はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、今回から「漢字書き取り」シリーズを始めますね。第1回はどんなテーマですか?
翔先生:はい。入試の漢字問題でいちばん失点が多いのが、実は「同音異字」なんです。読み方は同じでも意味が違うので、文脈から正しい漢字を選ぶ力が問われます。
藤原:「イギ」とか「タイセイ」とか、複数の漢字候補がある言葉ですね。
翔先生:その通りです。今回は入試頻出の同音異字10問を、短文の中で出題します。答えが一つに定まるように文脈をしっかり作っていますので、意味を考えながら解いてみてください。
藤原:この1回を解き終える頃には、「なんとなく」ではなく「意味で選ぶ」漢字力が身につくはずです。それでは早速いきましょう!
問題(全10問)
第1問
議長の説明に対して、参加者の一人が強くイギを唱えた。
第2問
手術後の経過は順調で、患者はカイホウに向かっていると医師が説明した。
第3問
この会社は来月から新しい勤務制度へイコウする予定だ。
第4問
連敗が続いたため、監督はチームのタイセイを立て直すことにした。
第5問
記者は事件が起きるまでのケイイを詳しく説明した。
第6問
兄と弟は見た目はよく似ているが、性格はタイショウ的だ。
第7問
会社員である父は、毎年決まった時期に税金をオサめる。
第8問
自動車事故の被害者へのホショウ問題が話し合われた。
第9問
週末、有名な作家のコウエンを聞きに市民ホールへ出かけた。
第10問
友人の粘り強い努力ぶりに、思わずカンシンしてしまった。
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:異議
「異議を唱える」は「反対の意見を述べる」という意味の決まった言い方です。同じ「イギ」でも「意義」だと「物事の価値・意味」を表すため、この文脈には合いません。「議長の説明に対して反対する」という場面ですから、「異」なる「議」論、すなわち「異議」を選ぶのが正解です。「意義」と混同して書いてしまう受験生が非常に多いので、「唱える」「異議あり」という組み合わせで覚えておくと間違えにくくなります。
第2問の解答と解説
解答:快方
「快方に向かう」は「病気やけがが良くなっていく」という意味の慣用表現です。「開放」は「窓を開放する」のように制限をなくすこと、「解放」は「人質を解放する」のように束縛から解き放つことを意味し、どちらも病状の改善という文脈には合いません。「快方」の「快」は「快い(こころよい)」の字で、体調が良くなる方向という意味が込められています。医療・体調に関する文章では「快方に向かう」という形で頻出するので、セットで覚えましょう。
第3問の解答と解説
解答:移行
「移行する」は「ある状態や制度から別の状態や制度へ移り変わること」を意味します。「意向」は「考え・意思」を指す言葉で、「意向を確認する」のように使い、「以降」は「それより後」という時間を表す言葉です。この文章は「勤務制度が変わる」という内容なので、状態が移り変わる意味の「移行」が正解です。制度・体制の変化を述べる文では「移行」が使われることが多いと押さえておきましょう。
第4問の解答と解説
解答:体制
「体制」は「組織のしくみ・態勢のあり方」を意味し、「チームの体制を立て直す」のように使われます。「態勢」は「その場に応じた身構え・準備」を指し、「警戒態勢」のように一時的な構えに使うことが多い言葉です。「大勢」は「物事のおおよその形勢」を意味し、文脈が異なります。ここではチームという組織全体の仕組みを指しているため、「体制」が正解です。
第5問の解答と解説
解答:経緯
「経緯」は「物事がそうなるまでの詳しい事情・いきさつ」を意味します。「敬意」は「相手を敬う気持ち」、「軽易」は「たやすいこと」を意味し、どちらも文脈に合いません。「事件が起きるまでの流れを説明する」という内容から、「経緯」を選びます。「経緯を説明する」「経緯を尋ねる」という言い回しで覚えておくと便利です。
第6問の解答と解説
解答:対照
「対照的」は「二つのものを比べたときに、違いがはっきりしている様子」を表します。「対象」は「働きかけの目標となるもの」を意味し、「対象年齢」のように使います。「対称」は「つり合いが取れていること」を意味し、図形の話などで使われます。ここでは「性格の違いがはっきりしている」という意味なので「対照」が正解です。この三語は入試で非常によく問われるので、意味の違いをしっかり区別しておきましょう。
第7問の解答と解説
解答:納める
「オサめる」には「収める」「治める」「修める」「納める」の四つの候補がありますが、それぞれ意味が異なります。「収める」は「成果を得る・中に入れる」、「治める」は「国や心を統治する・鎮める」、「修める」は「学問や技芸を身につける」を意味します。「税金を納める」は、決められたところへ金品を渡すという意味なので「納める」を使います。四つの「オサめる」は頻出の同訓異字なので、例文とセットで覚えておくことが大切です。
第8問の解答と解説
解答:補償
「補償」は「与えた損害を金銭などで埋め合わせること」を意味します。「保証」は「間違いないと請け合うこと」、「保障」は「地位や権利などを守ること」を意味し、それぞれ「品質を保証する」「安全保障」のように使われます。ここでは「事故の被害者へ損害を埋め合わせる」という内容なので「補償」が正解です。三つの「ホショウ」は入試の頻出テーマなので、まとめて整理しておきましょう。
第9問の解答と解説
解答:講演
「講演」は「大勢の前で話をすること」を意味し、「講演を聞く」という言い方をします。「公園」は場所を表す言葉で意味が全く異なり、「後援」は「陰から支援すること」を意味します。ここでは「作家の話を聞きに行った」という内容なので「講演」が正解です。「公演」(劇や音楽の上演)と間違えやすいので、「話を聞く」場面か「舞台を見る」場面かで区別しましょう。
第10問の解答と解説
解答:感心
「感心する」は「立派だと心を動かされること」を意味します。「関心」は「興味を持つこと」を意味し、「関心を持つ」のように使います。「寒心」は「ぞっとするほど恐ろしく思うこと」を意味し、日常ではあまり使われません。ここでは「努力ぶりに心を動かされた」という内容なので「感心」が正解です。「関心」と書き間違える受験生が多いので、「立派だと思う」場合は「感心」と覚えておきましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10問はすべて同音異字でしたが、共通するコツは「その言葉の前後にある動詞や状況をよく見る」ことです。
藤原:「異議を唱える」「快方に向かう」のように、決まった言い回しとセットで覚えると迷わなくなりますね。
翔先生:はい。単語だけを丸暗記するのではなく、短文ごと覚えるのがおすすめです。また「対照・対象・対称」「保証・保障・補償」のように、似た読みが3つ以上ある言葉は、意味の違いを表にして整理しておくと入試本番で強くなります。
藤原:次回は訓読みの同訓異字を中心に出題しますので、続けて力をつけていきましょう。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は入試頻出の同音異字10問を通して、文脈から正しい漢字を選ぶ力を確認しました。漢字書き取りは覚える量が多いように見えますが、意味の違いを理解しながら短文ごと覚えることで、着実に得点源にすることができます。ぜひ何度も繰り返し解いて、定着させてください。
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