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藤原 進之介

株式会社数強塾 代表取締役。数強塾グループ(日本数学塾・日本英語塾・日本国語塾・英論会)創設者。現役時代に数学で挫折し浪人を経て「なぜそうなるか」を徹底追求する指導哲学を確立。一生の役に立つ勉強を全国にオンライン展開。

「陳渉世家」完全解説|中国初の農民反乱・陳勝呉広の反乱と漢文の英雄譚

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

今回取り上げるのは、漢文の定番教材として高校国語・大学受験でもおなじみの「陳渉世家(ちんしょうせいか)」です。中国史上初の農民反乱として名高い陳勝(ちんしょう)・呉広(ごこう)の反乱を描いたこの作品は、司馬遷(しばせん)が著した歴史書『史記』の一篇です。

「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」という有名フレーズをどこかで聞いたことがある方も多いでしょう。実はこの言葉、「陳渉世家」に登場する陳勝の言葉なのです。漢文の英雄譚として読み応えがあるだけでなく、受験漢文の最重要教材のひとつでもあります。

この記事では、「陳渉世家」のあらすじ・書き下し文・現代語訳・重要語句・試験対策まで、受験生と保護者の方に向けて徹底的に解説します。ぜひ最後までお読みください!


核心情報:「陳渉世家」とは何か?

司馬遷『史記』と「陳渉世家」の位置づけ

「陳渉世家」は、前漢の歴史家・司馬遷(前145年頃〜前86年頃)が著した歴史書『史記』に収められています。『史記』は中国最初の紀伝体(人物中心の歴史叙述形式)の通史であり、「本紀」「世家」「列伝」「表」「書」の五つの部門から構成されています。

「世家」は本来、代々続く諸侯の家系を記録する部門です。陳勝は農民出身で家系もなく、反乱後わずか数ヶ月で殺されてしまいますが、司馬遷はあえて陳勝を「世家」に入れました。これは、陳勝が中国史を動かした重要人物であることを高く評価したからにほかなりません。この司馬遷の人物観・歴史観自体が試験問題になることもあります。

陳勝・呉広の反乱とは:中国初の農民反乱

時は紀元前209年。秦(しん)の始皇帝が死んでわずか1年後のことです。秦の二世皇帝(胡亥)が即位し、厳しい法律と重い労役が民衆を苦しめていました。

陳勝と呉広は、もともと農民でした。徴発されて国境警備の任務につくため北方へ向かっていましたが、大雨で道が塞がれ、期日までに目的地・漁陽(ぎょよう)へ到着できない状況になります。秦の法律では、期日に遅れると死刑でした。「どうせ死ぬなら反乱を起こそう」——これが歴史的反乱の動機です。

陳勝と呉広は謀略を用いて兵士たちの心を動かし、「大楚興り、陳勝王たらん」という旗印を掲げて挙兵します。この反乱は秦王朝を揺るがし、最終的に漢(かん)の成立へとつながる歴史の大転換点となりました。


具体的な方法:本文の読み方と重要ポイント

重要場面①:若き日の陳勝の言葉「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」

本文冒頭近く、若い頃の陳勝が農作業の合間に言った言葉として有名なフレーズが登場します。

【原文】
燕雀安知鴻鵠之志哉。

【書き下し文】
燕雀(えんじゃく)安(いづ)くんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや。

【現代語訳】
つばめやすずめのような小さな鳥に、どうして鴻鵠(おおとりやくぐい)のような大きな鳥の志がわかろうか(いや、わかるはずがない)。

【ポイント解説】

  • 「安〜哉」は反語の構文。「どうして〜か、いやそんなことはない」という意味になります。
  • 「燕雀」は小人・凡人の象徴、「鴻鵠」は大人物・英雄の象徴として対比されています。
  • この言葉は、将来の大きな野望を持っていた陳勝の志の高さを端的に示す重要場面です。試験で現代語訳を求められることが多いため、必ず暗記してください。

重要場面②:反乱前夜の謀議「今亡かんも死せん、挙大計も死せん」

【原文】
今亡亦死、挙大計亦死、等死、死国可乎。

【書き下し文】
今亡(のが)かんも亦(また)死せん、大計を挙ぐるも亦死せん。等(ひと)しく死せんには、国の為に死すべきかな。

【現代語訳】
今逃げても死刑、反乱を起こしても死刑。同じ死ぬなら、国(大義)のために死ぬべきではないか。

【ポイント解説】

  • 「亦〜亦〜」は「〜も〜も」という並列・列挙の構文です。
  • 「等死」の「等」は「ひとしく」と読み、「同じように」という意味。
  • 「可乎」は疑問ではなく勧誘・当然のニュアンスで「〜すべきではないか」と訳します。
  • この場面は陳勝が呉広に語りかける場面で、二人の決意と論理的な思考が凝縮されています。試験では「等死」の意味や構文、訳し方が頻出です。

重要場面③:謀略と扇動「大楚興り、陳勝王たらん」

陳勝・呉広は兵士たちの心を動かすため、巧みな謀略を用います。魚の腹に「陳勝王」と書いた絹布を隠し、夜には祠(ほこら)のそばで「大楚興り、陳勝王たらん」と狐の声のように叫ばせました。

【原文(一部)】
又間令呉広之次所旁叢祠中、夜篝火、狐鳴呼曰、大楚興、陳勝王。

【書き下し文】
又た間(ひそ)かに呉広をして次(やど)る所の旁(かたわ)らの叢祠(そうし)の中に之(ゆ)かしめ、夜、篝火(かがりび)をともし、狐鳴(こめい)して呼びて曰はく、「大楚興り、陳勝王たらん」と。

【現代語訳】
また密かに呉広を、宿営地のそばの草むらの祠の中へ行かせ、夜、たき火をして、狐のように鳴いて叫ばせた。「大楚が興り、陳勝が王となるであろう」と。

【ポイント解説】

  • 「間」は「ひそかに」と読む副詞。「間令〜」で「こっそり〜させる」という使役の形です。
  • 「使役」の構文:「令(使・遣)+人+動詞」→「人をして〜しめ(させる)」は漢文の基本構文。試験頻出です。
  • この謀略の場面は、陳勝の知略・リーダーシップを示す最重要場面のひとつです。「篝火」「狐鳴」のキーワードとともに内容を押さえてください。

重要構文まとめ:「陳渉世家」で頻出の漢文構文

構文 読み方 意味 例文
安〜哉 いづくんぞ〜や 反語「どうして〜か」 燕雀安知鴻鵠之志哉
亦〜亦〜 また〜また〜 並列「〜も〜も」 今亡亦死、挙大計亦死
令(使)+人+動詞 〜をして〜しめ 使役「〜に〜させる」 間令呉広之次所〜
等〜 ひとしく〜 「同じように〜」 等死、死国可乎
苟富貴、無相忘 いやしくも富貴にならば、あひ忘るることなかれ 仮定・禁止 苟富貴、無相忘

藤原&翔先生の実践アドバイス

藤原進之介より:「陳渉世家」を読む上での大きな視点

「陳渉世家」は単なる歴史の話ではありません。司馬遷が農民出身の陳勝をあえて「世家」に列したという事実に注目してください。これは「身分が低くても、歴史を動かすことができる」という司馬遷のメッセージです。実際、司馬遷自身も宮刑(きゅうけい)という屈辱的な刑を受けながらも、『史記』を書き上げた人物です。

試験では「なぜ陳勝は世家に列せられているのか」「司馬遷の陳勝に対する評価はどうか」という思想・背景を問う問題も出ます。本文の読解だけでなく、作者の意図・歴史的背景もセットで理解することが得点アップの鍵です。

翔先生より:受験生が絶対に覚えるべき3つのポイント

①反語・疑問・禁止の識別を完璧に!
「陳渉世家」には「安〜哉(反語)」「可乎(疑問・勧誘)」「無〜(禁止)」など、漢文の頻出構文が豊富に含まれています。これらを文脈で正確に識別できるよう、繰り返し練習してください。

②書き下し文と現代語訳はセットで覚える!
原文→書き下し文→現代語訳の3ステップを、声に出して繰り返すのが最も効果的な学習法です。特に「燕雀安知鴻鵠之志哉」「今亡亦死、挙大計亦死」の2文は丸暗記レベルで仕上げましょう。

③登場人物の関係・行動を整理する!
陳勝と呉広の関係、二人がどのような謀略を用いたか、どのような言葉で兵士を扇動したか——これらをストーリーとして把握しておくと、内容一致問題や記述問題で強くなれます。


よくある失敗と解決策

失敗①:書き下し文の読み方を覚えずに意味だけ覚える

「燕雀安知鴻鵠之志哉」を「つばめやすずめに鴻鵠の志がわかるはずない」とだけ覚えてしまい、「安くんぞ〜や」という反語構文の形と読み方を覚えていない生徒が多いです。試験では「書き下し文として正しいものを選べ」という問題が頻出です。意味と構文をセットで覚えることが必須です。

失敗②:「等死」の「等」を「待つ」と読んでしまう

「等」という字は「ひとしく(同じように)」と読むべきところを、「まつ」と読んでしまうミスがあります。「等死」は「同じように死ぬ」という意味で、この後の論理展開(どうせ死ぬなら大義のために死のう)につながる重要な語です。文脈の中で正確に意味を取る練習を積みましょう。

失敗③:歴史背景を無視して読む

「秦の法律では遅延=死刑」という背景を知らないと、陳勝の「どうせ死ぬなら」という論理が理解できません。漢文は言語の問題であると同時に歴史・文化の問題でもあります。教科書の注釈や解説をしっかり読む習慣をつけましょう。

失敗④:「苟富貴、無相忘」を軽視する

冒頭部分で陳勝が仲間に言った「苟(いやしく)も富貴ならば、相忘るること無かれ(もし出世したら、お互いに忘れるなよ)」という言葉も出題されます。「苟」=「もし〜ならば」という仮定の副詞、「無〜」=「〜するな」という禁止の構文として整理してください。


今日からできるアクション

「陳渉世家」の学習を今日から始めるための具体的なステップをご紹介します。

  1. まず全体のあらすじを日本語でつかむ(15分)
    この記事を参考に、ストーリーの流れを日本語で理解してください。誰が・何をした・なぜ、という流れを自分の言葉で説明できるレベルを目指しましょう。
  2. 重要場面3つを原文・書き下し・現代語訳で音読(毎日10分)
    「燕雀安知〜」「今亡亦死〜」「大楚興り〜」の3場面を、声に出して繰り返し読みます。目・耳・口を使った学習で記憶に定着させましょう。
  3. 重要構文の一覧表を作り、毎日確認(5分)
    上記の構文まとめ表を自分でノートに書き写し、毎日1回見返してください。見慣れることで試験本番での識別スピードが上がります。
  4. 過去問・問題集で「陳渉世家」の設問に挑戦(週1回)
    理解が進んだら、実際の試験問題を解きましょう。書き下し文選択・現代語訳・内容一致・思想背景など、様々な出題形式に慣れることが合格への近道です。
  5. 司馬遷と『史記』について基礎知識を整理する(1回30分)
    「陳渉世家」が収録された『史記』の構成(本紀・世家・列伝)と、司馬遷の生涯(宮刑を受けながら完成させた不屈の人物)を教科書や参考書で確認しましょう。背景知識が読解の深みを増します。

まとめ・日本国語塾トップについて

今回は「陳渉世家」について、あらすじ・書き下し文・現代語訳・重要構文・試験対策まで徹底解説しました。

「陳渉世家」は、漢文の英雄譚として内容的な面白さがある一方、反語・使役・仮定・禁止といった漢文頻出構文が凝縮された最重要教材です。陳勝・呉広の反乱という歴史的事件を背景に、司馬遷が何を伝えようとしたのかを読み解くことが、真の漢文読解力につながります。

まとめると、学習の優先順位はこの順番です:

  1. 全体のあらすじ・歴史背景の把握
  2. 重要場面の書き下し文・現代語訳の暗記
  3. 頻出構文(反語・使役・仮定・禁止)の理解と識別練習
  4. 過去問・実践問題での演習
  5. 司馬遷・『史記』の背景知識の整理

ひとつひとつ丁寧に積み上げることで、「陳渉世家」は必ず得点源になります。翔先生と一緒に、一歩一歩着実に実力をつけていきましょう!


日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。

✍️ この記事を監修した人|藤原 進之介

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数強塾グループ代表・日本国語塾TOP監修者。
著書12冊・累計15万部突破KADOKAWA3冊・Gakken3冊・文英堂・ナツメ社等、大手出版社から多数刊行)。2024年共通テスト対策参考書シリーズ全書第1位日本初の情報科目講師・代々木ゼミナール情報I講師・情報ラボ代表。消費者庁シンポジウム登壇(2026年5月)。漢字検定準1級・古文検定1級。
数強塾グループは創業11年の老舗塾。スタディサプリ国語科講師 山下翔平先生も協力。

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