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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

慶應義塾大学法学部の論述力|傾向と対策

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数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

はじめに

藤原:今回は「慶應義塾大学法学部 論述力」というテーマで、傾向と対策をお話ししていきます。翔先生、慶應法学部の入試といえば、多くの受験生が最初に戸惑う独自科目がありますよね。

翔:そうですね。「論述力」という名前の科目です。国語でも小論文でもなく、あえて「論述力」という名称になっているところに、慶應義塾大学法学部が受験生に求めているものが表れていると思います。

藤原:まさにそこがこの記事の核心です。「論述力」というのは単なる作文でも、単なる読解でもありません。資料文(課題文)を正確に読み解いたうえで、自分の考えを筋道立てて表現する力、つまり「読む力」と「書く力」を統合した総合的な思考力を測る科目なんです。

翔:この記事では、慶應義塾大学法学部の論述力について、出題の全体像から設問タイプ別の解き方、そして今日から始められる具体的な学習法まで、実践的にお伝えしていきます。

藤原:なお、試験時間や配点、大問構成は年度によって変更される場合がありますので、必ず最新の募集要項・入試要項でご確認ください。この記事では、変わりにくい「解き方」「考え方」「学習の進め方」に焦点を当てて解説します。

出題の全体像

翔:慶應義塾大学法学部の論述力は、資料文を読み解いて論じる独自科目という点が最大の特徴です。一般的な現代文の設問のように「傍線部の意味を選びなさい」という選択式の問題とは異なり、記述・論述で答える形式が中心になります。

藤原:ここで重要なのは、「論述力」という科目名そのものに込められた意味です。単に文章を読んで内容を理解する「読解力」だけでも、単に自分の意見を書く「作文力」だけでも足りません。求められているのは、資料文の論理構造を正確に把握したうえで、それを踏まえて自分の思考を展開し、説得力のある文章として構成し直す力です。

翔:近年は、複数の観点を含む資料文が出され、受験生はそれを要約したり、資料文の主張に対して自分の考えを論じたりする形式が続いています。ただし、具体的な出典や設問文の内容については、年度によって大きく異なりますので、この記事では一般化できる「型」としてお伝えします。

藤原:大切なのは、法学部が「論述力」という科目を通して見ているのは、法学を学ぶ上で不可欠な次の3つの力だということです。

  • ①読解の正確性:資料文の主張や論理構造を誤読せず、正確に把握する力
  • ②論理的思考力:与えられた情報を整理し、根拠をもって自分の考えを組み立てる力
  • ③表現力:自分の考えを、読み手に伝わる明快な日本語で構成する力

翔:法学部という性質上、「条文や判例を正確に読み、それに基づいて論理的に議論を組み立てる」という法学的思考の土台になる力が問われている、と考えるとしっくりきますね。

設問タイプ別の解き方

藤原:ここからは、論述力で出題されやすい設問タイプを整理し、それぞれの解き方を具体的に見ていきましょう。すべて私たちが解説のために作成した自作の例文をもとにお話しします。

①資料文の要約・内容説明タイプ

翔:まず基本となるのが、資料文の内容を正確に要約させる、あるいは特定部分の内容を説明させるタイプです。

藤原:ここで多くの受験生がやってしまうのが、「部分的な言い換え」で終わってしまうことです。要約とは、単に文中の表現を別の言葉に置き換えることではありません。文章全体の論理構造――「主張・根拠・具体例・結論」の関係性を把握し、それを圧縮して再構成する作業です。

※以下は解説のためにこちらで作成した自作の例文です。

「規則は例外を許容することで、かえってその規則の意義を強化する場合がある。たとえば、交通法規において緊急車両に例外を認めることは、法規そのものへの信頼を損なうどころか、法秩序全体の合理性を裏付けている。」

翔:この例文を要約する場合、「緊急車両は特別扱いされる」という表面的な内容だけを書いてはいけません。「規則の例外が、規則自体の意義を強化するという逆説的な構造」を捉えることが本質です。

藤原:要約問題を解く手順は次の通りです。

  1. 資料文を段落ごとに区切り、各段落の役割(主張・根拠・具体例・反論・結論)をメモする
  2. 「筆者が最も言いたいこと」を一文で仮に書いてみる
  3. その仮説を支える根拠や具体例を、優先順位をつけて肉付けする
  4. 指定字数に収まるよう、具体例は思い切って削り、抽象化した表現に置き換える

翔:特に④が重要です。字数が限られている以上、具体例をそのまま書き写す余裕はありません。具体例が示している「一般化された論理」を自分の言葉で表現し直す訓練が必要です。

②資料文への意見論述タイプ

藤原:次に、資料文の主張を踏まえて自分の意見を論じさせるタイプです。ここでの最大のポイントは、「資料文を無視した一般論」を書いてしまわないことです。

翔:よくあるのが、「AIについてどう思うか」という論述課題に対して、資料文の内容とはほぼ無関係に、自分が塾や予備校で覚えてきた「AI万能論」「AI脅威論」のテンプレート意見をそのまま書いてしまうパターンです。

藤原:これは大きな失点につながります。「論述力」で問われているのは、あくまで資料文の論理を踏まえた上での思考力です。手順としては次のように進めましょう。

  1. 資料文の主張・論拠を一文にまとめる
  2. その主張に「賛成」か「一部賛成・一部反対」か「反対」かの立場を決める
  3. 立場を支える根拠を、資料文にはない自分の具体例(時事・経験・歴史的事実など)で補強する
  4. 資料文の主張の弱点・限界にも触れ、単純な同意・反論で終わらせない

翔:特に④が「論述力」らしい部分です。単純に「賛成です、なぜなら~」で終わる文章と、「基本的に賛成だが、資料文が想定していない状況では別の判断が必要になる」という文章とでは、後者の方が圧倒的に評価が高くなります。これは法学的思考、つまり「原則と例外」を意識する思考法そのものです。

③複数資料の比較・統合タイプ

藤原:複数の資料文(あるいは資料文中の複数の立場)が提示され、それらを比較・統合したうえで論じさせるタイプもあります。

翔:ここで大切なのは、「対立点はどこか」「共通点はどこか」を明確に切り分けることです。

※以下は解説のためにこちらで作成した自作の例文です。

資料A「個人の自由な選択を最大限尊重すべきである」
資料B「個人の選択は往々にして社会的圧力の産物であり、真に自由とは言えない」

藤原:この2つの資料は、一見対立しているように見えますが、実は「何をもって自由とみなすか」という前提が異なっているだけで、「個人の意思決定を尊重する社会が望ましい」という点では共通しています。

翔:比較・統合タイプの解き方の手順はこうです。

  1. 各資料の「主張」と「その根拠となる前提」を分けて整理する
  2. 表面的な対立ではなく、前提のレベルでの違いを見つける
  3. 両者の共通する問題意識や、統合可能な視点を探す
  4. 自分なりの結論(どちらかを採用する、あるいは第三の立場を示す)を明確に述べる

藤原:ここでも大事なのは、「どちらが正しいか」の勝敗をつけることではなく、「なぜそのような対立が生まれるのか」という構造を説明できるかどうかです。これも慶應義塾大学法学部の論述力が求める、法学的な思考の核心部分だと言えます。

藤原&翔先生の実践アドバイス

翔:ここまでの内容を踏まえて、実際に答案を書くときの実践的なアドバイスをお伝えします。

藤原:まず一つ目は、「結論を先に決めてから書き始める」ということです。論述力の答案は、書きながら結論を模索するタイプの文章ではありません。事前に構成メモを作り、結論・根拠・具体例・反論への言及、という骨組みを決めてから清書することを徹底してください。

翔:私が指導していて感じるのは、時間内に書き切れない受験生の多くが、「いきなり書き始めてしまう」ことが原因だということです。まず5分程度で構成メモを作る習慣をつけましょう。

藤原:二つ目は、「資料文の言葉をそのまま使いすぎない」ことです。資料文の一文をほぼそのまま書き写すような答案は、読解力の証明にはなっても、思考力の証明にはなりません。自分の言葉に言い換える作業を必ず挟んでください。

翔:三つ目は、「一文を短く、論理を明確に」です。慶應義塾大学法学部の論述力では、一文が長く複雑になるほど、論理の破綻に気づきにくくなります。主語と述語がねじれていないか、一文一義を意識して書くことが得点に直結します。

藤原:四つ目は「時間配分の練習」です。資料文を読む時間、構成を考える時間、書く時間、見直す時間。この4つを事前に決めて、過去問演習の段階から時間を計って練習することを強くおすすめします。

よくある失敗と解決策

翔:ここからは、論述力の答案でよく見られる失敗パターンと、その解決策をまとめます。

藤原:失敗①「資料文の要約なのに、自分の意見を混ぜてしまう」。要約問題と意見論述問題は、求められている作業がまったく異なります。要約は「筆者の主張を客観的に再構成する作業」であり、そこに自分の評価や感想を挟んではいけません。設問文をよく読み、「要約せよ」なのか「論じよ」なのかを最初に確認する癖をつけましょう。

翔:失敗②「具体例が抽象論の言い換えになっていない」。意見論述で自分の具体例を挙げる際、抽象的な主張をただ繰り返しているだけで、実は具体例になっていないケースが非常に多いです。「その具体例は、いつ・どこで・誰が・何をした事実か」を説明できるかどうかで、本当の具体例かどうかを判定してください。

藤原:失敗③「反論への配慮がなく、単線的な主張で終わる」。先ほどお話しした通り、法学部の論述力では「原則と例外」「反論とその再反論」を意識した多層的な論理展開が高く評価されます。自分の主張に対して「こう反論されたらどう答えるか」を必ず一度自問してから答案を仕上げましょう。

翔:失敗④「時間切れで結論が書けない」。これは構成メモを作らずに書き始めることが原因です。先述の通り、必ず構成メモを先に作り、結論から逆算して字数配分を決めることで防げます。

藤原:失敗⑤「resource(資料文)の論理構造を誤読する」。これが最も致命的な失敗です。慶應義塾大学法学部の論述力は、まず正確な読解ができていることが大前提です。誤読したまま論じても、どれだけ文章がうまくても評価されません。日頃から、論説文を「主張・根拠・具体例・反論・結論」に色分けしながら読む訓練を積んでおくことが不可欠です。

今日からできるアクション

翔:最後に、今日からすぐに始められる具体的な学習アクションをまとめます。

  1. 新聞の社説やコラムを1日1本、構造分析しながら読む:主張・根拠・具体例・反論・結論を色分けし、要約を100字程度で書く練習を続けましょう。
  2. 要約→意見論述の2段階練習をセットで行う:同じ文章に対して、まず客観的な要約を書き、その後で自分の意見を論じる練習を分けて行うことで、両者の違いを体感的に理解できます。
  3. 「反論への一言」を必ず加える習慣をつける:どんな短い論述練習でも、最後に「ただし〜という反論もありうる」という一文を加える練習をしてください。これが法学的思考の基礎訓練になります。
  4. 時間を計って過去問演習をする:資料文を読む時間・構成を考える時間・書く時間を分けて計測し、自分の時間配分の癖を把握しましょう。
  5. 第三者に答案を読んでもらう:自分では論理が通っているつもりでも、他人が読むと分かりにくいことは非常によくあります。国語専門の講師など、第三者の視点で添削を受けることを強くおすすめします。

藤原:慶應義塾大学法学部の論述力は、一朝一夕で対策できる科目ではありません。しかし、「読む」「考える」「書く」という3つの力を分解して、それぞれを地道に鍛えていけば、必ず得点力は伸びていきます。

まとめ・日本国語塾TOPについて

翔:今回は、慶應義塾大学法学部の論述力について、出題の全体像から設問タイプ別の解き方、実践アドバイス、よくある失敗と解決策、そして今日からできるアクションまで解説してきました。

藤原:「論述力」という科目名には、単なる読解力でも単なる作文力でもない、資料文を正確に読み解いたうえで論理的に自分の考えを組み立てる力が求められている、というメッセージが込められています。慶應義塾大学法学部を志望する受験生の皆さんは、ぜひこの記事で紹介した手順を、日々の学習に取り入れてみてください。

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