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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

東大古文の出典ジャンル分析|物語・説話・日記・歌論はどう読み分けるか

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:今日は「東大古文の出典ジャンル分析」というテーマで、東大第二問(古文)がどのようなジャンルの文章から出題されてきたかを整理し、ジャンルごとにどう読み方を切り替えるべきかをお話しします。

翔:東大古文というと「難しい単語がたくさん出そう」「本文が長そう」というイメージを持つ受験生が多いですが、実は「ジャンルの見立て」ができるだけで、読解のスピードと精度が大きく変わるんですよね。

藤原:はい。古文は現代文以上に「ジャンルごとのお約束」がはっきりしています。物語なら人間関係、説話なら教訓、日記なら心情、歌論なら主張——このフレームを持っているかどうかで、初読の理解度がまったく違います。この記事では、東大古文で実際に確認できている出典の傾向をもとに、ジャンル別の読み方を具体的に解説していきます。

出題の全体像

まず前提として、大学入試の出典は年度によって大きく異なり、すべての年度の出典を確実に把握することは困難です。ここでは「確認できている出典」に限定してお伝えします。推測や未確認の情報は一切含めません。

確認できている東大古文(第二問)の出典

  • 2005年:『住吉物語』(物語)
  • 2006年:『堤中納言物語』(物語)
  • 2020年:『春日権現験記』(説話的性格を持つ縁起物)
  • 2022年:『浜松中納言物語』(物語)
  • 2023年:『沙石集』(説話集)
  • 2025年:『撰集抄』(説話集)

翔:こうして並べてみると、確認できている範囲では「物語」と「説話・縁起物」が中心で、中古(平安時代)から中世(鎌倉〜南北朝あたり)まで幅広くカバーされていることが分かりますね。

藤原:そうなんです。ここで大事なのは、「東大古文=特定のジャンルに偏っている」とは言えないということ。むしろ、物語も説話も縁起物も出うる、という前提で対策を組む必要があります。なお、ここに挙げた年度以外の出典については、確実な情報がないため本記事では一切触れません。受験生の皆さんも、根拠のない年度別の出典情報には注意してください。

日記・歌論というジャンルについて

今回挙げた確認済みの出典には、日記文学や歌論書は含まれていません。ただし、古文全体を見渡すと、日記(『土佐日記』『更級日記』のような書き手自身の体験や心情を綴った文章)や歌論(『無名抄』『毎月抄』のような和歌に関する主張を述べた文章)も、大学入試の古文で頻出するジャンルです。東大古文の対策としても、「もし日記や歌論が出題されたらどう読むか」を知っておくことは、汎用的な古文読解力を鍛える上で非常に有効です。この記事では、確認できている物語・説話・縁起物の読み方に加えて、一般的な古文ジャンルとしての日記・歌論の読み方も解説します。

設問タイプ別の解き方

ここからは、ジャンルごとにどう読み方を切り替えるべきかを具体的に見ていきます。すべて自作の例文を用いて説明しますので、実際の入試本文とは異なる、あくまで解説用のオリジナル文であることをご了承ください。

物語の読み方——人間関係を軸に読む

物語(『住吉物語』『堤中納言物語』『浜松中納言物語』など)は、登場人物同士の関係性が展開の核になります。誰が誰に対してどんな感情を抱き、どんな行動を取るのか。この「関係の地図」を頭の中に作りながら読むことが最重要です。

翔:物語を読むときにまず意識してほしいのは「誰の視点で書かれているか」です。主語の省略が多い古文では、敬語の種類(尊敬語・謙譲語)から動作主・受け手を特定する技術が不可欠になります。

(以下、自作の例文です)

「女、几帳のもとに寄りて、涙をおさへつつ、『いかにせむ』と独りごちたまふを、男、物越しに聞きて、心苦しく思ひけり。」

藤原:この例文なら、「たまふ」という尊敬語から女性が身分の高い人物であることが読み取れ、「男」が女性の様子を「聞きて」「思ひけり」という部分から、男が女性に同情していることが分かります。物語では、こうした敬語・心情語・会話文の三点を軸に、登場人物どうしの力関係と感情の動きを整理していく読み方が有効です。

説話の読み方——教訓の落とし所を探す

説話(『沙石集』『撰集抄』など)は、物語と違って「教訓」や「仏教的な教え」が最終的な着地点になっているケースが多いジャンルです。エピソードそのものよりも、「このエピソードから何を学ぶべきか」という結論部分に筆者の主張が集約されます。

翔:説話を読むときのコツは、「オチ」を先に意識することです。説話は基本的に「事件が起きる→結果が出る→教訓が語られる」という三段構成になっていることが多いので、最後の一文・最後の段落に特に注意を払うべきです。

(以下、自作の例文です)

「ある僧、財を惜しみて人に施さざりけるが、後に病を得て、一銭も用ゐるに及ばず、空しくなりにけり。されば、財は蓄ふべきものにあらず、施すべきものなりとぞ。」

藤原:ここでは「財を惜しんだ僧が最後は財を使えずに亡くなった」というエピソードの後に、「財は施すべきものである」という教訓がはっきり示されています。説話を読み解くときは、このように「具体的な出来事」と「そこから導かれる教え」を分けて整理し、教訓の部分を要約する練習をしておくと、記述問題での得点力が大きく上がります。

日記の読み方——書き手の心情を追う

日記文学は、書き手自身の一人称的な体験と、それに伴う心情の揺れが中心になります。物語のように複数人の人間関係を追うのではなく、「書き手が今、何を感じているのか」を丁寧に追うことがポイントです。

翔:日記では、地の文にも書き手の主観が色濃く反映されるため、「客観的な事実」と「書き手の感想・感情」を意識的に分けて読む必要があります。「あはれなり」「口惜し」「うれし」といった心情語が出てきたら、その直前にどんな出来事があったかを必ず確認しましょう。

(以下、自作の例文です)

「今日も雨降りて、庭の花散りぬるを見るに、いとあはれなり。かかる世に、誰をか頼みにせむと思ふぞ悲しき。」

藤原:この例文では、「雨で花が散った」という客観的な出来事と、「あはれなり」「悲しき」という書き手の主観的な感情がセットになっています。日記文学の読解では、出来事と感情の対応関係を一つひとつ丁寧に押さえていくことが得点につながります。

歌論の読み方——主張の把握が最優先

歌論は、和歌についての筆者の主張・批評が書かれた文章です。物語や日記のようにストーリーがあるわけではなく、論説文に近い性格を持ちます。したがって、「筆者は何に賛成し、何に反対しているのか」という論の構造を掴むことが最も重要になります。

翔:歌論を読むときは、現代文の評論を読むときと同じ意識で、「筆者の立場」「対立する考え方」「その根拠」を整理していくとよいでしょう。和歌が引用されている場合は、その和歌がどちらの主張を支える例として挙げられているのかを必ず確認してください。

(以下、自作の例文です)

「近き世の歌は、ことば巧みなれど、心浅きこと多し。いにしへの歌は、ことば拙けれども、心深くして人の心を動かす。されば、歌は心を先とすべし。」

藤原:ここでは「近頃の歌」と「昔の歌」が対比され、「歌は心を優先すべきである」という主張が明確に示されています。歌論の読解では、こうした対比構造を見抜き、筆者がどちらの立場に立っているかを素早く判断する力が求められます。

縁起物・説話集特有の読み方——霊験と因果関係

『春日権現験記』のような縁起物は、寺社の霊験(神仏の不思議な力)を語る点で説話と共通する部分が多いジャンルです。ここでは「なぜその出来事が起きたのか」という因果関係、特に信仰心と結果の対応関係を丁寧に読み取ることが重要になります。

藤原:縁起物は説話の一種と捉えて差し支えありませんが、より「特定の神仏の力」を強調する傾向があります。「誰が、どのような信心を持ち、どのような御利益(ごりやく)を得たか」という構造を意識して読むと、話の筋が把握しやすくなります。

藤原&翔先生の実践アドバイス

翔:僕が受験生に伝えている一番シンプルなコツは、「本文を読み始める前に、リード文や設問から出典・ジャンルのヒントを探す」ということです。近年は出典名や成立時代がリード文に記載されている形が続いていますが、これは年度によって変わる可能性があるため、必ず最新の募集要項・入試要項でご確認ください。

藤原:出典が分かった瞬間、あるいは本文の冒頭数行を読んだ瞬間に「これは物語だな」「これは説話らしいぞ」と当たりをつけられれば、その後の読解方針が一気に定まります。物語なら人物関係図を頭の中に、説話なら教訓の着地点を探しながら、日記なら心情語をマークしながら、歌論なら対立構造を意識しながら——というように、ジャンルに応じた「読みのモード」を切り替える練習を、普段の演習から意識的に行ってほしいですね。

翔:また、東大古文は記述式の設問が中心になりますから、ジャンルの特性を踏まえて解答の型を変えることも重要です。物語なら「誰が・誰に対して・どういう心情や行動をとったか」を軸にまとめ、説話なら「出来事+そこから導かれる教訓」を軸にまとめる、といった具合です。

よくある失敗と解決策

藤原:受験生によくある失敗の一つが、「ジャンルを意識せず、すべての古文を同じ読み方で処理してしまう」ことです。物語のつもりで説話を読むと、教訓部分を軽視してしまい、記述問題で肝心の要素を落としてしまいます。

翔:逆に、説話のつもりで物語を読んでしまうと、人物同士の細かい心情の機微を読み飛ばしてしまい、心情説明問題で減点されるケースも多いです。

藤原:解決策としては、まず本文を読み始める前に、リード文・注・出典表記から「これは物語か、説話か、日記か、歌論か」を仮説として立てること。そして、読み進めながら「この仮説は合っているか」を検証し、必要に応じて読み方を修正していくことです。この「仮説→検証」のプロセスを普段の演習から繰り返すことで、初見の文章でも素早くジャンルを見極める力が身についていきます。

翔:もう一つの失敗は、単語や文法の暗記に偏りすぎて、ジャンルごとの「お約束」を学ばないまま演習を重ねてしまうことです。単語・文法はもちろん重要な土台ですが、それだけでは記述の得点は伸びません。ジャンルの型を知った上で、単語・文法の知識をどう使うかという視点を持つことが大切です。

今日からできるアクション

藤原:最後に、今日から実践できる具体的なアクションを三つお伝えします。

  1. 過去に読んだ古文をジャンル分けしてみる——手元にある問題集や模試の古文を、物語・説話・日記・歌論・縁起物のどれに当たるか分類してみましょう。分類の作業を通じて、それぞれのジャンルの「お約束」が体に染み込みます。
  2. ジャンルごとに読解メモの型を作る——物語なら「人物関係図」、説話なら「出来事→教訓」、日記なら「出来事→心情語」、歌論なら「主張→対立する考え→根拠」というように、自分専用のメモの型を作っておくと、本番でも迷わず情報整理ができます。
  3. 敬語と心情語のチェックを習慣化する——どのジャンルの古文であっても、敬語(動作主・受け手の特定)と心情語(登場人物・書き手の感情)のチェックは共通して重要です。演習のたびに、敬語表現と心情語にマーカーを引く習慣をつけましょう。

翔:地道な作業に見えますが、この積み重ねが東大古文だけでなく、あらゆる大学の古文読解に応用できる基礎体力になります。ジャンル分析の視点を持つことは、単語・文法の知識を「使える形」に変える橋渡しの役割を果たしてくれるんです。

まとめ・日本国語塾TOPについて

藤原:今回は、東大古文で確認できている出典(2005年『住吉物語』、2006年『堤中納言物語』、2020年『春日権現験記』、2022年『浜松中納言物語』、2023年『沙石集』、2025年『撰集抄』)をもとに、東大古文の出典ジャンルの傾向と、ジャンルごとの読み方を解説してきました。

翔:確認できている範囲では物語と説話・縁起物が中心ですが、日記や歌論といった他のジャンルの読み方も知っておくことで、初見の古文にも柔軟に対応できる読解力が身につきます。物語=人間関係、説話=教訓の落とし所、日記=書き手の心情、歌論=主張の把握——このフレームを、ぜひ日々の古文演習に取り入れてみてください。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

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