数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに
藤原:翔先生、今回は小論文演習の第7回ですね。これまでの回で「型」は身についてきたと思いますが、今日はどんなことを意識して問題を作りましたか。
翔先生:はい。今回のテーマは「短い課題文やお題から、答案の骨子(設計図)を作る力」です。小論文は「思いつきをそのまま書く」と失敗しやすいので、まず結論と理由と具体例をメモしてから書く練習をします。
藤原:いいですね。10問すべてに「答案の骨子」と「評価の観点」をつけているので、自分の答案と照らし合わせながら、どこが足りないかチェックできる作りになっています。
翔先生:時間を計って書くのもおすすめです。1問あたり15〜20分を目安に、実際に手を動かしてから解説を読んでください。
問題(全10問)
第1問
次の課題文を読み、あなたの考えを150字以内で述べなさい。
「便利さを追求することは、必ずしも人を幸せにするとは限らない。手間をかけることの中にこそ価値がある場合もある。」(※学習用に作成した文章です)
第2問
「学校での失敗経験は、その後の成長にどのような意味を持つか」というお題で、あなた自身の体験を交えて200字以内で書きなさい。
第3問
次の二つの立場のうち、どちらか一方を選び、理由を添えて180字以内で論じなさい。
A:部活動は生徒の自主性に任せるべきである。
B:部活動には一定の大人の指導が必要である。
第4問
次の資料を読み、読み取れることをもとに150字以内でまとめなさい。
「ある高校でのアンケートによると、『読書が好き』と答えた生徒の割合は、中学生のときより高校生のときのほうが低かった。一方で『本を読む時間がない』と答えた生徒の割合は増えていた。」(※学習用に作成した資料です)
第5問
「多様性を尊重する」とはどういうことか、あなたの考えを200字以内で説明しなさい。
第6問
次の課題文を読み、筆者の主張に賛成か反対かを明らかにしたうえで、160字以内であなたの意見を述べなさい。
「情報が簡単に手に入る時代だからこそ、自分で考える力はむしろ弱くなっている。」(※学習用に作成した文章です)
第7問
「ルールを守ること」と「状況に応じて柔軟に対応すること」は、時に矛盾する場合がある。この点について、具体例を一つ挙げながら180字以内で論じなさい。
第8問
次の課題文を読み、下線部「それ」が指す内容を明らかにしたうえで、あなたの考えを150字以内で書きなさい。
「地域の祭りに参加する若者が減っているという。それを単に『若者の意識の問題』と片づけてよいのだろうか。」(※学習用に作成した文章です)
第9問
「失敗を許す社会」と「結果を厳しく求める社会」、どちらがより望ましいと考えるか、200字以内であなたの意見を述べなさい。
第10問
次の課題文を読み、40字程度で要約したうえで、そのことについてのあなたの考えを100字以内で述べなさい(合計140字以内)。
「人は誰かに認められることで初めて、自分の存在を確かなものと感じられる。だからこそ、他者の存在は自分にとって欠かせないものなのだ。」(※学習用に作成した文章です)
解答・解説
第1問の解答と解説
答案の骨子:結論(便利さだけを追い求めるのは危険だ/便利さと手間はどちらも大切だ、など)→理由(手間には工夫や達成感が伴う)→具体例(手作りの料理、手紙など)。
この問題は「賛成・反対」を明確にすることが第一の関門です。課題文の主張をそのまま繰り返すだけでは自分の意見になっていないため、必ず「なぜそう考えるか」という理由を一文加えましょう。よくある間違いは、便利さの具体例(家電製品など)だけを並べて終わってしまい、手間の価値について触れないまま字数を使い切ってしまうケースです。150字という短い字数では、具体例は一つに絞るのがコツです。
第2問の解答と解説
答案の骨子:失敗経験の具体例(一文で簡潔に)→そこから学んだこと(結論)→成長との結びつけ。体験を詳しく書きすぎると意見部分が書けなくなります。
体験型の設問では、体験の描写に字数を使いすぎることが最大の失敗パターンです。評価されるのは体験そのものではなく「その体験から何を学び、どう考えるようになったか」という思考の部分なので、体験は1〜2文で簡潔に述べ、残りをその意味づけに使う配分を意識してください。「〜という失敗をしたことで、○○の大切さに気づいた」という型に当てはめると書きやすくなります。
第3問の解答と解説
答案の骨子:立場の明示(AかBか)→理由1(原則論)→理由2または具体例→まとめの一文。
二者択一型の問題では、どちらを選ぶかよりも「一貫した理由づけができているか」が採点上重要です。Aを選びながら理由の中でBの良さばかり述べてしまうと、立場がぶれていると判断されます。また、字数が短いため理由は多くても二つまでに絞り、最後に結論を一文で繰り返すと説得力が増します。
第4問の解答と解説
答案の骨子:資料から読み取れる事実(読書好きの割合の低下、時間がないと答える割合の増加)→その二つの関係についての解釈(時間的余裕の減少が読書離れの一因と考えられる)。
資料読み取り型の問題で最も注意すべきは、資料に書かれていない自分の推測を「事実」として書いてしまうことです。ここでは「忙しいから読書が嫌いになった」と断定するのではなく、「関係していると考えられる」程度の書き方にとどめるのが正確な読み取りです。二つの数値の変化を対応づけて説明できているかが評価のポイントになります。
第5問の解答と解説
答案の骨子:定義の提示(多様性の尊重とは、違いを否定せず受け入れること)→具体例(考え方・文化・生き方の違いなど)→なぜ大切かの理由。
抽象的な言葉を説明する問題では、まず自分なりの定義を最初に一文で示すことが重要です。定義を示さずにいきなり具体例から書き始めると、何について論じているのかが読み手に伝わりにくくなります。具体例は一つで十分ですが、身近すぎる例(好き嫌いの話など)に終始すると内容が浅くなるため、社会的な視点(文化・価値観の違いなど)を一つ入れると評価が上がります。
第6問の解答と解説
答案の骨子:賛成・反対の明示→理由(情報を鵜呑みにする傾向、調べれば分かるという安心感が思考を止めるなど)→簡単な具体例。
この課題文は一見難しく感じますが、「情報が多い=考えなくなる」という因果関係に納得できるかどうかを問うているだけなので、身構えすぎる必要はありません。賛成の場合は「検索すればすぐ答えが出るため、自分で考える前に調べてしまう」という具体例が書きやすいでしょう。反対の場合は「情報が多いからこそ比較検討する力が育つ」という視点を出せると説得力が出ます。
第7問の解答と解説
答案の骨子:矛盾の説明(ルールを守ることが逆に不都合を生む場面がある)→具体例(一つ)→自分なりの考え(バランスの取り方、判断基準など)。
この問題は「矛盾する場合がある」という前提をどう具体化できるかが最大のポイントです。具体例が抽象的(「学校の校則」など)で終わってしまうと説得力が弱くなるため、「体調不良の生徒に対して時間厳守のルールをどう適用するか」のように、場面を一段階具体的に描写できると高評価につながります。最後に自分なりの判断基準(誰かの安全や不利益を防ぐ場合は柔軟に対応すべき、など)を示すと論としてまとまります。
第8問の解答と解説
答案の骨子:「それ」の指示内容を明示(若者が祭りに参加しなくなっていること)→その原因を意識の問題だけに帰さない理由(地域行事の運営体制、生活スタイルの変化など)→自分の考え。
指示語問題では、まず何を指しているかを言葉で明確に書くことが得点の前提条件です。「それ」を書かずにいきなり自分の意見を述べると、読解ができているかどうかが採点者に伝わりません。そのうえで、筆者が疑問を投げかけている理由(意識の問題だけに片づけてよいのか)に寄り添った意見を書くと、課題文と対応した答案になります。
第9問の解答と解説
答案の骨子:立場の選択→理由1(失敗を許すことで挑戦しやすくなる、または結果を求めることで責任感が育つ)→具体例→まとめ。
この設問は価値観を問う内容ですが、小論文では「どちらが正しいか」ではなく「どちらの立場も一貫して説明できているか」が評価されます。片方を選びながら途中でもう一方の良さを強調しすぎると、立場が揺れて読みにくくなります。字数が200字とやや長めなので、理由を二つ入れる余裕がありますが、二つ目の理由は一つ目と重複しないよう別の観点から選ぶと厚みが出ます。
第10問の解答と解説
答案の骨子:要約(人は他者に認められることで自分の存在を実感でき、だからこそ他者を必要とする、という内容を40字程度に圧縮)→自分の考え(賛成・反対いずれかを簡潔に)。
要約と意見を両方求められる問題では、要約部分に字数を使いすぎて意見が一言だけになってしまう失敗が非常に多く見られます。要約は「主語+述語」の骨格だけを残し、修飾表現は思い切って削るのがコツです。意見部分は「私も自分の経験から共感する」「必ずしも他者の評価だけに頼る必要はないと考える」のように、要約と対応する形で一文にまとめると全体のバランスが整います。
藤原&翔先生のワンポイント
翔先生:今回の10問を通して伝えたかったのは、「書く前にメモを作る」という習慣です。結論・理由・具体例の3つを箇条書きで先に決めてから文章にすると、途中で論がずれる失敗がぐっと減ります。
藤原:特に字数が短い問題ほど、具体例は一つに絞ることが大切です。欲張って二つ以上入れようとすると、どれも中途半端になってしまいます。まずは「短く、一貫した答案」を書けるようになることが、字数の多い小論文への土台になります。
まとめ・日本国語塾TOPについて
今回は、短い課題文やお題から答案の骨子を組み立てる練習を10問行いました。指示語の把握、要約と意見の配分、二者択一問題での立場の一貫性など、どれも入試小論文で繰り返し問われるポイントです。一度解いて終わりにせず、解説の「答案の骨子」を見ながらもう一度書き直してみると、力の定着がぐっと高まります。
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