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Q&A|漢文の返り点を正しく読んでいるつもりなのに意味が取れません

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はじめに|その悩み、よく聞きます

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

「返り点の読み順は分かった。レ点もあるし、一二点も使った。でも、なんで意味が取れないんだろう…」

これ、本当によくある相談です。毎年、多くの受験生が同じ壁にぶつかります。授業で返り点の付け方を習い、練習問題で読み順を確認し、「よし、マスターした!」と思ったのに、いざ問題文を前にすると意味がさっぱり掴めない。焦りや自己嫌悪を感じる受験生も少なくありません。

でも安心してください。この悩みには、明確な原因があります。そして、その原因を一つひとつ取り除いていけば、必ず漢文は読めるようになります。今回はその「原因」と「対策」を徹底的に解説していきます。保護者の方にも「お子さんがどこでつまずいているのか」が分かる記事になっていますので、ぜひ最後までお読みください。


藤原からの結論|ズバリ答えます

「返り点を正しく読めているのに意味が取れない」のは、返り点の問題ではありません。問題は、その先にあります。

具体的に言うと、主な原因は以下の3つです。

  • 漢字一字一字の意味(語彙)が頭に入っていない
  • 漢文特有の句法(構文)を知らない
  • 書き下し文にしたあと、古文として読めていない

返り点はあくまで「読む順番を示す記号」に過ぎません。順番通りに読んでも、一つひとつの漢字の意味や、文の構造(句法)を知らなければ、文章の意味は絶対に取れないのです。

逆に言えば、この3つを整備すれば、漢文は一気に読めるようになります。以下で詳しく解説します。


詳しく解説|なぜそうなのか・どうすればいいのか

① 返り点は「地図の読み方」に過ぎない

漢文の返り点を正しく読むことは、いわば「地図の読み方を覚えること」に例えられます。地図の読み方を知っていても、地名を知らなければ目的地にはたどり着けませんよね。

たとえば次の漢文を見てください。

「不 レ 読 二 書 一」

返り点に従って読むと「書を読まず」となります。読み順は正しい。でも「不」が否定を表すこと、「読」が「読む」という動詞であること、こうした語彙の知識がないと、書き下し文に変換しても意味はつかめません。

返り点=読む順番の案内係。語彙・句法=本当の意味を教えてくれる辞書。

この両輪が揃って初めて、漢文は「読める」状態になります。

② 漢文頻出語彙を知らないと詰む

漢文には、入試で繰り返し登場する重要語彙があります。これを知らないまま読み進めると、どれだけ返り点が正確でも意味は取れません。

以下は特に頻出の重要漢字・語の一覧です。必ず覚えておきましょう。

漢字 読み 意味・用法
ず(ざる) 否定「〜しない」
无・無 なし 存在の否定「〜がない」
あらず 断定の否定「〜ではない」
もって 手段・理由「〜を用いて」「〜によって」
なる/ため/す 文脈によって意味が変わる多義語
於・于 に/にて/より 場所・比較・受身などを示す置き字
(読まない) 接続の置き字「〜して、〜だが」
その/それ 指示語「その・それ」
もの/は 「〜するもの」「〜は(主語提示)」
の/これ/ゆく 格助詞・代名詞・動詞と多用途

特に「而」「於」「于」「乎」「矣」などの置き字(読まない字)は、存在に気づかないまま混乱する受験生が多いです。「あれ、この字はどこへいったの?」と思ったら、まず置き字を疑ってください。

③ 句法(構文)の知識が最重要

漢文には、意味が大きく変わる「句法」と呼ばれる決まった構文パターンがあります。これを知らないと、返り点を正しく読んでも、まったく違う意味に解釈してしまいます。

入試頻出の句法を以下にまとめます。

句法の種類 代表的な形 書き下し文 意味
再読文字 未(いまだ〜ず) 未だ〜せず まだ〜していない
再読文字 将(まさに〜んとす) 将に〜せんとす 今にも〜しようとしている
再読文字 当(まさに〜べし) 当に〜すべし 〜すべきだ
否定 不〜 〜せず 〜しない
二重否定 不可不〜 〜せざるべからず 〜しなければならない
疑問・反語 豈〜乎 あに〜んや どうして〜だろうか(いや、そうではない)
使役 使A〜 AをしてBせしむ AにBさせる
受身 被A〜 Aに〜せらる Aに〜される
比較 A不如B AはBに如かず AはBに及ばない
限定 唯〜耳 ただ〜のみ 〜だけだ

特に再読文字は入試で頻出中の頻出です。「未・将・当・応・宜・須・猶・由」の8つは必ず暗記してください。再読文字は「最初に副詞として読んで、最後にもう一度助動詞として読む」という独特のルールがあります。このルールを知らないと返り点があっても読み方が分からなくなります。

④ 書き下し文を「古文として」読む練習が必要

返り点に従って書き下し文を作ることができても、そこで止まってしまう受験生がいます。書き下し文は基本的に古文のルールで書かれた文章です。

たとえば「学びて思はざれば則ち罔し」(『論語』より)という書き下し文。「罔し」を「読んだ」だけで意味が取れない場合、それは古文の語彙力不足です。「罔し(くらし)」=「暗い・無駄だ」という古語の知識が必要になります。

漢文は「返り点→書き下し文→古文として読む」という3段階の作業です。多くの受験生が第3段階を軽視しています。書き下し文まで作れたら終わりではなく、そこからが本番です。


翔先生の実践アドバイス|現場からの声

ここで、翔先生から現場指導の経験を踏まえたアドバイスをお伝えします。

「私が生徒を指導していて気づくのは、『返り点は完璧なのに意味が取れない』という生徒の多くが、漢文をまるで暗号解読のように扱っているという点です。一字一字を機械的に処理して、文の流れをつかもうとしていない。」

「おすすめの練習法は、『素読(そどく)』です。意味を考えながら読む前に、まず声に出して書き下し文を何度も音読する。漢文に慣れた耳を作ることで、自然と意味のカタマリが見えてくるようになります。」

「また、入試問題の漢文は多くが儒教・道徳・政治・人物評価に関するテーマです。つまり、大まかなテーマが分かるだけでも、意味の予測精度が格段に上がります。『誰かの徳を褒めている文だな』と気づけば、細かい語彙が分からなくても方向性が見えてきます。」

さらに翔先生が強調するのが、「問題文の注釈を絶対に使い切ること」です。入試の漢文には必ず注釈(注)がついています。これを無視して本文だけを読もうとする受験生が非常に多いのですが、注釈には固有名詞の説明や、重要語の意味が書かれていることが多く、これを読むだけで文章の半分近くが理解できることもあります。注釈は「サービス問題」だと思って、必ず最初に確認する習慣をつけてください。


ケース別|タイプ別の対処法

ケース1|返り点は読めるが書き下し文が作れない

このタイプは、送り仮名のルールと再読文字の処理に問題があることが多いです。特に「未」「将」「当」などの再読文字が出てきたとき、どこで一回目を読んでどこで二回目を読むのかが混乱しています。

対策:再読文字を含む短文を10〜15文、書き下し文に変換する練習を毎日行う。最初は答えを見ながらでOK。パターンを身体で覚えることが大切です。

ケース2|書き下し文は作れるが意味が分からない

このタイプは、語彙力と古文力の不足が原因です。書き下し文を古文として正確に読む力が足りていません。

対策:漢文の重要語彙帳(市販の参考書で十分)を使って、最頻出100語を覚える。並行して古文の基本語彙も復習する。

ケース3|一文は読めるが文章全体の流れが掴めない

このタイプは文章読解力と背景知識の不足が原因です。漢文は儒教・老荘思想・史書・詩文など、ジャンルごとに異なる背景知識が必要です。

対策:入試頻出ジャンル(論語・史記・韓非子・荘子など)の有名な章句を10〜20本、現代語訳付きで通読する。意味を覚えるのではなく、「どんなことを言っているのか」の感覚をつかむことが目的。

ケース4|模試や過去問では全然できない

このタイプは知識はあっても問題形式に慣れていないケースが多いです。選択肢の罠に引っかかっている可能性もあります。

対策:まず設問パターンを分類する。「書き下し文を選べ」「現代語訳として正しいものを選べ」「筆者の主張として正しいものを選べ」など、設問タイプ別に解き方を整理する。各タイプに対する解法を明確にしておくことで、本番での迷いが減ります。


今日からできる3ステップ

「分かったけど、何から始めればいいの?」という受験生のために、今日からすぐ実践できる3ステップをお伝えします。

ステップ1|まず「返り点の読み順」を完全に固める(1週間)

返り点には以下の種類があります。まずここを完璧にしてください。

  • レ点:すぐ下の字に返って読む
  • 一二(三)点:「一」→「二」→「三」の順に返って読む
  • 上下(中)点:一二点と組み合わせて使う
  • 甲乙(丙)点:さらに複雑な入れ子構造のとき

最初の1週間は、返り点の読み順だけを集中して練習します。意味は気にしなくてOKです。「読む順番を正確にトレースできる」状態を作ることが目標。

ステップ2|句法・重要語彙を覚える(2〜4週間)

読み順が固まったら、次は句法と語彙を覚えます。使うべき教材はシンプルでOKです。

  • 句法:「漢文句法」が掲載された薄い参考書1冊(例:『漢文句法ドリル』など)
  • 語彙:重要語100語をリスト化して毎日確認
  • 再読文字:「未・将・当・応・宜・須・猶・由」の8つを最優先で

句法は覚えるだけでなく、実際の文でその句法が使われている例を必ず確認してください。抽象的に「二重否定は〜という意味」と覚えるより、「この文でこのように使われた」という具体的な記憶の方が、試験本番で確実に機能します。

ステップ3|実際の入試問題を週2〜3本解く(継続)

知識が整ったら、実際の問題を解きます。最初は時間をかけてOKです。大切なのは以下のプロセスを守ること。

  1. 注釈を必ず最初に読む
  2. 返り点に従って書き下し文を作る
  3. 書き下し文を古文として現代語訳する
  4. 設問に答える
  5. 解答解説と照らし合わせ、間違えた箇所の「なぜ」を必ず確認する

このプロセスを丁寧に繰り返すことで、「返り点を読めるだけ」の状態から「漢文で得点できる」状態へと確実に成長できます。


まとめ・日本国語塾トップについて

今回の内容を整理しましょう。

  • 返り点を正しく読めているのに意味が取れないのは、語彙・句法・古文力の不足が原因
  • 返り点はあくまで「読む順番を示す記号」。意味を生み出すのは語彙と句法の知識
  • 再読文字(未・将・当など)・置き字(而・於など)・頻出句法(二重否定・反語・使役など)は最優先で覚える
  • 書き下し文を作った後に「古文として読む」ステップを忘れずに
  • 入試問題の注釈は宝の山。必ず最初に読む
  • タイプ別の原因を正確に把握して、適切な対策を取る

漢文の返り点は確かに取っつきにくく見えますが、正しい順序で学べば必ず得点源にできる分野です。むしろ現代文に比べてパターンが明確なぶん、対策が立てやすいとも言えます。焦らず、今日から一歩ずつ進んでいきましょう。

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