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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】傍線部説明練習問題 第2回|10問一問一答と詳しい解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、今回は「傍線部説明」シリーズの第2回ですね。第1回に続いて、今回はどんな力を意識して問題を作ってもらいましたか。

翔先生:今回は「言い換え型」の説明問題だけでなく、「なぜそう言えるのか」を問う理由説明問題を多めに入れました。傍線部を単に別の言葉に置き換えるだけでなく、筆者の論理の筋道を自分の言葉でたどり直す練習になるようにしています。

藤原:特に理由説明は、傍線部の前後だけを見て安易に答えを作ってしまう受験生が多い。今回の4つの短文はどれも一つの論理構造でつながっているので、文章全体を貫く筆者の主張を捉えないと、部分だけを見た浅い解答になってしまいますね。

翔先生:そうです。4つのテーマ(言葉と経験/情報と知識/伝統と近代化/自由と責任)はいずれも「対立する二つの立場を筆者が調整して一つの結論に落とし込む」という共通の構造を持っています。この構造に気づけるかどうかが、記述の精度を大きく左右します。

藤原:それでは、10問に挑戦してみましょう。まずは自分で解答を書いてから、解説に進んでください。

問題(全10問)

第1問〜第3問(本文A)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

言葉は、単なる情報伝達の道具ではない。私たちは言葉を用いることで、初めて自分の感情や思考の輪郭を確かめることができる。①漠然とした不安や喜びは、それを言葉にしてみるまでは、自分自身にとってさえ曖昧な塊にすぎない。言葉によって切り分けられ、名づけられることで、それは初めて「経験」として認識されるのである。②したがって、豊かな言葉を持たない者は、豊かな経験を持ちえないとも言える。もちろん、言葉にできない感情が存在することも事実である。しかし、③その事実こそが、言葉と経験の関係の深さを裏づけているのではないか。

第1問

傍線部①「漠然とした不安や喜びは、それを言葉にしてみるまでは、自分自身にとってさえ曖昧な塊にすぎない」とはどういうことか。40字以内で説明せよ。

第2問

傍線部②「したがって、豊かな言葉を持たない者は、豊かな経験を持ちえないとも言える」のはなぜか。その理由を40字以内で説明せよ。

第3問

傍線部③「その事実こそが、言葉と経験の関係の深さを裏づけているのではないか」とはどういうことか。50字以内で説明せよ。

第4問〜第6問(本文B)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

情報が氾濫する現代において、私たちは知りたいことをいつでも検索し、答えを得ることができる。しかし、①検索によって得られる「答え」は、知識というよりも情報の断片にすぎない場合が多い。知識とは、断片的な情報が互いに関連づけられ、体系として整理されたものである。②それゆえ、検索技術の発達は、必ずしも知識の深化を意味しない。むしろ、断片的な情報を大量に得ることに慣れた私たちは、③一つの問題をじっくりと考え抜く力を失いつつあるのではないか。

第4問

傍線部①「検索によって得られる『答え』は、知識というよりも情報の断片にすぎない場合が多い」とはどういうことか。40字以内で説明せよ。

第5問

傍線部②「それゆえ、検索技術の発達は、必ずしも知識の深化を意味しない」のはなぜか。その理由を40字以内で説明せよ。

第6問

傍線部③「一つの問題をじっくりと考え抜く力を失いつつあるのではないか」と筆者が考える理由を50字以内で説明せよ。

第7問〜第8問(本文C)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

伝統とは、単に古いものを守り続けることではない。①伝統は、時代の変化に応じて姿を変えながら、その核にある価値を受け継いでいく営みである。変化を拒み、形式だけを固定化させれば、それはやがて生命力を失った形骸にすぎなくなる。②逆に、核となる価値まで見失って変化してしまえば、それはもはや伝統とは呼べない。真に伝統を受け継ぐとは、変えるべきものと変えてはならないものを見極める営みなのである。

第7問

傍線部①「伝統は、時代の変化に応じて姿を変えながら、その核にある価値を受け継いでいく営みである」とはどういうことか。45字以内で説明せよ。

第8問

傍線部②「逆に、核となる価値まで見失って変化してしまえば、それはもはや伝統とは呼べない」のはなぜか。その理由を45字以内で説明せよ。

第9問〜第10問(本文D)

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

自由とは、何をしてもよいということではない。①自由には、常に自分の選択の結果を引き受けるという責任が伴う。責任を伴わない自由は、単なる放縦にすぎず、社会の中で他者と共に生きることを困難にする。②真の自由とは、自らの選択に責任を持つことができる範囲においてのみ成立するのである。

第9問

傍線部①「自由には、常に自分の選択の結果を引き受けるという責任が伴う」とはどういうことか。40字以内で説明せよ。

第10問

傍線部②「真の自由とは、自らの選択に責任を持つことができる範囲においてのみ成立する」のはなぜか。その理由を45字以内で説明せよ。

解答・解説

第1問の解答と解説

解答:感情や思考は、言葉にされる前は自分にとっても明確な形を持たない未分化な状態にあるということ。

この文章の主張は「言葉にすることで経験が明確な形をとる」という一点にあります。傍線部①はその前提として「言葉にする前の感情や思考は、まだ曖昧なままだ」と述べている部分です。ここを「不安や喜びという感情そのものが存在しない」と誤読してしまう人がいますが、そうではなく「存在してはいるが形が定まっていない」という点がポイントです。直後の「言葉によって切り分けられ、名づけられることで、それは初めて『経験』として認識される」という一文と対応させて読むことで、正確な言い換えができます。

第2問の解答と解説

解答:経験は言葉によって切り分けられ意味づけられて初めて成立するため、言葉が乏しければ認識できる経験も限られるから。

「したがって」という接続語があるので、直前の内容を根拠として答えを作る必要があります。直前の一文は「言葉によって切り分けられ、名づけられることで、それは初めて『経験』として認識される」という内容でした。ここから「言葉が経験の成立条件になっている」という論理を取り出し、それを「豊かな言葉を持たない者」の場合に当てはめて説明するのが理由説明のコツです。傍線部だけを見て「言葉を知らないと会話ができないから」のような一般論で答えてしまうと、本文の論理からずれてしまうので注意しましょう。

第3問の解答と解説

解答:言葉にできない感情はいつまでも曖昧な塊のままであるという事実が、逆に言葉が経験を明確な形にしていることを示しているということ。

ここは一見すると筆者の主張に対する反論(言葉にできない感情がある)のように見えますが、筆者はそれを逆手に取り、自説を補強する材料として使っています。「言葉にできないものは経験として明確化されないままだ」という現象こそが、「言葉にできたものは経験として明確化される」という筆者の主張の正しさを裏づけている、という構造を読み取ることが必要です。反論の紹介で終わらせず、その反論が結局筆者の主張をどう支えているかまで書き切れているかが得点の分かれ目です。

第4問の解答と解説

解答:検索で得られる答えは、体系的に整理されていない、個別的で孤立した情報にとどまっているということ。

傍線部直後に「知識とは、断片的な情報が互いに関連づけられ、体系として整理されたものである」という知識の定義が示されています。この定義と対比させることで、「検索で得られる答え=体系化されていない情報の断片」という説明が導けます。「情報」と「知識」という二つの語の違いを、本文の定義に即して書き分けられているかが採点のポイントです。

第5問の解答と解説

解答:知識は情報が関連づけられ体系化されたものであり、検索は情報を得る手段にすぎず体系化までは行わないから。

「それゆえ」という接続語の前には「知識とは体系として整理されたものである」という定義があります。検索技術が発達しても、それが与えてくれるのは情報の入手であって、情報どうしを関連づけて体系化する作業ではありません。したがって「検索技術の発達=知識の深化」とは言えないという結論になります。「情報を得ること」と「体系化すること」を区別して書けているかを確認しましょう。

第6問の解答と解説

解答:断片的な情報を素早く大量に得ることに慣れると、一つの事柄について時間をかけて深く考える経験が減っていくから。

傍線部③は文章の結論部分にあたり、筆者の懸念が表れています。理由は直前の「断片的な情報を大量に得ることに慣れた」という部分にあります。ここで注意したいのは、単に「検索が便利だから」という表面的な理由ではなく、「断片的な情報の取得に慣れること」と「じっくり考える力の低下」の因果関係を明示することです。因果のつながりが本文のどこにあるかを丁寧に確認する習慣をつけましょう。

第7問の解答と解説

解答:伝統とは表面的な形式を時代に合わせて変化させつつも、根底にある本質的な価値だけは失わずに継承していく営みだということ。

本文は「伝統=古いものをそのまま守ること」という一般的な理解を否定するところから始まっています。傍線部①はその筆者独自の定義であり、「変化する部分(形式)」と「変化しない部分(核となる価値)」を分けて説明することが求められます。片方だけを説明して終わると不十分な解答になるので、必ず両方の要素を対比の形で盛り込みましょう。

第8問の解答と解説

解答:伝統の本質はその核心にある価値を継承することにあり、核心を失えば形が残っても伝統としての実質を持たないから。

傍線部②は傍線部①と対になる内容です。①が「核を守りつつ形を変える」ことを伝統と定義したのに対し、②は「核を失ってしまえば、いくら変化しても伝統とは呼べない」という逆のケースを述べています。理由を書く際は、単に「核がなくなるから」ではなく、「核こそが伝統の本質だから、核を失うと、形だけが残っても中身が伴わない『抜け殻』のような状態になってしまうから」というところまで踏み込んで書く必要があります。傍線部①との対応関係を意識し、「変えてはならないもの=核となる価値」という軸をぶらさずに答えることが高得点のコツです。

第9問の解答と解説

解答:自由に何かを選び取ることには、その選択がもたらす結果を自分自身で引き受けることが常に含まれているということ。

この一文は「自由=何をしてもよいこと」という一般的なイメージを否定した直後に置かれています。傍線部①はその筆者独自の定義であり、「自由」と「責任」が切り離せない関係にあることを説明する必要があります。ここで「責任」を単に「他人に迷惑をかけないこと」のように一般論で言い換えてしまうと、本文が述べている「自分の選択の結果を自分で引き受ける」という意味からずれてしまいます。「選択」「結果」「引き受ける」という本文中のキーワードを落とさずに使うことが、正確な解答を作るコツです。

第10問の解答と解説

解答:責任を伴わない自由は単なる放縦であり、他者と共に生きる社会を成り立たせられないため、責任の範囲内でしか自由は成立しないから。

傍線部②は文章全体の結論にあたります。理由は直前の「責任を伴わない自由は、単なる放縦にすぎず、社会の中で他者と共に生きることを困難にする」という一文にあります。ここでの論理の流れは、「責任のない自由=放縦」→「放縦は社会を成り立たせられない」→「だから自由は責任の範囲内でしか成立しない」という三段階になっています。理由説明の記述では、この三段階のうち一段階だけを書いて終わらせてしまう受験生が多いので、最後まで論理をつなげて書き切ることを意識しましょう。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回の10問を通して感じてほしいのは、「傍線部説明は傍線部だけを見ていては解けない」ということです。特に理由説明問題は、傍線部の前後にある接続語(「したがって」「それゆえ」「なぜなら」など)に注目すると、根拠となる一文がどこにあるかがはっきり見えてきます。

藤原:加えて、今回の4つの文章はすべて「AとBという対立する要素の関係を筆者がどう整理しているか」という構造を持っています。言葉と経験、情報と知識、変化と不変、自由と責任——どれも一方だけを取り上げると不十分な解答になります。傍線部を説明するときは、必ず「対になっているもう一方の要素」も視野に入れて答案を作る練習をしてください。

翔先生:字数制限のある記述では、キーワードの取捨選択も重要です。本文中で筆者が繰り返し使っている言葉(今回で言えば「体系」「核」「責任」など)は、そのまま解答に使うことで、採点者に「本文の論理を正しく読めている」ことを伝えやすくなります。ぜひ普段の演習でも意識してみてください。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は「傍線部説明02」として、言葉と経験、情報と知識、伝統と近代化、自由と責任という4つのテーマの短文を題材に、全10問の記述問題を出題しました。いずれも筆者の論理の対立構造を正しくつかみ、接続語や定義文などの根拠を丁寧に拾うことで、一つに定まる正確な解答にたどり着けるよう作問しています。繰り返し解き直し、模範解答と自分の答案を比較しながら、論理をたどる力を磨いていってください。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
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