数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
夏休みの宿題の中でも、毎年多くの生徒・保護者の方から「どう書けばいいの?」という相談が殺到するのが読書感想文です。せっかく書くなら、コンクールで入賞を狙いたい!でも何が評価されるのか、どんな書き方が上位を取れるのか、よくわからない…という方がほとんどではないでしょうか。
この記事では、日本国語塾TOPで毎年多くの読書感想文コンクール入賞者を輩出してきた経験をもとに、入賞作品の特徴と上位を狙う書き方の秘密を徹底解説します。小学生から高校生まで使えるノウハウを詰め込みましたので、ぜひ最後までお読みください。
はじめに|読書感想文コンクールで「普通の作文」は通用しない
毎年夏になると、全国各地でさまざまな読書感想文コンクールが開催されます。代表的なものとしては「青少年読書感想文全国コンクール(全国学校図書館協議会・毎日新聞社主催)」があり、応募総数は毎年数百万点にのぼります。その中から入賞するためには、「ただ感想を書いた作文」では到底太刀打ちできません。
翔先生がよく授業で言っていることがあります。
「審査員の先生方は、毎年何百枚・何千枚という読書感想文を読んでいます。そんな中で光る作品というのは、読んだ瞬間に『この子は本気で本と向き合ったんだな』と伝わってくる作品なんです。」
つまり、テクニックだけではなく、本との真剣な対話が読書感想文コンクール入賞の根本にあるということです。ただし、その「本気度」を正しく伝えるための技術も必要です。本記事ではその両面から攻略法を解説していきます。
核心情報|入賞作品が必ず持っている3つの特徴
過去の読書感想文コンクール入賞作品を分析すると、入賞作には共通した特徴があります。審査基準や選評を丁寧に読み込んだ結果、私たちは以下の3つの核心要素を特定しました。
特徴①「自分の体験」と「本の内容」が有機的に結びついている
最も多くの落選作品に共通するのが、「本のあらすじをまとめただけ」「登場人物の行動を感心して終わり」というパターンです。一方、入賞作品では必ずといっていいほど、筆者自身のリアルな体験や経験が本の内容と深く結びついています。
たとえば、課題図書として人気の高い『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著)を読んだ中学生が入賞した作品では、自分が転校した際に感じた「自分はどこに属しているのか」という孤独感と、主人公の経験を重ね合わせた構成になっていました。審査員は「本を通じて自分の人生を見つめ直している」と高く評価しました。
特徴②「問い」から始まり「答え」で終わる構造がある
入賞作品には明確な論理的構造があります。多くの場合、「なぜ〇〇なのか?」という問いを冒頭に立て、本を読んで得た気づきや考えを積み上げながら、最後に自分なりの答えを導き出す構成になっています。
この構造は、実は小論文や評論文と本質的に同じです。読書感想文とはいえ、感情を垂れ流すものではなく、思考を展開するものであるという認識が重要です。
特徴③「変化」が描かれている
読書感想文コンクールの審査員が最も注目するのは、「この本を読んで、書き手の何がどう変わったか」という点です。本を読む前の自分と、読んだ後の自分の変化。考え方の変化、価値観の更新、行動への誓い——これらが具体的に描かれている作品は、審査員の心を動かします。
「感動しました」「勉強になりました」という抽象的な言葉で終わる作品は、どれほど美しい言葉を使っていても入賞には届きません。「この本を読む前は〇〇だと思っていたが、今は△△と考えるようになった。だからこれからは□□したい」という具体的な変化の軌跡こそが、審査員の心を動かすのです。
具体的な方法|上位を狙う読書感想文の書き方ステップ
ステップ1|本選びの戦略(本を選ぶ前に読め!)
読書感想文コンクールで上位を狙うなら、本選びの段階から戦略が必要です。課題図書がある場合はそちらを選ぶのが基本ですが、自由図書部門がある場合は以下のポイントで選びましょう。
- 自分の体験と接点がある本:家族関係、友人関係、スポーツ、習い事など、自分が何らかの形で関わったテーマの本は感想が深くなりやすい
- 賛否が分かれる問題提起がある本:環境問題、差別、戦争、アイデンティティなど、社会的なテーマを含む本は考察が広がりやすい
- 年齢よりやや難しい本:背伸びして読んだ本は「発見」が多く、感想が豊かになる傾向がある
ステップ2|読みながら「付箋メモ」を取る
読書感想文コンクールで入賞する作品を書く生徒に共通しているのが、読書中に能動的にメモを取っているという点です。翔先生が授業で推奨している「付箋メモ法」を紹介します。
用意するのは3色の付箋紙です。
- 黄色の付箋:「共感した・わかる!」と思った場所
- ピンクの付箋:「なぜ?・納得できない・引っかかる」と感じた場所
- 青の付箋:「自分の体験を思い出した」場所
この3色の付箋が多くついた本は、素晴らしい読書感想文の材料の宝庫になります。特にピンクの付箋(違和感・疑問)が実は最も重要です。疑問や違和感こそが、深い考察への入り口になるからです。
ステップ3|「ネタ出しシート」で書く前に考える
いきなり原稿用紙に向かうのではなく、必ずネタ出しの時間を設けましょう。以下の5つの問いに答えるメモを作ってください。
- この本を読んで一番印象に残ったシーン・言葉は何か?
- そのシーン・言葉になぜ引っかかったのか?
- そのシーン・言葉と似た、自分の体験はあるか?
- 本を読む前と読んだ後で、自分の考えはどう変わったか?
- この本から学んだことを、これからどう活かしたいか?
この5問への答えが、読書感想文の骨格になります。
ステップ4|「つかみ」の冒頭で審査員を引き込む
読書感想文コンクールで審査員が最も注目するのが、実は冒頭の数行です。「私はこの本を読んで感動しました」という書き出しは、残念ながら審査員の目を引きません。
入賞作品の冒頭パターンには、大きく3つのタイプがあります。
【タイプA:疑問・問いかけ型】
「あなたは、本当の『勇気』とは何だと思いますか?私は長い間、勇気とは恐れを感じないことだと思っていました。しかしこの本を読んで、その考えは完全に覆されました。」
【タイプB:場面描写型】
「去年の夏、私は祖父のお葬式で泣けなかった。周りのみんなが涙を流す中、私だけが棺の前で立ち尽くしていた。なぜ泣けないのかわからなかった。この本は、そんな私の心の謎を解いてくれた。」
【タイプC:印象的な引用型】
「『弱さを認めることが、本当の強さだ』——この一文に出会ったとき、私は本を閉じて天井を見つめた。」
このような冒頭は、審査員の「続きを読みたい」という気持ちを強く引き出します。
ステップ5|構成は「起承転結」ではなく「問い→深化→答え」
読書感想文コンクール入賞を狙うなら、小学生で習う「起承転結」から卒業しましょう。代わりに以下の構成を使ってください。
- 【問い】(全体の約20%):冒頭で問いを立てる。自分の体験と絡めながら「なぜこの本を読んで考えさせられたのか」を示す。
- 【深化①】(全体の約25%):本の中の具体的な場面・言葉を引用しながら、問いに対する最初の考えを展開する。
- 【深化②】(全体の約25%):反論・別の視点・自分の体験を加えながら、考えをさらに深める。「でも…」「しかし…」という転換が入るとベスト。
- 【答え】(全体の約30%):本を読んで得た自分なりの結論・変化・これからの行動を具体的に述べる。
藤原&翔先生の実践アドバイス|「本の言葉」の引用テクニック
ここでは私・藤原と翔先生から、特別に実践的なアドバイスをお伝えします。
藤原進之介より:
「読書感想文コンクールの審査をする立場から言うと、本文の引用の使い方が上手い作品は、それだけで一段階評価が上がります。ただし、引用は多すぎてはいけない。長い引用を貼り付けて、自分の言葉が少なくなっている作品は逆効果です。『本から一文だけ引用し、それについて自分の言葉で3〜5文考察する』というリズムが理想です。」
翔先生より:
「私が生徒に必ず教えることがあります。それは『感情の具体化』です。『感動した』と書く代わりに、その感動がどんな感情だったかを具体的に描写する。『胸が熱くなった』ではなく、『読んでいる途中で何度も本を閉じて、窓の外を見つめた。なぜかこみ上げてくるものがあって、自分でも驚いた』という具合に。感情を具体的に描写することで、読む人に同じ感情を呼び起こすことができるんです。」
また、翔先生が特に小学校高学年〜中学生に強調するのが「接続詞の戦略的使用」です。「しかし」「だから」「つまり」「ところが」といった接続詞を意識的に使うことで、論理の流れが明確になり、審査員に「よく考えられた作文」という印象を与えることができます。
よくある失敗と解決策|これをやると落選する!
失敗①「あらすじ感想文」になっている
症状:「まず〇〇が起きました。次に△△しました。そこで私は感動しました。」
解決策:あらすじを書くのは必要最小限にとどめ、「なぜそのシーンに感動したのか」「自分のどんな体験と重なったのか」に言葉の大半を割く。
失敗②「キレイごと」で終わっている
症状:「これからは思いやりを大切にして生きていきたいと思います。」
解決策:「思いやり」という抽象的な言葉で終わらせず、「具体的にどんな場面で、どんな行動をするか」まで書く。「明日から弟に対して、先に声をかけるようにしたい」のように。
失敗③「大人が書いたような文章」になっている
症状:保護者や塾の先生が添削しすぎて、子ども自身の言葉が消えてしまっている。
解決策:添削はアドバイスにとどめ、実際に書き直すのは必ず本人が行う。審査員は子どもらしい言葉の中にある「本物の感動」を見抜く力を持っている。
失敗④「どこかで読んだような感想」になっている
症状:その本の感想としてよく言われる「典型的な感想」を書いてしまっている。
解決策:あえてみんなが注目しないシーンや脇役のセリフに着目する。誰もが感動する場面よりも、自分だけが引っかかった場面を起点にすることで、オリジナリティが生まれる。
今日からできるアクション|読書感想文コンクール攻略の第一歩
読書感想文コンクールで上位を狙うために、今日からできることをリストアップします。
- 【今日】読む本を一冊決める。課題図書一覧を確認し、自分の体験と接点がありそうな本を選ぶ。
- 【読書中】3色の付箋メモ法を実践しながら読む。特に「引っかかった場所(ピンク付箋)」を大切にする。
- 【読後すぐ】5問のネタ出しシートに答えを書き出す。この段階では「うまく書こう」とせず、思ったことを箇条書きで出しきる。
- 【下書き】「問い→深化①→深化②→答え」の構成に沿って下書きを書く。まず書ききることを優先する。
- 【見直し】「あらすじになっていないか」「感情が具体化されているか」「変化が描けているか」の3点を自己チェックする。
- 【仕上げ】冒頭が「つかみ」になっているかを確認し、必要なら書き直す。
読書感想文コンクールで入賞する作品は、一朝一夕には生まれません。しかし、上記のステップを丁寧に踏めば、必ず「いつもより深い」読書感想文が書けるようになります。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、読書感想文コンクール攻略をテーマに、入賞作品の特徴と上位を狙う書き方の秘密を解説しました。最後に要点をまとめます。
- 入賞作品には「自分の体験との結びつき」「問い→答えの構造」「変化の描写」の3要素がある
- 本選びの段階から戦略を持ち、3色付箋メモ法で能動的に読む
- 書く前に5問のネタ出しシートで思考を整理する
- 冒頭の「つかみ」で審査員を引き込み、「問い→深化→答え」の構成で展開する
- 感情を具体化し、引用は「一文引用+複数文の考察」のリズムで使う
- あらすじ感想文・キレイごとで終わる作文・大人の言葉になっている作文に注意する
読書感想文コンクールへの挑戦は、国語力全体の向上にもつながります。ぜひ今年の夏、本気で取り組んでみてください。
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