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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

【オリジナル問題】小論文の演習課題練習問題 第8回|10問一問一答と詳しい解説

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

藤原:翔先生、第8回は小論文演習です。今回のテーマは何にしましょうか。

翔先生:今回は「AI」「環境」「多様性」「教育」「経済」「政治参加」など、実際に小論文入試で頻出のテーマを10問そろえました。どのテーマでも通用する「結論→理由→具体例→反論への配慮→結論」という答案の型を体に染み込ませることが目標です。

藤原:大事なのは、テーマごとの知識よりも「型」と「視点の広げ方」ですね。この記事では課題文を読んで骨子を作る練習をしてもらいます。

翔先生:はい。1問ずつ、資料文+設問を出しますので、まずは自分で構成メモを作ってから解説を読んでください。

問題(全10問)

第1問

【課題文】絵画コンクールで、AIが生成した作品が人間の作品と並んで入選した。主催者は「表現の幅を広げる試み」として歓迎したが、応募者からは「努力の過程が評価されないのはおかしい」との声も上がった。

【設問】この事例について、あなたの考えを300字以内で述べなさい。

第2問

【課題文】ある地方の町では、児童数の減少により小学校の統廃合が進んでいる。統合により教育の質は保たれるが、通学時間が長くなり、地域の行事の担い手も減っている。

【設問】学校統廃合の是非について、地域社会への影響も踏まえて300字以内で論じなさい。

第3問

【課題文】SNS上に過去の失敗が投稿され続け、当人が就職活動で不利益を受けたという相談が増えている。一方で「投稿を削除できるようにすると、事実の記録が失われ、社会の透明性が損なわれる」という意見もある。

【設問】「忘れられる権利」と「知る権利」の関係について、あなたの考えを300字以内で述べなさい。

第4問

【課題文】山間部に大規模な太陽光発電施設を建設する計画が持ち上がった。再生可能エネルギーの普及に貢献する一方、景観の変化や土砂災害のリスクを懸念する住民もいる。

【設問】この計画に賛成か反対か、立場を明確にして300字以内で論じなさい。

第5問

【課題文】選択的夫婦別姓の導入をめぐり、「家族の一体感が失われる」という意見と、「個人の尊重こそが家族を支える」という意見が対立している。

【設問】この対立点について、あなたの考えを300字以内で述べなさい。

第6問

【課題文】出生前診断の技術が進歩し、胎児の疾患の有無を高い精度で調べられるようになった。診断結果をどう受け止め、どう活用するかは各家庭の判断に委ねられているが、選別的な中絶につながるとの懸念もある。

【設問】出生前診断の普及がもたらす利点と課題について、300字以内でまとめなさい。

第7問

【課題文】ある企業がリモートワークを全面導入したところ、通勤時間の削減という利点がある一方、新入社員から「先輩との雑談がなく、仕事の勘所がつかめない」という声が上がった。

【設問】リモートワークの利点と課題を踏まえ、望ましい働き方について300字以内で述べなさい。

第8問

【課題文】ある学校でデジタル教科書を導入したところ、検索機能や動画資料が便利だと好評だった一方、「紙のほうが記憶に残る」という生徒の意見もあった。

【設問】デジタル教科書と紙の教科書、それぞれの利点を比較しながら、望ましい活用のあり方を300字以内で述べなさい。

第9問

【課題文】キャッシュレス決済の普及により支払いが便利になった一方、停電時に使えない、高齢者が対応しづらいといった課題も指摘されている。

【設問】キャッシュレス社会の進展にあたり、どのような配慮が必要か300字以内で述べなさい。

第10問

【課題文】ある国では若者の投票率が他の世代に比べて著しく低く、政策が高齢世代に偏りがちだと指摘されている。学校での主権者教育の強化や、オンライン投票の導入が議論されている。

【設問】若者の政治参加を高めるための方策について、あなたの考えを300字以内で述べなさい。

解答・解説

第1問の解答と解説

【骨子】結論「AI作品を否定せず、評価基準を分けるべき」→理由「制作過程と完成度は別の価値だから」→具体例「音楽コンクールで作曲部門と演奏部門を分けるように、AI部門を新設する案」→譲歩「人間の努力を軽視する意図ではないと断る」→結論の再確認。

この問題は「対立する二つの価値(新しい表現の可能性/努力の過程の尊重)」をどちらも切り捨てずに扱えるかがポイントです。片方だけを支持すると、もう一方の言い分を無視した一面的な答案になり評価が下がります。間違えやすいのは、AI技術そのものへの賛否に話がずれてしまい、コンクールという具体的な場の話に戻ってこないことです。最後は「入選制度の設計」という現実的な提案に着地させると説得力が増します。

第2問の解答と解説

【骨子】結論「教育の質を守りつつ、地域とのつながりを保つ仕組みとセットで統廃合を進めるべき」→理由「子どもの学習環境と地域の存続はどちらも重要だから」→具体例「スクールバスの整備、統合後も旧校舎を地域行事の拠点として残す案」→譲歩「地域の担い手不足という根本課題は統廃合だけでは解決しないと認める」→結論。

この設問は「教育の質」対「地域社会」という二項対立で終わらせず、両立の工夫を示せるかが評価の分かれ目です。統廃合に賛成か反対かの二択で終わる答案は具体性に欠けます。地域社会への影響という指示に必ず触れることも忘れないでください。字数が限られるため、具体例は一つに絞って掘り下げると論旨がぶれません。

第3問の解答と解説

【骨子】結論「一律の削除ではなく、時間経過や公共性を基準にした運用が必要」→理由「知る権利と忘れられる権利はどちらも個人と社会にとって重要な価値だから」→具体例「公職者の過去の言動は公共性が高く残す、個人の過去の私的な失敗は一定期間後に削除対象とする」→譲歩「基準づくり自体が難しいという課題を認める」→結論。

この問題では、どちらか一方の権利を全面的に否定する答案は評価されません。両者のバランスを取る視点、つまり「場合分けの基準」を提示できるかが鍵です。抽象論だけで終わらず、公職者と一般人という具体例で区別すると説得力が増します。逆に感情論(かわいそう、当然の報い)に流れると論理性が失われるので注意が必要です。

第4問の解答と解説

【骨子】結論「立地の適性を科学的に検証したうえで条件付きで賛成」→理由「再生可能エネルギーの普及は必要だが、災害リスクは住民の生命に関わるから」→具体例「土砂災害のシミュレーション調査を義務化し、危険な地域は避ける制度」→譲歩「反対する住民の懸念は正当であると認める」→結論。

賛成・反対のどちらを選んでもよい設問ですが、根拠なく一方に偏る答案は評価が低くなります。重要なのは、選んだ立場の中に相手側の懸念への配慮を組み込むことです。景観か災害かという論点のどちらに軸足を置くかで具体例が変わるため、資料文の情報を過不足なく使う練習にもなります。

第5問の解答と解説

【骨子】結論「選択制であれば個人の尊重と家族の一体感は両立できる」→理由「別姓を望まない人には同姓を選ぶ自由も残るから」→具体例「実際に不便を感じている共働き夫婦の事例」→譲歩「制度変更に伴う戸籍実務上の課題は解決すべきと認める」→結論。

この設問は価値観が分かれるテーマなので、自分の立場を明確にしたうえで、反対意見の核心(家族の一体感)に正面から答えることが求められます。「選択制」という制度設計に触れると、対立を乗り越える論理になり評価が上がります。単に賛成・反対を表明するだけでは、論拠の弱い答案になりがちです。

第6問の解答と解説

【骨子】結論「診断結果を伝える際の支援体制を整えることが利点を活かす条件」→理由「情報を得ること自体は利点だが、判断を支える仕組みがなければ懸念が現実化するから」→具体例「診断後のカウンセリング体制、経済的支援制度の整備」→譲歩「選別的な利用を完全には防げないという限界を認める」→結論。

このテーマは倫理的に重い内容のため、断定的な賛否よりも「制度や支援体制」という現実的な視点で論じると評価されやすくなります。利点と課題の両方に触れるという設問の指示を落とさないことが重要です。感情的な主張に偏らず、冷静な言葉選びを心がける練習にもなります。

第7問の解答と解説

【骨子】結論「出社とリモートを組み合わせたハイブリッド型が望ましい」→理由「利点と課題はどちらも状況によって重みが変わるから」→具体例「新入社員は出社中心、経験者はリモート中心という運用」→譲歩「一律の制度では対応しきれない業種もあると認める」→結論。

この問題は「利点と課題を踏まえ」という指示があるため、どちらか一方だけを書くと減点対象になります。ハイブリッド型のように、対立する要素を組み合わせる発想を示せると高評価につながります。抽象的な理想論で終わらせず、新入社員という具体的な立場に触れることで説得力が高まります。

第8問の解答と解説

【骨子】結論「学習内容や場面に応じて使い分けるのが望ましい」→理由「検索性と記憶の定着という異なる利点があるから」→具体例「調べ学習はデジタル、暗記や読解の精読は紙で行う」→譲歩「導入コストや端末格差という課題も残ると認める」→結論。

この設問も「それぞれの利点を比較しながら」という条件があるため、片方を全否定する答案は不十分です。使い分けという発想は、対立する二つの選択肢を統合する典型的な型なので、他のテーマにも応用できます。具体的な学習場面を挙げることで、抽象論に終わらない答案になります。

第9問の解答と解説

【骨子】結論「現金という選択肢を残しつつ利便性を高める配慮が必要」→理由「利便性と安全網の両立が社会全体の利益になるから」→具体例「停電時の決済手段の確保、高齢者向け操作支援窓口の設置」→譲歩「完全キャッシュレス化を目指す立場の効率性も一理あると認める」→結論。

このテーマは「配慮」を問われているため、キャッシュレス化そのものへの賛否ではなく、進める上での具体策を書くことが求められます。高齢者や災害時という弱者・非常時の視点を入れると、社会全体を見渡す答案になり評価が上がります。効率一辺倒の主張は設問の趣旨とずれるため注意が必要です。

第10問の解答と解説

【骨子】結論「学校教育での実践的な主権者教育と投票環境の改善を並行して進めるべき」→理由「知識不足と手続きの不便さという二つの原因に同時に対応する必要があるから」→具体例「模擬選挙の授業、オンライン投票の試験導入」→譲歩「オンライン投票のセキュリティ課題は残ると認める」→結論。

この問題では、原因を一つに絞らず複数挙げたうえで、それぞれに対応する具体策を示すと構成がしっかりします。教育面と制度面の両方に触れることで、資料文が提示した二つの論点(主権者教育・オンライン投票)を漏れなく使う練習になります。方策を一つだけ挙げて終わる答案は物足りない印象を与えます。

藤原&翔先生のワンポイント

翔先生:今回の10問に共通するのは「対立する二つの価値をどちらも切り捨てない」という姿勢ですね。

藤原:そうです。小論文で高評価を得る答案の多くは、片方だけを主張するのではなく、対立点をふまえたうえで自分なりの調整案・具体策を示しています。「結論→理由→具体例→反論への配慮→結論」という型を体に覚えさせておくと、初見のテーマでも慌てずに書けるようになります。

翔先生:また、設問文の指示(「利点と課題を踏まえ」「地域社会への影響も踏まえて」など)を最後まで書き切っているか、答案を書き終えたら必ず見直す習慣もつけましょう。

まとめ・日本国語塾TOPについて

今回は10のテーマを通して、小論文答案の基本の型と、対立する価値を両立させる思考法を練習しました。次回もさまざまなテーマで演習を重ね、どんな課題文にも対応できる力を一緒に鍛えていきましょう。

日本国語塾TOPは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

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