数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
藤原:翔先生、今日は漢詩の読解、第1回ですね。
翔先生:はい。漢詩というと「なんとなく雰囲気で読んでしまう」生徒さんが多いんですが、入試で問われるのは形式的な知識なんですよね。絶句か律詩か、どこで韻を踏んでいるか、どこが対句になっているか。この3点は必ず自分の目で確認できる力をつけたいです。
藤原:そうですね。今回はすべてオリジナルの短い漢詩を使って、句数・字数を数えて形式を判定する練習、押韻の位置を見抜く練習、そして対句の対応関係を品詞レベルで説明する練習をします。すべて基礎レベルですが、この土台がないと律詩の内容読解には進めません。
翔先生:10問すべて解いたあと、解説をじっくり読んでもらえれば、絶句と律詩の違いは完全に整理できるはずです。それでは始めましょう。
問題(全10問)
第1問
次の漢詩は、学習用に作成したオリジナルの詩です。
(※学習用に作成した例文です)
残雪消林岫(残雪 林岫に消え) 軽風動野花(軽風 野花を動かす) 渓橋人跡少(渓橋 人跡少なく) 只有一僧家(只だ一僧の家有るのみ)
この漢詩の句数と一句の字数を数え、形式の名称(五言絶句・五言律詩・七言絶句・七言律詩のいずれか)を答えなさい。
第2問
第1問の漢詩について、押韻している漢字を句末からすべて抜き出しなさい。
第3問
次の漢詩を読んで、後の問いに答えなさい。
(※学習用に作成した例文です)
秋深古寺客来稀(秋深く 古寺 客来ること稀なり) 寒鴉数点帯斜暉(寒鴉数点 斜暉を帯ぶ) 村橋一路人踪少(村橋一路 人踪少なく) 猶有閑雲伴我帰(猶お閑雲の我に伴いて帰る有り)
この漢詩の句数・字数を数え、形式の名称を答えなさい。
第4問
第3問の漢詩は、第一句の末尾でも韻を踏んでいます。このように「第一句末・第二句末・第四句末」で押韻する型は、五言絶句と七言絶句のどちらでより基本的とされる型か答えなさい。
第5問
第3問の漢詩について、押韻している句をすべて選び(第一句・第二句・第三句・第四句のように答えること)、それぞれの句末の漢字を答えなさい。
第6問
次の漢詩を読んで、後の問いに答えなさい。
(※学習用に作成した例文です)
①山居無外事(山居 外事無く) ②幽興寄新詩(幽興 新詩に寄す) ③露冷蛩鳴砌(露冷やかにして 蛩は砌に鳴き) ④風清鶴守枝(風清くして 鶴は枝を守る) ⑤閑雲随意起(閑雲 意に随いて起こり) ⑥幽鳥入林思(幽鳥 林に入りて思う) ⑦欲問帰耕処(帰耕の処を問わんと欲すれば) ⑧唯伴竹為師(唯だ竹を伴として師と為す)
この漢詩の句数・字数を数え、形式の名称を答えなさい。
第7問
第6問の漢詩について、押韻している句をすべて番号で挙げ、それぞれの句末の漢字を答えなさい。
第8問
第6問の漢詩の③句と④句は対句になっています。③句「露冷蛩鳴砌」の中で、④句「風清鶴守枝」の「鶴」と対応している語(漢字一字)を答え、それが対句としてどのような点で対応しているか、品詞または意味の種類の面から説明しなさい。
第9問
第6問の漢詩の⑤句・⑥句も対句になっています。⑤句「閑雲随意起」と⑥句「幽鳥入林思」について、この二句が律詩の中で何と呼ばれる位置(聯の名称)にあたるかを答え、あわせて「閑雲」と対応する語(漢字二字)を⑥句から抜き出しなさい。
第10問
七言律詩の形式について述べた文として最も適当なものを、次のア〜エから一つ選びなさい。
ア.七言律詩は全体で四十字からなる。 イ.七言律詩では、頷聯と頸聯が対句になるのが基本である。 ウ.七言律詩で押韻するのは、第二句・第四句・第六句・第八句のみである。 エ.七言律詩では、首聯と尾聯を必ず対句にしなければならない。
解答・解説
第1問の解答と解説
解答:五言絶句
この詩は「残雪消林岫」「軽風動野花」「渓橋人跡少」「只有一僧家」の4句からなり、一句はいずれも5字です。句数を数えると4句、一句の字数を数えると5字なので、五言絶句と判定できます。絶句か律詩かは句数(4句か8句か)で、五言か七言かは一句の字数(5字か7字か)で判断するという二段階のチェックが基本です。字数を焦って数え間違え、七言絶句と混同する生徒が多いので、必ず一句ずつ指で押さえながら数える習慣をつけましょう。
第2問の解答と解説
解答:花・家
五言絶句の基本形では、第二句末と第四句末で押韻します(第一句末は押韻しないのが基本形です)。この詩では第二句末「野花」の「花」、第四句末「一僧家」の「家」がともに同じ音読み「カ」であり、韻を踏んでいます。第一句末「岫」や第三句末「少」は音読みが異なり、押韻の対象ではありません。押韻の位置を覚える際は、「五言は偶数句末(2・4句)が基本」とまず押さえ、例外的に第一句も踏む型があることは後の問題で確認します。
第3問の解答と解説
解答:七言絶句
「秋深古寺客来稀」など各句を数えると4句からなり、一句はいずれも7字です。句数が4句なので絶句、一句の字数が7字なので七言と判定でき、七言絶句と結論づけられます。五言絶句と見た目の構成(4句という点)は同じなので、必ず一句の字数まで数えて確認することが大切です。字数を数え忘れて「絶句」とだけ答えると、五言か七言かの判定が抜けてしまうため減点対象になります。
第4問の解答と解説
解答:七言絶句
五言絶句・五言律詩では第一句末は押韻しない型が基本形ですが、七言絶句・七言律詩では第一句末でも押韻する型が基本形とされています。これは五言と七言で伝統的に定着した基本パターンが異なるためで、暗記すべき知識です。第3問の詩でも「稀・暉・帰」がすべて同じ音読み「キ」で揃っており、第一句末から押韻が始まっていることが確認できます。五言と七言で押韻の基本形が違う、という一点を混同しないようにしましょう。
第5問の解答と解説
解答:第一句「稀」・第二句「暉」・第四句「帰」
第4問で確認した通り、七言絶句の基本形は第一句・第二句・第四句末で押韻します。この詩でも「客来稀」の「稀」、「帯斜暉」の「暉」、「伴我帰」の「帰」がいずれも音読み「キ」で揃っており、押韻していることが分かります。第三句末「人踪少」の「少」は音読みが異なるため押韻しません。絶句では第三句(転句)が押韻しないのが基本ルールであることも、あわせて覚えておくと律詩の押韻理解にもつながります。
第6問の解答と解説
解答:五言律詩
この詩は①〜⑧の8句からなり、一句はいずれも5字です。句数が8句であることから律詩、一句の字数が5字であることから五言と判定でき、五言律詩と結論づけられます。律詩は絶句の2倍の句数(8句)を持つ形式で、絶句にはなかった「対句」が中心的な技法として現れる点が最大の特徴です。句数を数える際に句を見落とし「六句」「七句」などと誤答する例があるため、番号を振って数え間違いを防ぎましょう。
第7問の解答と解説
解答:②句「詩」・④句「枝」・⑥句「思」・⑧句「師」
五言律詩の基本形では、第二句・第四句・第六句・第八句末で押韻し、第一句末は押韻しません(五言の基本形)。この詩でも「新詩」の「詩」、「守枝」の「枝」、「入林思」の「思」、「為師」の「師」がすべて音読み「シ」で揃っており、偶数句末で一貫して押韻していることが確認できます。律詩は句数が多い分、押韻の一致を見落としやすいので、偶数句だけを取り出して句末の音読みを比べる作業を必ず行いましょう。
第8問の解答と解説
解答:「蛩」。ともに生き物を表す名詞どうしが対応している。
対句とは、隣り合う二句で、同じ位置にある語どうしが品詞や意味の種類の面で対応する技法です。③句「露冷蛩鳴砌」の「蛩(虫の一種)」と④句「風清鶴守枝」の「鶴(鳥)」は、どちらも生き物を表す名詞で、文中の位置(主語にあたる部分)も一致しています。同様に「露」と「風」は自然現象を表す名詞どうし、「冷」と「清」は状態を表す語どうし、「砌」と「枝」は場所を表す名詞どうしで対応しており、句全体が精密に対応していることが分かります。対句を見抜くときは、一語だけでなく句全体を上から順に区切って照合することが大切です。
第9問の解答と解説
解答:頸聯にあたる。対応する語は「幽鳥」。
律詩は8句を2句ずつ4つのまとまりに分け、第一・二句を首聯、第三・四句を頷聯、第五・六句を頸聯、第七・八句を尾聯と呼びます。⑤句・⑥句は第五句・第六句にあたるため頸聯です。律詩では頷聯と頸聯が対句になるのが基本ルールであり、この詩でも⑤句「閑雲随意起」の「閑雲」と⑥句「幽鳥入林思」の「幽鳥」が、それぞれ自然物を表す二字の名詞句として対応しています。首聯・尾聯は対句にしなくてよいのに対し、頷聯・頸聯は原則として対句にする、という区別を正確に覚えておきましょう。
第10問の解答と解説
解答:イ
七言律詩は一句7字・全8句なので合計56字であり、アの「四十字」は誤りです(五言律詩なら5字×8句=40字になります)。ウは、七言律詩・七言絶句の基本形では第一句末でも押韻するため、「第二・四・六・八句のみ」という限定が誤りです。エについては、対句が原則として求められるのは頷聯と頸聯であり、首聯と尾聯は対句にしてもしなくてもよいため誤りです。以上より、頷聯・頸聯が対句になるのが基本であると述べたイが正しく、これは五言律詩・七言律詩に共通するルールです。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10問で意識してほしいのは、「感覚で読まない」ということです。句数を数える、字数を数える、句末の音読みを揃える、句を上から順に照合する——どれも地味な作業ですが、この地道な確認作業をサボらないことが、漢詩の設問を確実に得点する一番の近道です。
藤原:特に押韻は、日本語の音読みで確認できる範囲で構いませんが、必ず「句末の一字だけ」を比較すること、対句は「一語ずつ」ではなく「句全体を上から順番に」照合することがコツです。この2点を守るだけで、初見の漢詩でも形式・押韻・対句の設問は安定して正解できるようになります。次回は、律詩の内容読解や、対句の中でも応用的なパターンを扱っていきますので、お楽しみに。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は絶句と律詩の形式判定、押韻の位置、対句の対応関係という、漢詩読解の土台となる3つのポイントをオリジナルの漢詩を使って練習しました。句数・字数を数えて形式を見抜くこと、句末の音読みを揃えて押韻を確認すること、句全体を照合して対句の対応関係を説明できることの3つは、どの入試でも共通して問われる基礎力です。今回の解説を読み返しながら、自分でも別の短い漢詩で同じ確認作業を練習してみてください。
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