はじめに
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。
スタディサプリ国語講師の山下翔平先生と一緒に解説します!
「文章は読めているはずなのに、筆者が何を言いたいのかわからない」——こんな悩みを抱えている受験生は、実はとても多いです。先日も、日本国語塾TOPに通う高校2年生のAさんが模試の見直しをしていて、こんなことを言っていました。
「この問題、本文に書いてあることを選んだつもりなのに、ぜんぶ外れていました。どうして間違えるんでしょう?」
Aさんの答案を確認してみると、本文の内容を丁寧に読んでいるにもかかわらず、筆者が「肯定しているのか」「否定しているのか」「どちらとも言い切っていないのか」という筆者の立場の判断がずれていました。現代文の読解において、この「筆者の立場を見極める力」は、選択肢の正誤を左右する核心的スキルです。
本記事では、現代文における筆者の立場を「肯定・否定・留保」の3パターンに整理し、確実に読み取るための方法を徹底解説します。大学入試の現代文で安定して高得点を取りたい方は、ぜひ最後まで読んでください。
なぜ重要か|合否を分ける理由
「内容理解」と「立場理解」は別物
現代文の読解には、大きく分けて2つのレベルがあります。ひとつは「本文に何が書かれているかを把握すること」、もうひとつは「筆者がその内容についてどのような立場をとっているかを把握すること」です。多くの受験生が前者は意識していても、後者を見落とします。
たとえば、「近年、AIの発展が目覚ましい」という文があるとします。これは事実の記述であり、筆者がAIの発展を歓迎しているのか、警戒しているのか、あるいは中立的に観察しているのかは、この文だけでは判断できません。文章全体の流れと、後述する「マーカー表現」を読み解いて初めて、筆者の立場が明確になります。
選択肢問題は「立場のズレ」で外れる
共通テストや難関大の記述問題において、選択肢の誤りのパターンの多くは「本文の事実は合っているが、筆者の立場と逆になっている」というものです。筆者が「否定的に述べている考え方」を「筆者が主張していること」として選ぶミスは、現代文の失点原因のトップクラスに入ります。
筆者の立場を正確に読み取ることは、こうした「惜しいミス」をゼロにするための最重要スキルなのです。
記述問題でも差がつく
国公立大学の記述式問題では、「筆者の考えを説明しなさい」という設問が頻出です。ここで筆者が留保的(条件つき)な立場をとっているにもかかわらず、断定的に書いてしまうと大幅減点になります。逆に、留保の構造を正確に把握して記述できれば、採点官に「この受験生は本文を精読している」という印象を与えることができます。
基礎知識の完全整理|筆者の立場3パターンとは
パターン①:肯定(筆者がその考えを支持・推奨している)
筆者が特定の考え方・現象・価値観を「良いもの・正しいもの・重要なもの」として積極的に支持している立場です。論説文・評論文では、最終的に筆者が主張したいことが「肯定」にあたります。
典型的なマーカー表現:
- 「〜が重要である」「〜が求められる」
- 「〜こそが本質だ」「〜に意義がある」
- 「〜するべきだ」「〜が望ましい」
- 「〜は正しい」「〜は価値がある」
パターン②:否定(筆者がその考えを批判・否定している)
筆者が特定の考え方・通念・主張を「誤っている・問題がある・不十分だ」と批判している立場です。論説文では、筆者の主張を際立たせるために「否定される通念」が先に提示されることが多く、ここを筆者の主張と取り違えるミスが多発します。
典型的なマーカー表現:
- 「〜という考えは誤りである」「〜に過ぎない」
- 「〜は問題をはらんでいる」「〜には限界がある」
- 「しかし」「だが」「ところが」(逆接のあとに否定が来る)
- 「〜という見方は一面的だ」「〜を見落としている」
パターン③:留保(筆者がどちらとも断定せず、条件・保留をつけている)
筆者が特定の立場に完全に踏み込まず、「条件つきで肯定」「一定の留保をつけながら論じる」「断定を避けてあえて問いかける」という姿勢をとっている立場です。哲学的・思想的な文章や、複雑な社会問題を扱う評論文に多く見られます。
典型的なマーカー表現:
- 「〜とも言えるが、一方で〜」「〜という面もある」
- 「必ずしも〜とは言えない」「〜とは限らない」
- 「〜と問うことが重要ではないか」「〜を考え直す必要があるだろう」
- 「〜という解釈も成り立つ」「問いは残る」
実践ステップ解説|筆者の立場を見極める5つの手順
ステップ1:「逆接語」に蛍光ペンを引く
現代文の論説文において、筆者の立場が最も明確に表れるのは「逆接」の直後です。「しかし」「だが」「ところが」「それに対して」「にもかかわらず」といった逆接語の後ろには、筆者が本当に言いたいことが来ます。
例文:
「多くの人は、自由とは制約がない状態だと考えている。しかし、真の自由とは自分自身の内なる法則に従うことである。」
→「しかし」の前:一般通念(筆者が否定する立場)
→「しかし」の後:筆者の主張(肯定する立場)
逆接語を意識するだけで、筆者の立場は格段に見えやすくなります。
ステップ2:「一般論の提示」を見抜く
論説文では、冒頭や段落の最初に「一般的には〜と言われる」「〜という考えが広まっている」という形で、筆者が後から否定する通念が提示されることがあります。これを「筆者の主張」と混同しないことが重要です。
例題(練習問題):
「現代社会では、情報をすばやく処理する能力こそが知性の証とされる。しかし筆者は、立ち止まって考える力こそが本物の思考力を育てると主張する。」
この文章で筆者が肯定しているのは「立ち止まって考える力」であり、「情報をすばやく処理する能力=知性」という考えは否定されています。
ステップ3:「モーダル表現」の強弱を読む
筆者の確信度・断定度を示す表現(モーダル表現)を読み取ることで、肯定・否定・留保の区別ができます。
| 確信度 | 表現例 | 立場 |
|---|---|---|
| 高(断定) | 「〜である」「〜に違いない」「〜だ」 | 肯定または否定(強い立場) |
| 中(推量) | 「〜だろう」「〜と思われる」「〜ではないか」 | やや留保をともなう |
| 低(留保) | 「〜とも言える」「〜かもしれない」「〜の可能性がある」 | 留保・保留の立場 |
難関大の評論文では、筆者が意図的に「〜ではないか」という問いかけ形式を使って留保しながら主張を展開することがあります。この場合、選択肢で「筆者は〜と断言している」という表現があれば、それは誤りです。
ステップ4:段落構造を「主張・根拠・展開」に分類する
論説文は通常、次の構造で書かれています。
- 問題提起(テーマの設定)
- 一般論・通念の提示(後に否定されることが多い)
- 逆接による転換(筆者の立場が明確になる)
- 主張の根拠・具体例
- 結論・まとめ
段落ごとに「この段落は何をしているか(通念の提示? 主張? 根拠?)」をラベリングする習慣をつけると、筆者の立場の全体像が見えてきます。
ステップ5:「問いと答え」の対応を確認する
哲学系・思想系の評論文では、筆者が本文中に問いを立て、それに対して「答え」を出す(または出さない)という構造をとります。
- 問いに対して明確な答えを出している → 肯定または否定の立場が強い
- 問いに対して複数の解釈を示す → 留保の立場
- 問いを立てたまま終わる → 読者への問いかけ(留保の一種)
特に留保パターンは、「答えを出すことを意図的に避けている」という筆者の姿勢そのものが主張になっている場合があります。このニュアンスを読み取れるかどうかで、難関大の合否が分かれます。
【藤原×山下 会話で深掘り】現場から見えること
🎓 藤原先生:「山下先生、スタディサプリの授業でも、この『筆者の立場』の読み取りって生徒さんがつまずくポイントですよね?」
📚 山下先生:「そうなんですよ。特に多いのが、逆接の前後を混同するミスです。『しかし』より前に書かれていた一般論を筆者の主張だと思い込んで、まったく逆の選択肢を選んでしまう。これが高校1〜2年生の段階で本当に多い。僕の授業では『逆接語は宝の地図だ』と伝えています。逆接語の直後を掘れば、必ず筆者の本音が埋まっている、と。」
🎓 藤原先生:「うまい表現ですね(笑)。日本国語塾TOPでも同じことを言っています。さらに私が強調するのは、留保パターンの難しさです。肯定・否定はまだわかりやすいのですが、『必ずしも〜とは言えない』『問いは残る』というような表現で、筆者が意図的に断定を避けているとき、生徒は『結局筆者は何が言いたいの?』と混乱するんです。でも実は、『断定しないこと』自体が筆者の立場なんですよ。複雑な問題に対して安易に答えを出さない——それ自体が誠実な知的態度だということを、現代文を通じて学んでほしいですね。」
山下先生が実際のスタディサプリ収録前に生徒からよく受けた質問として、「筆者は結局どっちの立場なんですか?」というものがあったそうです。これに対して山下先生は「どっちでもないことを、明示的に選んでいる立場がある」という視点を提示し、留保の概念を丁寧に説明することで、生徒の理解が一気に深まったとおっしゃっていました。
藤原先生も、日本国語塾TOPの授業で「評論文の筆者は裁判官ではない。証拠を並べながら、あえて判決を留保することで思考を深めるのだ」という例え話を使って説明しており、生徒から「なるほど! 急に読み方が変わった」という反応をよく受けています。
よくある間違いと対策
間違い①:「一般論」を「筆者の主張」と混同する
間違いのパターン:文章冒頭の「〜という考えが一般的だ」という部分を筆者の主張として捉えてしまう。
対策:一般論は「後で否定するための踏み台」として置かれていることが多いです。逆接語が来るまでは「これは通念かもしれない」という意識で読み、逆接語の後を筆者の本音として重視する。
間違い②:「留保」を「どっちでもない曖昧な態度」と誤解する
間違いのパターン:筆者が断定を避けている文章を「この筆者は何も主張していない」と判断し、設問で的外れな回答をする。
対策:留保それ自体が立場であることを理解する。「単純な答えを出せない複雑な問題として筆者は捉えている」という読みを答案に反映させる。
間違い③:「強い語調」を「強い肯定」と取り違える
間違いのパターン:「〜は断じてあってはならない」のような強い表現を、筆者がその内容を強く肯定していると誤読する。
対策:この表現は「強い否定」です。「断じて〜ない」「決して〜ではない」は否定の強調表現であることを確認する。
間違い④:「具体例」を「筆者の主張」と混同する
間違いのパターン:筆者が主張の根拠として挙げた具体例を、そのまま筆者の意見として答案に書いてしまう。
対策:具体例の前後に必ず「抽象的な主張文」があります。具体例段落の最初か最後にある「一般化された一文」が筆者の主張です。
間違い⑤:「問いかけ文」を「筆者の肯定文」として読む
間違いのパターン:「〜ではないだろうか?」という問いかけを、筆者が肯定していると断定して選択肢を選ぶ。
対策:問いかけ文は「やや留保を含んだ主張」です。断定ではなく「筆者は〜という可能性を重視している」という形で理解する。
今日からできる実践チェックリスト
以下のチェックリストを使って、毎日の現代文演習に「筆者の立場を見極める視点」を取り入れましょう。
- ✅ 本文を読みながら、逆接語(しかし・だが・ところが)に印をつけている
- ✅ 逆接語の直後の文を「筆者の主張候補」としてマークしている
- ✅ 文章冒頭の「一般論・通念」を筆者の主張と混同しないよう意識している
- ✅ 段落ごとに「通念・主張・根拠・結論」のラベルを書き込んでいる
- ✅ モーダル表現(だ・だろう・ではないか・かもしれない)の強弱を確認している
- ✅ 「〜ではないか」という問いかけ文を留保の主張として読んでいる
- ✅ 選択肢を読む前に「筆者は肯定・否定・留保のどれか」を自分で判断している
- ✅ 選択肢の「断言表現(〜である)」が本文の「留保表現」と合致しているか確認している
- ✅ 具体例段落の前後にある「抽象的な主張文」を意識的に探している
- ✅ 記述問題で筆者の立場(留保なのか断定なのか)を正確に反映した文章を書いている
- ✅ 演習後に「筆者の立場の判断が正しかったか」を答え合わせとは別に自己チェックしている
- ✅ 日常的に読む文章(新聞社説・論説コラム)でも「この筆者はどの立場か」を考える習慣をつけている
【藤原×山下 会話で深掘り②】入試本番での使い方
🎓 藤原先生:「山下先生、このチェックリストを見た生徒から『わかった気がするけど、本番の試験でパッと判断できるか不安』という声があります。本番でどう使えばいいか、アドバイスをお願いします。」
📚 山下先生:「大事なポイントは、『全部やろうとしない』ことです。本番では時間が限られていますよね。だから私がおすすめするのは、まず逆接語だけに集中して印をつけること。それだけで筆者の立場は7割見えてきます。次に、設問を見たときに『この選択肢は肯定・否定・留保どれを選ばせようとしているか』を瞬時に判断する。この2ステップに絞るだけで、本番での判断スピードが格段に上がりますよ。」
🎓 藤原先生:「そうですね。日本国語塾TOPの生徒には、普段の演習でこのチェックリストを全部意識して、本番では自然にできるように訓練していくことを勧めています。最初は意識的にやっていたことが、繰り返すうちに無意識にできるようになる。それが『読解力』の本当の姿だと思っています。山下先生の授業とうちの指導、両方から攻めると鬼に金棒ですね(笑)。」
Q&A|よくある質問
Q1:筆者の立場を見極めるのに、どのくらい練習すれば身につきますか?
A:個人差はありますが、毎日1〜2題の論説文を読みながら「逆接語に印をつける・段落のラベリングをする」を1ヶ月続ければ、多くの生徒が実感できる変化が出ます。日本国語塾TOPでは、週2回の授業で集中トレーニングを行うことで、2〜3ヶ月での大幅な精度向上を実現しています。
Q2:肯定・否定はわかりやすいですが、留保の見分け方がいまいちわかりません。
A:留保の最大の特徴は「〜とも言えるが、一方で〜」「必ずしも〜ではない」「〜という問いは残る」という表現です。筆者が意図的に一方向の断定を避けているとき、それは留保です。また、問いかけ文(「〜ではないか」)で終わる文章も留保のサインです。「答えを出さないこと」「問いを提示すること」自体が筆者の立場だと理解しましょう。
Q3:現代文の筆者の立場を見極める練習に向いている教材はありますか?
A:大学入試の過去問(共通テスト・東大・早稲田など)の論説文が最適です。解説に「筆者の主張」が明記されているため、自分の判断との照合ができます。また、新聞の社説は短くまとまった論説文として日常的なトレーニングに最適です。スタディサプリの山下先生の現代文講座も、解説が丁寧で立場の読み取りに特化した解説が豊富です。
Q4:「筆者の立場」と「筆者の意見」は同じですか?
A:ほぼ同義ですが、厳密には異なります。「筆者の意見」は具体的な主張内容を指し、「筆者の立場」はその主張がどの方向性(肯定・否定・留保)に向かっているかを指します。設問では「筆者の主張として適切なものを選べ」という形が多いですが、どちらの問われ方でも、本記事で解説した3パターンの把握が土台になります。
Q5:文章によっては、肯定か留保かの区別が難しい場合はありますか?
A:あります。特に哲学系・倫理学系の評論文では、筆者が「条件つきの肯定」をしている場合があり、「強い留保をともなう肯定」と「弱い肯定」の境界線が曖昧なことがあります。このような場合は、文章全体のトーンと結論部分の表現を最重視してください。結論段落で「〜と言えよう」という推量+断定の混在表現があれば、「やや留保をともなう肯定」と判断するのが適切です。
まとめ|日本国語塾トップで差をつけよう
現代文の筆者の立場を見極めることは、単なるテクニックではありません。書かれた文章に対して「この人はなぜ、どのような姿勢でこれを書いたのか」を読み解く、知的で豊かな読書行為そのものです。
本記事では、筆者の立場を「肯定・否定・留保」の3パターンに整理し、逆接語への着目・一般論の見分け方・モーダル表現の読み取り・段落構造の分析・問いと答えの対応確認という5つの実践ステップで解説しました。
山下先生の「逆接語は宝の地図」という言葉を忘れずに、今日から演習に取り入れてみてください。そして「留保」という立場が「曖昧さ」ではなく「知的誠実さ」の表れであるという視点は、現代文の読解を一段階深いものにしてくれるはずです。
筆者の立場を正確に読み取る力が身につけば、選択肢問題の正答率が上がるだけでなく、記述問題でも
的確な答案が書けるようになります。そして何より、文章を読む楽しさが増します。現代文の力は、すべての教科の土台です。ぜひ本記事を繰り返し活用してください。
日本国語塾トップは、数強塾グループ代表・藤原進之介が監修する国語専門塾です。
スタディサプリ講師・山下翔平先生をはじめ、藤原進之介が厳選した一流講師が担任として指導します。
前橋校・横浜校・オンラインで全国対応しています。
nihonkokugojuku.comからお気軽にお問い合わせください。
また、数学・理系科目は数強塾(sukyojuku.com)もあわせてご利用ください。
執筆:藤原進之介(数強塾グループ代表・日本国語塾TOP監修)/山下翔平(スタディサプリ国語講師・日本国語塾TOP在籍)
現代文の「筆者の立場」を見極める方法を深めるために
現代文の「筆者の立場」を見極める方法は、国語力の土台として非常に重要な分野です。現代文の「筆者の立場」を見極める方法について、日本国語塾では担任講師が一人ひとりの理解度に合わせて丁寧に指導しています。現代文の「筆者の立場」を見極める方法に関する疑問や学習上の課題があれば、まずは無料体験授業でご相談ください。
💬 数強塾グループ 公式LINEに登録しよう
情報I・数学・英語・国語に関する有益な情報発信や無料授業の告知をLINEで行っています。英検合格保証の英論会もこちら👇
プレゼント付き公式LINEを友だち追加