数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
はじめに:「本文の言葉を使って」って、実は難しい指示?
国語の記述問題で頻繁に登場する指示、「本文の言葉を使って答えなさい」。この指示を見て、「どこをどれだけ引用すればいいの?」と戸惑ったことはありませんか?
実際、日本国語塾トップの授業でも、受験生から最も多く寄せられる質問のひとつがこれです。「全部本文のままでいいの?」「自分の言葉はダメなの?」「何文字くらい引用すれば点数になるの?」――疑問は尽きませんよね。
この記事では、「本文の言葉を使って」という指示の正確な意味から、何文字引用すべきかの目安、さらには減点されない答え方の具体的なテクニックまで、徹底的に解説します。翔先生の実践アドバイスも盛り込んでいますので、ぜひ最後まで読んでください!
核心情報:「本文の言葉を使って」が意味すること
そもそもこの指示の目的は何か?
「本文の言葉を使って」という指示には、明確な出題意図があります。それは、受験生が本文を正確に読み取れているかを確認することです。
自分の言葉だけで答えると、「なんとなく意味が通っているけれど、本文を本当に理解しているかどうかわからない」という状況が生まれます。そこで出題者は「本文の言葉を使って」と指示することで、本文の内容を根拠にした答えを求めているのです。
つまり、この指示は「本文のコピペをしなさい」という意味ではなく、「本文の重要なキーワードや表現を軸に据えながら、論理的に答えなさい」という意味です。
「引用」と「参照」の違いを理解しよう
ここで重要な区別を押さえてください。
- 引用(そのまま抜き出す):本文の表現を一字一句そのまま使う
- 参照(言葉を借りる):本文の重要なキーワードや概念を取り入れながら、文として組み立てる
「本文の言葉を使って」という指示が求めているのは、多くの場合後者の「参照」です。本文のキーワードを答えの中に組み込みながら、自分の言葉で文章として完成させる――これが正しい解答の姿です。
完全な引用(コピペ)だけで答えようとすると、文脈がつながらなかったり、設問に対する答えになっていなかったりするケースが多発します。
具体的な方法:何文字引用すればよいのか?
「引用する文字数」の目安
結論から言います。引用する文字数に絶対的な正解はありません。しかし、実践的な目安は存在します。
答えの字数制限別に見てみましょう。
- 20〜40字以内の解答:本文から5〜15字程度のキーワード・フレーズを1〜2か所引用
- 40〜80字以内の解答:本文から10〜25字程度のフレーズを2〜3か所引用
- 80〜120字以内の解答:本文から15〜40字程度の表現を3〜4か所引用
ポイントは、引用部分が解答全体の30〜60%程度になるイメージです。それ以上になると「コピペ解答」になり論理的なつながりが失われ、それ以下になると「本文の言葉を使った」とは言いにくくなります。
引用すべき「本文の言葉」はどう選ぶ?
「どこを引用すればいいのかわからない」という声もよく聞きます。翔先生が授業で使っている「3ステップ選択法」を紹介します。
ステップ1:設問のキーワードに対応する本文箇所を探す
設問に出てくる言葉(例:「筆者が〇〇と考える理由」)を手がかりに、本文中で同じ話題が展開されている箇所を特定します。その周辺が引用の候補エリアです。
ステップ2:その箇所の「核心語」を抽出する
候補エリアの中で、筆者が強調している言葉・繰り返し使われている言葉・言い換えのできない専門的な表現を核心語として抜き出します。これが引用すべき「本文の言葉」の正体です。
ステップ3:核心語をつなぐ「のり」を自分の言葉で書く
抽出した核心語を設問の答えとして機能するように、助詞・接続詞・述語などを自分の言葉で補って一文・複数文に仕上げます。この「のり」の部分が、あなたの読解力を示す箇所です。
具体例で確認しよう
次のような問題を想定してみましょう。
【本文の一部】
「現代社会において、人々はスマートフォンという道具を通じて絶えず情報を受け取り続けている。しかしその情報の多くは、個人の思考を深める契機となるどころか、表層的な刺激として消費されるだけである。真に思考するとは、情報を受け取るだけでなく、それを疑い、問い直し、自分の経験と照合する営みである。」
【設問】
「筆者が考える『真に思考すること』とはどのようなことか。本文の言葉を使って60字以内で説明しなさい。」
この場合、本文の核心語は「疑い、問い直し、自分の経験と照合する営み」です。
悪い解答例(コピペ):
「情報を受け取るだけでなく、それを疑い、問い直し、自分の経験と照合する営みである。」(→設問に直接答えていない、説明になっていない)
良い解答例(本文の言葉を活用):
「受け取った情報をただ消費するのではなく、それを疑い、問い直し、自分の経験と照合することで深く考える営みのこと。」(55字)
この良い解答例では、本文の核心語「疑い、問い直し、自分の経験と照合する営み」をそのまま使いながら、「受け取った情報をただ消費するのではなく」「深く考える」という部分は自分の言葉で補っています。これが理想的な「本文の言葉を使った解答」です。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介から:「引用の量より、引用の質」
私が受験生に伝えているのは、「何文字引用するか」よりも「何を引用するか」のほうがはるかに重要だということです。
たとえば、本文に「この問題の根本的な原因は、教育制度そのものの硬直化にある」という文があるとします。設問が「問題の原因は何か」だとしたら、引用すべき核心語は「教育制度そのものの硬直化」です。「根本的な原因は」という部分は設問と意味が重複するので、引用しなくてもよい。このように、引用箇所を的確に絞ることが高得点への近道です。
また、採点者の立場で言うと、「本文の言葉を使っている」という証拠を見せるためには、本文特有の表現・言い回しが答えの中に含まれていることが大切です。一般的な言葉(「大切」「重要」「問題」など)だけで構成された答えは、本文を参照しているかどうか判断しにくいため、部分点止まりになることがあります。
翔先生から:「マーカー作戦で引用箇所を事前に決める」
私が生徒に勧めているのは、本文を読む段階から引用候補に印をつけておく「マーカー作戦」です。
具体的には、本文を読みながら以下の箇所に印をつけます。
- 筆者の主張が直接述べられている文(「〜と考える」「〜である」など)
- 定義・説明がされている箇所(「〜とは〜である」)
- 対比・逆接が使われている箇所(「しかし」「一方で」の後)
- 繰り返し登場するキーワード
これらの箇所は設問の答えになりやすく、引用すべき「本文の言葉」が集中しています。問題を解く前にこの下準備をしておくことで、解答時間を大幅に短縮できます。
特に入試本番では時間との戦いになります。あらかじめ引用候補を絞り込んでおくことで、「どこを引用しようか」と悩む時間をなくし、「どう組み立てるか」に集中できるのです。
よくある失敗と解決策
失敗1:長すぎる引用で字数をオーバーする
状況:「本文の言葉を使えと言われたから」と、本文の一文をまるごとコピーして字数制限を超えてしまう。
解決策:引用は「文」ではなく「フレーズ(語句)」単位で行いましょう。一文まるごとではなく、その文の中の核心語だけを取り出すことがポイントです。「〜という(こと)」「〜である(こと)」などの形にして名詞化するテクニックも有効です。
失敗2:引用した言葉が設問と噛み合っていない
状況:本文から言葉を引用しているが、設問が何を聞いているかとズレた箇所を引用してしまっている。
解決策:解答を書き始める前に、必ず「設問が何を聞いているか」を一言でまとめる習慣をつけましょう。「理由を聞かれている」「具体例を求めている」「説明を求めている」など、設問タイプを確認してから引用箇所を選ぶと的外れが減ります。
失敗3:本文の言葉をそのまま使っているが文法的におかしい
状況:「本文の言葉」を引用したが、前後の自分の言葉とつながらず文法的に不自然な文になってしまう。
解決策:引用した言葉の前後を「つなぎ言葉」で整えましょう。「〜という点で」「〜ことによって」「〜という意味で」などの形式名詞・接続表現を使うと、引用箇所を自然に文中に組み込めます。解答を書いたら必ず音読して文の流れを確認する習慣をつけましょう。
失敗4:自分の言葉が多すぎて「本文の言葉を使った」と判定されない
状況:内容は合っているのに、本文特有の言葉を使っていないため採点者に「根拠が薄い」と判断される。
解決策:答えを書いたあと、「この答えの中に、本文でしか使われていない言葉は含まれているか?」と自問してください。もし本文特有の語句がひとつもなければ、引用が不十分です。本文に戻って核心語を探し直しましょう。
今日からできるアクション
この記事を読んで、「本文の言葉を使って」という指示への対処法がつかめてきたと思います。では、今日から実践できる具体的な行動を3つ挙げます。
アクション1:過去問1問を「核心語探し」で解き直す
手元にある過去問や模試の記述問題をひとつ選び、今回学んだ「3ステップ選択法」で解き直してみましょう。まず核心語を抽出し、それをつなぐ形で解答を組み立てる練習です。最初は時間がかかっても構いません。
アクション2:解答を書いたら「引用率チェック」をする
自分の解答を見て、「本文の言葉(本文特有のフレーズ)が解答全体の30〜60%を占めているか」を確認する習慣をつけましょう。少なければ引用を補い、多ければ自分の言葉で補足する部分を足します。
アクション3:翔先生の「マーカー作戦」を次の模試で実践する
次に受ける模試や定期テストから、本文を読む段階でマーカー(または鉛筆のアンダーライン)を使って引用候補を印付けする習慣を始めましょう。これを続けるだけで、記述問題の解答スピードと正確さが格段に上がります。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回のQ&Aをまとめます。
- 「本文の言葉を使って」とは、本文のコピペではなく、核心語を活用しながら自分の言葉で答えを組み立てることを意味する
- 引用する文字数の目安は解答全体の30〜60%。字数制限に応じて調整する
- 引用すべきは「文」ではなく「核心語(フレーズ)」。本文特有の言葉・繰り返し登場する言葉・定義表現などが候補
- 「3ステップ選択法」(設問のキーワード→核心語抽出→のりで連結)と「マーカー作戦」を実践することで、記述問題の精度が上がる
- 引用の「量」より「質」が重要。本文にしかない表現を答えに盛り込むことが採点者へのアピールになる
「本文の言葉を使って」という指示は、正しく理解すればむしろ得点しやすいサービス問題です。本文に答えのヒントが全て詰まっているからです。今日から紹介したアクションを実践して、記述問題を得点源に変えていきましょう!
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