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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

現代文の頻出テーマ「言語・コミュニケーション」を完全攻略する読解法

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はじめに|なぜ「言語・コミュニケーション」は現代文最重要テーマなのか

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

現代文を指導していると、受験生から必ずといっていいほど出てくる悩みがあります。それは「なんとなく読んでいるけど、評論文になるとどこが大切かわからない」というものです。特に「言語・コミュニケーション」というテーマの評論は、東大・早稲田・慶應をはじめとした難関大学で繰り返し出題されているにもかかわらず、多くの受験生が「何を言いたいのかよくわからない」と苦手意識を持っています。

しかし、これははっきり言えます。「言語・コミュニケーション」というテーマは、パターンが決まっており、正しく対策すれば必ず得点源になります。この記事では、入試頻出の「言語・コミュニケーション」テーマを完全攻略するための読解法を、具体的な例文・出題パターン・解き方の実演まで含めて徹底解説します。保護者の方にも「どんな力をつければいいか」がわかるように書きましたので、ぜひ最後まで読んでください。


基礎知識|「言語・コミュニケーション」テーマの全体像を掴もう

このテーマが現代文で頻出される理由

「言語・コミュニケーション」は、現代の評論文において最も出題頻度の高いテーマのひとつです。その理由は明確で、「人間とは何か」「社会とはどう成立しているか」という哲学的問いの出発点が、まさに言語にあるからです。

20世紀以降の哲学・社会学・文化人類学・言語学は、「人間は言語によって世界を認識している」という視点を共有しています。だからこそ、大学入試の評論文には、言語・コミュニケーションに関する文章が繰り返し登場するのです。

出題される大学の代表例を挙げると、

  • 東京大学(言語と思考の関係、記号論)
  • 早稲田大学(コミュニケーションの非対称性、メディア論)
  • 慶應義塾大学(言語の恣意性、翻訳不可能性)
  • 京都大学(言語と文化、言語の限界)
  • 共通テスト(言語の社会的機能、対話論)

これだけ幅広い大学で出題されている以上、このテーマへの対策は現代文学習において最優先事項のひとつと言えます。

頻出キーワード一覧

「言語・コミュニケーション」テーマを読む際に必ず押さえておくべきキーワードを、カテゴリ別に整理しました。これを知っているだけで、本文の難易度がぐっと下がります。

カテゴリ キーワード 意味・ポイント
言語の性質 恣意性(しいせい) 言葉と意味の結びつきに必然性がないこと(ソシュール)
言語の性質 シニフィアン/シニフィエ 「音声・文字」と「概念・意味」の区別(記号論)
コミュニケーション論 伝達モデル/対話モデル 一方向的な情報伝達 vs 相互的な意味の生成
コミュニケーション論 誤解・すれ違い 言語が完全には通じ合えないという逆説
言語と文化 言語相対性(サピア=ウォーフ仮説) 使う言語によって世界の見え方が変わるという考え方
言語と文化 翻訳不可能性 ある言語の概念を別の言語に完全に移せないこと
言語の限界 沈黙・非言語 言葉にならないものの存在と価値

これらのキーワードが本文中に出てきたとき、「ああ、この評論はこういう主張をしようとしているんだな」と方向性がつかめるようになります。それだけで読解スピードと正答率が格段に上がります。


詳細解説|入試で使える知識を体系的に

①「言語の恣意性」とは何か——ソシュールを理解する

「言語・コミュニケーション」テーマの評論に最も頻繁に登場する思想家が、スイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュールです。彼の提唱した「言語の恣意性」という概念は、入試頻出中の頻出です。

【恣意性とは】
「犬」という音声(シニフィアン)と「犬という動物の概念」(シニフィエ)の結びつきには、必然性がない。英語では”dog”、フランス語では”chien”と呼ぶ。どの音を使っても意味が成立するという事実は、言葉と意味の関係が「社会的な約束事(規約)」にすぎないことを示している。

入試で問われるポイントは、「なぜ恣意性が重要なのか」という点です。恣意性があるということは、「言語は世界をそのまま写し取ったものではなく、文化・社会によって世界の切り取り方が異なる」ということを意味します。これが次に述べる「言語相対性」につながっていきます。

②「言語は世界を作る」——言語相対性とその入試での問われ方

サピア=ウォーフ仮説として知られる「言語相対性」の考え方も、近年の入試で頻繁に出題されます。この仮説は「私たちが世界をどう認識するかは、使っている言語によって規定される」という主張です。

【具体例で理解する】

  • 日本語には「木漏れ日」という言葉があるが、英語には直接対応する単語がない。→ 日本語話者は「木漏れ日」という現象を一つのまとまった美的経験として認識しやすいが、英語話者はそれを複数の言葉で説明するしかない。
  • イヌイットの言語には「雪」を表す言葉が多数あるとされる。→ 雪の細かい違いを言語化できるため、雪の違いをより精密に認識できる可能性がある。

入試では「筆者はなぜこの例を挙げているのか」という設問で、「言語が思考・認識を規定するという主張を補強するため」という趣旨の解答が求められます。この構造をあらかじめ知っていれば、設問に迷わず答えられます。

③「コミュニケーションはなぜズレるのか」——対話論の核心

「コミュニケーション」を扱う評論でもうひとつ重要なテーマが、「伝達の不完全性」です。

よくある入試評論の構造はこうです。

  1. 【一般的なイメージの提示】「コミュニケーションとは、頭の中にある情報を言葉に変換し、相手に送り、相手がそれを受け取ることで成立する(伝達モデル)」
  2. 【筆者による否定・問題提起】「しかし、送り手の意図と受け手の解釈は必ずしも一致しない。同じ言葉でも、文脈・経験・文化背景が異なれば異なる意味に受け取られる」
  3. 【筆者の主張】「コミュニケーションとは、意味を『送る』ことではなく、対話の中で意味を『共に作り上げる』プロセスである(対話モデル)」

この3段構造は、「言語・コミュニケーション」テーマの評論に非常によく登場するパターンです。「一般論の提示→否定→筆者の主張」という流れを意識して読むだけで、設問への解答精度が劇的に上がります。

④「言葉にならないもの」——沈黙・非言語の哲学的意味

「言語・コミュニケーション」テーマのやや難しいバリエーションとして、「言語の限界」や「沈黙の意味」を論じた評論があります。

これは「言葉では表現できない感情・経験・真理がある」という主張で、しばしば芸術・文学・身体的経験との関連で語られます。たとえば、

  • 「悲しい」という言葉は、その悲しみそのものではない
  • 音楽や絵画は、言語を超えた何かを伝えることができる
  • 熟練した職人の「身体知」は、言語化しにくい

このタイプの評論では、「言語万能主義への批判」が核心的な主張になっていることが多いです。「言語化できることだけが思考・知識ではない」という逆説的な主張をきちんとつかむことが読解のカギになります。


入試での出題パターンと対策法

パターン①「傍線部の言い換え問題」への対処法

「言語・コミュニケーション」テーマの評論で最も多い設問形式が、傍線部の説明問題です。

【例題】
次の傍線部「言語は世界の窓ではなく、世界を切り取るナイフである」はどういうことか、説明せよ。

【解き方の手順】

  1. 比喩・抽象表現を具体化する:「窓」=世界をそのまま見る透明な道具、「ナイフ」=世界を能動的に分割・構成するもの
  2. 文脈から筆者の主張を確認する:「言語は現実を受動的に写すのではなく、言語の構造が現実の認識を積極的に規定する」という趣旨か?
  3. 本文の語句を使って言い換える:「言語は現実世界をありのままに反映するものではなく、言語ごとに異なる仕方で世界を分節化し、私たちの現実認識を構成するものである」

このように、①比喩を解体→②文脈確認→③言い換えの3ステップで傍線部説明問題に対処できます。

パターン②「筆者の主張と一致するものを選べ」選択問題の攻略

「言語・コミュニケーション」テーマの選択問題では、次のような「惑わせ選択肢」が頻出です。

惑わせ選択肢のパターン なぜ誤りか
「言語があれば完全な意思疎通が可能だ」 筆者は「コミュニケーションの不完全性」を主張していることが多い
「言語は世界をそのまま反映する」 「言語の恣意性」「言語相対性」の主張と真逆
「非言語的なコミュニケーションは補助的なものにすぎない」 「言語の限界」を論じる文章では非言語を高く評価していることが多い

つまり、「言語を万能視する選択肢」は多くの場合×です。筆者は「言語の限界・相対性・恣意性」を主張するために評論を書いていることがほとんどだからです。この傾向を知っているだけで、選択問題の正答率が上がります。

パターン③ 記述問題「なぜか説明せよ」への対応

記述式試験(東大・京大・地方国公立など)では、「なぜ筆者は〇〇と述べているのか」という問いが頻出です。

【解答の型】
「〇〇(具体的な理由・根拠)であり、〇〇(筆者の前提となる考え方)であるから、筆者は〜と述べている。」

この型を守るだけで、論理的に整った解答が書けます。特に「言語・コミュニケーション」テーマでは、「言語の恣意性」「言語の社会的規約性」「コミュニケーションの非対称性」のいずれかが「理由」として使えることが多いです。


藤原&翔先生のここだけの話

藤原進之介より

私が数百人以上の受験生を指導してきた中で気づいたことがあります。それは、「言語・コミュニケーション」の評論が苦手な生徒に共通するパターンです。それは、「自分の日常的なコミュニケーション観で読んでしまっている」ということです。

「コミュニケーションって、ふつうに話すことでしょ?」という感覚で読むと、筆者の主張がどれだけ「ずらし」や「逆説」で成立しているかを見落としてしまいます。評論の筆者は必ず「常識的なイメージを崩す」ために書いている。この前提を頭に入れておくだけで、読み方が変わります。

もうひとつ伝えたいのは、「背景知識は武器になる」という事実です。ソシュールの恣意性、サピア=ウォーフ仮説、対話モデルの考え方を知っているだけで、どんな評論文も「ああ、この筆者はこういう立場だな」と地図を持って読めるようになります。現代文は「知識ゼロで読む科目」ではありません。正しい背景知識を積み上げることが、難関大合格への最短ルートです。

翔先生より

授業でよく生徒に話すことがあります。「言語・コミュニケーションの評論って、つまり筆者は何が言いたいの?」と問うと、多くの生徒が「うーん、言葉って難しいってこと?」と答えます。それ、半分正解です(笑)。でも入試で点を取るには、もう半歩踏み込む必要があります。

筆者が言いたいのは多くの場合、「言語は私たちが思っているより不完全で、それでも私たちは言語を通じて世界を作っている」というパラドックスです。「不完全だから無意味」ではなく、「不完全だからこそ対話が重要で、意味は共に作るものだ」という方向に向かうことが多い。

この「でも〜だからこそ〜」という逆接のロジックが読めると、記述問題もぐっと書きやすくなります。私のクラスでは「逆接アンテナ」と呼んでいますが、「しかし」「だが」「ところが」「むしろ」の直後に筆者の本音が来る、というルールを徹底的に意識させています。実際に試してみてください。


実践演習|覚えたことをすぐ試そう

練習用パッセージ(実際の入試に即したレベル)

以下の文章を読み、後の設問に答えてください。

 言語とは、単なる情報の容れ物ではない。われわれは言語を使って「考える」と同時に、言語によって「考えさせられている」という逆説的な関係の中にある。ある民族の言語には存在するが、他の言語には対応する語彙が存在しない、という事実は、言語が単なる伝達手段を超えて、世界の認識そのものを構成していることを示唆している。

 コミュニケーションもまた同様である。私たちはしばしば、「言葉さえ正確に使えば、意図は完全に伝わる」と信じたがる。しかしこの信念こそが、コミュニケーションにおける最大の誤解である。言葉は、送り手の意図を「そのまま」運ぶのではなく、受け手の経験・文脈・感情によって常に変形される。だからこそ対話は、意味を「配達」するのではなく、意味を「交渉」するプロセスなのである。

【設問】
傍線部「対話は、意味を『配達』するのではなく、意味を『交渉』するプロセスなのである」とはどういうことか、本文の内容をふまえて100字以内で説明せよ。

【解答例】
言葉は送り手の意図をそのまま伝えるものではなく、受け手の経験や文脈によって変形されるため、対話とは一方的に意味を届けるのではなく、双方が互いに意味を作り上げていく相互的なプロセスであるということ。(98字)

【解説のポイント】

  • 「配達」=一方向的な伝達モデル(送る側が意味を決める)
  • 「交渉」=双方向的な対話モデル(意味は共に作られる)
  • この対比を軸に、「なぜそうなるか(言葉は変形される)」という理由を前段から引用して説明する

この問題のような設問は、共通テストから難関大記述まで広く出題されます。ぜひ自分で解いてから解答例と比較してみてください。

今日からできる3ステップアクション

  1. ステップ1:キーワードカードを作る
    この記事に出てきた「恣意性」「シニフィアン/シニフィエ」「言語相対性」「伝達モデル/対話モデル」「翻訳不可能性」をカードに書き出し、意味を自分の言葉で説明できるようにする。
  2. ステップ2:「逆接アンテナ」を立てて読む
    次に評論を読む際、「しかし」「だが」「ところが」「むしろ」に印をつけ、その直後に筆者の主張がどう展開するかを追う習慣をつける。
  3. ステップ3:過去問で「パターン認識」を鍛える
    東大・早稲田・共通テストの過去問から「言語・コミュニケーション」テーマの評論を3〜5本読み、「①一般論提示→②否定→③筆者の主張」という構造が本当に繰り返されているか確認する。

まとめ・日本国語塾トップについて

今回は現代文の頻出テーマ「言語・コミュニケーション」を完全攻略するための読解法を解説しました。重要ポイントを最後にまとめます。

  • 「言語・コミュニケーション」は東大・早稲田・慶應・共通テストで最頻出テーマのひとつ
  • ソシュールの「恣意性」・言語相対性(サピア=ウォーフ仮説)・対話モデルの3つは必須知識
  • 評論文の構造は「一般論→否定→筆者の主張」というパターンが多い
  • 傍線部問題は「比喩の解体→文脈確認→言い換え」の3ステップで解く
  • 「逆接アンテナ」(しかし・だが・ところが)の直後に筆者の本音がある
  • 「言語万能主義を否定する選択肢が正解」という傾向を知っておく

現代文は「なんとなく読む科目」ではありません。正しい読解法と背景知識を身につけることで、確実に得点できる科目に変わります。このテーマで悩んでいる受験生の皆さん、ぜひ今日から実践してみてください。

日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。
nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

💡 藤原先生からの学習アドバイス

# 学習アドバイス

言語やコミュニケーションは、思想や価値観の根底にある普遍的テーマだから、筆者の問題意識と論理展開を追うことで、様々な評論文に応用できる「解き方の型」が身につき、初見の複雑な設問にも対応できるようになります。

📚 この記事について|日本国語塾・数強塾グループ

本記事は、数強塾グループ代表 藤原進之介の監修のもと作成しています。
藤原は情報教育の専門家としてKADOKAWAより
藤原進之介の ゼロから始める情報I』『ライバルに差をつける 情報I 鉄板の100題』、
Gakkenより『きめる!共通テスト情報I』など10冊以上の著書を刊行(累計10万部超)。
「本質を捉える理解」という指導哲学は、国語教育にも一貫して反映されています。

日本国語塾では一流講師が担任として専属で指導します。
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