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「大和物語」「宇津保物語」入試対策|知られざる平安物語の読み方と頻出場面

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

「源氏物語」「竹取物語」「伊勢物語」といった有名な平安物語はよく対策されますが、入試では「大和物語」「宇津保物語」が出題されるケースも少なくありません。にもかかわらず、これらの作品は「名前は聞いたことがある程度」という受験生がほとんどではないでしょうか。

実は、難関私立大学や国公立大学の入試では、こうした「知られざる平安物語」から出題することで、受験生の真の読解力を試す傾向があります。知っている作品なら内容の記憶に頼れますが、なじみの薄い作品こそ、純粋な古文読解力が問われるのです。

この記事では、大和物語・宇津保物語の入試対策として、作品の基本情報から頻出場面の読み方、実践的な得点アップのコツまで、藤原先生と翔先生が徹底的に解説します。「平安物語が苦手」「マイナー作品で何から手をつければいいかわからない」という受験生・保護者の方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

核心情報:大和物語・宇津保物語とはどんな作品か

大和物語とは

「大和物語(やまとものがたり)」は、10世紀中ごろ(平安中期)に成立した歌物語です。全173段から構成されており、「伊勢物語」と同じく「歌物語」というジャンルに属しています。作者は不詳ですが、天暦年間(947〜957年)ごろの成立とされています。

伊勢物語が「在原業平」を主人公とした統一感のある物語であるのに対して、大和物語は様々な人物のエピソードを集めた説話的な性格が強いのが特徴です。宮廷社会を中心とした恋愛・人情・悲劇など、短いエピソードの中に和歌を絡めながら物語が展開します。

入試での頻出ポイント:

  • 「信濃の国のおばすて山」の説話(第156段)――老いた継母を山に捨てにいく男の話。「姨捨(おばすて)」伝説として有名で、月・和歌・心変わりがテーマとなる。
  • 男女の恋愛・別れを詠んだ和歌の解釈問題
  • 登場人物の心情を読み取る記述問題

宇津保物語とは

「宇津保物語(うつほものがたり)」は、10世紀後半(平安中期)に成立した日本最初の長編物語とも呼ばれる作品です。全20巻という膨大な分量を誇り、「源氏物語」の先行作品として重要な位置を占めています。作者については藤原兼輔説などがありますが、確定していません。

物語の中心は「琴(きん)」という楽器をめぐる一族の物語です。主人公・仲忠(なかただ)の家系が、天上伝来の秘琴の奏法を受け継ぐという幻想的な設定が特徴的。宮廷社会の権力争い・恋愛・音楽・仏教的要素が複雑に絡み合っています。

入試での頻出ポイント:

  • 「俊蔭(としかげ)」巻――主人公の祖父・俊蔭が異国で琴の奏法を習得するくだり
  • 「あて宮(あてみや)」をめぐる求婚譚――多くの貴公子が求婚し、宮廷政治と絡む場面
  • 仲忠と母・いぬ宮の関係を描いた情感豊かな場面
  • 登場人物の多さと人間関係の把握が問われる設問

具体的な方法:入試で高得点を取るための読み方

① 作品の「文体的特徴」を押さえる

大和物語・宇津保物語はともに平安中期の作品ですが、文体には違いがあります。

大和物語は短いエピソードを積み重ねる構成のため、文章は比較的短く、和歌が中心的な役割を果たします。「〜とよみたりければ」「〜とぞ言ひける」という語り口が多く、和歌の前後の文脈と、和歌そのものの意味を結びつける読み方が最重要です。

宇津保物語は長編であるため、試験では一部を切り取った形で出題されます。登場人物が多く、敬語の方向性から誰が誰に対して話しているかを丁寧に追う必要があります。また、描写が豊かで、情景描写・心理描写が丁寧に書かれているのが特徴。センテンスが長くなりやすいので、主語の把握と助詞・助動詞の正確な解釈が得点を左右します。

② 和歌の読み解き方(大和物語で必須)

大和物語では、和歌の解釈が問題の核心となることが多いです。以下の手順で読み解きましょう。

ステップ1:枕詞・序詞・掛詞・縁語を確認する
例えば、「姨捨山」の段に登場する和歌「わが心慰めかねつ更科や 姨捨山に照る月を見て」では、「更科」が地名であり月の名所として機能していること、「慰めかねつ」が心が晴れないという心情表現であることを押さえます。

ステップ2:和歌が詠まれた状況(詞書)を確認する
誰が・どんな状況で・誰に向けて詠んだのかを本文から読み取り、和歌の意味をその文脈に照らし合わせます。

ステップ3:設問と照合する
「この和歌に込められた心情を説明せよ」という設問では、①詠み手の状況②和歌の表面的意味③感情の動き、の3点を答案に盛り込むのが基本です。

③ 宇津保物語の人物関係を整理する

宇津保物語を読む際に最も困るのが、登場人物の多さです。入試問題では本文の前に「登場人物メモ」がついていることがありますが、ない場合は自分でメモを作りながら読む練習をしておきましょう。

特に重要な人物関係:

  • 俊蔭(祖父)→ 女君(娘)→ 仲忠(孫)という三代にわたる琴の継承
  • あて宮(皇女)をめぐる求婚者たち(仲忠・実忠・藤原兼雅など)
  • 帝・中宮・女御といった宮廷の序列関係

敬語の使われ方に注目すると、話者と聞き手の身分差・関係性が見えてきます。「給ふ」「申す」「奉る」などの敬語が誰に向けられているかを常に意識してください。

④ 平安物語に共通する「頻出テーマ」を知る

大和物語・宇津保物語に限らず、平安物語全般で繰り返し登場するテーマがあります。これらを事前に頭に入れておくと、初見の文章でも内容を推測しやすくなります。

  • 恋愛・別れの悲しみ:男女の逢瀬、文のやり取り、別れの嘆き
  • 老い・死・無常:老親の扱い、死への恐怖、仏教的な無常観
  • 宮廷の権力争い:求婚をめぐる政治的思惑、後ろ盾の重要性
  • 音楽・芸能の神秘:宇津保物語では特に「琴」が天と地をつなぐ神秘的なものとして描かれる
  • 自然描写と心情のリンク:月・花・霧・雪などの自然が心情を象徴する

⑤ 頻出語彙・文法事項の確認

平安物語の入試対策では、以下の語彙・文法が特によく問われます。

頻出古語(大和・宇津保共通):

  • 「あはれ」……感動・しみじみとした情感(単なる「かわいそう」ではない)
  • 「つらし」……薄情だ・つらい(恨みの感情)
  • 「いみじ」……非常に〜・すばらしい・ひどい(文脈で正反対の意味になる)
  • 「なほ」……やはり・それでも
  • 「心もとなし」……待ち遠しい・不安だ・もどかしい
  • 「おぼゆ」……思われる・感じられる・似る

文法事項:

  • 助動詞「けり」の詠嘆用法(過去の伝聞・気づき)
  • 助動詞「らむ」(現在推量)と「けむ」(過去推量)の区別
  • 係り結びの法則(「ぞ・なむ・や・か」→連体形、「こそ」→已然形)
  • 尊敬・謙譲・丁寧の敬語の区別と敬意の方向

藤原&翔先生の実践アドバイス

藤原先生より:
「大和物語や宇津保物語が出題されたとき、多くの受験生は『知らない作品だから無理だ』と諦めてしまいます。でも、それは大きな誤解です。入試では作品知識ではなく、あくまで文章を読む力が試されています。むしろ知らない作品だからこそ、全員が同じスタートラインに立てる。これはチャンスです。落ち着いて本文を読み、敬語・文脈・和歌の手順を踏めば、必ず得点できます。」

翔先生より:
「僕が受験生に必ず伝えるのは、『本文を2回読む』という習慣です。1回目はざっと全体の流れをつかむ。2回目で設問に関係する箇所を精読する。特に宇津保物語のような長文では、1回目の段階で誰が主人公でどんな状況かを把握しておかないと、設問を解く段階で迷子になります。また、和歌が出てきたらすぐに設問をチェックして、どの角度で問われているかを先に確認する。この順番を意識するだけで得点が変わります!」

よくある失敗と解決策

失敗① 「現代語と同じ意味」だと思い込む

「あはれ」を「かわいそう」とだけ覚えていたり、「いみじ」を「ひどい」と一義的に解釈したりするミスが非常に多いです。文脈をよく読み、その場面で話者がどんな気持ちを表現しているかを考えてください。語彙は「意味の幅」を覚えることが重要です。

失敗② 和歌の解釈を本文と切り離して考える

和歌だけを独立して解釈しようとすると、文脈から外れた答えになりがちです。必ず「誰が・誰に・どんな状況で詠んだか」を確認した上で意味を考えましょう。大和物語では特に、和歌の前後の散文が和歌の「詞書(ことばがき)」的な役割を担っています。

失敗③ 主語を取り違える

平安物語は主語が省略されることが多く、特に宇津保物語のような複数の登場人物が絡む場面では、主語の取り違えによるミスが頻発します。対策としては、敬語の種類と方向を手がかりにすること。尊敬語が使われていれば主語は身分の高い人、謙譲語ならば動作の受け手が身分の高い人です。

失敗④ 設問の「記述問題」で要素が漏れる

「心情を説明せよ」という記述問題では、①きっかけとなる出来事②感情の内容③その根拠(和歌・本文表現)の3要素を意識して答案を書く練習を積みましょう。特に大和物語の入試問題では、この形式の設問が頻出です。

今日からできるアクション

読んだだけで終わらず、今日からすぐに実践できる学習ステップをまとめます。

【STEP 1】まず作品の概要を10分でインプットする
「大和物語」「宇津保物語」それぞれについて、成立年代・ジャンル・主な登場人物・作品の特徴を一枚のメモにまとめましょう。教科書や参考書の「作品解説」ページで十分です。

【STEP 2】頻出場面の現代語訳を音読する
大和物語なら「姨捨山」の段、宇津保物語なら「俊蔭」巻の冒頭部分。現代語訳を見ながら古文を音読し、どの部分がどう訳されているかを確認します。音読は古文の語順感覚を養うのに非常に効果的です。

【STEP 3】入試過去問を1題解く
実際の入試問題(大学の過去問・模試の問題)で、これらの作品が使われているものを探して解いてみましょう。解いた後は必ず解説を精読し、どの手順でどう解くべきだったかを確認してください。

【STEP 4】頻出古語・文法を週2回確認する
この記事で紹介した頻出古語・文法事項を小さな単語帳にまとめ、通学時間などのスキマ時間に繰り返し確認します。「意味の幅」を意識して覚えることがポイントです。

【STEP 5】和歌の解釈練習を週1回行う
百人一首や教科書の和歌を使い、「誰が・誰に・どんな状況で詠んだか」を説明する練習を週1回以上行いましょう。この練習は大和物語の設問に直結します。

まとめ・日本国語塾トップについて

「大和物語」「宇津保物語」は、入試で出題頻度が上がっている平安物語です。名前になじみが薄い分、しっかり対策している受験生とそうでない受験生の差が開きやすい分野でもあります。

今回の記事で解説したポイントを改めて整理します。

  • 大和物語は歌物語として、和歌の解釈と前後の文脈を結びつける読み方が最重要
  • 宇津保物語は長編物語の一部として出題されるため、人物関係の把握と敬語の読み取りが鍵
  • 両作品共通で、頻出古語・文法・平安物語のテーマを事前にインプットしておくことが得点につながる
  • 「知らない作品=解けない」ではなく、読解の手順を踏むことで確実に得点できる
  • 記述問題では「きっかけ・感情・根拠」の3要素を意識して答案を作る

古文は「知識」と「読解力」の両輪で伸びる科目です。マイナーな作品こそ、基礎力が問われます。ぜひ今日からアクションを起こしてみてください。

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