はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、古文単語シリーズも第6回になりましたね。
翔先生:はい。今回は「現代語と意味がずれる古語」に絞って出題します。「かわいそう」だと思ってしまう「あはれなり」や、「無視する」だと勘違いされがちな「ののしる」など、入試で本当によく狙われる単語ばかりです。
藤原:現代語の感覚で読んでしまうと、文脈が全く逆になってしまう単語が多いのがこの分野の怖いところですね。
翔先生:その通りです。今回の10問を解くことで、「例文の中でその単語がどういう働きをしているか」を判断する力、つまり文脈判断力が身につきます。ではさっそく問題に挑戦してみましょう!
問題(全10問)
第1問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「庭の紅葉、月にはえてをかし」(※学習用に作成した例文です)
①こっけいだ ②趣がある ③正しい ④珍しい
第2問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「別れの朝、涙こぼれてあはれなり」(※学習用に作成した例文です)
①気の毒だ ②しみじみとした趣がある ③はかない ④滑稽だ
第3問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず」(『枕草子』)
①夜更け ②早朝 ③正午 ④夕方
第4問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「祭りの日、人々ののしりて行き交ふ」(※学習用に作成した例文です)
①悪口を言って ②大声で騒いで ③非難して ④静かに
第5問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「文を読み終へて、やがて返事を書きたり」(※学習用に作成した例文です)
①しばらくして ②そのまますぐに ③やっと ④結局
第6問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」(『竹取物語』)
①美しい(容姿端麗) ②かわいらしい ③清らかだ ④立派だ
第7問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「かかる才、世にありがたしと人々言ひあへり」(※学習用に作成した例文です)
①感謝すべきだ ②めったにない、貴重だ ③困難だ ④ふさわしくない
第8問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「学びたる年月、みないたづらになりぬ」(※学習用に作成した例文です)
①いたずらに悪くなって ②無駄になって ③忙しくなって ④豊かになって
第9問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「すさまじきもの。昼ほゆる犬。春の網代」(『枕草子』)
①恐ろしいもの ②興ざめなもの ③すばらしいもの ④珍しいもの
第10問
次の傍線部の意味として最も適切なものを選びなさい。
「かかる不思議を目にして、人々あさましがりけり」(※学習用に作成した例文です)
①軽蔑した ②驚きあきれた ③恥ずかしがった ④うらやましがった
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:②趣がある
「をかし」は「滑稽だ」という現代語の意味も持ちますが、古文では圧倒的に「趣がある・風情がある」という肯定的な美的評価の意味で使われることが多い単語です。特に『枕草子』的な世界観では、視覚的・感覚的に「素敵だ」と感じる場面で頻出します。今回の例文も「月に映える紅葉」という美しい情景描写なので、②が適切です。現代語の「おかしい(変だ)」の意味で選んでしまうミスが非常に多いので注意しましょう。
第2問の解答と解説
解答:②しみじみとした趣がある
「あはれなり」は現代語の「かわいそう」という限定的な意味ではなく、喜怒哀楽を含めた広い「心にしみじみと感じる」情感を表す語です。涙の場面でも、感動や別れの余韻といったプラスの情緒を含みます。①「気の毒だ」に引きずられがちですが、古文の「あはれ」はもっと包括的な美的・情緒的な感動を指す点が最大のポイントです。
第3問の解答と解説
解答:②早朝
「つとめて」は「早朝・朝早く」を意味する頻出語です。『枕草子』「冬はつとめて」の一節は、冬の早朝の冷え込みや霜の趣を評価した有名な部分として知られています。現代語の「努めて(努力して)」という意味と混同する受験生が多いですが、古文単語としては時間帯を表す語である点をしっかり覚えておきましょう。
第4問の解答と解説
解答:②大声で騒いで
「ののしる」は現代語の「悪口を言う」ではなく、「大声を出す・騒ぎ立てる」という意味が基本です。祭りの場面でにぎやかに人が行き交う様子を表しており、非難のニュアンスは含みません。現代語の否定的な意味に引っ張られて①や③を選んでしまうのが典型的な誤答パターンです。
第5問の解答と解説
解答:②そのまますぐに
「やがて」は現代語の「やがて(そのうち、しばらくして)」とは逆に、「間を置かずすぐに・そのまま」という即時性を表す語です。文を読み終えた直後に返事を書くという文脈からも、時間差のない②が正解と分かります。現代語との意味のズレが特に大きい単語として頻出なので、必ず押さえておきましょう。
第6問の解答と解説
解答:②かわいらしい
「うつくし」は現代語の「美しい(容姿が整っている)」ではなく、古文では主に「小さくかわいらしい」というニュアンスで使われます。『竹取物語』のかぐや姫が生まれた場面で「三寸ばかりなる人」の愛らしさを表現しており、幼いもの・小さいものへの愛情を含んだ語である点が重要です。①を選ぶ誤答が非常に多いので注意しましょう。
第7問の解答と解説
解答:②めったにない、貴重だ
「ありがたし」は「有り難し」、つまり「有ることが難しい=めったにない」が原義です。現代語の「感謝したい」という意味に引きずられて①を選ぶミスが典型的です。例文では「かかる才(そのような才能)」が世に珍しいと評されている文脈なので、②が適切と判断できます。
第8問の解答と解説
解答:②無駄になって
「いたづらなり」は「無駄だ・むなしい」という意味の形容動詞です。現代語の「いたずら(悪ふざけ)」という意味とは全く異なるため注意が必要です。例文では「学びたる年月」が無駄になってしまったという文脈なので、②が自然な訳になります。
第9問の解答と解説
解答:②興ざめなもの
「すさまじ」は「興ざめだ・殺風景だ」を意味する語で、『枕草子』の「すさまじきもの」の段はこの語をタイトルにした有名な段です。昼間に吠える犬や、盛りを過ぎた春の網代(魚を捕る仕掛け)など、場にそぐわない興ざめな事物が列挙されています。現代語の「すさまじい(すごい・激しい)」というプラス・強調のニュアンスとは正反対の意味であることが最大の注意点です。
第10問の解答と解説
解答:②驚きあきれた
「あさまし」は良い意味・悪い意味を問わず「驚きあきれる」ほどの意外性を表す語です。現代語の「浅ましい(下品だ・情けない)」という限定的な否定的評価とは異なり、古文では単に「予想を超えた驚き」を表すことが多い点がポイントです。不思議な出来事を目にした人々の反応として②が適切です。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回扱った単語はどれも「現代語のイメージにそのまま引っ張られると誤答する」というグループでしたね。
藤原:そうですね。古文単語を覚えるときは、単語カードの表に「訳」だけでなく、裏に「現代語とどうズレるか」を一言メモしておくと、記憶の定着率がぐっと上がります。
翔先生:特に「をかし」「あはれなり」「すさまじ」「うつくし」のようなプラス・マイナスの評価語は、原義を押さえておかないと文脈から真逆の意味を選んでしまいます。単語単体で覚えるのではなく、必ず例文とセットで音読して覚えましょう。
藤原:入試本番では時間との勝負にもなりますから、こうした「ズレやすい単語」を先に潰しておくと、読解のスピードも安定しますよ。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は現代語と意味がズレやすい古文単語10個を、例文とともに確認しました。単語の意味は「暗記」だけでなく「文脈でどう機能するか」まで理解して初めて得点力につながります。ぜひ何度も繰り返し復習してください。
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