はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、第5回のテーマは何でしょうか。
翔先生:今回は「現代語と意味がずれる古文単語」に絞りました。「うつくし」「あやし」「おどろく」など、見た目は現代語と同じでも意味が全然違う単語ばかりです。入試ではここを狙って出題されることが非常に多いんですよ。
藤原:まさに古文単語の落とし穴ですね。今回の10問を通じて、「知っている単語だから安心」という思い込みを崩していきましょう。
翔先生:すべて一問一答形式の四択問題です。例文を丁寧に読んで、文脈から意味を推測する練習もかねています。
問題(全10問)
第1問
次の例文の傍線部「あさましく」の意味として最も適切なものを選べ。
「かかることのあるべしとは思はざりしかば、あさましく思ひける。」(※学習用に作成した例文です)
①いやしく ②驚き呆れる思いで ③恥ずかしく ④浅く
第2問
次の例文の傍線部「うつくしう」の意味として最も適切なものを選べ。
「雀の子のこの端出でて遊ぶを見れば、いとうつくしうおぼゆる。」(※学習用に作成した例文です)
①美しく ②かわいらしく ③立派に ④珍しく
第3問
次の例文の傍線部「おどろきて」の意味として最も適切なものを選べ。
「夜中に物の音のしければ、おどろきて起き上がりぬ。」(※学習用に作成した例文です)
①驚愕して ②目が覚めて ③慌てて ④怒って
第4問
次の例文の傍線部「つとめて」の意味として最も適切なものを選べ。
「つとめて、庭の露いまだ消えざるほどに出でて見れば」(※学習用に作成した例文です)
①一心に努めて ②早朝 ③その日のうちに ④昼過ぎ
第5問
次の例文の傍線部「ののしりて」の意味として最も適切なものを選べ。
「里人ども、ののしりて何事かあるらむと思ひける。」(※学習用に作成した例文です)
①悪口を言って ②大声で騒いで ③非難して ④嘆いて
第6問
次の例文の傍線部「やがて」の意味として最も適切なものを選べ。
「使者来て、やがて出でぬ。」(※学習用に作成した例文です)
①やがて時が経って ②すぐに ③そのうち ④いつのまにか
第7問
次の例文の傍線部「つきづきしけれ」の意味として最も適切なものを選べ。
「この庭には松のあるこそつきづきしけれ。」(※学習用に作成した例文です)
①似つかわしい ②物寂しい ③立派だ ④珍しい
第8問
次の例文の傍線部「あやしき」の意味として最も適切なものを選べ。
「山の奥に、あやしき家一つあり。」(※学習用に作成した例文です)
①不気味な ②粗末な・身分の低い者が住む ③怪しい人がいる ④広々とした
第9問
次の例文の傍線部「こころもとなくて」の意味として最も適切なものを選べ。
「便り待つ心地、こころもとなくてならず。」(※学習用に作成した例文です)
①心が空虚で ②気がかりで・待ち遠しくて ③自信がなくて ④無責任で
第10問
次の例文の傍線部「ゆかしく」の意味として最も適切なものを選べ。
「かの噂の姫君の御様子、いとゆかしくおぼえて」(※学習用に作成した例文です)
①行きたく ②見たい・知りたい ③恐ろしく ④気に入らず
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:②驚き呆れる思いで
「あさまし」は現代語の「浅ましい(下品だ)」とは異なり、古文では「思いがけないことに驚き呆れる」という意味を持つ形容詞です。良い意味・悪い意味どちらの驚きにも使える点がポイントです。例文では「こうなるとは思わなかったので」という文脈があり、驚きの感情が読み取れます。現代語の語感に引かれて「いやしい」「恥ずかしい」と誤答しやすいので注意しましょう。感情語は文脈の因果関係(〜ので、〜だから)から意味を確定させる練習が有効です。
第2問の解答と解説
解答:②かわいらしく
「うつくし」は現代語の「美しい(うつくしい)」とは意味の中心がずれ、古文では主に「小さくてかわいらしい」対象への愛情を表す語です。子供や小動物に対して用いられることが多く、この例文の「雀の子」もまさに典型例です。「美しく」と訳してしまうと文意はある程度通ってしまうため誤答が生まれやすい語ですが、対象が幼いものである場合は「かわいらしい」を優先しましょう。人物の容姿の美しさを表す場合は別の語(「らうたし」など)が使われることも覚えておくと区別がつきやすくなります。
第3問の解答と解説
解答:②目が覚めて
「おどろく」は現代語の「驚く」の意味に加えて、古文では「目が覚める・気づく」という意味で使われることが非常に多い単語です。この例文では「夜中に音がして」「起き上がった」という流れから、眠りから覚めた場面だと判断できます。「驚愕して」と訳しても文脈上不自然ではないため誤答しやすいですが、就寝・起床の場面設定があるときは「目が覚める」の意味を第一に検討する習慣をつけましょう。
第4問の解答と解説
解答:②早朝
「つとめて」は現代語の「努めて(一心に努力して)」とは全く異なり、古文では時間を表す名詞的な語で「早朝」を意味します。例文中の「庭の露いまだ消えざるほど」という記述が、朝露が残る時間帯であることを示す強力なヒントになっています。「つとめて」を副詞の「努めて」と混同すると文意が通らなくなるため、時を表す語として丸暗記しておくことが重要です。似た語の「あかつき」「あした」との違いも整理しておくとよいでしょう。
第5問の解答と解説
解答:②大声で騒いで
「ののしる」は現代語の「罵る(悪口を言う)」とは異なり、古文では単に「大声を出す・騒ぎ立てる」という意味で使われます。悪口という否定的な意味合いは必ずしも含まれず、喜びや驚きによる騒ぎでも用いられる点が特徴です。例文では里人たちが何事かと騒いでいる様子が描かれており、悪口という要素は文脈上見当たりません。現代語の否定的な語感に引かれて「悪口を言う」を選ぶ誤りが非常に多いので要注意です。
第6問の解答と解説
解答:②すぐに
「やがて」は現代語の「やがて(そのうち、しばらくして)」とは時間感覚が逆で、古文では「すぐに・そのまま」という即時性を表す語です。例文では使者が来てすぐに出立したという場面であり、時間的な間隔がないことが読み取れます。現代語の感覚で「そのうち」「いつのまにか」と訳すと真逆の意味になってしまうため、頻出の対比ポイントとして必ず押さえておきましょう。
第7問の解答と解説
解答:①似つかわしい
「つきづきし」は「付く」という語を語源に持ち、「その場・その状況にぴったり合っている」という意味を表す形容詞です。例文では庭に松があることが調和していると評価されており、まさに「似つかわしい」の用法にあたります。「立派だ」と混同しやすいですが、「つきづきし」はあくまで「調和・適合」を評価する語であり、価値の高さそのものを評価するわけではない点に注意しましょう。
第8問の解答と解説
解答:②粗末な・身分の低い者が住む
「あやし」は現代語の「怪しい(疑わしい)」の意味も持ちますが、古文ではもう一つ、「見た目が粗末である」「身分が低い」という意味で用いられることが非常に多い語です。例文の「山の奥」「家一つ」という描写からは、不気味さよりも寂しく質素な様子が読み取れます。「怪しい人がいる」という選択肢に引かれがちですが、家そのものの様子を評価している点に注意すれば正答できます。「あやし」は文脈によって意味が大きく変わる多義語なので、周辺の描写から判断する練習を積みましょう。
第9問の解答と解説
解答:②気がかりで・待ち遠しくて
「こころもとなし」は現代語に直接対応する言葉がなく、「不安で落ち着かない」「早くそうなってほしくてじれったい」という気持ちを表す形容詞です。例文では手紙などの「便り」を待つ心情が描かれており、待つことへのじれったさ・不安が読み取れます。「自信がない」「無責任」といった訳は現代語の「心もとない」の一部の用法から連想されやすい誤答ですが、古文ではより広く「気がかり・待ち遠しい」の意味で使われる点を覚えておきましょう。
第10問の解答と解説
解答:②見たい・知りたい
「ゆかし」は動詞「行く」に由来しますが、古文では単に「行きたい」という意味ではなく、「心が引かれて見たい・知りたい・聞きたい」という好奇心・関心を表す形容詞として使われます。例文では噂の姫君の様子に強い関心を寄せている場面であり、「見たい・知りたい」の意味がぴたりと合います。語源から「行きたく」と誤答しやすいですが、対象への強い興味・関心を表す語だと理解しておくことが大切です。入試でも頻出の重要語なので、必ず「見たい・知りたい・聞きたい」の三点セットで覚えましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10語に共通するのは、「現代語の意味をそのまま当てはめると誤読してしまう」という点です。単語を覚えるときは、必ず現代語との「意味のズレ」をセットで意識してください。
藤原:特に「あさまし」「うつくし」「おどろく」のように、日常でも使う言葉ほど誤読しやすいものです。単語カードを作るときは、現代語の意味を先に書いて、その横に「古文ではこう違う」というメモを加えるのがおすすめです。
翔先生:また、単語の意味を一つだけ覚えて満足せず、例文とセットで「どの状況で使われているか」を確認する習慣をつけると、入試本番の文脈判断力が一気に上がりますよ。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は入試頻出の古文単語10語を通じて、「現代語と意味がずれる語」への対応力を鍛えました。単語の暗記は古文読解の土台です。単語だけの知識で終わらせず、必ず例文の中で意味を確認する習慣を積み重ねていきましょう。次回もさらに実戦的な問題をお届けしますので、ぜひ継続して取り組んでください。
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