はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「慶應を受けたいのですが、国語の勉強はどうすればいいですか?」——この質問を、私たちは毎年数え切れないほど受けます。実は多くの受験生・保護者の方が知らない事実があります。それは、慶應義塾大学の一般選抜には、いわゆる「国語」という科目そのものが存在しないということです。
慶應は共通テストを利用せず、学部ごとに独自の入試を実施しています。そして国語という科目の代わりに、多くの学部で「小論文」「論文テスト」「論述力」といった、名称も形式も異なる論述系の試験が課されます。これは単なる作文力を測る試験ではなく、読解力・思考力・表現力を総合的に問う、極めて国語力と密接な試験です。
この記事では、慶應の入試における小論文・論文テスト・論述力の全体像を俯瞰し、学部ごとの違いと、これまで培ってきた国語の力がどう活きるのかを、翔先生と一緒に整理していきます。
出題の全体像
まず大前提として押さえておきたいのは、慶應義塾大学の一般選抜は学部ごとに入試制度が独立しており、共通テストの得点を利用する仕組みを取っていない学部がほとんどだという点です。これは早稲田大学など他の難関私大とも異なる、慶應に特徴的な制度設計です。
そして「国語」という科目名の試験が存在しない代わりに、多くの学部が課しているのが、次のような論述系の試験です。
- 小論文:文学部・SFC(総合政策学部・環境情報学部)・看護医療学部など、幅広い学部で採用されている名称です。
- 論文テスト:経済学部で使われる独自の名称で、資料や課題文を読み、設問に沿って論述する形式です。
- 論述力:法学部で使われる名称で、課題文の読解を前提に、論理的な文章構成力を問う試験です。
名称は違っても、共通しているのは「与えられた文章(課題文・資料)を正確に読み取り、設問の要求に応じて自分の考えを論理的な文章にまとめる」という骨格です。つまり、現代文の読解で培う「筆者の主張を正確につかむ力」「根拠と主張の関係を整理する力」「要約する力」が、そのまま土台になります。慶應の小論文・論文テスト・論述力は、決して国語と無関係な試験ではなく、むしろ国語力の応用問題だと捉えるのが正確です。
なお、学部によっては小論文以外に英語・数学・地歴などの科目と組み合わせた独自の配点構成になっています。理工学部のように小論文が課されない学部もあり、全学部一律ではありません。試験時間・配点・大問数は年度によって変更される可能性がありますので、必ず最新の募集要項・入試要項でご確認ください。
設問タイプ別の解き方
ここからは、慶應の小論文・論文テスト・論述力に共通して現れやすい設問タイプを、翔先生と一緒に整理していきます。なお、以下で扱う例文はすべて説明のための自作例であり、実際の入試問題の本文・設問文ではありませんので、その前提でお読みください。
①要約・内容説明タイプ
「筆者の主張を◯字以内でまとめなさい」「傍線部はどういうことか説明しなさい」といった、現代文の記述問題とほぼ同じ形式です。ここで大切なのは、自分の意見を先に述べるのではなく、まず課題文の論理構造を正確に再現することです。
例えば、自作の例文として「情報が増えるほど人は選択に迷いやすくなる。選択肢の多さは自由の象徴のようでいて、実は判断の負担を増やし、かえって人を不自由にする」という文章があったとします。この場合、「情報量の増加→選択肢の増加→判断負担の増加→自由の減少」という因果の流れを崩さずに要約することが求められます。ここで自分の感想や意見を混ぜてしまうと、要約問題としては減点対象になりがちです。
②意見論述タイプ
「筆者の主張について、あなたの考えを述べなさい」というタイプです。このタイプで最も多い失敗は、課題文を無視して自分の体験談だけを書いてしまうことです。慶應の論述系試験で評価されるのは、課題文の論理を踏まえたうえでの意見です。
具体的な型としては、①課題文の主張を一文で確認する→②その主張に対する自分の立場(賛成・反対・部分的賛成)を明示する→③自分の立場を支える根拠を、具体例を交えて展開する→④課題文の視点に戻って結論を述べる、という流れが基本になります。この型を身につけておくと、どの学部の論述系試験にも応用が利きます。
③資料読み取り・データ分析タイプ
経済学部の論文テストなど、グラフや統計データを読み取らせる形式が含まれる学部もあります。ここで求められるのは、データから読み取れる「事実」と、そこから導かれる「解釈」を明確に区別する姿勢です。データそのものが示している範囲を超えて断定的に書いてしまうと、論理の飛躍として評価が下がります。「このデータからは◯◯という傾向が読み取れる」「ただし、このデータだけでは◯◯とまでは断定できない」という慎重な書き分けができるかどうかが、差がつくポイントです。
④長文論述・小論文本体タイプ
SFC(総合政策学部・環境情報学部)などでは、比較的長い文章量での論述が求められる傾向があります。長文になるほど重要になるのが、段落構成の設計です。書き始める前に、①導入(課題の確認)②本論(自分の主張と根拠、具体例)③反論への応答④結論、という骨組みを箇条書きでメモしてから書き始めることを強くおすすめします。いきなり書き始めると、途中で論旨がぶれたり、字数が余ったり足りなくなったりする失敗につながります。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原:翔先生、慶應の小論文・論文テスト・論述力を指導していて、いちばん大事だと感じるポイントは何ですか。
翔先生:やはり「読む力」ですね。小論文というと「書く練習」ばかりに意識が向きがちですが、慶應の論述系試験はどれも課題文や資料の正確な読解が前提になっています。現代文の読解が甘いまま小論文の型だけ覚えても、土台がぐらついてしまうんです。
藤原:そうですね。私たちが日頃、現代文の授業で「筆者はなぜこの具体例を挙げているのか」「この逆接の後に何が来るか」を丁寧に確認しているのは、実は小論文にも直結しています。論述系の試験は国語力の延長線上にあるという意識を持ってほしいですね。
翔先生:加えて、学部ごとに問われ方が違うという点も強調しておきたいです。同じ「論述力を問う試験」でも、要約中心の学部もあれば、意見論述中心の学部、データ分析が絡む学部もあります。志望学部の過去の出題傾向を、学校や予備校を通じて把握したうえで、対策の比重を調整することが大切です。
藤原:そして最後に伝えたいのは、「小論文だから国語の勉強は不要」ではなく、「小論文だからこそ国語の基礎が効く」という逆転の発想です。現代文の読解、要約、論理構成の練習は、慶應の小論文・論文テスト・論述力すべてに直結する準備になります。
よくある失敗と解決策
慶應の小論文・論文テスト・論述力対策で、私たちがよく見かける失敗パターンとその解決策をまとめます。
- 失敗①:課題文を読まずに自分の意見だけを書いてしまう
解決策:まず設問と課題文を最後まで読み、筆者の主張・根拠・具体例を線を引きながら整理する時間を必ず確保する。書き始めるのは読解が終わってからにする。 - 失敗②:結論を先に決めず、書きながら考えてしまう
解決策:答案を書く前に、結論・根拠・具体例を箇条書きでメモし、全体の設計図を作ってから書き始める習慣をつける。 - 失敗③:具体例が抽象的すぎて説得力に欠ける
解決策:具体例は「誰が」「何を」「どうした」まで具体的に書く。ニュースや時事的な話題を普段から自分の言葉で説明する練習をしておく。 - 失敗④:字数配分を考えずに書き始めて時間切れになる
解決策:全体の字数を導入・本論・結論におおよそ配分し、各段落の目安字数を決めてから書く。過去問演習の段階から時間を計って練習する。 - 失敗⑤:学部ごとの出題形式の違いを把握せずに対策する
解決策:志望学部が「小論文」「論文テスト」「論述力」のどの形式を採用しているかを募集要項で確認し、それぞれの傾向に合わせた演習を行う。
今日からできるアクション
慶應の小論文・論文テスト・論述力対策として、今日から始められることを具体的にご紹介します。
- 新聞やニュース記事の要約練習:200字程度で「筆者(記者)の主張は何か」を毎日1本まとめる習慣をつけましょう。要約力は小論文・論文テスト・論述力すべての土台になります。
- 賛成・反対の両方の立場で書いてみる:ある社会的テーマについて、あえて自分の直感と逆の立場から短い意見文を書いてみると、論理の作り方の幅が広がります。
- 志望学部の入試要項を確認する:小論文なのか、論文テストなのか、論述力なのか。学部ごとに試験名称と出題形式が異なるため、まずは正確な情報を確認することが第一歩です。試験時間・配点・大問数は年度によって変更されることがあるため、必ず最新の募集要項・入試要項でご確認ください。
- 現代文の読解演習を継続する:小論文対策だからといって国語の読解演習をやめてしまうのは逆効果です。むしろ、精緻な読解力があってこそ、小論文・論文テスト・論述力での得点力が安定します。
- 書いた答案を第三者に読んでもらう:自分では論理的だと思っていても、他人が読むと分かりにくいことは多々あります。学校の先生や塾の講師など、第三者からのフィードバックを定期的に受ける環境を作りましょう。
まとめ・日本国語塾TOPについて
慶應義塾大学は共通テストを利用せず、多くの学部で「国語」の代わりに小論文・論文テスト・論述力という、学部ごとに名称も形式も異なる論述系の試験を課しています。しかし、その本質は現代文の読解力・要約力・論理構成力の延長線上にあります。学部ごとの違いを正確に把握しつつ、日々の国語学習を土台として積み上げていくことが、慶應合格への確実な道筋です。
日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。
💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう
情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇
プレゼント付き公式LINEを友だち追加