はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
今回のテーマは、受験生から非常によく寄せられる悩みです。
「小論文を書くと、いつも字数オーバーしてしまいます。どうすれば指定字数内に収められますか?削り方のコツを教えてください。」
これは本当によくある悩みです。一生懸命書いているからこそ字数オーバーになる、とも言えます。むしろ「書けない」よりも「書きすぎる」という段階まで来ているのは、一つの成長です。ただし、試験本番では字数制限を守ることが絶対条件です。指定字数を大幅に超えた答案は、内容がどれだけ良くても大幅減点・最悪の場合は採点対象外になることもあります。
この記事では、小論文の字数オーバーを解消するための具体的な削り方のコツを、翔先生と私が実践的な視点からわかりやすく解説します。今日からすぐに使えるテクニックを盛り込んでいますので、ぜひ最後まで読んでください。
核心情報
字数オーバーはなぜ起きるのか?
まず大前提として、字数オーバーが起きる原因を正確に理解しておきましょう。原因を知らずに闇雲に削ると、論の骨格まで壊してしまいます。
字数オーバーの主な原因は、大きく分けて以下の4つです。
- 構成の設計をせずに書き始めている
頭の中にある考えをそのまま書き出してしまうため、話が広がりすぎる。 - 同じことを繰り返して述べている(重複表現・内容の重複)
「念のため」「強調のため」と思って同じ主張を複数回書いてしまう。 - 余計な前置き・言い訳・説明が多い
「私はこう思うのですが」「これは難しい問題ですが」など、本題に入る前の言葉が多い。 - 具体例を盛り込みすぎている
具体例は1〜2個で十分なのに、3個も4個も並べてしまう。
翔先生からひとこと:「字数オーバーしている答案を見ると、ほぼ必ずこの4パターンのどれかに当てはまります。自分の答案がどのパターンかを先に診断することが、効率よく削るための第一歩です。」
つまり、小論文の字数オーバー対策は『削る技術』であると同時に『設計の技術』でもあります。書いた後に削るだけでなく、書く前の構成段階から字数を意識することが根本的な解決策になります。
具体的な方法・解説
① 書く前に「字数配分設計」をする
最も根本的かつ効果的な方法が、書く前に各段落の字数をあらかじめ決めておくことです。
たとえば800字の小論文であれば、以下のように設計します。
- 序論(問題提起・自分の立場):約150字
- 本論①(理由・根拠):約250字
- 本論②(具体例・データ・事実):約250字
- 結論(まとめ・提言):約150字
これを事前に決めておけば、「本論①を書きすぎた」「具体例が長くなった」とわかった時点で、その段落の中で調整できます。
多くの受験生は「とりあえず全部書いてから直す」というやり方をしますが、それでは全体の構造が歪んでしまいます。字数配分設計は、小論文の字数オーバーを防ぐ最強の予防策です。試験本番前に必ず身につけておきましょう。
翔先生のアドバイス:「試験会場でも問題文の余白やメモ用紙に、簡単に『序論150・本論①250・本論②250・結論150』とメモするだけでいいです。この30秒の投資が、後の削り作業を大幅に減らしてくれます。」
② 「一文一意」の原則で文を整理する
字数オーバーの答案に多く見られるのが、一つの文に複数の情報を詰め込んでいるケースです。これを整理するのが「一文一意(いちぶんいちい)」の原則です。
【Before(字数オーバー気味の文)】
「現代社会においてSNSは急速に普及しており、特に若者の間での利用率が高く、それによってコミュニケーションの形が変化し、対面でのコミュニケーション能力が低下しているという問題が指摘されており、私はこの点について深刻な問題だと考えている。」(約100字)
【After(整理した文)】
「現代社会でSNSは急速に普及した。特に若者の利用率は高く、対面コミュニケーション能力の低下が問題視されている。私はこれを深刻な課題だと考える。」(約65字)
この例では、約35字削ることができました。しかも内容の損失はゼロです。
長い一文を見つけたら、まず「。」で区切れないかを考えてみてください。そして区切った後、同じ意味の言葉が重複していないかを確認します。「急速に」「特に」など副詞も削れることが多いです。
③ 「重複表現・言い換えの繰り返し」を見つけて削る
小論文を書いていると、無意識に同じことを言葉を変えて繰り返してしまうことがあります。これが字数オーバーの大きな原因の一つです。
具体的には次のようなパターンです。
- 「環境問題は深刻である。地球温暖化や海洋汚染など、多くの問題が山積している。つまり、今の環境は非常に危機的な状況にある。」
→ 「深刻」「危機的」「問題が山積」はすべて同じ意味。最後の一文は不要。 - 「私はAという意見に賛成だ。Aが正しいと思う理由は、○○だからだ。したがって、私はAを支持する。」
→ 冒頭と末尾で同じ「賛成」を繰り返している。どちらか一方で十分。
翔先生の実践テクニック:「書き終わった小論文を読み返すとき、『同じ意味の言葉・フレーズに赤ペンで丸をつける』という作業をしてみてください。驚くほど丸だらけになるはずです。その丸がついた表現を一つだけ残して他は削るだけで、100字〜200字は簡単に削れます。」
④ 「余分な前置き・クッション言葉」を削る
日本語には、本題に入る前に置くクッション言葉が多くあります。会話や感想文では自然ですが、小論文では不要なものがほとんどです。
削るべき前置き・クッション言葉の代表例:
- 「私が思うに、〜」→「〜だ。」で十分
- 「これは非常に難しい問題ではあるが、〜」→本題から書く
- 「まず最初に述べておきたいのは、〜」→「まず〜」で十分
- 「〜ということは言うまでもないことであるが、〜」→全削除
- 「結論から先に申し上げると、〜」→そのまま結論を書く
- 「〜という観点から考えてみると、〜ではないだろうか。」→「〜だ。」
これらのクッション言葉は一つあたり10〜30字です。答案全体で5〜6箇所あれば、それだけで50〜180字削れます。内容を一切削らずに字数を減らせる、最も「コスパの良い」削り方です。
⑤ 具体例は「最も強いもの1〜2個」に絞る
「説得力を高めたい」という気持ちから、具体例をたくさん並べてしまう受験生が多くいます。しかし、小論文において具体例の数は説得力に比例しません。
むしろ、例を3つ4つ並べると「どれも浅い説明になる」「論の展開が止まる」というデメリットがあります。
【字数オーバーの例】
「たとえば、フィンランドの教育改革、デンマークの福祉政策、ドイツの環境対策、オランダのワークシェアリングなど、北欧・ヨーロッパ諸国では多くの先進的な取り組みが見られる。」
【削った例】
「たとえばフィンランドの教育改革では、〜という成果が出ている。」
一つの具体例を深く掘り下げた方が、論の説得力は上がります。「量より質」、これが具体例の鉄則です。
翔先生より:「私が添削するとき、具体例が3つ以上ある答案には必ず『一番強い例を1つ選んで、それを深く書き直しましょう』と伝えます。これだけで100〜150字削れて、かつ論の質が上がるという一石二鳥の効果があります。」
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介より:「削る」より「設計」を鍛えよ
字数オーバーの根本解決策は、「書いてから削る」ではなく「最初から字数内で収まるように設計する」スキルを鍛えることです。
具体的には、練習の段階から次の手順を守ってください。
- 問題文を読んだら、まず3分間で構成メモを作る(段落ごとの内容+字数配分)
- 構成メモの時点で字数の合計が指定字数内に収まっているかを確認する
- 収まっていなければ、構成メモの段階で削る(具体例を減らす、本論を絞るなど)
- 構成メモが完成してから初めて本文を書き始める
この手順を守るだけで、字数オーバーの頻度は激減します。小論文の字数オーバー対策は、書き終わってからではなく書く前に始まっています。
翔先生より:「削り5段階チェックリスト」を使おう
書き終わった後に見直す際、以下の5段階チェックリストを使ってみてください。順番通りに進めると効率よく削れます。
- ✅ クッション言葉・前置きを削る(目標:50〜100字削減)
- ✅ 重複している表現・内容を削る(目標:100〜200字削減)
- ✅ 一文が60字以上の文を分割・整理する(目標:30〜80字削減)
- ✅ 具体例を最強の1〜2個に絞る(目標:100〜150字削減)
- ✅ 序論・結論の重複を整理する(目標:50〜100字削減)
これを順番にやるだけで、合計300〜600字は削れます。800字の小論文で100〜200字オーバーしている程度であれば、①〜②だけでほぼ解決することが多いです。
よくある失敗と解決策
失敗①「削りすぎて内容が薄くなった」
原因:根拠や具体例まで削ってしまった。
解決策:削るのは「クッション言葉・重複・余分な具体例」に限定する。根拠・理由・主張の核心は絶対に削らない。削った後に「なぜそう言えるのか」という部分が残っているかを確認する。
失敗②「字数が足りなくなった」
原因:削りすぎ、または最初から字数設計が甘かった。
解決策:削る前の原稿を必ず保存しておく(試験では消さずに残す)。削りながら字数を数え、指定字数の「最低ライン(多くの場合は指定字数の8割以上)」を下回らないよう注意する。
失敗③「どこを削ればいいかわからない」
原因:客観的に自分の文章を読めていない。
解決策:一度声に出して読んでみる。「話し言葉で言い直すとしたらもっと短く言えるな」と感じた箇所が削れる場所。または第三者(先生・保護者)に読んでもらい、「わかりにくい・くどい」と感じた箇所を指摘してもらう。
失敗④「練習では大丈夫だったのに、本番で字数オーバーした」
原因:緊張や焦りで構成メモを省略してしまった。
解決策:構成メモを書くことを「絶対に省略しないルール」として習慣化する。練習の段階から毎回必ず構成メモを作ることで、本番でも自然にできるようにしておく。
今日からできるアクション
この記事を読んだ後、すぐに以下のアクションを実践してみてください。
- 過去に書いた小論文を1本取り出す
字数オーバーしているもの、またはギリギリ収まっているものを選ぶ。 - 「削り5段階チェックリスト」を使って見直す
①クッション言葉→②重複表現→③長文の整理→④具体例の絞り込み→⑤序論・結論の重複、の順に確認する。 - 削った前後の字数を記録する
どのステップで何字削れたかを記録することで、自分の「くせ」がわかる。 - 新しい小論文を書くとき、必ず「字数配分設計」から始める
構成メモに字数を書き込む習慣をつける。 - 添削を受ける
自分では気づけない「削れる箇所」を客観的に指摘してもらうことが最短の上達方法。
小論文の字数オーバー対策は、一度コツを掴めばすぐに改善されます。焦らず、一つずつ確認しながら進めていきましょう。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は「小論文で字数オーバーしてしまう」という悩みに対して、原因の分析から具体的な削り方のコツまでを詳しく解説しました。
ポイントを整理すると:
- 字数オーバーの原因は「構成設計なし」「重複表現」「クッション言葉」「具体例の多用」の4つ
- 最も効果的な対策は「書く前の字数配分設計」
- 書いた後は「削り5段階チェックリスト」を活用する
- 削るのは「クッション言葉・重複・余分な具体例」、根拠・主張の核心は削らない
- 「一文一意」の原則を守り、長い文を整理する
小論文の字数オーバー対策は、練習を重ねることで必ず身につくスキルです。今日から一つずつ実践してみてください。
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