はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、漢字書き取りシリーズも第3回になりましたね。今回のテーマは?
翔先生:はい。今回は「同音異字」に絞りました。読み方は同じでも意味がまったく違う漢字が入試では本当によく狙われます。たとえば「イギ」と読む言葉だけでも「異議」「意義」「威儀」がありますよね。
藤原:そこですよね。受験生がよく間違えるのは、漢字そのものを知らないのではなく、文脈から適切な漢字を「選ぶ」判断ができていないケースです。
翔先生:今回の10問を通じて、「文脈判断力」を鍛えていきましょう。すべて短文形式なので、前後の意味をしっかり読み取ってから答えてくださいね。
問題(全10問)
第1問
委員会の決定に対して、彼は正式にイギを唱えた。
第2問
会社は来月から新しい勤務体系へイコウする予定だ。
第3問
今回の演奏は自分でも納得のいくカイシンの出来だった。
第4問
連日の異常な暑さは、専門家でなくともカンシンに堪えないものだった。
第5問
その商品は市場に出回っていない、キセイの枠にとらわれない発想から生まれた。
第6問
ふるさと納税を利用すると、所得税の一部をコウジョすることができる。
第7問
不祥事の責任を取り、担当大臣がコウシンされることになった。
第8問
限られた時間の中で、優先すべき仕事をシュシャ選択する必要があった。
第9問
事故直後の現場は、目を背けたくなるほどセイサンな光景だった。
第10問
台風の接近に備え、市は避難体制のタイセイ
を急いで整えた。
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:異議
「委員会の決定に対して」「唱えた」という文脈から、反対の意見を主張したことがわかります。「異議を唱える」は決まった言い回しとして覚えておきましょう。同音の「意義」は「物事の値打ち・意味」を表す言葉で、「意義がある」のように使います。また「威儀」は「礼儀にかなった立派な身のこなし」を意味し、「威儀を正す」という形で使われます。三つとも入試頻出なので、意味とセットで覚えることが大切です。
第2問の解答と解説
解答:移行
「勤務体系へ〜する」とあることから、ある状態から別の状態へ移ることを表す「移行」が正解です。「移行する」は制度や状態の変化を表す際によく使われる語です。同音の「意向」は「考え・意思」を意味し、「相手の意向を尋ねる」のように使います。「以降」は時間的な「それから後」を表すため、動詞として使うことはできません。品詞の違いにも注目すると区別しやすくなります。
第3問の解答と解説
解答:会心
「自分でも納得のいく」「出来」という文脈から、思い通りにいって満足する様子を表す「会心」が適切です。「会心の一撃」「会心の笑み」のように使われます。同音の「改心」は「悪い心を改めて善い方向に向かうこと」を意味し、「非行を改心する」のように使うため、文脈がまったく異なります。「戒心」は「用心して警戒する心」を意味し、日常ではあまり見かけませんが読解問題では登場することがあります。
第4問の解答と解説
解答:寒心
「異常な暑さ」に対して「〜に堪えない」と続くことから、ぞっとするほど心配で恐ろしいという意味の「寒心」が正解です。「寒心に堪えない」は「深く憂慮する」という意味の慣用表現で、やや硬い表現ですが評論文でよく登場します。同音の「感心」は「立派だと感じ入ること」、「関心」は「興味を持つこと」、「歓心」は「相手に気に入られようとする気持ち」を意味し、いずれも文脈が合いません。この問題は特に紛らわしいので要注意です。
第5問の解答と解説
解答:既成
「枠にとらわれない発想」とあることから、すでに世の中で当たり前とされている考え方や枠組みを表す「既成」が正解です。「既成概念」「既成の枠」という形でよく使われます。同音の「既製」は「あらかじめ製品として作られていること」を意味し、「既製服」のように具体的な品物に使うため、抽象的な「概念」「枠」には使えません。「規制」は「決まりで制限すること」を意味し、意味自体が異なります。
第6問の解答と解説
解答:控除
「所得税の一部を〜する」という文脈から、金額から一定分を差し引くことを意味する「控除」が正解です。「所得控除」「基礎控除」など税金関連の頻出語です。同音異字として「恒常」がありますが、これは「常に変わらないこと」を意味し、動詞としては使えないため、文脈から明確に区別できます。税や会計に関する語彙は入試現代文でも頻出なので、この機会に覚えておきましょう。
第7問の解答と解説
解答:更迭
「不祥事の責任を取り」「担当大臣が〜される」という文脈から、地位や役職にある人を他の人に代えることを意味する「更迭」が正解です。ニュースでもよく使われる語ですが、書き取り問題としては誤って「更新」と書いてしまう受験生が多いので注意が必要です。「更新」は「契約更新」「記録更新」のように、期限を延ばしたり新しくしたりする際に使う語で、人の交代には使いません。「行進」は隊列を組んで進むことを意味し、まったく別の言葉です。
第8問の解答と解説
解答:取捨
「優先すべき仕事を〜選択する」という文脈から、必要なものを取り、不要なものを捨てることを意味する「取捨」が正解です。「取捨選択」は四字熟語としてセットで覚えておくと書き間違いを防げます。同音の「主唱」は「中心となって意見を主張すること」を意味し、「主唱者」のように使われますが、「選択」とはつながりません。四字熟語は前後の漢字の意味関係から判断する練習をしておくと得点源になります。
第9問の解答と解説
解答:凄惨
「目を背けたくなるほど」「光景」という文脈から、むごたらしく痛ましい様子を表す「凄惨」が正解です。「凄惨な事故現場」のように使われます。同音の「清算」は「借金や関係を整理してすっきりさせること」、「精算」は「金額を細かく計算し直すこと」を意味し、いずれも「光景」を修飾することはできません。三つとも入試頻出の同音異字グループなので、意味の系統ごとにまとめて覚えると混同を防げます。
第10問の解答と解説
解答:態勢
「避難〜を整えた」という文脈から、その場に応じた一時的な構えや準備の状態を表す「態勢」が正解です。「避難態勢」「受け入れ態勢」のように使われます。同音の「体制」は「社会や組織の仕組み・組織構造」を意味し、「政治体制」「教育体制」のように制度・仕組み全体を指すため、一時的な準備には使いません。「大成」は「立派に成し遂げること」を意味し、まったく別の言葉です。この三語は入試で最も混同されやすい組み合わせの一つなので、しっかり区別しておきましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:同音異字対策で一番大事なのは、漢字単体で覚えるのではなく「使われる文脈」ごとセットで覚えることです。「寒心に堪えない」「取捨選択」のように、決まった言い回しとして体に染み込ませると、本番で迷いません。
藤原:その通りです。加えて、似た読みの漢字が出てきたら、必ず意味のグループ分けをする習慣をつけましょう。「体制・態勢・大成」のように系統立てて整理しておくと、初見の問題でも消去法で正解に近づけます。日々の読書や新聞で見かけた同音異字は、その場でノートにまとめておくと効果的ですよ。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は同音異字を中心とした漢字書き取り問題10問をお届けしました。漢字の書き取りは覚える量が多く感じられますが、文脈判断のコツをつかめば得点源に変えることができます。ぜひ繰り返し解いて、確実な知識として定着させてください。
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