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古文の主語把握テクニック|誰が何をしているか瞬時にわかる

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はじめに

数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!

先日、こんな相談が舞い込んできました。

「先生、古文を読んでいると、途中から誰が何をしているのかまったくわからなくなるんです……。
主語がコロコロ変わって、気づいたら全然違う人のことを読んでいました」

高校2年の女の子からのSОSです。翔先生も苦笑いしながら「あー、あるある!」と言っていましたが、
実はこれ、受験生の8割以上が経験する古文最大の壁なんです。

古文の問題で「傍線部の主語は誰か」と問われて固まった経験、ありませんか?
あるいは現代語訳をしてみたら、先生から「この主語、全部逆ですよ」と赤ペンでばっさりやられた経験は?

安心してください。古文の主語把握には、ちゃんとしたテクニックとルールがあります。
センスや勘の話ではありません。今日この記事を読み終えたあなたは、古文の主語がグッと見えやすくなるはずです。
翔先生と一緒に、わかりやすくステップ形式で解説していきます!


なぜ古文の主語把握がこれほど重要なのか

現代語の文章では「私は〜した」「彼女は〜言った」と、主語がほぼ明示されていますよね。
ところが古文の世界では、主語は頻繁に省略されます
しかも一つの段落の中で主語がころころ入れ替わる。

これは古文が「書かれた当時の読者」を想定して書かれているからです。
平安貴族たちは、文脈や敬語のルールを熟知していたので、主語をいちいち書かなくても通じた。
つまり現代の私たちは、当時の読者が持っていた「常識」を後から学ばないといけないわけです。

では、主語の誤読がどれほど致命的か。たとえばこんな場面を考えてみてください。

  • 源氏物語の一節で、「泣きたまふ」の主語が光源氏なのか女君なのかを間違えると、内容が真逆になる
  • 大学入試の現代語訳問題で主語を間違えると、部分点すらもらえないことがある
  • 内容説明問題・理由問題でも、主語の誤読はすべての選択肢判断に悪影響を及ぼす

逆に言えば、主語さえ正しく把握できれば、古文読解の正答率は飛躍的に上がります
共通テストでも私大入試でも、古文の主語把握は得点の鍵を握る最重要スキルです。


具体的な方法・ステップ解説

① まず「登場人物」を整理する

文章を読み始める前に、あるいは読み始めたらすぐに、登場人物のリストを余白にメモしましょう。
古文に登場するのは多くても4〜5人程度です。名前・官位・関係性(誰の妻か、誰の家来かなど)を
把握しておくと、後の主語推定がぐっと楽になります。

翔先生がよく言うのは、「古文は登場人物が少ない小説だと思え」ということ。
登場人物を頭に入れてから読むだけで、混乱が半分以下になります。

② 敬語を「主語の道標」として使う

古文の主語把握において、敬語は最強の武器です。
敬語の種類と方向を押さえれば、主語と目的語が自動的に決まります。

尊敬語(そんけいご)

  • 動作をする人(主語)が高い身分であることを示す
  • 例:「おはす」「たまふ(補助動詞)」「のたまふ」「いでたまふ」など
  • → この動詞の主語は、敬うべき人物=天皇・貴族など身分の高い人

謙譲語(けんじょうご)

  • 動作をする人(主語)が、動作の向かう相手より自分を低くする表現
  • 例:「奉る(たてまつる)」「申す」「参る」「聞こゆ」など
  • → この動詞の主語は、相手(高い身分の人)に対して動作を行っている人物

丁寧語(ていねいご)

  • 話し手が聞き手・読み手に対して丁寧に述べる表現
  • 例:「侍り(はべり)」「候ふ(さぶらふ)」など
  • → 主語判定には直接使いにくいが、地の文か会話文かを区別する手がかりになる

たとえば「宮に御文奉る」という文なら、「奉る」は謙譲語なので、
主語は宮(皇族)より身分の低い人物、目的語の「宮」に手紙を差し上げていることがわかります。

③ 「て・して・つつ」は主語が続く

古文読解の鉄則として、接続助詞「て・して・つつ」でつながれた文は、
前後の主語が同じ
というルールがあります。

例:「男、女のもとに行き、歌を詠みたり。」

→「行き」の主語=男、「詠みたり」の主語=同じく男

これは非常に使用頻度が高いルールです。「て」が出てきたら「あ、主語は変わらないな」と
反射的に判断できるようになりましょう。

④ 「ば・が・を・に」は主語が変わるサイン

一方、接続助詞「ば(已然形+ば)」や格助詞の「が・を・に」が
節の境目に来た場合は、主語が変わることが多い
です。

例:「男の泣け、女も涙を流しぬ。」

→「泣けば」の主語=男、「流しぬ」の主語=女(変わっている!)

「ば」が出てきたら「あ、次は主語が変わるかも」とアンテナを立てる習慣をつけてください。
100%ではありませんが、かなりの確率で通用します。

⑤ 会話文(「」の中)と地の文を区別する

会話文の中では、「申す・聞こゆ」など謙譲語の基準が変わります
会話文内では、話している人物が自分を下に置いて相手を高めているので、
地の文とは敬語の向きが変わることがあります。

また、会話文の直前に「〜とのたまひければ」「〜と申せば」などの引用節があれば、
そこで主語が誰かを確認できます。会話文と地の文を常に区別しながら読む習慣をつけましょう。

⑥ 「二方面への敬語」に注意する

中級〜上級レベルの話になりますが、古文には二方面への敬語という概念があります。
たとえば「大臣、宮に文を奉りたまふ」という文では、

  • 「奉り」→ 謙譲語:動作の向かう先(宮)を高めている → 目的語が宮
  • 「たまふ」→ 尊敬語(補助動詞):動作をする人(大臣)を高めている → 主語が大臣

このように、一つの文で二つの人物に対して敬意を示す場合があります。
これをきちんと分解できると、難関大の古文でも主語が迷子になりません。


藤原流のポイント|「敬語の段差」で人物関係を地図にせよ

私が塾生によく言うのは、「古文を読む前に、登場人物の身分の段差を頭に描け」ということです。

平安〜鎌倉時代の文学は、基本的に身分社会を背景にしています。
天皇・上皇が最上位、続いて摂政・関白などの上級貴族、中級貴族、下級貴族、庶民……という
ヒエラルキーがある。この「身分の段差」を把握しておくと、
敬語の向きが視覚的にイメージできるようになります。

尊敬語は「上の人の動作」、謙譲語は「下の人が上の人へ向かう動作」。
これを人物の段差で捉えると、敬語がまるで身分の高低を示す矢印のように見えてきます。

翔先生はこれを「敬語の地図」と呼んでいます。
読み始めたらまず、「この文章で一番身分が高いのは誰か?」を確認する。
それだけで、尊敬語の主語候補がほぼ1人に絞られます。

また、私がもう一つ強調したいのは「消去法」の活用です。
主語が誰かわからないとき、「この動作をするのはAとBとCの誰か?」と考えて、
文脈・身分・敬語から一人ずつ可能性を消していく。
これは現代文の選択肢問題と同じ発想です。古文も「論理」で解くものだということを忘れないでください。


よくある間違いと対策

❌ 間違い①:「たまふ」は常に尊敬語だと思っている

「たまふ」には、四段活用(尊敬の補助動詞)
下二段活用(謙譲の本動詞・差し上げる)の2種類があります。
「花を奉りたまふ」の「たまふ」は尊敬、「御文をたまへば」の「たまへ」は謙譲(お与えになる)。
活用形と文脈から判断する習慣をつけましょう。

❌ 間違い②:「て」の主語続行ルールを絶対視する

「て・して・つつ」の主語同一ルールは高頻度で使えますが、例外もあります。
特に会話文内では例外が増えるので、過信は禁物。
敬語で確認できるときは敬語を優先しましょう。

❌ 間違い③:主語を一度決めたら修正しない

読み進めたら「あ、この主語さっき決めた人じゃないかも」と気づくことがあります。

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