はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
藤原:翔先生、前回の「書き下し01」ではレ点と一二点の基本を扱いましたね。今回の第2回はどこまで踏み込みますか?
翔先生:はい。今回は上下点や再読文字も加えて、「返り点を読んで書き下す」だけでなく「書き下し文から返り点を自分で付ける」問題も入れています。返り点は“読む”だけでなく“付けられる”ようになって初めて本当に理解したと言えるので、この往復練習が大事なんです。
藤原:なるほど。返り点は暗記科目に見えて、実は「文の構造(主語・述語・目的語・修飾語)を読み取る力」がそのまま問われる分野ですよね。この10問を通して、レ点・一二点・上下点・再読文字の使い分けが自分の言葉で説明できるようになることを目標にしましょう。
※本記事の例文はすべて学習用に作成したオリジナル問題です。実在する入試問題や市販の問題集からの引用ではありません。
問題(全10問)
第1問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。
不レ知二其意一。
※学習用に作成した例文です
第2問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。
不レ可レ信レ之。
※学習用に作成した例文です
第3問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。
学者求二明師一。
※学習用に作成した例文です
第4問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。
人不レ知二天命一。
※学習用に作成した例文です
第5問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。
有下好二学問一者上。
※学習用に作成した例文です
第6問
次の返り点付きの文を書き下し文にせよ。ただし「未」は再読文字である。
未読二其書一。
※学習用に作成した例文です
第7問
次の白文に返り点を付けよ。なお、この文は「書を読まず。」と読む。
不読書。
※学習用に作成した例文です
第8問
次の白文に返り点を付けよ。なお、この文は「人皆得意の時有り。」と読む。
人皆有得意時。
※学習用に作成した例文です
第9問
次の白文に返り点を付けよ。なお、この文は「此の道を行ふ能はず。」と読む。
不能行此道。
※学習用に作成した例文です
第10問
次の白文に返り点を付けよ。なお、「当」は再読文字であり、この文は「学者は当に志を立つべし。」と読む。
学者当立志。
※学習用に作成した例文です
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:其の意を知らず。
「不レ知二其意一」は、「意」の下に一点、「知」の下に二点があるので、まず「其の意」を読んでから一二点で「知」に返り、その後「知」から「不」へはレ点で返ります。読む順序は「其意」→「知」→「不」です。間違えやすいのは、レ点と一二点が同時に出てくると混乱して読む順序を逆にしてしまう点です。返り点は必ず下から上へ、レ点は一字、一二点は二字以上を目安に確認しましょう。
第2問の解答と解説
解答:之を信ずべからず。
「不レ可レ信レ之」はレ点が三つ連続しています。読む順序は「之」→「信」→「可」→「不」で、一字ずつ順番に上へ返っていくため、すべてレ点で表せます。「不可〜」は「〜すべからず」という禁止・不可能の定番表現なので、句形として覚えておくと読み間違いを防げます。レ点が複数ある場合は、一気に飛ばさず、一字ずつ丁寧に返っていくことがポイントです。
第3問の解答と解説
解答:学者は明師を求む。
「学者求二明師一」では、「求」から二字先の「師」に一点、「求」自体に二点が付いています。これは「明師」という二字の目的語をまとめて先に読んでから「求」に返るためで、間に「明」という一字を挟むのでレ点ではなく一二点を使います。一二点は「二字以上を挟んで返るとき」に使うという基本を、この問題であらためて確認してください。「学者」は主語なのでそのまま読み、返り点は付きません。
第4問の解答と解説
解答:人天命を知らず。
この文はレ点と一二点が両方使われている少し難しいパターンです。「天命」は二字の目的語なので「命」に一点、「知」に二点を付けて先に読み、その後「知」から「不」へは一字なのでレ点で返ります。つまり読む順序は「人」→「天命」→「知」→「不」です。一二点とレ点が同じ文の中に出てきたときは、まず一二点で挟まれた部分だけを先にまとめて処理し、そのあとレ点の一字返りを確認するという二段階で考えると混乱しません。
第5問の解答と解説
解答:学問を好む者有り。
「有下好二学問一者上」は返り点の中でも難易度が高い上下点の問題です。「学問」という二字を「好」に返すために一二点(学問の「問」に一点、「好」に二点)を使い、さらにそのまとまり全体(好学問)を含む「者」から、いちばん上の「有」へ返るために、すでに一二点を使い切っているので上下点(者に上、有に下)を用います。読む順序は「学問」→「好」→「者」→「有」です。一二点だけでは対応できない大きな返りが出てきたら上下点、と覚えておきましょう。
第6問の解答と解説
解答:未だ其の書を読まず。
「未」は再読文字で、最初に「いまだ」と読み、文末近くでもう一度「ず」と読む特殊な文字です。返り点は「書」に一点、「読」に二点が付いており、「書」から「読」への一二点による返りだけで、「未」自体には返り点は付きません。再読文字は返り点のルールとは別に、「一度目は副詞、二度目は助動詞(多くは打消・意志・当然など)として読む」という決まりがある点を必ず押さえましょう。「未・将・且・当・応・宜・須・猶」などの代表的な再読文字は読み方とセットで暗記しておくと安心です。
第7問の解答と解説
解答:不レ読書。
「書を読まず。」という読み方から逆算すると、読む順序は「書」→「読」→「不」です。「読」から「書」は一字返りなのでレ点は不要で、そのまま順番に読めますが、「読」から「不」へ返る部分だけ一字返りのレ点が必要になります。書き下し文から返り点を付ける問題では、まず読む順序を漢字ごとに番号を振って確認し、隣り合う字への返りかどうかを一つずつ判定していくのがコツです。
第8問の解答と解説
解答:人皆有二得意時一。
「人皆得意の時有り。」の読む順序は「人」→「皆」→「得意」→「時」→「有」です。「有」の目的語は「得意時」という三字のまとまりで、「得」と「意」の二字を挟んで「時」から「有」へ返るため、「時」に一点、「有」に二点を付けます。三字以上の熟語がまとまって目的語になる場合でも、一二点の考え方は変わらず、「間に挟む字が一字以上あれば一二点」という原則で対応できます。字数が多いと不安になりますが、原則は変わらないことを確認しましょう。
第9問の解答と解説
解答:不レ能レ行二此道一。
「此の道を行ふ能はず。」の読む順序は「此」→「道」→「行」→「能」→「不」です。「行」から「道」へは「此」を一字挟むので一二点(道に一点、行に二点)、「行」から「能」へ、「能」から「不」へはそれぞれ一字返りなのでレ点になります。一二点とレ点が連続する構造は入試でも頻出なので、この問題を通して「二字以上挟むところだけ一二点、それ以外は一字ずつレ点」という切り分けの感覚を身につけてください。
第10問の解答と解説
解答:学者当立レ志。
「学者は当に志を立つべし。」は再読文字「当」を含む文です。読む順序は「学者」→「志」→「立」→「当(一度目・まさに)」→「当(二度目・べし)」となりますが、返り点として文字通りに表せるのは「立」から「志」への一字返りのレ点だけで、再読文字「当」自体には返り点を付けません。再読文字の問題を白文から作るときによくある間違いは、「当」にも何か返り点を付けなければならないと思い込んでしまうことです。再読文字は返り点ではなく読み方のルールで二度読むのだ、という区別を最後にもう一度確認しておきましょう。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10問で意識してほしいのは、「一字返りか、二字以上返りか」を必ず自分の指で文字をなぞりながら確認する習慣です。頭の中だけで処理しようとすると、レ点と一二点の境目で必ずミスが出ます。
藤原:そうですね。特に第4問・第9問のように、レ点と一二点が同じ文の中に混在するタイプは入試で頻出です。「読む順序に番号を振る」→「隣同士なのか、間に字を挟むのか判定する」→「挟むなら一二点、挟まないならレ点」という三段階の手順を、いつも同じ順番で行うことが安定した得点につながります。
翔先生:上下点は出題頻度こそ高くありませんが、一二点で挟んだまとまりをさらに外側から返す、という構造さえ理解していれば怖くありません。再読文字は句形暗記とセットで、返り点のルールとは別物だと割り切って覚えるのが近道です。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は、レ点・一二点・上下点・再読文字を組み合わせた10問を通じて、「書き下す力」と「返り点を付ける力」の両方を鍛えました。返り点は暗記すべきルールがはっきりしている分野なので、今回のように読む順序を一つずつ確認する練習を積めば、確実に得点源にできます。次回はさらに複雑な句形を含む文にも挑戦していきましょう。
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