はじめに|和歌の修辞法で点数が劇的に変わる!
数強塾グループの国語専門塾、日本国語塾TOPの藤原進之介です。講師の翔先生と一緒に解説します!
「先生、和歌って何が書いてあるのか全然わかりません…」「枕詞って暗記するしかないんですか?」——これは、私たちが塾で毎年のように聞く受験生の声です。
ある生徒のエピソードをご紹介しましょう。高3の秋、模試で古文の得点が伸び悩んでいたAさんは、「和歌の問題になると完全に手が止まる」と相談に来ました。話を聞くと、単語も文法もある程度できているのに、和歌の修辞法の問題だけが壊滅的だったのです。そこで翔先生が修辞法を体系的に教えたところ、わずか1ヶ月で和歌問題の正答率が約40%から80%超にまで上昇。最終的に第一志望の大学に合格しました。
和歌の修辞法——枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り——は、古文の中でも特に「知っているか知らないか」で大きく差がつく分野です。この記事では、5つの修辞法をゼロから丁寧に解説し、入試で確実に得点できる実力を身につける方法をお伝えします。ぜひ最後まで読んで、今日から実践してください!
【基礎知識】なぜ和歌の修辞法が合否を分けるのか
「和歌なんて一部の問題でしょ?」と思っている受験生、要注意です。実は、和歌の修辞法は想像以上に広範囲で出題されています。
主要大学の入試傾向を見ると、センター試験(現・共通テスト)の古文では、ほぼ毎年和歌を含む文章が出題されています。共通テストにおいても、和歌の内容理解・表現技法に関する問題は配点の20〜30%を占めることが珍しくありません。また、早稲田・慶應・MARCH・関関同立といった難関私大では、和歌単体の問題や、物語文中に挿入された和歌の解釈問題が頻出です。特に「掛詞を指摘させる問題」「縁語を含む語句の説明問題」「本歌取りの元の歌を問う問題」は、差がつきやすい設問として有名です。
翔先生が過去10年分の入試問題を分析したところ、難関大受験生のうち和歌の修辞法を正確に答えられた生徒の合格率は、答えられなかった生徒の約1.8倍という結果が出ています(日本国語塾TOP内部調査)。つまり、和歌の修辞法をマスターすることは、合格への最短ルートのひとつなのです。
さらに見落とされがちなポイントとして、「和歌の修辞法を知っていると、文章全体の読解スピードが上がる」という事実があります。修辞法のしくみを理解すれば、一見難解な和歌の意味が瞬時に解凍されるようになります。5つの修辞法——枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り——を完璧にマスターしましょう。
【実践解説】5つの修辞法を完全マスターする方法
① 枕詞(まくらことば)|特定の語を導く”スイッチ”
枕詞とは、特定の語(被枕詞)を導くために置かれる、原則5音の決まり文句です。それ自体には意味がなく、次の語を修飾する”スイッチ”のような役割を果たします。
代表的な枕詞と被枕詞の組み合わせ(必須暗記リスト):
- 「あしひきの」→「山」「峰」
- 「ひさかたの」→「光」「天」「月」「雨」
- 「たらちねの」→「母」「親」
- 「ちはやぶる」→「神」「宇治」
- 「あおによし」→「奈良」
- 「からころも」→「着る」「裾」「袖」
例歌:「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」(紀友則・古今集)
「ひさかたの」が「光」を導く枕詞。入試では「この枕詞が修飾する語を抜き出せ」という設問が頻出です。枕詞はセットで丸暗記するのが最強の戦略です。
② 序詞(じょことば)|枕詞の”自由版”
序詞は、枕詞と同じく特定の語を導くための表現ですが、枕詞と違って音数の制限がなく(7音以上が多い)、作者が自由に作れるのが特徴です。また、序詞自体にも情景としての意味があります。
見分け方の鉄則:「〜のように」「〜ではないけれど」という訳が成り立つ部分が序詞です。
例歌:「あしのはの そよぐ秋風 身にしみて うき世の夢を さましける」
「あしのはの そよぐ秋風」が序詞で、「身にしみて」を導いています。「葦の葉のそよぐ秋風のように、身にしみて…」と訳せますね。
入試でよく問われるのは「どこからどこまでが序詞か」という範囲を答えさせる問題。序詞の終わりは、音や意味の連結部分を見つけることがポイントです。
③ 掛詞(かけことば)|同音異義を利用した言葉の二刀流
掛詞とは、同じ音で異なる意味を持つ言葉を一語に重ねて表現する技法です。和歌の修辞法の中で最も入試に出やすく、最も差がつく技法です。
代表的な掛詞の組み合わせ:
- 「あき」→「秋」+「飽き(飽きる)」
- 「まつ」→「松」+「待つ」
- 「なく」→「鳴く」+「泣く」
- 「たつ」→「立つ」+「裁つ(裁縫)」
- 「ふる」→「降る(雨が)」+「古る(古くなる)」
- 「ながめ」→「眺め」+「長雨(ながあめ)」
例歌:「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」(小野小町・古今集)
「ふる」は「経る(時が経つ)」+「降る(雨が降る)」、「ながめ」は「眺め(物思い)」+「長雨(ながめ)」の掛詞です。この一首だけで掛詞が2つも使われているという、非常に入試頻出の和歌です。
掛詞の解き方ステップ:①問われている語の読みを確認する ②同じ読みで別の意味がないか考える ③文脈に合う意味の組み合わせを選ぶ ——この3ステップで確実に解けます。
④ 縁語(えんご)|意味のネットワークで和歌を飾る
縁語とは、ある語と意味的に関連する語を複数用いて、和歌に統一感・厚みを出す技法です。掛詞と組み合わせて使われることが多く、「縁語の関係にある語をすべて抜き出せ」という設問で頻出です。
例:「衣(ころも)」の縁語グループ
- 衣・袖・裾・縫う・裁つ・絹・綾・着る・脱ぐ・紐 など
その他の縁語グループ:
- 「海・舟」グループ:浦・波・漕ぐ・澪標(みをつくし)・碇・帆 など
- 「火」グループ:燃える・煙・灰・焦がれる・消える など
例歌:「玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする」(式子内親王・新古今集)
「玉の緒(たまのを)」「絶えなば」「ながらへ」「忍ぶ」——「命の糸」を中心に「絶える・続く」という縁語が巧みに連なっています。縁語を見抜くには、「この歌のテーマは何か」を先につかむことが大切です。
⑤ 本歌取り(ほんかどり)|先人の歌を借りて深みを出す技法
本歌取りとは、有名な古歌(本歌)の語句や趣を引用・発展させて新しい歌を作る技法です。新古今集の時代(鎌倉時代初期)に特に盛んに使われました。
本歌取りの効果:
- 本歌の世界観を借りることで、短い31音に豊かな奥行きが生まれる
- 読み手に「あの歌を思い出させる」知的な楽しみを与える
- 本歌との対比・発展によって新たな感動を生む
例:藤原定家の「駒とめて 袖うちはらふ 陰もなし 佐野の渡りの 雪の夕暮れ」は、万葉集の「苦しくも 降りくる雨か 三輪が崎 佐野の渡りに 家もあらなくに」(長忌寸意吉麻呂)を本歌として取った歌です。「佐野の渡り」という地名を共有しながら、全く異なる寂寥感の世界を描き出しています。
入試では「この歌の本歌として最も適切なものを選べ」という選択問題が多く、共通する語句・テーマ・情景に注目することが解法の鍵です。
【藤原&翔先生の実践ポイント】塾でしか聞けない裏技
ここからは、一般の参考書にはなかなか載っていない、私たちが実際の指導で使っている独自のアプローチをお伝えします。
裏技①「掛詞は”感情語”に注目せよ」
掛詞は、作者の感情が込められた語に仕掛けられることがほとんどです。「秋=飽き」のように、自然の風景語と人間の感情語が組み合わされるパターンが圧倒的多数。「この和歌は何の感情を詠んでいるか」を先につかめば、掛詞の候補語が自然に絞られます。
裏技②「縁語は”和歌のテーマ探し”から逆算する」
縁語を探すとき、多くの受験生は語句から下に読んでいきます。しかし正しい順序は逆で、まずテーマ(恋・旅・自然など)を決め、そのテーマに関連する語のグループを思い浮かべてから和歌を見直すのが正解です。こうすることで、見落としが激減します。
裏技③「序詞の境界線は”音の響き”で見つけよ」
序詞の終わりと本題の始まりは、多くの場合「同じ音の繰り返し(同音)」や「意味の転換」で識別できます。例えば「〜のように」で訳が切れるポイントが境界線。翔先生は授業でこれを「和歌のターニングポイント探し」と呼んでいます。
裏技④「枕詞は『万葉集→古今集→新古今集』の順で出題頻度が高い」
枕詞は万葉集に最も多く登場し、入試でも万葉集からの出題が多い傾向があります。まず万葉集頻出の枕詞10個を完璧にし、次に古今集・新古今集に広げていく学習順序が最も効率的です。
裏技⑤「本歌取りは『新古今集+藤原定家』セットで覚える」
本歌取りが最も問われるのは新古今集の和歌、そして最多出題歌人は藤原定家・西行・式子内親王の3人です。この3人の歌を重点的に読んでおくと、入試本番での対応力が格段に上がります。
【よくある失敗パターン】合格できない生徒がやっていること
失敗パターン①「枕詞を意味のある語として訳してしまう」
枕詞は訳さないのが原則です。「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」(在原業平・古今集)で、「ちはやぶる」を「激しく荒れ狂う」と訳してしまう生徒が多いですが、これは誤りです。枕詞は「〜の」と訳して読み飛ばすか、訳を省くのが正解。
失敗パターン②「掛詞を片方の意味しか答えない」
掛詞は必ず2つ(以上)の意味を答えなければなりません。「ながめ」という語に対して「眺め」だけ答えて「長雨」を落とす生徒が非常に多い。設問で「掛詞の説明をせよ」と言われたら、必ず「〜と〜の両方の意味をかけている」という形式で答えましょう。
失敗パターン③「序詞の範囲を短く見積もる」
序詞は思っているより長い場合がほとんどです。「最初の5音だけ」と短く答えてしまうミスが多発します。序詞は7音以上が基本で、場合によっては和歌の前半すべて(14〜21音)が序詞になることもあります。
失敗パターン④「縁語を「枕詞」や「掛詞」と混同する」
縁語は「意味的に関連する複数の語のグループ」です。一語だけを見て判断するのではなく、和歌全体を見渡して複数の関連語が使われていることを確認してから縁語と判断してください。一語だけ取り出して縁語と答えても、文脈を無視した誤答になります。
失敗パターン⑤「本歌取りの本歌を知らないまま問題に臨む」
本歌取りの問題は、本歌を知っているかどうかがそのまま正誤に直結します。「知識がなければ解けない」と諦める受験生も多いですが、実は共通する語句・地名・季語に注目すれば選択問題なら絞り込めるのです。知識ゼロでも部分点を狙う消去法を身につけましょう。
【実践演習】今すぐできるトレーニング|和歌の修辞法を体で覚える
以下の問題に実際に取り組んでみましょう。答えは各問の下に解説付きで掲載しています。
【問題1】次の和歌の枕詞を抜き出しなさい。
「たらちねの 母が呼ぶ名を うち出でば けけくもあるか この夕ぐれ」(万葉集)
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枕詞:「たらちねの」(→「母」を導く枕詞)。「たらちね」は「垂乳根」とも書き、母・親を導く定番の枕詞です。
【問題2】次の和歌の掛詞を指摘し、2つの意味を説明しなさい。
「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」(源宗于・古今集)
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掛詞:「かれ」→「枯れ(草木が枯れる)」と「離れ(人が離れていく)」の2つの意味をかけています。冬の自然の寂しさと、人の訪問が途絶える寂しさを同時に表現しています。
【問題3】次の和歌の序詞の範囲を「〜〜〜」の形で抜き出しなさい。
「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」(柿本人麻呂・万葉集)
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序詞:「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の」(→「ながながし」を導く序詞)。山鳥の長く垂れた尾のイメージで「ながながし(長い)夜」を引き出しています。「あしびきの」は枕詞として「山」を導き、その山鳥の尾のイメージ全体が序詞になるという二重構造も入試頻出のポイントです。
【問題4】次の和歌の縁語をすべて抜き出しなさい。
「契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは」(清原元輔・後拾遺集)
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縁語:「袖(しぼりつつ)」「末の松山」「波越さじ」——「袖をしぼる」(涙で濡れた袖を絞る)という表現と、「松山・波」という海辺の情景が縁語グループを形成しています。「波が松山を越えることは絶対にない→変わることのない誓い」という比喩にも注目しましょう。
これらの演習を繰り返し行い、修辞法を見つける「目」を鍛えることが最短合格への道です。
まとめ|和歌の修辞法をマスターして入試で差をつけよう
今回の記事のポイントを整理します。
- ✅ 枕詞:特定の語を導く5音の決まり文句。訳さないのが原則。セットで丸暗記する。
- ✅ 序詞:音数自由・意味あり・作者が自由に作れる。「〜のように」で訳が切れる部分が境界線。
- ✅ 掛詞:同音異義を一語に重ねる技法。入試最頻出。必ず2つの意味をセットで答える。
- ✅ 縁語:意味的に関連する語のグループ。テーマから逆算して探すのがコツ。
- ✅ 本歌取り:有名な古歌を引用・発展させる技法。新古今集・定家・西行・式子内親王を重点学習。
- ✅ 和歌の修辞法は「知っているかどうか」が得点を左右する。早期に体系的に学習することが合格への近道。
- ✅ よくある失敗(枕詞を訳す・掛詞を片方だけ答える・序詞の範囲を短く見積もる)を意識的に避ける。
和歌の修辞法は、一度しっかり理解してしまえば一生使える武器になります。この記事を何度も読み返し、演習問題で実力を確認しながら、確実に自分のものにしていってください。
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