数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
受験生のみなさん、こんな経験はありませんか?「現代文の評論文を読んでいても、筆者が何を言いたいのかさっぱりわからない」「文章を読み終わったはずなのに、内容が頭に残っていない」——そんな悩みを抱えている人は非常に多いです。
実は、そうした悩みを解決するヒントが、受験現代文の評論文そのものの中に隠されています。今回取り上げるのは、齋藤孝(明治大学教授・教育学者)と外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授・英文学者)という、二人の著名な評論家・思想家の「文章術・思考術」に関する評論文です。
この記事では、受験現代文に頻出するこの二人の論点を徹底解説しながら、「思考力」を鍛える実践的な読み方・書き方をお伝えします。現代文の点数を上げたい受験生にとって、必読の内容です。ぜひ最後まで読んでください。
はじめに|なぜ「文章術の評論文」が受験に頻出するのか
共通テストや大学入試の現代文において、「言語・思考・コミュニケーション」をテーマにした評論文は非常に頻繁に出題されます。その中でも、齋藤孝の『声に出して読みたい日本語』や『読書力』、外山滋比古の『思考の整理学』などを源泉とする論点は、何度も入試問題として姿を変えて登場しています。
なぜこのジャンルが頻出なのでしょうか。理由は明確です。
- 「思考と言語の関係」は現代社会の本質的なテーマであること
- 論理的に読み・書き・考える力を問う入試の趣旨と合致すること
- 受験生自身が「思考すること」の意味を問い直すきっかけになること
つまり、これらの評論文を深く理解することは、単なる試験対策を超えて、あなた自身の思考力・国語力を根底から鍛えることにつながるのです。
核心情報|齋藤孝・外山滋比古の主張を整理する
まず、二人の評論家がそれぞれ何を主張しているのかを正確に把握しましょう。これが現代文読解の第一歩です。
齋藤孝の核心:「身体知」と「音読」による思考の活性化
齋藤孝の評論における最大のキーワードは「身体知(しんたいち)」です。彼は、思考や知識は頭の中だけにあるのではなく、身体の動きや感覚と深く結びついていると主張します。
たとえば、彼が提唱する「音読」は単なる朗読ではありません。声に出して文章を読むことで、文字情報が耳からも入り、呼吸・リズム・抑揚を通じて「身体全体で文章を感じ取る」体験になると言います。このプロセスが、文章の意味を深く理解し、記憶に定着させる力を生み出すのです。
また、齋藤孝は「三色ボールペン読書法」でも知られています。文章を読みながら、
- 赤:最も重要な箇所(客観的に見て重要)
- 青:重要だが赤ほどではない箇所
- 緑:自分が面白いと思った箇所(主観的な反応)
というように色分けしていく手法です。これは単なるマーカーの使い分けではなく、「なぜここが重要なのか」を常に問いながら読む能動的な思考プロセスを育てる訓練です。
評論文の中で齋藤孝がしばしば問題提起するのは、現代人が「読む・書く・話す」を受動的にこなすだけになっているという危機感です。本当の意味での言語活動とは、身体と思考を連動させた能動的な営みであるべき——これが彼の一貫したメッセージです。
外山滋比古の核心:「忘れること」と「触媒」としての思考
一方、外山滋比古の代表作『思考の整理学』は、1983年の刊行以来、東京大学・京都大学の生協で長年にわたりベストセラーとなってきた名著です。受験現代文においても、彼の思想を下敷きにした評論文が頻繁に出題されます。
外山の主張の中で最も重要なのは、「忘却の積極的な意義」です。一般に、私たちは「忘れること」をネガティブに捉えます。しかし外山は、ひとつの問題にずっと向き合い続けても解決策が出ないとき、意図的に「忘れる」時間を設けることで、脳の深いところで情報の整理・統合が進むと論じます。
この考え方を支えるのが「グライダー型思考」と「飛行機型思考」という対比概念です。
- グライダー型思考:他からの力(教師・教科書)に依存して飛ぶ。知識の受け取りは得意だが、自力では飛べない。
- 飛行機型思考:自分でエンジンをかけて飛ぶ。自力で問いを立て、独自の発想で思考を展開できる。
外山が強調するのは、現代の教育がグライダー型を大量生産している危険性です。受験勉強も、ともすればグライダー的になりがちです。しかし本当に求められるのは、自ら問いを立て、考え、答えを生み出す「飛行機型」の思考力だと外山は警告します。
さらに外山の重要な概念として「触媒(しょくばい)」があります。化学反応における触媒のように、思考においても「それ自体は変化しないが、他のものを変化させる」存在が必要だというのです。たとえば、良書・良い会話・良い環境がそうした触媒として機能し、読者・聴衆の思考を活性化させます。
具体的な方法|評論文読解と思考力を同時に鍛える
①「対比構造」を瞬時に見抜く読み方
齋藤孝・外山滋比古の評論文に限らず、現代文評論の多くは「対比(コントラスト)」の構造で論が展開されます。外山の「グライダー vs 飛行機」、齋藤の「受動的読書 vs 能動的読書」がその典型です。
対比構造を見つけるには、以下のシグナルワードに注目してください。
- 「〜に対して」「〜一方で」「〜とは異なり」
- 「しかし」「ところが」「それに対して」
- 「従来の〜」「かつての〜」→筆者が批判する旧来の考え方
実践方法:問題文を読みながら、対比の二項を表にまとめる習慣をつけましょう。左列に「Aの考え方」、右列に「Bの考え方(筆者が支持)」を書き出すと、筆者の主張が驚くほど明確になります。
②「主張・根拠・具体例」の三層構造を意識する
思考力を鍛える文章術の評論を読む際、文章全体を次の三層で捉える訓練が極めて有効です。
- 主張(Claim):筆者が最終的に言いたいこと
- 根拠(Reason):なぜその主張が正しいのかの論拠
- 具体例(Evidence):根拠を支える実例・データ・体験談
たとえば外山の『思考の整理学』における論理展開を分析すると:
- 主張:「現代人は飛行機型思考を身につけるべきだ」
- 根拠:「グライダー型思考では自力で問題解決ができないから」
- 具体例:「学校教育が知識の受け取りに偏り、自発的思考を育てていない現状」
この三層を意識しながら読むと、文章の骨格がはっきり見え、設問にも迷わず答えられるようになります。
③「問い返し読書法」で思考力を鍛える
齋藤孝の提唱する能動的読書を参考に、日本国語塾TOPでは「問い返し読書法」を実践しています。具体的には、文章を読みながら常に次の三つの問いを自分に投げかけます。
- 「筆者はなぜそう言えるのか?」(根拠を問う)
- 「これは本当に正しいのか?」(批判的思考)
- 「自分の経験や知識と、どう結びつくか?」(接続思考)
この習慣が身につくと、評論文の受動的な「読まされる」状態から脱却し、筆者と対話するように能動的に読めるようになります。これはまさに外山の言う「飛行機型思考」の訓練そのものです。
④「書き写し→要約→自分の言葉で再現」の三段階練習
文章術を身につけるためには、「読む→要約する→再現する」の三段階練習が最も効果的です。
- Step1 書き写し:名文・評論文の重要段落を手で書き写す。齋藤孝の言う「身体知」を活用した学習法。
- Step2 要約:100〜200字で筆者の主張をまとめる。意味を完全に理解していなければ要約はできない。
- Step3 自分の言葉で再現:本を閉じた状態で、「この評論文では○○と主張していた。なぜなら〜だから」と口頭または筆記で再現する。
この練習を週3回、一ヶ月続けるだけで、現代文の読解力・記述力・思考力が飛躍的に向上します。
藤原&翔先生の実践アドバイス
藤原進之介より
私がこれまで多くの受験生を指導してきた経験から言えるのは、「現代文が苦手」な生徒の大半は、評論文を「情報の羅列」として読んでいるということです。しかし、評論文とは常に「問い」と「答え」の構造を持っています。
齋藤孝・外山滋比古の文章術に関する評論では特に、筆者自身の「問題意識」が文章全体を貫くエンジンになっています。「現代人の思考はなぜ貧困になっているのか」「どうすれば本当の意味で思考する力を取り戻せるか」という問いです。
受験生には、文章を読む前にまず「この筆者は何に怒っているか・何を憂えているか」を想像してから読み始める習慣をつけてほしいと思います。これだけで読解の精度が大きく変わります。
翔先生より
僕が授業でよく使うのが「タイトルから逆算する読み方」です。たとえば「思考の整理学」というタイトルを見たとき、「整理」という言葉が使われているということは、思考は「整理されていない状態」が問題だと筆者は考えているんだな、と先読みできます。
こうしてタイトル・見出し・冒頭段落から筆者の問題意識を先取りしてから本文に入ると、文章の流れを見失わずに最後まで読み切れます。実際に共通テストの評論文でも、この「逆算読み」は非常に有効です。ぜひ試してみてください!
また、外山滋比古の「忘却の重要性」は、受験勉強にも直接応用できます。難しい問題を解こうとして行き詰まったとき、一度その問題から離れて軽い作業をする「インキュベーション(孵化)時間」を意図的に作るのがおすすめです。翌日に見直すと急に解法が浮かんでくる経験、みなさんにもありませんか?あれはまさに外山の言う「忘れることで深まる思考」の実例です。
よくある失敗と解決策
失敗①:評論文の「具体例」を「主張」と勘違いする
症状:「筆者の主張を答えなさい」という問いに、本文に出てきた具体的なエピソードを書いてしまう。
原因:具体例は往々にして読みやすく記憶に残りやすいため、それを「筆者が言いたいこと」と誤解してしまう。
解決策:「具体例は主張を支えるための道具に過ぎない」と常に意識すること。段落の末尾や冒頭にある抽象的・一般的な表現の文が主張である場合がほとんどです。「つまり」「要するに」「このように」などの接続詞の直後に主張が来ることが多いことを覚えておきましょう。
失敗②:難しい語句に引っかかって読み進められなくなる
症状:「身体知」「インキュベーション」「触媒」などの専門用語・比喩表現に出会うと、そこで思考が止まってしまう。
解決策:評論文においては、難しい語句の定義は必ず本文中に説明されています(入試問題のルールとして)。未知の語句に出会ったら立ち止まらず、その直後・直前の文脈から意味を類推しながら読み進める訓練をしましょう。語句の意味は問題として出題されることもあるため、文脈から推測する力そのものが採点対象です。
失敗③:要約問題で字数をオーバーまたは大幅に下回る
症状:「100字以内で要約しなさい」と言われると、どこを削ればいいかわからなくなる。
解決策:要約の鉄則は「主張+最重要の根拠のみ残し、具体例はすべて削除する」こと。具体例・繰り返し表現・感嘆的な表現をばっさり切り落とし、論理の骨格だけを残します。日頃から「この段落を一文で言うと?」という練習を積み重ねることが最も効果的です。
今日からできるアクション
ここまで読んでくれたあなたに、今日から実行できる具体的なアクションを5つお伝えします。
-
外山滋比古『思考の整理学』の第一章を音読する
齋藤孝の「音読」メソッドを実践しながら、外山の論理展開を身体で感じてみましょう。声に出すことで、文章のリズムと論理の流れが同時に体感できます。 -
今日読んだ評論文を200字で要約する
教科書・参考書・模試の問題文、どれでもOKです。「主張は何か・根拠は何か」を意識しながら200字にまとめる練習を今日から始めましょう。 -
「対比表」を作る習慣をつける
評論文を読みながらノートに2列の表を書き、筆者が対比している概念を左右に書き出す。これを3日続けるだけで読解スピードと精度が上がります。 -
解けなかった問題を「翌日もう一度解く」
外山の「忘却による思考の深化」を活用。解けなかった問題を一晩置いてから再チャレンジすると、脳の中での情報整理が進んで解けることがあります。 -
日本国語塾TOPの無料相談を活用する
「どの評論文から読み始めればいいか」「自分の要約の精度を確認したい」——そうした具体的な疑問に、私たちが直接お答えします。nihonkokugojuku.comからお気軽にご相談ください。
まとめ・日本国語塾トップについて
今回は、齋藤孝・外山滋比古の文章術・思考術を現代文評論読解の観点から徹底解説しました。改めて要点を整理します。
- 齋藤孝のキーワードは「身体知」「能動的読書」「音読・三色ボールペン法」。受動的な読書から能動的な思考への転換を促す。
- 外山滋比古のキーワードは「グライダー型 vs 飛行機型」「忘却の積極的意義」「触媒としての思考」。自立した思考力の育成を強調する。
- 評論文読解には「対比構造の把握」「三層構造(主張・根拠・具体例)の分離」「問い返し読書法」が有効。
- 思考力を鍛えるには「書き写し→要約→再現」の三段階練習を継続することが最も効果的。
これらの手法は、共通テスト・私大・国公立二次の現代文すべてに直接活きる実践的な力です。齋藤孝・外山滋比古の論を深く理解した受験生は、文章術に関するどんな評論文が出題されても動じることなく対応できるようになります。
ぜひ今日から一歩を踏み出してください。あなたの思考力と国語力は、必ず変わります。
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