はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:今回は古文単語シリーズの第4回です。現代語と意味がずれる語、いわゆる「古今異義語」を中心に10問用意しました。
翔先生:「あさましい」「うつくしい」「おとなしい」など、見た目は現代語とほぼ同じなのに意味が全然違う単語が多いですね。ここで油断すると、文脈を丸ごと読み違えてしまうので要注意です。
藤原:この回を終える頃には、「現代語のイメージで訳すと危険な古語」を自分で見抜けるようになるはずです。一問ずつ、丁寧に確認していきましょう。
問題(全10問)
第1問
次の例文の傍線部「あさましくて」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「かかる事のあるべしとは思ひかけざりしかば、いとあさましくて、ものも言はれず。」
ア.みすぼらしくて イ.驚きあきれて ウ.恥ずかしくて エ.悲しくて
第2問
次の例文の傍線部「うつくしうて」の意味として最も適切なものを選べ。(『竹取物語』より)
「それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」
ア.美しくて イ.かわいらしくて ウ.清らかで エ.立派で
第3問
次の例文の傍線部「おとなしく」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「この子は、まだ幼きやうなれど、ものの言ひざま、いとおとなしくおぼゆ。」
ア.おとなびて、思慮深く イ.うるさく ウ.大声で エ.おとなげなく
第4問
次の例文の傍線部「つとめて」の意味として最も適切なものを選べ。(『枕草子』より)
「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るも、いとつきづきし。」
ア.勤めて イ.早朝 ウ.一日中 エ.夜になって
第5問
次の例文の傍線部「やがて」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「使ひ来たれば、やがて返り事書きて遣はす。」
ア.やがては(将来) イ.すぐに ウ.しばらくして エ.そのうち
第6問
次の例文の傍線部「ののしりて」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「にはかに人々ののしりて、火事とぞ言ふなる。」
ア.悪口を言って イ.大声で騒いで ウ.非難して エ.泣き叫んで
第7問
次の例文の傍線部「わろき」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「この歌、少しわろき所あれど、心ざしはいとあはれなり。」
ア.悪意のある イ.よくない ウ.間違っている エ.汚い
第8問
次の例文の傍線部「すさまじきもの」の「すさまじ」の意味として最も適切なものを選べ。(『枕草子』より)
「すさまじきもの、昼ほゆる犬。春の網代。三、四月の紅梅の衣。牛死にたる牛飼ひ。」
ア.すばらしい イ.興ざめだ ウ.すごい、恐ろしい エ.寂しい
第9問
次の例文の傍線部「ありがたし」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「かくまで情け深き人は、世にありがたし。」
ア.感謝すべきだ イ.めったにない、貴重だ ウ.ありそうもない エ.親切だ
第10問
次の例文の傍線部「こころもとなく」の意味として最も適切なものを選べ。(※学習用に作成した例文です)
「待つ人の来ぬ夜は、こころもとなくて、いくたびも門の方を見やる。」
ア.心配で イ.じれったくて、待ち遠しくて ウ.寂しくて エ.腹立たしくて
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:イ
「あさまし」は現代語の「浅ましい(=みすぼらしい、卑劣だ)」とは異なり、古文では良い意味・悪い意味を問わず「予想外のことに驚きあきれる」ことを表します。例文では「かかる事のあるべしとは思ひかけざりしかば」とあり、思いもよらない事態に驚き、言葉を失っている場面です。現代語の「あさましい」に引かれて「みすぼらしい」や「恥ずかしい」と訳してしまう受験生が多いので注意しましょう。ポイントは「予想外の出来事に対する強い驚き」というニュアンスを核として覚えることです。
第2問の解答と解説
解答:イ
この文は『竹取物語』で、竹の中から現れたかぐや姫の幼い姿を描く有名な場面です。「うつくし」は現代語の「美しい(=容姿が優れている)」ではなく、「かわいらしい、いとしい」という、小さく愛らしいものに対する感情を表す語です。三寸ほどの小さな人を見つけた場面であることからも、「幼く小さいものへの愛情」という文脈がつかめます。「美しい」と訳すと意味は近いようで、対象がずれてしまう点に注意してください。古文の「うつくし」は基本的に子どもや小さな動物などに使われることを覚えておくと判別が容易です。
第3問の解答と解説
解答:ア
「おとなし」は現代語の「おとなしい(=静かで従順)」とは全く異なり、「大人びている、思慮深い、年長である」という意味を持ちます。例文では「まだ幼きやうなれど」と対比的に述べられており、見た目は幼いのに話し方が「おとなしく」感じられる、つまり大人びている様子を表しています。現代語の意味で「おとなげがない・静かだ」と訳してしまうと、文脈の対比構造が読み取れなくなるので注意が必要です。「まだ幼いのに」という逆接のヒントから意味を絞り込むのがコツです。
第4問の解答と解説
解答:イ
「つとめて」は「早朝」を意味する古語で、現代語の「努めて(=努力して)」とはまったく異なります。この一節は『枕草子』「冬はつとめて」の段で、冬の趣を早朝の情景に見出す有名な部分です。文中に「霜のいと白きも」「火など急ぎおこして」とあることからも、朝の寒い時間帯の描写だと判断できます。「つとめて」は「早朝」、似た語の「あした」も「朝」を表すので、セットで覚えておくと入試で頻出する時間表現の識別に強くなります。
第5問の解答と解説
解答:イ
「やがて」は現代語の「やがて(=そのうち、しばらくして)」とは意味が異なり、古文では「すぐに、そのまま」という即時性を表します。例文では使者が来た直後に返事を書いて送るという行動が描かれており、時間的な間を置かない様子が読み取れます。現代語のイメージのまま「そのうち」「しばらくして」と訳してしまうと、時間の流れが逆になってしまうため、頻出の古今異義語として要注意です。「やがて=すぐに」という一対一対応で覚えてしまうのが最も確実です。
第6問の解答と解説
解答:イ
「ののしる」は現代語の「罵る(=悪口を言う)」とは異なり、古文では単に「大声で騒ぐ、騒がしくする」という意味で使われます。例文では火事という出来事に対して人々が大声で騒いでいる様子が描かれており、悪口や非難のニュアンスは含まれていません。現代語の意味に引かれて「悪口を言って」を選んでしまう受験生が非常に多いため、頻出の古今異義語の代表格として覚えておきましょう。「騒ぐ」という中立的な意味だと理解しておくことが大切です。
第7問の解答と解説
解答:イ
「わろし」は「あし(悪し)」よりも程度の軽い「よくない、劣っている」という意味を表す語です。例文では和歌の出来について「少しわろき所あれど」と述べられ、完全に悪いわけではなく、多少欠点があるという穏やかな否定のニュアンスが表れています。現代語の「悪意」や「不正」といった強い否定的意味と混同しないよう注意が必要です。「わろし」と「あし」は程度の違いによる使い分けがあることをセットで覚えておくと、識別問題で有利になります。
第8問の解答と解説
解答:イ
「すさまじ」は現代語の「すさまじい(=すごい、圧倒される)」とは異なり、古文では「興ざめだ、殺風景だ」という意味を持ちます。『枕草子』の「すさまじきもの」の段は、季節外れの物や場違いなものを列挙する内容で、いずれも「白けてしまう、興が冷める」ものばかりです。「昼ほゆる犬」なども、本来は夜に吠えるはずの犬が昼間に吠えているという、期待とのズレによる興ざめさを表しています。現代語の強調的な「すごい」という意味で読むと文脈を大きく取り違えるため、頻出単語として重点的に覚えましょう。
第9問の解答と解説
解答:イ
「ありがたし」は現代語の「ありがたい(=感謝したい)」とは異なり、古文では「めったにない、貴重だ」という意味が中心です。例文では「情け深き人は、世にありがたし」とあり、そうした人物が世の中にめったに存在しないという稀少性を述べています。「ありがたし」はもともと「有り難し(=存在することが難しい)」という語構成から来ており、この成り立ちを意識すると「めったにない」という訳が自然に導けます。現代語の「感謝」の意味に引かれて「感謝すべきだ」を選んでしまうと、文全体の意味がずれてしまうので注意が必要です。「有り難し」の字面から意味を組み立て直す練習をしておくと、他の複合語にも応用が利きます。
第10問の解答と解説
解答:イ
「こころもとなし」は「気がかりだ、じれったい、待ち遠しい」という意味を持つ古語で、はっきりしない状態や、待たされてもどかしい気持ちを表します。例文では、待ち人が来ない夜に何度も門の方を見やる様子が描かれており、待ち遠しさともどかしさが入り混じった心情がよく表れています。「心もとない」という言葉自体は現代語にも残っていますが、日常会話ではあまり使われないため、意味を正確に押さえていないと選択肢の「心配で」や「不安で」に引きずられやすくなります。「じれったい・待ち遠しい」という、待つことに伴う焦燥感がこの語の核であると覚えておきましょう。何度も見やるという行動の描写から気持ちを推測する練習にもなる良い例文です。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10語に共通するのは、「現代語に同じ形の単語があるからこそ危険」という点ですね。「あさまし」「うつくし」「おとなし」「わろし」あたりは、うっかり現代語の感覚で読んでしまいがちです。
藤原:そうですね。古文単語を覚えるときは、単語カードに「現代語とどう違うか」を必ずセットで書くことをおすすめします。特に入試では、こうした古今異義語がそのまま設問の傍線部として狙われることが非常に多いです。
翔先生:また、例文とセットで意味を覚えることも大切です。今回のように「思ひかけざりしかば、あさまし」「まだ幼きやうなれど、おとなし」のように、前後の文脈とセットで記憶すると、初見の文章でも意味を推測しやすくなります。
藤原:単語単体の暗記ではなく、「どういう場面で使われるか」までイメージできるようになると、古文読解力は一気に安定します。今回学んだ10語は、模試や入試で何度も出会う頻出語ばかりですので、ぜひ繰り返し確認してください。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は、現代語と意味がずれやすい古文単語10語を、例文の中での用法とともに確認しました。「あさまし」「うつくし」「おとなし」「つとめて」「やがて」「ののしる」「わろし」「すさまじ」「ありがたし」「こころもとなし」は、いずれも入試で繰り返し出題される重要語です。現代語のイメージにとらわれず、古文特有の意味を文脈とセットで覚えることが、読解力向上への近道です。次回の第5回でも、引き続き入試頻出の古文単語を扱っていきますので、あわせて学習を進めてみてください。
日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。
💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう
情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇
プレゼント付き公式LINEを友だち追加