はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、同音異義語シリーズの第2回ですね。今回はどんな語を扱いますか?
翔先生:はい。今回は「対象・対照」「保証・保障・補償」「回答・解答」「収拾・収集」「意外・以外」「既製・既成」「追求・追及・追究」「関心・感心・歓心」「異動・移動」「不振・不審・不信」の10語を扱います。どれも入試の書き取り問題で本当によく狙われる、失点しやすい語ばかりです。
藤原:共通して言えるのは、「音は同じでも意味の中心がまったく違う」ということですよね。文脈をしっかり読んで、その漢字が表す“意味そのもの”をイメージできるかがポイントです。
翔先生:その通りです。今回の10問を解き終える頃には、「なんとなく」ではなく「意味で選ぶ」感覚が身についているはずです。それでは挑戦してみましょう!
問題(全10問)
第1問
新薬の効果を確かめるため、服用群と非服用群を( )として比較した。
ア.対象 イ.対照 ウ.対称
第2問
台風で自宅が損壊した住民への( )が、来月から始まる予定だ。
ア.保証 イ.保障 ウ.補償
第3問
市が実施したアンケート調査には、多くの市民が( )を寄せた。
ア.回答 イ.解答
第4問
会議は意見の対立が激しく、議長も( )がつかない状態に陥った。
ア.収拾 イ.収集
第5問
まさか彼が留学を決意するとは、誰にとっても( )なことだった。
ア.意外 イ.以外
第6問
その建築家は、住宅とはこうあるべきだという( )概念を打ち破る作品を発表した。
ア.規制 イ.既製 ウ.既成
第7問
担当記者は、政治家の資金流用の責任を厳しく( )した。
ア.追求 イ.追及 ウ.追究
第8問
時間通りに集合し、丁寧に礼を述べる後輩の姿に、先輩は思わず( )した。
ア.関心 イ.感心 ウ.歓心
第9問
彼は入社十年目にして、初めて海外支店への( )を命じられた。
ア.異動 イ.移動
第10問
深夜、駐車場を何度も往復する人影があったため、( )者として警察に通報した。
ア.不振 イ.不審 ウ.不信
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:イ.対照
「対照」は、二つのものを照らし合わせて比べることを表す語で、実験や研究で「比較の基準として置くもの」を指す場合にも使われます。「対象」は行為の目的・働きかけの相手(研究対象・支援対象)を表す語で、「比べる」というニュアンスは含みません。「対称」は形や配置が釣り合っていること(左右対称)で、そもそも意味の系統が異なります。本問は服用群と非服用群を「比較の材料」として置いているので「対照」が正解です。「対象実験」と誤記する受験生が非常に多いため、要注意です。
第2問の解答と解説
解答:ウ.補償
「補償」は、与えた損害を金銭などで埋め合わせることを意味し、事故や災害による実害への支払いを表す際に使われます。「保証」は間違いないと請け合うこと(品質保証・身元保証)、「保障」は権利や安全を守り保つこと(社会保障・安全保障)を表し、いずれも「損害を埋め合わせる」意味は持ちません。本問は「損壊した住宅」への金銭的な埋め合わせなので「補償」が正解です。三語とも読みが同じで意味も抽象的なため、混同が非常に起きやすい組み合わせです。
第3問の解答と解説
解答:ア.回答
「回答」は問い合わせや要求に対して答えを返すことを意味し、アンケートや質問状への応答に用いられます。「解答」は問題を解いて答えを出すこと専用の語で、テストや数学の問題などに使う語です。本問は「アンケート調査」への応答なので「回答」が正解です。試験の答案では「解答」を書くべき場面で「回答」と書いてしまう誤りが典型的なので、「問題を解くか、問いに答えるか」で区別しましょう。
第4問の解答と解説
解答:ア.収拾
「収拾」は混乱した状態をまとめて収めることを意味し、「事態の収拾」「収拾がつかない」という形でよく使われます。「収集」は物やデータを集めることを意味し、ごみ収集・情報収集のように「物を集める」場面で使う語です。本問は会議の「混乱をまとめる」場面なので「収拾」が正解です。「収拾がつかない」を「収集がつかない」と書く誤りが非常に多いため、慣用表現として形ごと覚えておくとよいでしょう。
第5問の解答と解説
解答:ア.意外
「意外」は予想と違っていて驚くさまを表す形容動詞的な語で、「意外な結果」のように使います。「以外」は、ある範囲から外れることを表す語で「これ以外」のように名詞に付いて使われます。本問は「予想していなかった」という意味なので「意外」が正解です。読みが同じ上に用法も似て見えるため、「驚き」の意味か「範囲の外」の意味かで判断する習慣をつけましょう。
第6問の解答と解説
解答:ウ.既成
「既成」は、すでに世の中に出来上がって定着していること(既成概念・既成事実)を表す語です。「既製」は、あらかじめ製品として作られていること(既製服・既製品)を表し、「概念」のような抽象的なものには使いません。「規制」は決まりで制限することで、意味がまったく異なります。本問は「住宅とはこうあるべきだという定着した考え」を指すので「既成」が正解です。「既製概念」と誤記する例が多いので、「服」なら既製、「考え方」なら既成、と対応づけて覚えると効果的です。
第7問の解答と解説
解答:イ.追及
「追及」は責任や原因などを問いただし、逃さず迫っていくことを表す語で、「責任を追及する」という形でよく使われます。「追求」は理想や利益、幸福など、望ましいものを追い求めることを表す語です。「追究」は真理や本質を学問的に深く調べ究めることを表す語で、「学問の追究」のように使います。本問は「責任を厳しく問いただす」場面なので「追及」が正解です。三語とも「おいもとめる」というイメージが共通するため、目的語(責任か、利益か、真理か)で判断する練習が有効です。
第8問の解答と解説
解答:イ.感心
「感心」は、立派だと心を動かされ、感嘆することを表す語です。「関心」は物事に興味を持つこと(政治に関心がある)、「歓心」は相手に気に入られようとする気持ち(歓心を買う)を表し、いずれも「感嘆する」意味は持ちません。本問は後輩の礼儀正しさに「感じ入った」場面なので「感心」が正解です。三語とも日常語として頻出のため、「興味」「感嘆」「気に入られたい気持ち」のどれに当たるかを一語ずつ確認する習慣をつけましょう。
第9問の解答と解説
解答:ア.異動
「異動」は、地位や勤務先などが変わること、特に人事上の配置換えを表す専用の語です。「移動」は、場所そのものが物理的に動くこと・移り動くことを表す語で、人事の話には基本的に使いません。本問は「入社十年目で海外支店への配置換えを命じられた」場面なので「異動」が正解です。「人事移動」と書く誤りが非常に多いので、「人が動く」ではなく「地位や職場が変わる」という意味で覚えておくと区別しやすくなります。
第10問の解答と解説
解答:イ.不審
「不審」は、疑わしく怪しいと感じることを表す語で、「不審者」「不審な行動」という形でよく使われます。「不振」は物事の勢いや成績がふるわないこと(業績不振)、「不信」は相手を信用できないこと(不信感)を表し、いずれも「怪しい」という意味は含みません。本問は「怪しい人影」を通報した場面なので「不審」が正解です。三語とも「よくない状態」を表す点で似て見えるため、「怪しさ」「勢いのなさ」「信用のなさ」のどれかで見分ける練習をしましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10問を通して感じてほしいのは、「同音異義語は音ではなく“目的語”で見分ける」ということです。追求なら利益や幸福、追及なら責任、追究なら真理、というように、その言葉が何にかかっているかを確認するだけで、かなりの確率で正解が絞れます。
藤原:その通りですね。もう一つのコツは、慣用表現ごと丸ごと覚えることです。「収拾がつかない」「既成概念」「不審者」のように、決まった組み合わせで覚えてしまえば、いちいち意味を考えなくても瞬時に正しい漢字が浮かぶようになります。書き取り問題は時間との勝負でもあるので、この二つのアプローチを組み合わせて練習してみてください。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は、入試で狙われやすい同音異義語10語を、文脈から正しい漢字を選ぶ形式で練習しました。同音異義語は「音」ではなく「意味」で区別することが何より大切です。第1回とあわせて繰り返し復習し、自信を持って書き取り問題に臨めるようにしていきましょう。
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