看護・医療系小論文の書き方|医療倫理と患者視点の表現技術
はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
先日、こんな相談が届きました。看護学部を目指すAさん(高3)からのメッセージです。
「先生、小論文の模試で『患者の気持ちを考えることが大切です』って書いたら、
採点者に『抽象的すぎる』って言われました。
じゃあ、どう書けばいいんですか……?」
うんうん、これはあるある中のあるあるです(笑)。
「患者さんのことを思っています!」という気持ちは伝わるんですが、
小論文は「気持ち」ではなく「論理」で評価されるものなんですよね。
特に看護・医療系の小論文は、医療倫理の知識と患者視点の表現技術という
二つの柱を持っていないと、どれだけ熱意があっても点数に結びつきません。
この記事では、看護学部・医療系学部の小論文入試で頻出のテーマを踏まえながら、
「医療倫理をどう論文に落とし込むか」と
「患者視点を具体的に表現する技術」を、
翔先生の鋭いツッコミも交えながら丁寧に解説していきます。
最後まで読んでいただければ、「なんとなく書いてた」状態から
「論理的に構成できる」状態に必ずレベルアップできるはずです!
なぜ「医療倫理×患者視点」が重要なのか
翔先生がよく言うんですが、看護・医療系の小論文は「普通の小論文」ではないんです。
国語の文章力を見るだけでなく、医療職としての素養・思考力・倫理観を見ている。
つまり採点者は、「この受験生は将来、医療の現場で正しい判断ができる人物か?」を
小論文を通じて判断しているわけです。
だからこそ、以下の二点が必須になります。
-
医療倫理の知識:インフォームド・コンセント、
患者の自律尊重原則、善行・無危害・公正といった倫理原則を正確に理解し、
論文の中で適切に使えること。 -
患者視点の具体的表現:「患者さんのために」という
スローガン的な言葉を超えて、患者が抱える不安・背景・意思決定のプロセスを
具体的に描写・論証できること。
この二つが揃ってはじめて、採点者に「この受験生はちゃんとわかっている」と
思ってもらえる答案が書けます。逆に言えば、どちらか一方でも欠けると
「綺麗な作文止まり」になってしまうのです。
具体的な方法・ステップ解説
ステップ①:医療倫理の「四原則」をまず頭に入れる
医療倫理の世界では、ビーチャムとチルドレスが提唱した「四原則」が
基本中の基本とされています。小論文でこの枠組みを使えると、
議論の深みが一気に増します。
| 原則 | 意味 | 小論文での活用例 |
|---|---|---|
| 自律尊重 | 患者自身の意思・選択を尊重する | インフォームド・コンセントの重要性を論じるとき |
| 善行 | 患者の利益になる行為をする | 治療の積極的推進を論じるとき |
| 無危害 | 患者に害を与えない | 延命治療の是非や医療ミス防止を論じるとき |
| 公正(正義) | 医療資源を公平に配分する | 医療格差・地域医療の問題を論じるとき |
たとえば「終末期医療における延命治療の問題」というテーマなら、
「善行原則と自律尊重原則がぶつかり合う場面である」と整理できる。
このように原則を対立・葛藤の構造として使うと、
論文に深みと説得力が生まれます。
ステップ②:「患者視点」を具体化する三つの技術
冒頭のAさんの悩み、「患者の気持ちが大切」という抽象的な表現に戻りましょう。
これを具体化するには、次の三つの技術を使います。
技術1:「患者の状況」を仮説的に描写する
たとえばこう書き換えます。
❌「患者の気持ちを理解することが大切です。」
✅「重篤な診断を受けた患者は、病気そのものへの恐怖だけでなく、
家族への影響・仕事の継続・経済的不安など、複合的なストレスを抱えている。
看護師はその多層的な苦悩を把握したうえで、
コミュニケーションを設計する必要がある。」
「気持ちが大切」という一文が、患者の状況を多角的に描写した論証に変わりましたね。
これが具体化です。
技術2:「意思決定支援」のプロセスを示す
患者視点を語るとき、「患者が自ら決める」というプロセスを論文に組み込むと強くなります。
インフォームド・コンセントの文脈で、こう展開してみましょう。
「患者が真に自律的な意思決定を行うためには、
医師による情報提供だけでは不十分な場合がある。
患者が情報を理解し、自己の価値観と照らし合わせて選択できるよう、
看護師が情報の橋渡し役・感情的サポート役として機能することが求められる。」
ここでは「看護師の役割」を、患者の意思決定支援というプロセスの中に
位置づけることで、患者視点と職業観を同時に表現しています。
技術3:「倫理的葛藤」を正直に提示してから立場をとる
医療倫理の問題には、必ず「どちらの立場にも一理ある」という葛藤があります。
その葛藤をあえて提示してから自分の立場を論じると、
論文の質が飛躍的に上がります。
「確かに、患者の自律を最大限に尊重するならば、
たとえ医療的に不適切と思われる選択であっても
受け入れるべきという立場は理解できる。
しかし、患者の判断能力が低下している状況では……」
このように「確かに〜しかし」の論法で反論を先取りして乗り越える構造が、
看護・医療系小論文では特に有効です。
ステップ③:看護・医療系小論文の基本構成を覚える
構成に迷ったら、以下のテンプレートを使ってみてください。
これは翔先生も生徒指導でよく使っている構成です。
-
問題提起(100〜150字):テーマの背景・現状を示し、
「何が問題か」を明示する。 -
現状分析・課題の整理(300〜400字):
医療倫理の原則を使いながら、問題の構造を分析する。 -
患者視点からの考察(300〜400字):
患者の立場・状況・ニーズを具体的に描写し、
そこから導かれる医療職の責任を論じる。 -
解決策・自分の主張(300〜400字):
倫理的葛藤を踏まえたうえで、自分の立場と具体的な解決策を示す。 -
まとめ・志望動機との接続(100〜150字):
自分が看護師・医療職を目指す理由と論旨を結びつける。
特に最後の「志望動機との接続」は、看護・医療系小論文ならではのポイントです。
「なぜ自分がこの問題に向き合いたいか」を一文でいいので入れると、
採点者の心に刺さります。
藤原流のポイント
ここからは、私が長年の指導経験から感じている、
ちょっと視点を変えたアドバイスをお伝えします。
「正解を言おうとしない」ことが最大の武器
多くの受験生が犯す最大のミスは、「採点者が喜びそうな正解を書こうとする」こと。
特に看護系の小論文では「患者中心の医療が大切です」「チーム医療が重要です」といった
お決まりフレーズを並べてしまう人が多い。
でも、採点者はそういう「模範解答っぽい答案」を毎年何百枚も読んでいます(笑)。
正直、飽き飽きしているんです。
それよりも、「この問題の難しさをちゃんとわかっている」という知的誠実さが伝わる答案が、
ダントツで評価されます。
たとえ
💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう
情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇
プレゼント付き公式LINEを友だち追加