はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、句形シリーズも第6回になりましたね。今回はどんな内容ですか?
翔先生:はい。使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・比較という、漢文句形の主要パーツを一気に総ざらいします。単独で出る句形もあれば、使役と否定が組み合わさるような複合パターンもあるので、応用力を試す構成にしました。
藤原:複合パターンは受験生が特に苦手にするところですね。
翔先生:その通りです。「せしむ」「られる」「ず」といった基本の読み方を一つずつ丁寧に積み上げれば、複合しても崩れません。この記事では、書き下し文と現代語訳を両方問う形式にしているので、句形の型を確認しながら、実際に自分で書き下す練習ができます。
藤原:それでは、全10問に挑戦してみましょう。
問題(全10問)
第1問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
王使臣往説楚王。
第2問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
小国常為大国所侵。
第3問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
吾未見其過也。
第4問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
君何為不去。
第5問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
豈可以一言而定天下之事哉。
第6問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
如有過則改之。
第7問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
所畏者独礼而已。
第8問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
吾不若子之知礼也。
第9問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
父母未使子遠行。
第10問
次の文を書き下し、現代語訳せよ。(※学習用に作成した例文です)
豈有以千金而不若一言者哉。
解答・解説
第1問の解答と解説
書き下し:王臣をして往きて楚王に説かしむ。
訳:王は臣下に、行って楚王を説得させた。
「使AB」は使役形の基本形で、「Aをして(に)Bしむ」と読みます。「使」の直後の「臣」が使役の対象(動作主)であり、「説かしむ」までが使役の内容です。多くの受験生は「使」を「つかう」と訓読してしまいますが、句形としては送り仮名なしで「しむ」と読む点を必ず覚えましょう。動詞が二つ以上連続する場合は、最後の動詞まで一気に使役の内容として読み込むこともポイントです。
第2問の解答と解説
書き下し:小国は常に大国の侵す所と為る。
訳:小国は常に大国に侵される。
「為A所B」は受身形の代表的な句形で、「Aの(に)B(す)る所と為る」と読み、「AにBされる」という意味になります。ここでは「大国」がA、「侵す」がBにあたります。「所」を「ところ」と訳して名詞的に処理する感覚を持つと理解しやすいです。単純な「見B」型(見られる)の受身と混同しないよう、「為」と「所」がセットで出てくる形をしっかり区別しましょう。
第3問の解答と解説
書き下し:吾未だ其の過ちを見ず。
訳:私はまだその過ちを見たことがない。
「未」は再読文字で、「未だ~ず」と読み、「まだ~していない」という意味を表します。一度目は「未だ」、二度目は文末の動詞の下に「ず」を送って読むのが再読文字の基本ルールです。「未」を単純な否定「不」と同じ意味で訳してしまうミスが多いので、「まだ~ない(これから~する可能性を含む)」というニュアンスの違いを意識してください。
第4問の解答と解説
書き下し:君何為れぞ去らざる。
訳:あなたはどうして去らないのか。
「何為」は疑問の副詞で「なんすれぞ」「なにためれぞ」などと読み、「どうして」の意味を表します。ここでは文末が「ざる」という否定の連体形で終わっている点にも注意が必要です。疑問形は文末に「や」「か」を伴うことが多いですが、この例文のように已然形・連体形止めで終わる場合もあるため、機械的に「や」を付け足さないようにしましょう。
第5問の解答と解説
書き下し:豈に一言をもって天下の事を定むべけんや。
訳:どうして一言で天下の事を決めることができようか、いや、決めることはできない。
「豈~哉」は反語形の典型で、「豈に~ん(べけん)や」と読み、強い否定の意味を持つ問いかけを表します。可能の助動詞「べし」に反語の「んや」が付くと、「~できようか、いや、できない」という訳になります。疑問形と反語形は文の形が似ていますが、「豈」がある場合はほぼ確実に反語になるという点を覚えておくと判別しやすくなります。
第6問の解答と解説
書き下し:如し過ち有れば則ち之を改む。
訳:もし過ちがあれば、それを改める。
「如~則…」は仮定形の基本パターンで、「如し~ば則ち…」と読み、「もし~ならば…」という条件文を作ります。「則」は「すなわち」と読み、前の仮定条件を受けて結果を導く働きをします。「如」を単独で見たときに「ごとし」(比況)と読むケースと混同しやすいので、文頭で仮定の意味を持つ場合は「如し」と読む点を意識して区別しましょう。
第7問の解答と解説
書き下し:畏るる所の者は独り礼のみ。
訳:恐れるものは、ただ礼だけである。
「独~而已」は限定形で、「独り~のみ」と読み、「ただ~だけだ」という強い限定の意味を表します。「而已」はまとめて「のみ」と読む決まった読み方です。「唯」「独」「但」などはいずれも限定を表す語ですが、文末に「耳」「而已」「已」などがある場合はセットで限定形として処理する習慣をつけると、読み落としを防げます。
第8問の解答と解説
書き下し:吾は子の礼を知るに若かざるなり。
訳:私は、あなたが礼を知っていることに及ばない(あなたの方が礼を知っている)。
「不若」(若かず)は比較形で、「AはBに若かず」と読み、「AはBに及ばない」という比較の劣位を表す句形です。訳すときは「AよりBの方が優れている」という形に言い換えると自然な現代語になります。「不如」も同じ意味を持つ句形なので、両者をセットで覚えておくと入試で表記が変わっても対応できます。
第9問の解答と解説
書き下し:父母未だ子をして遠く行かしめず。
訳:父母はまだ子供に遠くへ行かせていない。
この文は再読文字「未」と使役形「使」が組み合わされた複合パターンです。「未だ」で始め、「子をして」で使役の対象を示し、文末の「行かしめず」で使役+否定の形を完成させます。複合形では、まず使役の骨格「AをしてBしむ」を作り、その外側に否定・再読文字の枠をかぶせるという順序で組み立てると混乱しません。一度に全部を読もうとせず、句形を分解して段階的に処理する練習が有効です。
第10問の解答と解説
書き下し:豈に千金を以て一言に若かざる者有らんや。
訳:どうして千金をもってしても一言に及ばないということがあろうか、いや、そんなことはない(=千金は一言に及ばないほど価値のあるものではない、という含意)。
この文は反語形「豈~哉(んや)」と比較形「不若」が組み合わされた複合問題です。まず「不若」を「AはBに若かず(Aは千金、Bは一言)」という比較の骨格として読み取り、そこに「有」を通して「~という者があろうか」という存在の疑問を作り、最後に「豈」と「哉(んや)」で反語の枠をかぶせます。複合形は要素を一つずつ分解して確認すれば必ず読み解けるので、焦らず順番に処理する姿勢が大切です。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回のように句形が複合すると、多くの受験生は「読めない」と感じてパニックになりがちです。
藤原:そうですね。でも実際は、複合形も基本句形の組み合わせに過ぎません。一つの文を見たら、まず「使役の枠はあるか」「否定・再読文字はあるか」「反語・比較の目印はあるか」と要素を洗い出し、内側から外側の順に読み進めるクセをつけると、複雑に見える文でも必ず整理できます。
翔先生:「豈」「未」「独」「若」など、句形の目印になる語を単語カードのように覚えておくのも効果的です。目印を見つけた瞬間に、対応する読み方と訳し方がセットで浮かぶようにしておきましょう。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は使役・受身・否定・疑問・反語・仮定・限定・比較という主要句形を単独形と複合形の両面から練習しました。基本形をしっかり固めておけば、複合形も分解して対応できます。次回もさらに実戦的な問題で句形理解を深めていきましょう。
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