はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、今回で漢文句形シリーズも第5回ですね。
翔先生:はい。今回は使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・比較という、入試で頻出の句形をまとめて扱います。単発で覚えるより、まとめて解くことでそれぞれの「型」の違いがはっきり見えてくるはずです。
藤原:特に反語と疑問の見分け、二重否定の強い肯定への訳し方は、多くの受験生がつまずくポイントですよね。
翔先生:その通りです。今回の10問を解き終える頃には、句形を見た瞬間に「型」が浮かぶ状態になっているはずです。それでは早速挑戦してみましょう!
問題(全10問)
第1問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
師使弟子読書。
第2問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
忠臣見疑於君。
第3問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
未見其人之至也。
第4問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
子何不早言。
第5問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
豈可以一言廃百善乎。
第6問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
若不勤学、則不能成大器。
第7問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
唯読書為楽。
第8問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
知足者、莫楽於此。
第9問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
人莫不好利。
第10問
次の文を書き下し文にし、現代語訳しなさい。(※学習用に作成した例文です)
凡人猶知恥、况君子乎。
解答・解説
第1問の解答と解説
書き下し文:師弟子をして書を読ましむ。
現代語訳:師は弟子に書物を読ませる。
「使AB」は使役形の基本形で、「Aヲシテ(未然形+)しム」と読みます。ここではAが「弟子」、Bが「読書」にあたります。「使」を「つかフ」と訓読してしまう誤りが非常に多いので注意が必要です。使役の対象(誰に)と使役の内容(何をさせるか)を分けて捉えると、語順の理解も安定します。返り点の打ち方でも「使」の下に「A」「B」が続く構造を意識しましょう。
第2問の解答と解説
書き下し文:忠臣は君に疑はる。
現代語訳:忠実な臣下は主君に疑われる。
「見る」は受身の助字で、「見A」で「Aル・Aラル」と読みます。さらに「於」があることで、動作の相手(疑う主体)が「君」であると明示されています。「見」を「みル」と読んでしまうミスが多発するので、直後に動詞があり、後ろに「於」が続く形は受身とすぐ判断できるようにしましょう。「見る+於」の組み合わせは受身形の代表パターンです。
第3問の解答と解説
書き下し文:未だ其の人の至るを見ざるなり。
現代語訳:まだその人が到着するのを見ていないのだ。
「未だ〜ず」は再読文字「未」の基本形で、「今のところ〜していない」という状態を表します。「未」は「いまダ〜ず」と二度読む再読文字であることを忘れず、返り点・送り仮名の両方に注意しましょう。文末の「なり」は断定を表し、強調のニュアンスを添えています。再読文字は句形問題で頻出なので、「未・将・応・当・宜・須」などとあわせて確認しておくと安心です。
第4問の解答と解説
書き下し文:子何ぞ早く言はざる。
現代語訳:あなたはどうして早く言わないのか。
「何不〜」は疑問形で、「なんゾ〜ざル」と読み、「どうして〜しないのか」という理由を尋ねる意味になります。ここで注意したいのは、反語ではなく単純な疑問である点です。反語であれば「どうして〜しようか、いや〜しない」という訳になりますが、本文は文脈上、相手を責めたり促したりする素直な疑問と解釈するのが妥当です。「何不」を反語と機械的に暗記している受験生は誤読しやすいため、文脈判断が重要です。
第5問の解答と解説
書き下し文:豈に一言を以て百善を廃す可けんや。
現代語訳:どうして一言だけで多くの善行を無しにしてよいだろうか、いや、そうしてはならない。
「豈に〜んや」は反語形の代表的パターンで、「決して〜ない」という強い否定の意味を持ちます。「可けんや」の部分は「可能+反語」の組み合わせであり、「〜してよいだろうか、いやよくない」と訳します。反語形は疑問形と語感が似ているため、「豈」「何」などの疑問詞と文末の「や・かな」のセットを見て、文脈から強い否定の意味が導けるかを確認する練習が効果的です。
第6問の解答と解説
書き下し文:若し勤学せずんば、則ち大器を成す能はず。
現代語訳:もし懸命に学ばなければ、大人物になることはできない。
「若し〜ば」は仮定形の基本パターンで、「もし〜ならば」という条件を表します。「則ち」は仮定の帰結を導く働きをしており、「〜ならば、そこで(当然)」という接続の役割を果たします。「能はず」は不可能を表す否定形で、「〜することができない」という訳になります。仮定・帰結・可能否定という3つの句形が組み合わさった問題なので、それぞれを分解して確認する習慣をつけましょう。
第7問の解答と解説
書き下し文:唯だ書を読むを楽と為す。
現代語訳:ただ書物を読むことだけを楽しみとする。
「唯だ〜のみ」の完全形ではありませんが、「唯」一字でも限定の意味を持ち、「ただ〜だけ」と訳します。ここでは「唯」が「読書」という行為のみを楽しみとして限定しています。限定形は「唯・惟・只・徒」などの字で表され、文末に「のみ」を伴う場合も伴わない場合もあるため、字だけで判断せず文脈で「他を排除して一つに絞る」意味があるかを確認することが大切です。
第8問の解答と解説
書き下し文:足るを知る者は、此れより楽しきは莫し。
現代語訳:満足することを知る者にとって、これより楽しいものはない。
「莫〜於A」は比較形で、「Aより〜なるは莫し」と読み、「Aより〜なものはない」=最上級に近い意味を表します。ここでは「此れ(=足るを知ること)」が比較の基準となり、それ以上に楽しいものはないという最上級的な内容を表現しています。「於」は比較の対象を導く働きを持つため、「於」の前後関係を正しく捉えることが得点のポイントです。
第9問の解答と解説
書き下し文:人利を好まざるは莫し。
現代語訳:人は利益を好まない者はいない。(=人は誰でも利益を好む。)
「莫不〜」は二重否定形で、「〜ざるは莫し」と読み、「〜しないものはない」という強い肯定の意味に転じます。二重否定は「否定×否定=強い肯定」という構造を理解していれば恐れる必要はありません。ここでは「利を好まない人はいない」=「誰もが利益を好む」という普遍的な事実を強調する表現になっています。訳出の際に「〜しないものはない」で止めず、必ず「つまり誰もが〜する」という肯定的な意味まで書き添えると高評価につながります。
第10問の解答と解説
書き下し文:凡人すら猶ほ恥を知る、况んや君子をや。
現代語訳:凡人でさえなお恥を知っている、まして君子はなおさら(恥を知っている)。
「猶ほ〜、况んや〜をや」は抑揚形の典型パターンで、「〜でさえ…である、まして〜はなおさらだ」という論理構造を持ちます。まず程度の軽いもの(凡人)を挙げて肯定し、それよりも程度の重いもの(君子)については当然そうであると強調するのが抑揚形の特徴です。「况んや」の後は体言止め+「をや」で結ばれることが多く、訳出の際は「まして〜は言うまでもない」という形にまとめると自然な現代語訳になります。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回のポイントは、句形を「型」として先に覚えてしまうことです。使役なら「使AB」、受身なら「見る+於」、反語なら「豈に〜んや」、二重否定なら「莫不」というように、目印となる字とセットで暗記しておくと、初見の文章でも瞬時に構造が見えてきます。
藤原:その上で大事なのが、疑問形と反語形の見分け、二重否定の訳出の丁寧さですね。特に反語は「〜だろうか、いや〜ない」という反転構造を最後まで書く癖をつけること。二重否定は「〜しないものはない」で終わらせず、「つまり必ず〜する」という肯定文にまで言い換える練習を続けることで、記述問題でも確実に得点できるようになります。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・比較・二重否定・抑揚という、漢文句形の主要パターンを網羅した10問に挑戦していただきました。それぞれの句形は「型」を先に覚え、目印となる漢字を素早く見つけることが読解のスピードと正確性を大きく高めます。ぜひ何度も繰り返し解き直して、句形を体に染み込ませてください。
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