——物語の「骨格」を掴む
竹取物語は全体が以下の構成で成り立っています。まずこの骨格を頭に入れることが、古文読解の大前提です。
- 竹の中からかぐや姫が発見される(誕生)
- 五人の貴公子(石作皇子・車持皇子・右大臣阿倍御主人・大納言大伴御行・中納言石上麻呂)がかぐや姫に求婚し、それぞれ難題を課せられ失敗する
- 帝(みかど)もかぐや姫に心を寄せるが、かぐや姫はなびかない
- かぐや姫が月に帰る(昇天)
- 帝が不死の薬を富士山で焼かせる(エピローグ)
入試では「五人の貴公子のどの場面か」「この発言は誰の心情を表すか」という形で問われます。構成を先に押さえておくと、文脈の把握が格段に速くなります。
ステップ2|かぐや姫の正体を古文テキストから読む
かぐや姫の正体については、物語の終盤に明示されます。月の使者が語る言葉を原文で確認してみましょう。
「この人は、月の都の人なり。前の世の契りありけるによりなむ、この世界にはまうで来たりける。」
訳:「この人(かぐや姫)は月の都の人です。前世の縁があったので、この世界にやって来たのです。」
ここで重要な文法ポイントを確認します。「なむ」は強意の係助詞で、係り結びにより文末が「ける(連体形)」になっています。入試では「なむ」の識別問題として頻出です。「なむ」には①強意の係助詞②終助詞(他に対する願望)③助動詞「ぬ」未然形+「む」の三種類があり、この箇所は①の強意の係助詞です。
かぐや姫の正体を「月の住人」として捉えるだけでなく、「この世に一時的に来た存在=仮の命を持つ者」という解釈が、後の「不死の薬」や帝との対比につながります。入試の記述問題では、この構造的な意味まで答えられると高得点が狙えます。
ステップ3|五人の貴公子の場面を「型」で読む
五人の求婚者の場面は、すべて「難題を課す→挑戦する→失敗する(または偽物を持ってくる)→かぐや姫に見破られる」という共通の型で構成されています。この「型の理解」が読解スピードを劇的に上げます。
例えば車持皇子の場面では、「蓬莱の玉の枝」という偽物を作らせて持ってきますが、職人への未払い賃金を告げ口されて嘘がバレる——という展開です。入試では「なぜかぐや姫は受け入れなかったか」「車持皇子のどの行動が問題か」などが問われます。
翔先生の言葉を借りれば、「竹取物語の求婚者の場面は、『テンプレ読み』ができる受験生だけが速く正確に解ける」。型を覚えることで、初見の長文問題でも落ち着いて対応できます。
ステップ4|月への昇天場面を精読する——最頻出箇所
入試で最も出題される場面が「月の昇天」の場面です。原文の一節を見てみましょう。
「今はとて天の羽衣着るをりぞ 君をあはれと思ひ出でける」
訳:「今こそお別れと、天の羽衣を着る折に、あなた(帝)をしみじみ懐かしく思い出すことです」
ここで問われやすいのは、「をりぞ」の「ぞ」(強意の係助詞→係り結びで「ける」連体形)、「あはれ」の意味(現代語とは異なり「しみじみとした感動・悲しみ・愛惜」)、そして「君」が誰を指すか(帝)、という3点です。「あはれ」は古文を読む上での最重要感情語の一つ。竹取物語の中でも何度も登場するので、この語の意味を徹底的に体に染み込ませましょう。
ステップ5|不死の薬エピローグで「テーマ」を読み取る
物語の末尾、帝はかぐや姫からもらった「不死の薬」を富士山の頂上で焼かせます。「かぐや姫のいない世界で不死など意味がない」という帝の絶望・悲嘆が込められた行動です。
竹取物語のテーマは「無常」「この世の無常と天上の永遠性の対比」であると多くの研究者が指摘しています。入試の記述問題でテーマを問われたとき、単に「かぐや姫が月に帰る話」と書いてしまうと減点。「人間の世界(無常・老い・死)と月の世界(永遠・不変)の対比を通じて、この世の命の儚さを描いた作品」という視点で答えられると、記述の差がつきます。
【藤原&翔先生の実践ポイント】塾でしか聞けない竹取物語攻略の裏技
一般の参考書や学校の授業では教えてもらえない、日本国語塾TOPならではの視点をお伝えします。
裏技①「登場人物の感情に色をつけろ」
竹取物語の入試問題では、「かぐや姫の心情」「竹取の翁の気持ち」「帝の行動の理由」など、感情を問う問題が頻出です。私が生徒に伝えているのは、原文を読むときに登場人物ごとに感情に「色」をイメージする方法です。かぐや姫=青(冷静・超然)、翁・嫗=赤(情熱・悲嘆)、帝=紫(高貴だが悲しみを持つ)——このようにキャラクターに感情カラーを持たせると、場面転換時に「今誰の感情か」が瞬時にわかるようになります。
裏技②「竹取物語は係り結びの宝庫」と心得よ
翔先生が強調するのが、竹取物語における係り結びの多さです。「なむ〜連体形」「ぞ〜連体形」「こそ〜已然形」が頻出。一つの文を精読する際、必ず係助詞を先にマークする習慣をつけましょう。「係助詞ファースト」の読み方は、竹取物語だけでなく全古文に応用できる最強の読解習慣です。
裏技③「かぐや姫の正体問題は『対比』で答える」
入試でかぐや姫の正体や性質を問われたとき、「月の人」と書くだけでは不十分です。「人間世界(地上)の価値観を超越した存在」「老いも死も持たない永遠の存在」という対比の視点で記述することが、高得点の鍵。竹取物語の完全読解には、この「地上vs月」の二項対立の枠組みが不可欠なのです。
裏技④「富士山=不死の山」の語源を知る
これは一般の参考書にはほとんど載っていない豆知識ですが、入試の「内容説明問題」で差がつきます。物語のエピローグで「不死の薬を富士の山で焼いた」ことが、「富士(不死)」という山名の由来とされていると物語内で説明されます。このエピローグが単なる後日談ではなく、「なぜ富士山というか」という「起源説話(エチオロジー)」の役割を担っていることを理解しておくと、記述問題で他の受験生と圧倒的な差をつけられます。
【よくある失敗パターン】竹取物語で点を落とす受験生がやっていること
失敗①「あらすじだけ知って、原文を読まない」
冒頭のAさんのケースがまさにこれ。「どうせ知ってる話だから」と油断して原文を読み込まないと、文法問題はもちろん、細部の心情読解でも全滅します。改善策:教科書掲載の場面だけでなく、求婚者の場面・月の昇天場面を原文で音読する。最低3回の音読で文語のリズムが体に入ります。
失敗②「助動詞・助詞を「なんとなく」で読む」
竹取物語の設問の約40%は文法問題です。「なむ」「べし」「けり」「なり」の識別を曖昧にしたまま読んでいると、必ず失点します。改善策:原文を読む際、助動詞・係助詞に必ず印をつけ、品詞分解を声に出して確認する習慣をつける。
失敗③「登場人物の区別がつかなくなる」
古文では主語が省略されることが多く、特に竹取物語の求婚者の場面では「誰が何をしているか」が混乱しやすい。改善策:最初に登場人物リストをノートに書き出し、各場面で「主語チェック」を徹底する。敬語の方向(誰が誰に対して使っているか)も必ず確認。
失敗④「テーマ・主題の記述が浅い」
「かぐや姫が月に帰る話」「不思議なお姫様の話」など、記述が表面的すぎる生徒が多い。改善策:「無常」「地上と月の対比」「愛と別れ」などのキーワードで竹取物語のテーマを言語化する練習を繰り返す。
失敗⑤「問題を解く前に辞書・ノートを引きすぎる」
本番では辞書は使えません。模試や演習で「わからない単語があったらすぐ調べる」癖がついていると、本番で時間を食います。改善策:演習中は辞書を引かずに文脈から意味を推測する練習を意識的に行う。終わってから答え合わせと同時に語彙を確認する。
【実践演習】今すぐできる竹取物語トレーニング
以下の問題に取り組んでみましょう。すべて実際の入試問題の形式に即した演習問題です。
【演習問題1】文法識別
「この子を見れば、苦しきこともやみぬべし」
問:「ぬべし」を品詞分解し、それぞれの意味を答えなさい。
【解説】「ぬ」は完了の助動詞(終止形)、「べし」は推量・当然の助動詞。合わせて「〜てしまうにちがいない」「きっと〜してしまうだろう」という強意の意味になります。「完了のぬ+推量のべし」の組み合わせは入試最頻出パターンの一つ。必ずセットで覚えましょう。
【演習問題2】心情読解
「今は帰るべき時になりにけり」とて、竹取に告げたまふ。翁は、「何事のたまふぞ」とて、泣き伏しにけり。
問:竹取(翁)が泣き伏した理由を、本文を踏まえて30字程度で答えなさい。
【解説・模範答案例】「かぐや姫が月へ帰ると告げたことに対し、育ての親として深い悲しみと別れの辛さを感じたから。」——ここで重要なのは、「翁にとってかぐや姫は実の娘のように育てた存在」という文脈を押さえること。単に「悲しかったから」では減点されます。
【演習問題3】主題記述(応用)
問:竹取物語において「不死の薬」が物語に果たす役割を、「無常」という語を用いて60字以内で述べなさい。
【解説・模範答案例】「かぐや姫のいない世界での不死に意味はないと帝が判断したことで、この世の無常と人間の悲嘆が象徴的に示されている。」——テーマ系の記述問題は「作者が何を言いたかったか」に立ち返ることが鉄則です。
この3問をノートに手書きで解いてみてください。書くことで「わかったつもり」と「本当にわかっている」の差が明確になります。解けなかった問題は、該当箇所の原文に戻って音読・品詞分解をやり直しましょう。
まとめ|竹取物語完全読解のポイントと日本国語塾トップのご紹介
この記事でお伝えした、竹取物語を古文入試で活用するための重要ポイントをまとめます。
- ✅ 竹取物語は「知っている気になりやすい」作品だが、入試では文法・心情・テーマの3軸で出題される
- ✅ かぐや姫の正体は「月の都の人(天人)」——「地上vs月=無常vs永遠」の二項対立で読み解く
- ✅ 五人の貴公子の場面は「難題→挑戦→失敗→見破られる」のテンプレ型で理解する
- ✅ 月の昇天場面・不死の薬エピローグは最頻出箇所——原文を繰り返し音読し精読する
- ✅ 「なむ・べし・けり・あはれ」などの頻出語・文法事項を竹取物語を教材に完全習得する
- ✅ 係助詞ファーストの読み方・登場人物への感情カラー付けなど、実践的な読解技術を使う
- ✅ 演習は「原文→品詞分解→心情読解→テーマ記述」の順に段階的に積み上げる
竹取物語の完全読解は、古文全体の読解力を底上げする最高の練習台です。ぜひ今日から原文を手に取り、音読・品詞分解・演習の3ステップを実践してください。
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